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Yamareco

記録ID: 2808955
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雪山ハイキング
北陸

【白川郷】猿ヶ馬場山(ラッセルで時間切れ,1400m付近まで)

2020年12月19日(土) [日帰り]
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GPS
--:--
距離
9.1km
登り
950m
下り
941m

コースタイム

日帰り
山行
8:40
休憩
0:00
合計
8:40
12:00
130
引き返し地点(標高約1400m地点))
天候 終日,雪
過去天気図(気象庁) 2020年12月の天気図
アクセス
利用交通機関:
自家用車
白川郷の村営せせらぎ公園駐車場に駐車。ホームページ等には駐車可能時間8:00〜17:00となっているが,8時前から入車可能。ただし,降雪時はあまり早朝過ぎると除雪がされていないため,注意。
コース状況/
危険箇所等
【積雪状況(2020.12.19現在)】
・登り口の林道付近で既に1m近い積雪があり,標高1400m付近で積雪210cm(プローブで測定)。ほぼ全層が重い新雪で,おそらくこの5日間ほどで一気に降ったと思われる。まだ少しだけ藪が出ているものの,登下降には全く問題ない。
・今回は深いラッセルを予想してスキーを使ったが,それでも緩斜面で膝ラッセル,急斜面で腿〜腰ラッセルとなった。ワカンやスノーシューだと腰〜胸ラッセルくらい行ってしまうかもしれない。また,雪質が非常に湿っていて重いため,ラッセル時の抵抗が大きく,スキーの送り出しに非常に苦労した。

【ルート取りについて】
・今回は大雪の直後のため,雪崩を警戒して谷筋のルートは避けた。通常,猿ヶ馬場山に登る際は,最初の林道を辿ってから谷筋を通って宮谷林道との合流点まで行くが,代わりにその谷の西隣にある尾根にルートを取った。この尾根は藪も少なく登りやすい。
まだ夜が明けやらぬ中,雪が降り続く白川郷・荻町の家並みの間を抜け,登り口の林道へ向かう。
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まだ夜が明けやらぬ中,雪が降り続く白川郷・荻町の家並みの間を抜け,登り口の林道へ向かう。
林道登り出しから既に1m近い積雪があり,トレースは全くない。スキーを履いて登っていく。
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林道登り出しから既に1m近い積雪があり,トレースは全くない。スキーを履いて登っていく。
猿ヶ馬場山への通常のルートは林道を辿ってから谷筋を登るが,今日は大雪の後で雪崩リスクが高いため,谷筋に入る前の尾根にルートを取る。スキーでも問題なく登れる程度の斜度で、登りやすい。
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猿ヶ馬場山への通常のルートは林道を辿ってから谷筋を登るが,今日は大雪の後で雪崩リスクが高いため,谷筋に入る前の尾根にルートを取る。スキーでも問題なく登れる程度の斜度で、登りやすい。
初めは植林だったが,次第に雰囲気の良いブナ林に包まれ始めた。大きなブナが,幹も折れそうなくらいに大量の雪をまとっていた。
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初めは植林だったが,次第に雰囲気の良いブナ林に包まれ始めた。大きなブナが,幹も折れそうなくらいに大量の雪をまとっていた。
雪が降り続く中,凍てついたブナの森を行く。
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雪が降り続く中,凍てついたブナの森を行く。
膝位のラッセルがずっと続く。しかも雪が重く,スキーの抜き出しに苦労する。
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膝位のラッセルがずっと続く。しかも雪が重く,スキーの抜き出しに苦労する。
1070m付近で林道と合流。一面,白の世界。
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1070m付近で林道と合流。一面,白の世界。
林道を辿って小さなポコを迂回していく。平坦な林道でも常時膝ラッセル。無雪期や残雪期であればスタスタ歩けてしまう林道をちょっとそこまでいくのに,びっくりするくらい時間がかかる。
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林道を辿って小さなポコを迂回していく。平坦な林道でも常時膝ラッセル。無雪期や残雪期であればスタスタ歩けてしまう林道をちょっとそこまでいくのに,びっくりするくらい時間がかかる。
このあと,残雪期の通常ルートは林道右手の小さな谷を少し入ってから尾根に登り出すが,その小さな谷の入り口はまだまだ藪が出ており,雪も不安定でとても登れたものではない。そこで,少しだけ林道をそのまま進み,斜面が少し緩くなったところから直接尾根に取りついた。
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このあと,残雪期の通常ルートは林道右手の小さな谷を少し入ってから尾根に登り出すが,その小さな谷の入り口はまだまだ藪が出ており,雪も不安定でとても登れたものではない。そこで,少しだけ林道をそのまま進み,斜面が少し緩くなったところから直接尾根に取りついた。
この尾根の登り出しはかなり急斜面で,直登はできず斜登行で登っていくが,腿くらいのラッセルとなり,かなりきつい。スキーが埋まらないようにうまく足を送り出すのに一苦労。
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この尾根の登り出しはかなり急斜面で,直登はできず斜登行で登っていくが,腿くらいのラッセルとなり,かなりきつい。スキーが埋まらないようにうまく足を送り出すのに一苦労。
それでも,雪をまとったブナの森が美しい。時々立ち止まって息をつき,左右を眺めながらゆっくり登っていく。
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それでも,雪をまとったブナの森が美しい。時々立ち止まって息をつき,左右を眺めながらゆっくり登っていく。
時折,降雪が強まり,視界が真っ白になるが,深い森に守られているせいか風はほとんどなく,時折梢から雪が落ちる音がどこかで響くだけで,静寂の世界がひたすら続く。
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時折,降雪が強まり,視界が真っ白になるが,深い森に守られているせいか風はほとんどなく,時折梢から雪が落ちる音がどこかで響くだけで,静寂の世界がひたすら続く。
モグラが通った後のようなトレースを深く穿ちながら進む。
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モグラが通った後のようなトレースを深く穿ちながら進む。
一時,雪が小やみになって,薄日が差した。
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一時,雪が小やみになって,薄日が差した。
純白のレース細工のような梢の雪が,わずかな薄日に光り輝いた。
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純白のレース細工のような梢の雪が,わずかな薄日に光り輝いた。
しかし,この頃になると,更に雪が深くなって,緩い登りでも腿くらいのラッセルとなり,急傾斜だと腰くらいまで埋まるようになってしまった。当然,スキーを送り出すだけでも一苦労で,スピードは大幅にダウン。スキーでもこんなに沈むとは…。豪雪おそるべし。
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しかし,この頃になると,更に雪が深くなって,緩い登りでも腿くらいのラッセルとなり,急傾斜だと腰くらいまで埋まるようになってしまった。当然,スキーを送り出すだけでも一苦労で,スピードは大幅にダウン。スキーでもこんなに沈むとは…。豪雪おそるべし。
体力は有り余っているので,あと5時間くらいもらえれば猿ヶ馬場山には到達するだろうが,当然,日没という不都合な自然現象があるので,そんなことはできない。12時になったのを潮に,引き返すことにした。
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体力は有り余っているので,あと5時間くらいもらえれば猿ヶ馬場山には到達するだろうが,当然,日没という不都合な自然現象があるので,そんなことはできない。12時になったのを潮に,引き返すことにした。
この森の主のようなブナの大木にタッチして,折り返し地点とした。地図上では,標高1400mを少し過ぎたところだろうか。結局,帰雲山にも届かなかった…。いいラッセルの修行になりました。
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この森の主のようなブナの大木にタッチして,折り返し地点とした。地図上では,標高1400mを少し過ぎたところだろうか。結局,帰雲山にも届かなかった…。いいラッセルの修行になりました。
引き返す前に,プローブで積雪量をチェック。なんと,210cm。この数日で,一気にこれだけ積もったのか…。
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引き返す前に,プローブで積雪量をチェック。なんと,210cm。この数日で,一気にこれだけ積もったのか…。
さあ,帰りましょう。シールをはがすためにスキーを脱いでツボ足になったとたん,一気に腰以上沈み込んでしまい,何度も踏み固めをしてやっと立てるようになった。ああびっくりした…。(片足ずつやるべきでしたね…)
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さあ,帰りましょう。シールをはがすためにスキーを脱いでツボ足になったとたん,一気に腰以上沈み込んでしまい,何度も踏み固めをしてやっと立てるようになった。ああびっくりした…。(片足ずつやるべきでしたね…)
さて,下山のためスキーを滑降モードにして滑り始めたが,あまりにも雪が深すぎて,緩傾斜ではスキーが潜ってしまって全く進まない有様。そこで,緩傾斜では自分の登りトレースをボブスレーのように滑り,急傾斜に入ったらトレースを離れて滑っていくような形となった。当然,雪崩を警戒して樹林帯の尾根筋を忠実に下った。
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さて,下山のためスキーを滑降モードにして滑り始めたが,あまりにも雪が深すぎて,緩傾斜ではスキーが潜ってしまって全く進まない有様。そこで,緩傾斜では自分の登りトレースをボブスレーのように滑り,急傾斜に入ったらトレースを離れて滑っていくような形となった。当然,雪崩を警戒して樹林帯の尾根筋を忠実に下った。
ところどころ重いパウダーを楽しみながら,深い雪の中に佇立するブナの木々を縫って,転ばないように慎重に滑っていく。(この深雪で下手に転ぶと,起き上がるだけでも七転八倒することが目に見えている…)
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ところどころ重いパウダーを楽しみながら,深い雪の中に佇立するブナの木々を縫って,転ばないように慎重に滑っていく。(この深雪で下手に転ぶと,起き上がるだけでも七転八倒することが目に見えている…)
最後の林道滑りが地味に楽しい。
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最後の林道滑りが地味に楽しい。
除雪地点までたどり着き,山行終了。登りは7時間近くかかったのに,下りは2時間足らず…。一体何だったんでしょう。
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除雪地点までたどり着き,山行終了。登りは7時間近くかかったのに,下りは2時間足らず…。一体何だったんでしょう。
雪の降り続く白川郷・荻町の合掌造りの家並みを眺めながら,駐車地に戻っていった。
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雪の降り続く白川郷・荻町の合掌造りの家並みを眺めながら,駐車地に戻っていった。

感想

 待ちに待った本格的な降雪。しかし,いきなりちょっと降り過ぎなんではないか,というくらい降ってしまっている。
 行きたい山はたくさんあるのだが,これだけ降っているとなると,雪崩やホワイトアウトなどのリスクが大きく,行先は慎重に選ばないといけない。いろいろ悩んだ末,穏やかな緩斜面が続き,山頂まで深い樹林に覆われている白川郷の猿ヶ馬場山であれば,こうしたリスクを低減しながら十分な積雪量の雪山が楽しめるのでは,と考えた。(ちなみに,猿ヶ馬場山は過去に1度,残雪期に登っている。オオシラビソの点在する穏やかな山頂台地から眺める白山の展望が素晴らしい山で,良い思い出として記憶に残っていた。)
 かなりの大雪の後なので,猿ヶ馬場山の山頂までは無理かもしれない,それでも帰雲山くらいなら届くのではないか,とぼんやり考えていたのだが,蓋を開けてみると,あまりのラッセルの深さに,なんと帰雲山にも到達できなかった。山行としては情けない結果となったが,久々にばっちり決まった西高東低の気圧配置と、そこから繰り出されたシベリア高気圧のひと吹きで急に無効化されてしまう人間の力の小ささが興味深く,よい修行になった。雪をたっぷりまとったブナの深い森も美しく,時間が許すなら,このままいつまでもラッセルしていたい,と思ってしまった。
 しかし,毎回思うのだが,深いラッセルをしていると驚くほど時間が早く過ぎる(これは藪山で藪漕ぎしている時と似ている)。ラッセルしながら,足の踏みだし方とかルート取りとか,それなりに一生懸命いろいろ考えているはずなのだが,後で思い出そうとしても,ラッセルという果てしない単純動作の末に意識が飛んでしまうからか、その時間帯は大きな空白としてしか浮かび上がってこない(いくつかの美しい雪景色の断片と,乗り越しに苦労した難場のシーンがわずかに散らばっている)。これは何だか山行の大事な部分を取り逃がしているようで,残念なような気もするのだが,もしかしたら,これはこれで,雪山らしい現象なのかもしれない,と思い直すことにした。雪山のことを思い出そうとするときにぶつかる記憶の中の不思議な空白は,その中で自分がもがき続けていた新雪の斜面の延々と続く白さと,何だか区別がつかないような,記憶の深く曖昧なところで互いに溶け合っているような,そんな気がしてくる。

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