日本二百名山「カムイエクウチカウシ山」


- GPS
- 17:37
- 距離
- 32.2km
- 登り
- 1,855m
- 下り
- 1,827m
コースタイム
天候 | 8/16(日)晴れ 8/17(月)雨のち曇り/晴れ |
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過去天気図(気象庁) | 2020年08月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
飛行機
[P]幌尻ゲート前の駐車スペース(約10台) 道道111号から舗装路の終点の幌尻ゲートまで入れました。ここから七ノ沢出合まで6kmほどの林道です。 |
コース状況/ 危険箇所等 |
●幌尻ゲートからカムエク往復 水平移動距離:約32.1km(実測) 累積標高差:±約2520m(実測) 【コース概要】 ・札内川ヒュッテ(506m)〜八ノ沢出合(680m)(画像1参照) 札内川ヒュッテから七ノ沢出合まで7kmほど林道を歩く。車両通行止になっているトンネルからスタート。トンネル出口からしばらく歩き続け、林道を離れると七の沢出合に到着。ここから本格的な登山開始。浅く渡りやすい箇所を見極めて沢を渡渉し、巻道も使いながら、上流の八ノ沢出合を目指す。八ノ沢出合に幕営適地あり。 ・八ノ沢出合(680m)〜三股(999m)(画像2参照) 八ノ沢出合から、沢を渡渉しながら三股へ。三股にも幕営可能箇所あり。三股には、雪渓が残っている場合もあり。軽アイゼンなどを使用して雪の上を歩くこともできるが、崩落の危険があるため、慎重にルートを見極める必要あり。 ・三股(999m)〜八ノ沢カール(1519m)(画像3参照) 急登が連続する。ロープ設置箇所では、足場をしっかりと確認しながら登る。滝のそばを通過する際は、足場が濡れていることもあるので、滑らないように要注意。 ※ネットの情報でよく見かける『Y字は左へ』という表現は、要は、”本流を意識して”本流から遠ざかる方向へは進まないと解釈。 ・八ノ沢カール(1519m)〜カムエク山頂(1979m)(画像4参照) 八ノ沢カールには、1970年に羆に襲われて亡くなった福岡大学の学生たちを偲ぶレリーフあり。ここには湧き水もあるので、水を補給しておく。次第に近づく山頂を眺めながら、カールから稜線へと向かう。支峰であるピラミッド峰を背にして稜線を歩く。ハイマツが行く手を阻むが、踏み跡をたどりながら山頂を目指し、三角点のある頂上に到着。頂上からの眺めはまさに絶景で、日高山脈の山々をぐるっと見渡すことができる。 ●注意点 1)ヒグマ カムイエクウチカウシ山はヒグマの生息地。2019年にはヒグマによる人身事故が相次いでいます。過去には痛ましい事件も起こっているので、熊鈴、ホイッスル、熊撃退スプレーを持参するなど、必ず対策を行ってください。 2)マダニ・ブヨなど 山中にはマダニやブヨなどが多いため、肌の露出をできるだけ抑えた服装で臨んで下さい。休憩時や下山後には服や装備をよく確認し、刺される前に取り払います。 3)増水時の渡渉 ルート上には渡渉ポイントがあり、沢靴など渡渉用の靴を準備して下さい。増水時は無理をせず、危険だと思ったら引き返すようにして下さい。 4)不明瞭な登山道 カムイエクウチカウシ山には、ハイマツ帯や渡渉ポイントなど、適切なルートがわかりにくい場所も数多く存在します。そうした箇所を事前にチェックしておく事が重要です。 (自分の場合、多くのレコを参考にして、画像1〜画像4のような自分なりのまとめを事前にしました。) |
その他周辺情報 | ●カムイエクウチカウシ山の天気(てんきとくらす) https://tenkura.n-kishou.co.jp/tk/kanko/kad.html?code=01150033&type=15 |
写真
装備
備考 | ☆今回の山行で準備した沢用装備 1)沢靴…サワークライマー(モンベル) 2)沢用スパッツ…ネオプレン ストリームスパッツ(モンベル) 3)ソックス…KAMICO サワークライムソックス(モンベル) 4)ソックス…ネオプレン プレーンソックス(モンベル) ソックスは3)4)を一足ずつ用意したが、厚手で履き心地の良い3)を行動日数分持った方がよいなと思いました。 |
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感想
日本二百名山 最難関と言われる「カムイエクウチカウシ山」へ行ってきました。
「カムイエクウチカウシ山」については、早くからネットで得られる情報には全て目を通し、事前準備を徹底的に行い、登山ルートのイメージは完全に自分の中では出来上がっていました。なので、本当は自分の中では妻と二人でチャレンジしたかったのですが、2019年のヒグマによる事故が複数件あった事から、妻の強い要望で個人ガイドを依頼しての登山となりました。
ガイドの依頼先ですが、いろいろと問合せをして検討した結果、ハローポーターにしました。今回のガイドさんは、藤川健さん。ハローポーター所属で、山岳スキー競技日本選手権6連覇、2014年には日本百名山を33日間で100座登頂・日本最短記録を打ち立てた超人です。
●8/16(日)
・幌尻ゲート〜八ノ沢出合(680m)
幌尻ゲートから七ノ沢出合まで6kmほど林道を歩く。林道を離れると七ノ沢出合に到着。ここから本格的な登山開始。浅く渡りやすい箇所を見極めて沢を渡渉し、巻道も使いながら、上流の八ノ沢出合を目指す。道中、藤川ガイドには、徒渉のノウハウを詳しく丁寧に教えて貰い、とてもよい勉強になった。水量は自分の背丈では、最大で股下程度だったが、妻は腰まで浸かっていた。
・八ノ沢出合(680m)〜三俣(999m)
八ノ沢出合から、沢を渡渉しながら三股へ。三股に行く途中には、雪渓が一部残っていたが、特に問題無く進む事ができた。三股が近くなると、正面にカムエクと緑濃い優雅な稜線、雄大な八ノ沢カール、三条の滝を遠望できた。これこそ畏れ憧れてきた景色だった。三股に到着後、幕営。夕食後、眠ろうと努力するが沢の音が耳障りで、なかなか眠ることが出来なかった。結果的に、2時間程しか眠れず。
●8/17(月)
・三股(999m)〜八ノ沢カール(1519m)
4時半過ぎに出発、生憎の雨模様。三股の取付きから急登が連続する。ロープ設置箇所や浮き石が多い箇所では、足場をしっかりと確認しながら登る。雨で足場が濡れている事もあり、滑らないように特に慎重に登高した。途中の分岐については、しっかりと予習していた為、ガイド山行で無くても迷う心配はないと思えた。急登を耐えてたどり着いた先に、広々とした八ノ沢カールはあった。
・八ノ沢カール(1519m)〜カムエク山頂(1979m)
八ノ沢カールには、1970年に熊に襲われて亡くなった福岡大学の学生たちを偲ぶレリーフあり。休憩後、カールから稜線へと向かう。稜線からはハイマツが行く手を阻むが、踏み跡をたどりながら山頂を目指し、三角点のある頂上に雨が降る中到着。天気予報には裏切られた形となり、とても残念な気持ちを抑える事が難しかったが、登頂記念撮影をした後は速やかに下山にかかった。
・下山
三股のテントまでは藤川ガイドの手厚いサポートを受けながら慎重に下った。雨に濡れた岩場ほど恐ろしいものは無い。もし、二人だけでこの雨の中、山頂を目指していたならば、妻に大怪我をさせてしまったかもしれないなあと考えながら、テント場まで下った。テント場まで戻って昼食をとり、テントを撤収してさらに下山。七ノ沢出合到着目前にしての徒渉中、水深が深く流れが比較的早い場所で妻が水流に足元をとられ、危うく流されそうになった。藤川ガイドの神対応で事無きは得たものの本当にヤバかった。七ノ沢出合で休憩後、あとは幌尻ゲートまで淡々と歩いて下山完了。幌尻ゲートで藤川ガイドにお礼を言って解散。
藤川ガイドなしには、今回の山行は途中敗退に終わっていたか、遭難の憂き目にあっていたのではないかと思う。藤川ガイドには、心から感謝を述べたい。
個人的には、かなり不本意なカムエク登頂になってしまい、残念な気持ちが拭い切れない。300名山が終わって、余裕があればカムエクには単独で再訪したいと思う。
コメント
この記録に関連する登山ルート
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事前の調査メモには感心しました。そこまで準備されてガイド登山にした事は思いはあるでしょうが、足場の悪い場所などでのガイドのサポートなど正解だったのではないでしょうか。
今回のレコも、いつかこの山を歩きたいと願う者には素晴らしい案内レポートだと思います。
それにしても奥様の頑張りがすごいですね。
お疲れ様でした。
ery100
ery100さん、気持ちを汲んでいただき、ありがとうございます。達成感で言えば正直なところ物足りなかったですが、結果として妻に怪我をさせる事なく無事に登頂し下山できた事に関しては、本当に良かったと思います。
今回妻にとっては厳しい登山となりましたが、藤川ガイドのサポートを受けながら、最後まで頑張ってくれました。
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