7歳児と制覇する大月秀麗富嶽十二景 小金沢山
- GPS
- 07:03
- 距離
- 10.9km
- 登り
- 824m
- 下り
- 808m
コースタイム
天候 | 晴れのち濃霧 |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2020年10月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
|
コース状況/ 危険箇所等 |
よく手入れされた歩きやすい道 でも大峠〜黒岳は濡れてるとめっちゃ滑る |
その他周辺情報 | 都留市「より道の湯」 大月から行ける使い勝手のいい日帰り温泉はここ |
写真
感想
息子とやまのぼりを初めて、もうすぐで2年。
東京から日帰りできる6歳児でも登れる山、おりてから温泉に入っても夕飯に間に合うように帰れる山。
そんな山を探して登っていたら、いつのまにかコレクションされていた山シリーズがあった。
大月秀麗富嶽十二景。大月市にある、富士山がきれいに見える山セレクションである。十二といいつつ20座あったり、山っぽくないのがあったりするけれど、それほど難しくない山からなかなかの山までそろっていていい。なにより、そのほとんどにあまり人がいないのがいい。
今回登る小金沢山で、20座め。コンプリートである。何か記念品がもらえるわけではない(※藤野15名山は缶バッヂがもらえるらしい)けれど、なんとなくそれはうれしい。息子がどう思っているのかはいまいち聞けずにいたけれど。
もしかしたら彼にとっては、虫ときのこがある山ならどこでもいいかもしれない。まあでも、どこでもいいなら親の趣味に付き合っておくれ。
ということで、大月は曇り予報ながら「てんくら」だと山頂晴れだという小金沢山に登ることに。ここを登れば、大月秀麗富嶽十二景コンプリートである。達成の瞬間に立ち会いたいということで妻も参加。
家族3人の場合、交通機関ではなくレンタカーを使う。カーシェアなら1日使い倒して1万円前後、交通機関とかかる金額は同じくらいで圧倒的に小回りがきく。大月あたりに来る時はついでに買い物も済ませてしまう。上野原にあるスーパー「いちやまマート」が良すぎるのだ。山梨といえば、ほうとう・温泉・いちやまマートである。先週の茅ヶ岳のときもそれを全部やってヘトヘトになった。
さて、小金沢山である。車で行くとなるとピストンの行程を組むことになる。駐車場を考えると
・上日川峠から大菩薩峠経由
・湯の沢峠から白谷ノ丸経由
のどちらか。上日川峠は大菩薩嶺に行く人が多いから避けて、となると湯の沢峠かな、と思っていたけれど
・大峠から黒岳経由
というルートがあることに気づいた。大峠なら、東京からかなり行きやすい。
ということで家を7:30に出て……自分のリュックを家に忘れたことに気づいて30分をロスし、中央道がバイク炎上で渋滞して30分のロス。それでも大峠に9:30過ぎに着くことができた。
東京も大月も下界はどんより曇っていたが、ここは晴れ。これはラッキーだ。
大峠から、雁ヶ腹摺山とは反対方向に登る。結局今年は3回もここに来た。
きつすぎず、ゆるくもない雑木林のなかの登山道。しかし早起きさせられた息子がまったく起動しない。のぼりはとくいじゃない、なんて言っている。それ山登り苦手ってことやんけ。
いっぽう妻は、遅くなって暗くなることを強く心配していた。早いペースでスタスタと登っていく。登りは得意なのだ、という。非常によいことです。
妻はスタスタ、息子はダラダラ。思わず息子を速く進めとせきたててしまい、ケンカになる。先にいる妻めがけて「ぜんぜんかくれられてないかくれんぼ」を始めた。まあこれなら多少進んでくれるだろう。
山はもうかなり紅葉が進んでいて、道には落ち葉がしきつめられている。前の日までの雨のせいで少し濡れている。妻が下りのときコケないかと心配している。下りは苦手なのだ、という。がんばってほしい。
もはやカブトやクワガタのメジャー系昆虫はいないが、そのかわりツチハンミョウに出会った。ハナバチに飛び乗ってハナバチの巣に行きそこで育つという、アクロバティックすぎる生態を持つ虫である。メタリックブルーできれいだが、足の節から猛毒の汁を出す。かつて馬頭刈山で息子と面白がりながら思いっきり触って、なんか手に汁ついたなーなんてやっていて帰宅後調べて青ざめた、そんな思い出深い虫だ。今回は絶対さわりません。
そのほかに虫といえば、大きめのヤスデをよく見かけた。あまり下界にいないタイプだ。でも写真をアップするのはやめときますね。
傾斜が少し強くなったかな、というあたりで息子がひとやすみを求めた。ちょうど小ピークの赤岩ノ丸があるのでそこで休憩。息子にははちみつくるみをあげる。
赤岩ノ丸からルートを外れて少しくだると、祠があるようだ。行ってみる? でもけっこうくだりそうなのと、バリルート感満載なのでそっと引き返す。
赤岩ノ丸のピークから、道は少しくだる。息子が「くだりはとくい」といってダッシュでおりていく。おりきったところに別ルートの踏み跡がある。赤岩ノ丸を巻く道のようだ、帰りはこっちを通ろう。
松の立ち枯れがたくさん、そして倒木もたくさんある、なんとも不思議な光景の場所に出る。そういえば牛奥ノ雁ヶ腹摺山の山頂下あたりも立ち枯れの松が真っ白な林を作っていた。大丈夫なのか。
道はだんだんと急になっていき、九十九折になる。スギゴケが茂るあいだから、真っ黄色の変な形のキノコが生えている。なんだろう、と思うやいなや「カベンタケモドキだよ」という息子。なんで知ってるの、と聞くと「ずかんにのってる」と。君の頭にはずかんのどのへんまで入っているのですか。
ジグザグを登りきると、黒岳山頂からやや北の稜線に出た。ここは牛奥ノ雁ヶ腹摺山に登った帰りに通っている。せっかくだから黒岳山頂も訪れておきたい気がしたが、眺望もふくめて何もないし時間もないしで(おもに妻により)却下となる。
それにしても、そうとう寒い。天気予報でみた気温は5度だった。わが麗しの故郷・北海道のようだ。みんなそれぞれ上着を装着する。
晴れていれば左右ともに絶景の尾根だが、残念ながら曇っている。2箇所ほど大きな岩を越えたり迂回したりするが、アップダウンのかなりゆるやかな道。カベンタケモドキの黄色がとても多く、目立つ。
少し高度をあげたところで、ご年配の方がニコニコしていた。何かと思ったら、富士山が見事に出ていた。芝生の庭のような気持ちいいスペース、川胡桃沢ノ頭山頂である。
ここからいちど谷におりて、また登ると牛奥ノ雁ヶ腹摺山に到着する。笹のなかのくだり坂、またしても息子は爆速でおりていく。冬にここに来た時、息子が霜柱をひたすら掘っていたことを思い出す。
谷におりるとカヤト原、一気に視界が開ける。またしてもツチハンミョウに出会う。
ここから牛奥ノ雁ヶ腹摺山まで、急坂の直登だ。前回はここをくだっていったので気づかなかったが、正直かなりキツい。息子の足もとまりがちである。そうだ、ヤッホーしてみなよ。
「ヤッホー!」(ヤッホー)
少しの時間差で、かなりキレイに声が返ってくる。遠くの山のいくつかに跳ね返っているようだ。これはいままでのなかでいちばんいいヤッホーポイントだ。
スピードが落ちて、文句が出がちな息子を応援しながら進む。あそこが頂上かな?と思ったところはまだ途中だったが、そこから振り返るとまたもや美しい富士山が見えた。
カヤトが終わりいったん森を通る。冬に厚い氷が張っていた水たまりは健在で、イノシシの泥浴び場(ヌタ)になっていた。湧水なのだろうか。
視界がふたたび開けたら、牛奥ノ雁ヶ腹摺山山頂。息子と僕は2回目の登頂になる。妻は初めてだが、単なる通過ピークにしか見えなかったことだろう。もったいないことだ。
牛奥ノ雁ヶ腹摺山から先は、笹原のなかの一本道トレイルを進む。シカのふんがあり、骨があり、そしてとうとうシカ一家とご対面した。息子は一家のおかあさんと見つめ合ったらしい。
かるいアップダウンを経て、最後に少し登れば本日のゴール、小金沢山山頂である。これで、大月秀麗富嶽十二景(20座)、すべてクリア! これはさすがに息子もうれしいらしい。
すっかり山は霧、というかおそらく雲の中。視界も何もなく、秀麗な富嶽はまったく見えない。でも、いい。ささやかながらひとつの目標を達成したのだ。
恒例のおにぎり、そしてとうとう買った携帯コンロで沸かした湯でつくるフォー。息子にとっては目標達成よりこっちが待ち遠しかった。そしてカップヌードル、息子にとって人生初となるそれは「シーフード」を選んでおいた。予想どおり「ママとパパにはやらん」という食べっぷり。ウマいよな、そのウマさはとうちゃんよく知ってるんだよ。
そして自前でわかした湯でいれるコーヒーのおいしいことときたら!
時刻は午後2時をまわったところ。5時には山をおりておきたい。暗くなるし、温泉・ほうとう・スーパーのコンボをこなす時間を確保したい。
真っ白な視界のなか、笹の道をおりてゆく。するとすぐに、雲の合間から富士山が登場した。わざわざ雲をよけて出てきたような感じ、思わずワーッと叫んでしまって妻にうっとうしがられた。
牛奥ノ雁ヶ腹摺山を通り、カヤトの坂をおりてまた谷に。息子がヤッホーしてみたが、濃い雲のなかでは声は消えてしまうようだ。さきほど遭遇したツチハンミョウがまだそこにいた。食われる危険のない奴は余裕なのだ。
笹の中を登ってゆき、川胡桃沢ノ頭に。息子が休みをせがんだのでここで敷物をしいてひとやすみ。おやつをいただく。さっき見えていた富士山は、というか景色すべてが濃いクリームのような雲で見えない。
尾根道を進むと、右手方向はきれいに晴れ、遠く八ヶ岳が夕陽の光とともに見えた。いっぽう左手方向は濃い霧。まさにこの尾根が、東京方面からの雲をせきとめているのだ。息子にもそれを教える、ちょっと面白い。晴れと曇りのあいだを歩いている。
2回ほど越える岩のうち、大きなほうをまず妻が越えていった。ついで息子と僕が越えたが、ふたりは気がついた……行きに何度も見かけた、黄色い大きなヤスデが岩肌にビッシリついていたことに。
おしえないでおこうね。ママがしったらあわふいておちちゃうからね、と息子。なんと親思いなのだろうか。
黒岳手前の分岐から大峠方面へ。雲がずっといるせいで、行きよりも落ち葉がぬれている。滑る。でもモタモタしていたら5時をまわり日没する。息子は行きでさんざん走ったのでもう走らない。
真っ白な視界、そして立ち枯れの白い木々と倒木たち。夢の世界としか言いようのない景色。
赤岩ノ丸は巻道でパス。トラバースのところがほぼ埋まっていて、それでいて濡れ落ち葉ですべるという罰ゲームみたいなルート。行きにこんな分岐見なかったよな、と通過時に確認してみたらかなり見落としやすい分岐であった。
やがて霧は晴れ、傾斜がゆるくなりふもとに来たことがわかる。またしてもヤマブシタケを発見しつつ歩き、大峠に到着。いや、かなりこれ体力使ったよ!
車で都留市の「より道の湯」へ。結局ここが便利なのだ。林道で妻がサルを見つけたが息子も僕も見逃した。上真木集落にさしかかるころ、すっかりきれいに晴れた空におおきな富士山が出ていた。そういえば上真木集落>大峠>牛奥ノ雁ヶ腹摺山、の順で富士山に近いよね。
ふだん車で簡単には寝ない息子、大月から都留市までの間に熟睡していた。体力を使い切ったのだろう。スーパーはやめて、ここでごはんたべてお風呂入ったら帰ろう。
さっきあれだけ曇りだったのに、露天風呂からは星がきれいに見えた。あれが冬の大三角形だよ、と息子は得意げに話していたが本当なのだろうか。
かくして息子と僕の大月秀麗富嶽十二景チャレンジは1年7ヶ月で完了した。息子はよく登ってくれたなあ。そして、妻と登ると息子は妻に寄っていくので、息子観察があまりできないことがわかった。どうしよう。
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