北岳 池山吊尾根
- GPS
- 32:49
- 距離
- 44.1km
- 登り
- 5,322m
- 下り
- 4,849m
コースタイム
2/10 撤収5:15〜ボーコン沢の頭8:50〜八本歯のコル10:45〜北岳12:40〜北岳山荘14:20
2/11 撤収6:10〜八本歯のコル7:50〜ボーコン沢の頭9:15〜城峰10:45〜池山小屋12:10/12:30〜
歩き沢橋14:15〜鷲住山登山口16:35〜夜叉神の森18:10
天候 | 2/9 晴 最低気温-20℃ 最高気温-5℃ 2/10 晴 最低気温-20℃ 最高気温-10度 2/11 雪のち晴 最低気温-30℃ 最高気温-5℃ |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2013年02月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
芦安温泉郷から駐車場まで、路面凍結が数箇所あります。 |
コース状況/ 危険箇所等 |
あいかわらず暴れたデータですが、GPSログをそのまま載せます。(修正すると一部消えるため) 林道 積雪0〜10cm。観音経トンネル内が漏水のため広範囲に凍結しています。アイゼン必須。 鷲の住山 積雪5〜10cm。登り下りとも歩きやすいです。 歩き沢〜池山小屋 急登地帯の雪の下は、地面が凍っていてアイゼン・ピッケルが効かず苦労しました。 小屋までの平坦部は雪が深くなり、脛まで潜ります。 池山小屋〜ボーコン沢の頭 10cmくらいのクラストした雪の層がいい足がかりになりますが、突然膝まで潜ります(泣 樹林帯を抜けた後、短い藪漕ぎがあります。 八本歯の頭 下りは高度感があって怖いですが、三点支持で慎重に行きました。登りは怖さがない分気が楽でした。 北岳〜北岳山荘 山頂までは雪も少なく危険箇所もありませんでした。 山荘へはトラバース道を行きましたが、雪が柔らかく滑るので緊張しました。 下山後は游湯ふれあい公園で汗を流しました。ジムと併設の施設で、いいお湯でした。¥400なのも○。 |
写真
感想
一昨年の夏に下見に行った、池山吊尾根から北岳へ行きました。今回は低気圧の心配もなく(心配もせず)、行く前からいい気分でした。
1日目
夜叉神駐車場からアイゼンを履いて出発。夜叉神トンネルの中は生暖かい風が吹いていた。
朝焼けに染まる稜線を見ながら鷲の住山登山口に到着。以前よりもテープが増えているようだ。大岩に真新しいハシゴがあったりする。野呂川吊橋から公園線に上がるところも分かり易くなっていた。
歩き沢橋から急登を上がる。ワカンのトレースがあって助かった。しかし今回ワカンを持ってきていないので、辿っていても沈むことがあった。アイスバーンの斜面に泣かされながらなんとか池山小屋に入った。
中には先行者の荷物があり、空身で登頂に行っているようだ。まだ時間が早いので距離を稼ぐことにする。前回来た時は小屋の右手へ登ったと思ったが、道を忘れていたためまたトレースを辿らせてもらった。しかし、左へより過ぎて道から外れていったため、右へ離脱し赤布を辿った。こちらにもトレースがついていた。
膝ラッセルでヘトヘトになり、城峰の尾根に出たときから幕営地を探していた。雪が柔らかいので整地に手間取ったが、明るいうちにテントに潜り込めた。
2日目
山では眠りが浅くなるが、珍しくぐっすり眠れた。雪はクラストしていて少し沈む程度で済んだ。森林限界を越えると冷たい風が吹いてくる。今日もいい天気だ。
ボーコン沢の頭に上がると北岳が正面に見える。今回はまだ余裕がある、きっと行けると言い聞かせた。トレースは八本歯までの中間辺りで終わっていた。時間切れで引き返したのだろうか。
八本歯の頭に立つとさすがに緊張したが、前回と同じように下りていくことができた。難関を突破してホッとするのもつかの間、コルからの登りのほうがきつかった。トラバース道分岐にザックをデポして空身で登頂することにした。北岳に空身で上がるのは今回が初めてだ。
さすがに風が強く、歩けないほどではないが寒い。山頂には5分しかいられなかった。まさに来ただけ。北アルプスは雲の中で見えず残念だったが、仙塩尾根が美しかった。
ザックを回収して地吹雪の中を長いトラバース。北岳山荘に着いたときはホッとした。コンクリートの床が冷たかったが、フリースのルームシューズが役に立った。夕食後、ちょうど夕焼けに染まる富士山が窓から見えたが、風の音に外へ出る気にはなれなかった。
3日目
風は止むことなく吹き続け、ガスが掛かってしまっていた。停滞も考えたが、明日回復する保証もない。意を決して外に出ると歩けないほど強い風ではないが、吹雪とガスで視界は最悪。稜線ルートで行こうと思ったが、風が遮られるトラバース道にした。昨日ほど滑ることもなく通過できた。八本歯付近も風が無かったため無事通過できた。
八本歯の頭を越えると気が抜ける。ここからは小さな登りが1箇所あるだけでずっと下りだ。カメラの電池が気温低下で使えなくなっていたが、景色も無いのでしかたない。
城峰から池山小屋への道で、トレースは右へ逸れていたが、自分は赤布を辿ることにした。しかし想像以上に長くて、小屋を通り過ぎていないか何度も右手を覗き見ていた。結局、小屋近くに赤布が無いだけで、前回も歩いたはずの道であった。
細かい雪と時折日の差す樹林帯を延々と下っていく。歩き沢に着いたら写真を撮りたいと思い、電池を手袋の中で温めてやると、生き返った。橋のたもとで幕営と思っていたが、まだ時間がある。鷲の住山を越えられるかもしれない。
8時間下った後の鷲の住山は辛かったが、不思議と足は動いてくれた。明るいうちに駐車場に着くことはできなかったが、途中に見た山頂方面は厚く雲に覆われていて、まだあそこで停滞していたらと思うとぞっとした。
風呂に浸かって残り物を食べ帰途に着くと、一宮御坂辺りで花火を見ることができた。得した気分だった。
コメント
この記録に関連する登山ルート
この場所を通る登山ルートは、まだ登録されていません。
ルートを登録する
BBCさん、やりましたね。厳冬期の北岳登頂、おめでとうございます。
このレコを読むと、やっぱり山行はこうでなくてはと思いました。テントと食糧を持っていると違いますね。その分、重くなりますが 夏場に歩いても大変だったのに、この時期はさぞかしきつかったでしょう。
ただ車だと下山後の風呂上りにビールが飲めないので辛いですね
夜叉神トンネル、まだ真夜中しか歩いた事が無いのですが、この時間だと安心感が有りますね。一度は日中に歩いてみたいと思います
厳冬期北岳登頂、おめでとうございます。
いや、凄いです。あー羨ましい。
何時になったらいけるのか、いける実力がつくのか?
わかりませんが、一度でいいから行きたいです。
完全保存版のレコです。
追加、
野呂川隧道のところ、ガードレールの赤布は私が9月に付けたのですが、その後、赤いっぱいになってるようですね。
これなら下山で見落とすことはありませんね。
まずは 何よりご無事で御帰りなさい。 天気が良かったので多分登頂されるだろうと思っていましたが 本当におめでとうございます。
しかし トラバースルートで北岳山荘に入られるとは思っていませんでしたので びっくりです。 八本歯はもちろん 夏でも通りたくないあの道を・・・ すごいとしか 言葉が無いです。 でも、 レコを拝見するとなんでもないように書かれていますので またすごいですが、 知らない人が見たら ”私も…”と思っちゃいますよ。
BBCさんのバイタリティーとすごい精神力に敬意を表します。
私は 10日に 山友と入笠山でミーハー登山してましたが それでも朝の内は結構寒かったです。 山頂に10時頃いましたが、 今頃BBCさんが 北岳山頂アタックしてみえるかな・・と思って少し離れた所から成功を祈っていました。(残念ながら甲斐駒や仙丈はみえましたが 北岳は陰になってみえなかったです)
とにかく、 ご無事で何よりです。
Futaroさん、ありがとうございます。
今回はトレースのおかげでだいぶ楽に済みました。ラッセル想定のゆとり計画で行ったのですが、いい景色は見れましたので満足しています。
トンネルは車の心配がないのでいいですね。狭いですからね。
私のアイゼンは2本バンドなので、脱着がめんどくさくてずっと履いていたんですが、金属音が反響して嫌な音でした
Futaroさんも泊まり登山解禁されるといいですね。
ricalojpさん、ありがとうございます。
やはり一度歩いているので気が楽でした。一昨年のことなので、いくらも覚えていませんが、複雑なルートではありませんし、整備されて歩きやすくなっていました。(丹沢ほどではありません)
今回凍傷にはなりませんでしたよ。木曽駒のときとの違いは、ブレスサーモ手袋常着、痛くなったら手を握る、です。
足の指のほうが痛くて心配でした。
ijikemisiさん、ありがとうございます。
ちょっと書き方が軽いでしょうか。よく問題になっていますので、注意しないと。
といっても、もう慣れてしまっているので、大して驚かないのも確かで・・。それがいつか落とし穴にならないといいんですが。
ijikemusiさんとお会いしたときのことを思い出しながら歩いていましたよ。だから今回の成功があったと思います。
ありがとうございます。
お疲れ様でした こちらのレコにもコメントありがとうございます!
厳冬期の南アルプス、アプローチの長さを考えただけでも辛いです…
過酷な環境の中、単独でテント担いで厳冬期の3000m峰に登頂されるBBCさん、尊敬です
晴れてる北岳から北アは…見えなかったことでしょう
いやぁ「登頂おめでとうございます」がぴったりの記録ですね 素晴らしい記録をありがとうございます。
BBCさん、こんばんは。
BBCさんの厳冬期テント泊縦走いつも憧れています
自分も冬用シェラフ・インナーダウンは購入したものの、あの寒い中テントを張る根性・勇気がなく・・・
いつかはヘタレを卒業したいと思うこの頃です
その内、BBCさんのレコを参考に出来るように厳冬期テント泊縦走いつかは・・・
今回は凍傷も無く、御無事の帰還おめでとうございました
皆さんとの素晴らしい山行の数々、これからも楽しみにしています
いつか私も誘ってください。なんとか頑張って付いて行きます
もっとも、歩くことしかできないので、簡単なところをお願いします。
Maieさん、ありがとうございます。
Mizunoの回し者ではありませんが、ほんとに暖かいです。
今回3日目の吹雪で初めてインナーダウンを着ましたが、いつもインナー+シャツ+ジャケットの3枚です。
下手に着込むと暑いくらいです。
個人差はあるようですが、生地の厚さも3種ありますし、長袖・タイツ・手袋・靴下と全身包めますのでお勧めです。
あとは、ご家族の制止を振り切れれば・・ですね
登頂おめでとうございます。
やっぱり冬の北岳は美しいですね・・・
冬の北岳が私の一番好きな山です。
ボーコン沢ノ頭に立つといきなり北岳が聳え立つ・・・
バットレスの素晴らしい眺め・・・
その時の感動といったら・・・今でも良く覚えています。
BBCさんのレコを見てまた行きたくなりました。
素晴らしい写真ありがとうございました。
riCさん、ありがとうございます。
夏に行ったときには拒絶されているように思えましたが、装いが変わると印象も違いますね。
つい、自分を横に並べてしまいました
私は空木岳が好きなんですが、なかなか再訪できなくて。他に行きたいとこがありすぎるのも困ったものです
そういえば、riCさんのアコンカグア、凄かったですね。羨ましすぎてコメントできませんでした
遅ればせながら、おめでとうございます。
BBCさん、厳冬期北岳登頂、本当におめでとうございます。
お祝いの言葉が遅くなりスミマセン。
素晴らしい山行、そしてレコ。
本当に嬉しいです。ありがとうございました。
ricalonさん、ありがとうございます。
ちょっと今回、足の指のほうが冷たくて必死で動かしていましたが、指動かしながら歩くのは調子が狂います
次回は靴用ホカロンでも持っていこうかと・・ああ、また重くなるぅ・・。
いつも見守っていただいて、ありがとうございます。
暖かくなったら丹沢でご一緒したいですね。
やっぱり冬ですね。
北岳の古典的ルート、登り甲斐あっていいですね
山が大きく見えます。
夏の大樺沢からちょこっと登ってたんじゃだめですね
登頂おめでとうございます。
刺激されます、冬山いきた〜い
kurosukeさん、ありがとうございます。
雪質がよくて、トレースもあっていい感じで歩けました。
3日目の日の出を見られなかったのが残念ですが、またいつかの楽しみにしたいと思います。
冬山いいですよ〜 暖かくならないうちにいきましょう
登頂おめでとうございます!
矢張りこの時期の北岳はハードル高いし日数も十分に用意しておきたい感じですね。。今期は見送ろうかな。。
一昨年の夏に池山吊尾根は登ったことがあり、これをふまえて次は冬にも!と思ってはいるもののなかなか実行に移せず今に至ります。いつか行きたいです。
地吹雪にマイナス30度に、と過酷だったようですがご無事でなによりでした!(因みに同じ日程で私は鳳凰三山に居ましたが然程冷え込むこともなかったです)
yasuyoさん、ありがとうございます。
一昨年というと私と同じタイミングですね。吊尾根はやはり冬ルート、夏より気持ちよく歩けます。
天気次第ではありますが、八本歯の下降以外に危険箇所もそう無いですし、一度歩かれているなら大丈夫と思いますよ。
余裕のある計画を立てて、無理せずアタックしてください
私が参考にさせていただいたレコです↓
http://www.yamareco.com/modules/yamareco/detail-256703.html
いいねした人
コメントを書く
ヤマレコにユーザー登録いただき、ログインしていただくことによって、コメントが書けるようになります。ヤマレコにユーザ登録する