カミホロ北西稜〜カミホロ避難小屋【ビバ練】
- GPS
- 29:31
- 距離
- 10.7km
- 登り
- 928m
- 下り
- 1,056m
コースタイム
25日
十勝岳温泉7:00-7:30Z-8:10間違ったおね引き返し-8:30取り付き-9:20P3?10:50-11:20雪壁1ピッチ目13:00-13:002ピッチ目15:10-15:20主稜線上15:50-16:10カミホロ避難小屋
26日
カミホロ小屋7:00-7:30カミホロP-7:45H-8:10H下の沢型-8:40化物岩-9:40Zの降り口(新D?)-10:15沢型-10:40沢形上11:20-12:00十勝岳温泉
天候 | 谷の通過? 25日 朝方はサーッと視界が開けることがあったが、上部はガスガス。 主稜線上はやはり風は強かった。しかし、そこまででもない。 基本的に時間の経過とともに天候は悪くなっていく雰囲気。 26日 一晩で降ったのかしらないが、大分積雪があり。 3連休で中央労山の人たちが入っていたみたいなのだが、それらの大勢のトレースが全て埋まってなくなるほど積もっていた。 風は次第に強まる感じ。下山くらいにはそれまで南風だった風が北風に変わっていた。 |
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過去天気図(気象庁) | 2012年11月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
25日は駐車場がほぼ満車になるほど人がいた。 |
コース状況/ 危険箇所等 |
先週よりも積雪は増えている。 Zまでも夏道はほぼわからず、ハイマツなどの頭がちょろちょろ顔を出している程度。だが、デポ旗がところどころついている。 Zのトラバリは真っ白。雪崩とか怖そう。 北西稜の岩稜や雪壁は雪がついており登りやすい。ただ、ボロボロ崩れたりする雪質のところもあってそこは面倒。基本的には硬くて良かった。 Hの降りの急斜は真っ白。岩なんてない。 D尾根は頑張れば尾根上を十勝岳温泉まで下ろせる。ただ、下部はツボで逝くのは死亡フラグ。スノーシュー、スキー推奨。基本的に夏道はもうない。 |
写真
感想
さぁて三連休、だが天気が悪いのに山に3日も入る現役みたいな馬鹿なことはせずに、天気のよさそうな日曜日を狙ってそれ以外は下界でうだうだ。土曜日に夕方から本山行のミーティングをして、そのまま仮眠をとって2時デッパで十勝岳温泉へと向かう。桂沢湖経由で4時間ちょっと。冬道だしこんなもんでしょう。
本当は6時前にデッパして夜明けとともに取り付く予定だったのだが、なんだかんだでデッパは7時頃。多分中央労山の方々たちなんだろうが、満車の凌雲閣前の駐車場からスキーを履いて出発。ここからの夏道はもう殆ど夏道じゃない。視界がないときに沢の崖に落ちそうになったとか言う記録があった気もするが、納得。あんな夏道が物の見事に埋まるもんだね。
三段との分岐のあたりでうじゃうじゃとテントを張って集まって泊まっている社会人団体の人達を見ながらZまで。視界はあまり良くないが、時折サーっと開けるとZから見えるルートのほぼ全てに人がウジャウジャ。何この山。こんなに人気なの?このルートって。余り見ることが出来ないんじゃないかっていう景色に感動しつつ、こんな人の列の後ろを歩いていたんじゃ登れないんじゃね?という疑念にかられつつ、朝一デッパしなかったことを悔やみながらとりあえずスキーストックをデポしてEで取り付きを目指す。
ツボでも大人数で歩いたトレースが目の前にはあるのでラッセルは皆無。皆様ご苦労様です。そんな感じで大勢溜まっているところを抜かして、先頭を歩くパーティーについていくことに。多分この人達もカミホロ北西稜に登るんだろうと思ってついていくも、なんだか様子が変。コンパスと直角どころか南に向かって登っていくはずなのにほぼ真北に向かって尾根を登って行っている。あれ?ということで早速GPSの出番。なんと普通に夫婦岩の方に向かって登っているじゃありませんか。あーあ。ってことで、トレースを外して取り付きまで戻る。
取り付きは先週と一緒。一本南の尾根をやっぱり登ってみる?みたいな話も出たが、まぁ先週と一緒でいいよねってことで先週とおんなじように登っていく。先週よりも数m尾根が広くなっていたり、岩が隠れていたりするが、尾根の地形が変わるはずもなく、これは雪の造形だってことで、騙されて踏み抜いたりなんて馬鹿なことはせず尾根上を忠実に歩いてP2とこの前想定した場所までさくっと登る。
やはり雪は多くなっており、今回は尾根上も行ける気がする。トレースっぽいものも、尾根上を行って超急な右側の斜面をちょっと横切って登って行っているが、僕らにはリスクが高すぎると判断。下の方で基部から左側に回り込めそうな感じだったのでそちらを行って見ることにする。
グルっと回っていく所は雪が吹き溜まったのか若干テラス見たくなって歩きやすいところを歩いてルンゼっぽいところの下まで。さて、これを登ればいいのかな?ってことで登ってみる。意外と急。ルンゼの上部まで詰めると、その先は断崖絶壁。ルンゼを一番太いところを素直に右に右に登っていたらまだ巻き終わらない尾根上に出てしまったらしい。なるほど。周りをふと見てみると、このルンゼの一番急な真ん中くらいからちょっと左側にもルンゼが別れて伸びており、そちらに行けばあちら側に乗っこせそう。サモア隊長が来るのを待って、ちょっと話してそちらに行ってみる。行ってみるとその先は尾根の横を登って上のたら地まで出られそう。なので、GO!よし、これでこのポイント巻き終わり!
ルンゼの急な所はサモアさんでも怖かったらしく、これ大丈夫かね?と聞かれたので、両手両足が動かそうと思っても本当に動かしていいのか図りかねるくらいの斜度で、バイルなどを抜くときには緊張するその感じ、OP尾根で第2リッジを巻いた時の一番急な時の感じとおんなじだなーという印象を得たので、だいたいOP尾根の時とおんなじ感じの斜度ですよーと答えておく。が、後続のM曰く、「おんなじわけないじゃないですか。こんなところ、バイル無しで登れるか!」だそう。あれ?そんなにここ怖かった?まぁ、バイルの素晴らしさが分かる斜度、そして硬さでした。
そんなこんなで巻き終わって、所々トレースっぽいものが残っている雪稜を上がっていくと雪壁。あれ?P3は?
ここでふと再考してみると、左にトラバって、ルンゼをザイル出して登るルートと、尾根上を行くルートがP3にはあるみたいな記録あったっけなー、との結論に。ということで、さっきのポイントはP2ではなく、P3、P1,P2は多分取り付きが違うんだろうという結論に至り、目の前のポイントは雪壁と判断する。ここで時間は11時くらい。よっしゃー上まで行くぞってことでサモアさんトップで今度はザイルを出していくことに。ボク確保。
スノーバー使って普通にATCで確保しながら、残置のロープをファーストランナーとして使って右側を巻いていくような形で真上へまず20m程サモアさんが登って後続は確保で上まで。その後、トップを交代して、ボクが30mほど?そのまま上へ行って後続をATCガイドで確保して上に。
さらっと書いたが全員がこの50mほどを登り切ったところで15時。あれ?
問題点としては、ザイルが一本50mしかなかったので50m登り切ることが出来ずに途中で半分のところで区切らなければならなかった点。そして、特にボクのピッチが上部ボロボロ雪が崩れてバイルが決まらず、スタンスも崩れやすくて良いルートが見つからず、なかなか上に行けなかったこと。また、スノーバーとかも上手く刺さらず、確保点を見つけるのが難しかったこと。最後に、風雪が次第にシビアになってきて暑くて首あったかを下げていたボクは、頭は帽子のふわふわに雪がついて凍り、それと帽子からはみ出た髪の毛がくっついて凍り、そこから眉毛までが凍り、目の周り、ほっぺたのあたりが凍っていて非常に寒かったという点があげられる。
どこぞのお方じゃないけれども、帽子から前髪がはみ出るほどの髪の長さはやっぱり駄目だ。マジで凍る。寒い。髪を切ろうと心に誓った瞬間でした。そして眉毛もいらないし、何より帽子が最悪。この帽子、重いわ、前のふさふさが凍るわ、暑いわ、最悪。
まぁ、なにはともあれみんな上に登り、時間も時間なのでこれからのことを話し合う。時間を考えて、次に何かが出てきたら終わりだと思っていたが、セカンドで登ってきた木村さん曰く、この先にも壁があるらしい。そして、この周囲で雪洞が惚れそうなところはない。KT君は眼鏡で来ており眼鏡に雪がこびり付きもはや何も前は見えませんという状態。ボクにいたっては眉毛は完全に凍っていて、顔中凍ってる感じで碌に目を閉じることすら難しく、口が思うように動かずモゴモゴした口調になってしまうような状態。寒い。自覚症状はあるから低体温症ではないと思いつつも完全にまぶたのあたりは凍傷なり始めてるな、的な。
万事休すか、と思ったが、とりあえず壁を見てみようとサモア隊長が率先して登っていく。と、「ザイルなしで登れる!!」よしきた!ってことでサクッとその雪壁登ってふとよろけるような風が吹いている主稜線上へと登る。これで何とかなりそうか?只今15時30分。
カミホロ小屋でビバークするか、日没後でもいいから頑張ってD尾根下ろすかの2択を迫られる。が、シュラフも持ってきておらず、テントもなく、食料もない、そんなパーティーの取るべき手段はただひとつ。降りよう!なんとかなる。ということで、カミホロのPからHへとコンパスを切って下りだす。が、南の崖の切れ目を意識してくだろうとすると何故かコンパスと垂直な方向へと降りて行っている。あれ?どうした?しっかりコンパスを見て進もう、とコンパスを見て進んでいくとカミホロPの文字。む?逆コンだったか?もう一回反対方向だ、と進んでいくがまたコンパスとは垂直に降りていってしまう。WHY?GPSを取り出してみてみると、同じ所を1往復半。しかも明後日の方向に進んでいる。あたりはだんだんと夕方に向かって明るさは減衰してきており、そろそろヤバめ。ボクの顔もヤバめ。視界もないし風も感じないけど結構ある。とりあえず、ザックの奥底の一番下に目出帽をしまっているボクはサモアさんから目出帽を借りて装着。そして話し合い、これは無理だと結論。全員が結構な疲労感を伴っておりふらふら。カミホロ小屋でのビバークが決定。そうと決まればもう一回カミホロPへと向かい、岩を越えて下ってゆく。小屋が見つからないかと思ったが、意外と小屋は見えて何とか小屋に到着。16時過ぎ。
一同とりあえず無事を祝うがこの先どうするかが微妙。とりあえず装備の確認をする。ロルマを持ってきている人間が1人。シュラカバを持っている人間が3人。非常食は誰も持っておらず、火器はガス缶が全部で1缶ほど。小屋にあるのは毛布が山ほど。
とりあえず、みんなでレーションを分けあって、毛布をみんなで被る熱気球システムを採用しながらお湯を作ることに。何の味もないただのお湯だが美味しい。防寒具とかを着込んでこれ以外といけんじゃね?って話をしながらみんなでくんずほぐれつ温まる。メッチェンいたらまた面白いのにねーと言いながら男4人でイチャイチャ。意外と暖かい。足を絡め合うのが良いという見解で皆が合意した頃にそろそろ店長さんに連絡でもしないと心配するのでは?ってことで、誰が外に出ていくかを話しあいながらまたダラダラ。
なんとかメールをしたためて、電話が繋がらなかったらこのメールを送るって感じで外に出て電話。電波が悪くて途中で切れるがまぁ繋がったから良しとしよう。そして、バイト先のおっちゃんにも電話。「分かった。遭難するなよ。」と言われるが、これはまぁある意味遭難の一種。大丈夫。まだ遭難未遂。しっかり明日帰ろうと心に誓って小屋へと戻る。
小屋へ帰ると何やらみんなが狂喜乱舞している。気が狂ったかとおもいきや、先週使わなかった米をKT君が片づけもせずにザックの中に放りっぱなしで持ってきていたらしい!2合!素晴らしいってことで、また火器を炊いて水を作ってコメを炊く。何の味もない米だが美味いこと旨いこと。空腹は最大のスパイスだなぁと感動し、またお湯を飲んで、とりあえず明日に備えて寝ようという話になる。
4人で川の字になって、その上にありったけの毛布を重ねて、みんなでくっつきあって寝ることに。ラジオも持ってきていなかったが、無線でNHKFMを聞いて概況も得る。おやすみなさい。
途中何度か足が寒くて目が覚めたが、そのたびに足をサモアさんに擦りつけて寝たおかげか快適な目覚め。みんな結構暖かく過ごせたらしい。6時に定時更新するよ!と店長さんに言っていたこともあって朝一でサモアさんがラブコール。その後、お湯を飲んでなけなしのレーションを食ってコンパス前もって切って方針確認してパッキングしていざデッパ。外は意外と風も視界も良いようだ。KT君はレーションをこの時点で喰い切り。しかも昨日あれだけ眼鏡で困っていて、コンタクトも持っているというのにまた眼鏡。なして?
サクサクとカミホロまで登ってHへと向かう。コンパス通りしっかり行こうとすると、やはり切れ目かと思うところが怖くて入り込まないようにと進むとコンパスと直角になってしまう。よくよく見てみると斜度の変わり目なのだが、本当に真っ白でどこが落ちててどこが地面なのかよく分からん。でも、崖はやっぱり崖で分かるので、その切れ目を見つつ進んでいく。Hの看板はしっかりと上富良野岳という文字が雪も全くつかずに立っており確認。
コンパス確認してHの急斜へと降りていく。しかし、尾根上は崖側に吹き溜まっていそうで怖く、降りて行っている最中で踏み抜きでもしたら大変なので若干斜面を正面に見て右側よりに降りていく。斜度はそこまで急でもないが、もう白くて前降りできるのか後ろ向きにならなきゃいけないのかもわからないので適当に後ろ向きでザクザク。途中から崖の切れ目がはっきり分かるようになってきたのでそれを目安にH下の沢型まで。とりあえず、ここまで真っ白。岩なんてどこにもない。
その後は尾根上を忠実にたどって化物岩とのコルのあたりまで行くのだが、本当に崖を忠実に見て行こうとすると八ツ手岩か知らないが途中一つ肢尾根と間違えそうになる。だが、見た感じこんなところを下ったことはないという既視感を踏まえて正しくD尾根を下ろしていく。
なんか沢を横切ったカンジがするなーと思っていたら目の前に見覚えのある岩がどーんと。あれ?GPSでも確認してみるがモロ化物岩。来すぎたか。ということで、若干戻って沢中というか沢の端っこあたりを木のあるところを繋ぎながら下ろしていく。腰ラッセル。スキーがすごく楽しそう。夏道は当然見えない。
Zのトラバリ出しのあたりまで、ハイマツの落とし穴に引っかかったり、腹まで埋まったりしながら何とかみんなでラッセルを回して降りていく。この最中、皆は昨日下っていたら下山先にあったのは極楽浄土だったという認識に至り、ビバークという判断は正しかったことを悟る。
そしてZのトラバリ出しからはZは昨日明らかに白かったし、雪も昨日からたらふく降っていることもあるのでそのまま沢型まで下ろすことにする。胸まで埋まりながら転がり降りる。途中、点発生の15cmくらいの小さな表層雪崩起こしたりしながら沢型まで。
そして残るは沢を登って夏道歩いて十勝岳温泉まで。Zまで沢中戻るのは辛い、ということで、沢を直登する。頭まで埋まるような急斜面を空身でワシャワシャと登っていくと、途中、大きな岩が上から転がってきたようなゴンッというような音?がする。ヤバッ!?と思い頭を覆うが何も降ってこないので気のせいかと思いもちょっと雪をかき分けるとクラック。まぁいっか、と思ってそのまま登ると自分の右の雪が表層15cm程サーッと下まで。更に登ると左の雪もサーっと下まで。なるほどさっきの音は雪が切れた音だったのか、と納得しながらバイルとピッケルをハイマツと会話に引っ掛けながら上まで登る。因みにこの文章に書いてある雪崩はどれも小規模で、わ〜雪崩だね!というくらいなのでご心配なさらず。
そして、みんなが登ってくるまでに、一人で4人分のスキーとストックを取りに行き、みんなが登ってきたらスキーを履いて、完全なるハイウェイと化したトレースがあったはずの何もない雪原をラッセルしながら歩いて十勝岳温泉まで。お疲れ様でした。
結局下山したのは12時で、店長さんは結構心配していたらしい。その後、カミホロ荘で温泉入って、ラーメンと豚丼食って、札幌に戻り、谷マンさんが作ってくれていたおいしいごはん食べて、ボクは釧路へとバイトに向かったのでした。
今回の山行で学んだ重要事項としては、
・アタック装備は重要であって、いかなる時にもやはり抜いてはならない。
・スノーシューで色々と行ったほうがいい山もある。
ということですね。
ほんと、シュラフ、ロルマ、非常食、などなど、アタック装備に要らないだろうと思っている装備もないと、ビバーク時には困ります。今回は小屋に毛布もあったからいいものの、雪洞で、何もなかったりしたら結構寒いでしょうねー。
皆さん気をつけましょう。ご心配おかけした皆様、申し訳ない。次から現役並みに引いて考えます。やっぱり、HUWV現役の山の行き方は正しい。と思った週末でした。
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