天人峡から層雲峡へ 〜化雲岳−忠別岳−高根ヶ原−北海岳−黒岳〜
- GPS
- 49:35
- 距離
- 37.7km
- 登り
- 2,668m
- 下り
- 1,744m
コースタイム
天人峡(9:38)→化雲岳(14:50)→五色岳(時計不明)→忠別小屋(16:30)
二日目の行程
忠別小屋(6:10)→[忠別岳(7:25)]→忠別沼(8:05)→新道分岐(10:20)→白雲小屋(11:40着12:10発)→北海岳(13:35)→黒岳石室(15:00)
三日目の行程
黒岳石室(7:20)→桂月岳(7:35)→黒岳石室(8:00)
黒岳石室(8:15)→[黒岳(8:50)]→黒岳七合目リフト(11:10)→層雲峡(11:50)
層雲峡(13:30)→JR上川駅(13:55)→JR旭川駅(15:10)→天人峡(16:30)
天候 | 1日目(8月13日):雨のち曇り 2日目(8月14日):晴れ時々曇り 3日目(8月15日):曇り(明るい感じの曇り) |
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過去天気図(気象庁) | 2010年08月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
電車 バス 自家用車
ケーブルカー(ロープウェイ/リフト)
天人峡温泉公共駐車場を利用 <帰り> 黒岳リフト・ロープウェーで黒岳7合目から層雲峡温泉へ。 層雲峡温泉からJR上川駅まで道北バスを利用(800円) JR上川駅からJR旭川駅までJR線利用(1,040円) JR旭川駅から天人峡温泉まで旭川電気軌道いで湯号を利用(1,180円) ※層雲峡から旭川までバスで行くよりもJRで乗り継いだほうが110円安く行けます。 |
感想
今年の夏休みは安定した天気が続かないということで、計画していた十勝連峰縦走を諦め8月13日から2泊3日で表大雪を縦走することに...3日目の8月15日も下り坂予報だったため、すぐに下山できるよう2泊目を黒岳石室に設定。忠別岳と高根ケ原はどうしても通りたかったので、車の回収を考慮すると天人峡から登って1泊目は忠別小屋という選択肢しかなかった。
<1日目>
札幌では青空が覗いていたにもかかわらず、旭川北インターで既に雲に覆われ、天人峡が近づくにつれてポツポツと降り始める。天人峡に辿りつくと崖上あたりから既にガスがかかり視界が悪くいやな感じ。2日目の天気予報が良かったので今日は根性登山と割り切ってスタート。他に登っている人はいるかなと思って入林届を見たら、本州からの1組のみ。しかも私の3時間前にスタートしている。これは今日は小屋まで誰にも合わないなと覚悟を決めて出発。
天人峡ルートは大雪で一番通りたくないルートとして有名で、下りはともかく登るなんてとよく言われるが、私は過去に登り下り3回ずつ経験して、そこまでイヤな印象は持っていない。しかし、今回はひどかった。全然整備されていないのか、第一公園までは2年前にはなかった倒木が数多く登山道を塞ぎ、雨でぬかるむ中、倒木を避けながらの山行で第一公園に着く頃には既にへばってしまった。ここで食事でもしようかと思った矢先に、追い打ちをかけるように本降りとなる。結局、キャラメル数個を口に入れ、雨具を着て進むことに。
ここからは沢登り状態。しばらくして雨は止んだものの上流で降ったのが登山道に流れ込んでくる。水に浸かりながら頑張って登る。ようやく水が引いたのはポン化雲岳が見え始めたぐらい。もうこの頃には脚が上がらなくなっている。気力だけでポン沼へと上がると、先に出発した親子らしき背の高い人達と出会う。話を聞くとヒサゴ沼泊でトムラウシに行くそうだ。今日は大変だったと労を労いつつ、少し気が楽になる。その勢いで1947mピークまで登る。ここまで来れば後は平坦。疲労困憊ながらも化雲岳到着。この時点で忠別岳方向が晴れてきてここで小休止、写真を撮ってもらう。
予定よりも1時間ぐらい遅れているので、親子と別れ忠別小屋へ向かう。このあたりでは、マグロじゃないが止まったら動けなくなりそうな感じ。奇麗に咲いていた化雲平のツガザクラなども無視してひたすら歩く。甲斐あって日暮れ前に忠別小屋到着。ここで更にアクシデント。小屋1Fに荷物を広げて横になろうと手を着いた時、床が抜ける。雨もりで腐っているらしい。しょうがないので広げた荷物を回収して誰もいない2Fへ移動。2Fは床も安定して快適。すぐそばの雪渓に水を汲みに行き、食事をして6時過ぎには、うとうとと就寝。
結局、この日は化雲岳で撮ってもらったのと、化雲平で誘惑に負けたエゾウサギギクの写真しか撮っていない。こんなこと山に入って初めてで、よっぽどキツかったんだなと実感した。
<2日目>
夜は小屋のトタン屋根が剥がれて風が吹くたびにすごい音がしていたが、耳栓のおかげでぐっすり眠れた。筋肉痛が心配だったが、前日のケア(ストレッチとバンテリン)が良かったのか痛くない。4:30ぐらいからモソモソと食事や出発準備をして、6:10に小屋出発。天気は薄曇りだが高い雲で視界も良好。この日は時間的にも余裕があるし、小屋周辺の高山植物の写真をとりながらのんびりとスタート。
1日目は不幸の連続だったが、2日目は幸運の連続。小屋分岐から忠別岳までの登りのハイマツ漕ぎで体力消耗するのイヤだなぁと思っていたら全部きれいに刈られている。快適に登っていくとトムラウシの山頂が五色岳の稜線から顔をのぞかせる。トムラウシ方向は快晴だ。そうこうしているうちに忠別岳に到着。今年は花が残念な感じで山頂のアキノキリンソウの群生もチラホラな感じ。しかしながら山頂からの景色は最高。前回来たときはガスにかかって見えなかった景色が目の前に広がる。景色を堪能した後、山頂碑とトムラウシのピークを入れて写真を撮る。写真を撮りおわるのを待ってくれたかのように、突然ガスがかかる。山頂から忠別沼までの下りは終始ガスがかかり、ツキもここまでかと思われたが、忠別沼の木道に差しかかったあたりで晴れ始める。
リシリリンドウやウメバチソウ、ワタスゲがいい感じに咲いている。木道を占拠しつつゆっくりと風景や花写真を撮りながら進んで行くと暑いほどの陽気に。ここで白雲小屋からピストンのおじさんに会う。旭岳から縦走する予定が悪い天気のせいで白雲で二泊してここまでピストンに切り替えたらしい。みんな今年の天気には苦労してルート変更等考えているようだ。私が今回このルートを通りたかったのは、忠別岳からの景色と、リシリリンドウの写真が撮りたかったため。もうこの時点で目的はほぼ達したと言ってもいい。それでも幸運はまだまだ続く。
忠別沼を堪能した後、白雲小屋に向けて出発したが進行方向は曇っている。さすがにそううまくはいかないだろうと思っていたら、私が動くと晴れ間もあわせてついてくる。いやぁ、なんてツイてるんだと思いつつ軽快に高根ヶ原を通過。足下は多少ぬかるんでいるが問題ない。
新道分岐ではクモイリンドウが奇麗に咲いている。また白雲小屋近くではトカチフウロがちょうど見頃。エゾウサギギクやダイセツトリカブトなどと一緒に一面に花が広がっている。数メートル進んではカメラを構えるという状態が続く。結局、新道分岐から白雲小屋までは地図のコースタイムと同じ。私にしてはかなり遅いペースだが、この日はのんびり山行と決めていたので、こういうのも良い。
白雲小屋で昼食を取った後、午後の部スタート。昼食中は曇っていたが、私が動き始めると徐々に晴れ間が広がっていく。本当に私を中心に天気が動いているようだ。白雲岳分岐から北海岳に向けては雪渓渡りでルートがわからなくなるトラブルがあったが、難なく元のルートに復帰。ここでエゾオヤマノエンドウの写真を撮りたいという希望もあったが、かなえられず。どうやら花関係は期待してはいけないらしい。この頃には、疲労も蓄積し足取りが重い。しかし、頑張って本日のラストピーク、北海岳へと上がる。その瞬間、疲労がふっ飛んだ。御鉢平が見事である。以前から「御鉢平のダイナミックな立体感を写真で表現するにはどうしたらいいだろう」と思っていたがその答えがここにあった。御鉢平は地図上では平坦な一周ルートなので、正直、歩くルートでこんなに見た目が変わるとは思っていなかったが、この変わりようには驚いた。
ここで増毛から来たという二人連れsyokannさんとT氏と合流。写真を撮ってもらった。層雲峡早朝発で黒岳から日帰りで御鉢平一周しているらしい。いや日帰りで御鉢一周なんてすごいなどと色々と話している内に、自然と即席パーティで黒岳石室まで行くことに。更に中国人グループも加わりに一変して賑やかな山行に。北鎮側と違ってこちらのルートは起伏に富んでいる。急斜面あり、雪渓あり、川(徒渉)ありで疲れた身体に応えるものの歩いていて楽しい。雪渓近くのチングルマの状態も良い。石室への登り返しではさすがにバテたが、ワイワイ言いながらあっと言う間に石室着。
石室でチェックイン?をすませると外のテーブルで、ビールを買ってのんびり一杯だけ...のはずが、隣で飲んでいた夫婦と話したりしている内に、もう一杯、更に日本酒と酒が進みあっと言う間に日が暮れる。外の人も日暮れと共に少なくなってきたが、石室は自家発電照明で20:00消灯らしい。今は19:00。あと1時間ぐらい誰かと話でもしようかと近くのテーブルの人に話かける。こちらは銀泉台から白雲周りで来たらしい。山ルートの話で盛り上がる内に、酒を飲もうということになり御相伴にあずかることに。風もなく穏やかな夜で、気付けば人数が4人になって星を見ながら飲み続け22:00に。この4人で明日は桂月岳で朝日を見ようということになり、朝4時起床と約束し就寝。私にとって初めての山の酒はいい思い出になった。
<3日目>
朝5時起床。桂月岳に登ろうと言いだした張本人が隣で寝ている。私も二日酔いだ。フラフラする。そうは言いつつノソノソと起き出し食事の支度。前日の4人の内の一人、帯広から来たと言っていた彼だけは登ったらしい。みんなから裏切り者呼ばわりされたが、良く話を聞くと寒くて眠れなかったらしい。それで一睡もせずに登ったとか。黒岳石室は朝も賑やか。石室管理人の後藤さんが遠くの熊(殆ど黒い点)を見つける。みんなで写真をとったり大騒ぎ。私も直接見るのは初めてでワクワクだった。
本日も天気は良好。二日酔いで気持ち悪いが、せっかくなので朝日を逃した桂月岳に登る。途中はナキウサギの合唱にコマクサが奇麗に一輪。エゾシマリスも活発でしばらく観察したがいい写真は撮れなかった。風が出て寒くなってきたので、石室に戻って一息ついた後出発。この旅のラストピークである黒岳はすぐそばだ。日帰りで訪れたときは然したる感動もなかったが、今回ばかりは同じ風景でも違う。
黒岳山頂で天気の良い大雪を眺めながらのんびり。少し早いが9:20には黒岳を出発。何故かというとここは花の誘惑が多いから。下りはじめると、案の定花満開だ。トリカブトにハイオトギリ、チシマノキンバイソウ等々。途中できれいなエゾウサギギクを見つけた時に思わず「あっ、ウサギちゃん」と言ったら、登って来た人がびっくりした様子でこちらを見る。本物のウサギがいると思ったらしい。そんな感じで約2時間かけてリフト乗り場へ。
層雲峡で風呂と昼食をすませバス停へ。ここからがいつもと違って小旅行だ。天人峡で待っているあこを回収しにいかなくてはいけない。バス待ちの間に隣の人に話かけると、銀泉台まで車を回収しにいくそうだ。私と同じような人いるなぁと思いつつ、時間が来たので旭川行きのバスで上川まで行く。ここでJRに乗り換えると早くて安い。
上川からキハ40にゆられること1時間ちょっとで旭川到着。旭岳温泉行きのパスに乗り換える。乗客は私とこれから旭岳−トムラウシを縦走すると話してた人の二人。途中眠っていて気がついたらもう東川。窓の外は雨が降っている。天人峡に着くと可哀想に雨の中ポツンと一台で愛車が待っている。3日間お世話になったザックを車に積み、「君といるといつも雨だねぇ」と車に声を掛けつつ帰途についた。
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