夜叉神から鳳凰三山往復
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- GPS
- 12:48
- 距離
- 25.4km
- 登り
- 2,352m
- 下り
- 2,337m
コースタイム
天候 | 快晴(-3℃〜5℃) |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2013年04月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
夜叉神峠登山口駐車場を利用。GWともあり到着時には9割方満車の状態。公衆便所も使用可能。 |
コース状況/ 危険箇所等 |
◆登山ポスト 夜叉神登山口にあり。 ◆登山道の状況 2000m辺りから積雪あり。杖立峠から樹林帯を抜けるまで早朝は凍結しており少々神経を使った。 それ以上の所では雪の状態は非常に良く歩きやすかった。 今回はアイゼンは使用しなかったが、まだまだ携帯は必須だろう。 ◆温泉 下山後、芦安温泉郷岩園館で日帰り入浴(1000円)。夜叉神峠登山口にも鉱泉夜叉神の森あり。 |
写真
感想
ゴールデンウィーク前半にどこか日帰りで行こうとの誘いでかねてから一度行きたいと思っていた鳳凰三山を提案したら軽くA木CLに受理されて、日帰りで行くことになった。しかもオベリスクへの登頂も目指そうと。地図で見ると夜叉神峠登山口から往復24km+αと言う感じで、合計獲得高度は2000mを超えるだろうけど何とかなるかと。
快晴の天気にも恵まれ当初の目的は果たしたものの駐車場に帰り着いた時のヘロヘロ感は相当だった。帰路はやっぱり高速が渋滞し、渋滞回避のために箱根の山まで駆け巡って運転を続けてくれたI坂さんの傍らで船を漕いでた。スミマセン。
夜叉神峠登山口の駐車場に着いたのは3:40、駐車場は広大だが9割方は埋まっている状態だった。予定よりも早いが準備が出来次第出発することにする。暦では満月を過ぎているが明るい月が照らしているし、狭い夜空だが月の近くに幾つかの星座も見える。今日一日の晴天を約束してくれるかのようだ。
ヘッドランプの灯りを点けて登山口から登りだす。駐車場では3℃だったが運動量が上がるとともに暑くなり、それぞれ上着を脱ぐ。そうこうする間に夜明けも近くなり、ヘッドランプも不要になる。白んだ空の下、単調な登りをこなして行き、夜叉神峠に着く。突然に展望が開けて野呂川越しに池山吊尾根からの雪の山々が目に飛び込んで来る。数分で夜叉神峠小屋に達すると更に白嶺三山の大展望、一番好い時間はもう過ぎてしまったようだが淡い桃色のモルゲンロートに染まった北岳、間ノ岳、農鳥岳に息を呑む。
夜叉神峠から苺平までのセクションは一番高度を稼ぐところだし、且つ長い。尾根が北北西寄りから北北東寄りに向きを変える所で急に渓からの風が強く吹いて来て、しばらくはその風が続いた。しばらくは雪の気配も無いが、杖立峠に近づくと積雪が見えてきだした。気温は-3℃になっていて、杖立峠の道標を超えて下りになる所で凍結路になったが、まあこの程度であればと3人ともアイゼンを出さずにそのまま進んだ。杖立峠がどこかは判然としなかったが、やがて樹林の登山道は登りに変わる。急登から樹林を抜けると展望の好い所に出た。苺平では無いようだが、苺平は展望に恵まれていないようなのでここで大休止とした。ここから苺平へは樹林が濃く展望は無い、また積雪も多くなっていった。苺平は道標以外特別なものは無く通過点として南御室小屋に歩みを進めた。尾根の東斜面に道が付けられており、たまに奥秩父方面が望まれる。苺平から20分でいかにも山小屋と言う風情の南御室小屋に到着する。
南御室小屋の裏手に薬師岳へ続く登山道が付けられているが、出だしは急登で一気に60m程の標高を稼ぐ。その後は樹林帯の緩やかな径が続き、少し登りがきつくなった所でガマ岩に飛び出す。ここは展望が好く、この上から樹々の密度が低くなり森林限界を超えていき、やがて砂払岳の山頂域に達する。ここで漸く観音岳が見えてきた。
ボルダリング向けの巨岩がゴロゴロしている砂払岳から一降りすると半ば雪に埋もれた薬師岳小屋があり、そこから雪の斜面を登って行くと薬師岳に至る。山頂からは360°の眺め。薬師岳山頂標識がある所よりも富士山側と北側に顕著な岩峰があり、どっちかが本当の山頂では?と話をしたが、帰りに余力があったら登ろうと言うことにした。案の定、そんな余力は無かったのだが。
薬師岳から観音岳には好展望で最高に気持ちの好い尾根が続いている。30分で鳳凰三山の最高峰、観音岳に着いた。地蔵岳は随分眼下に見え、それよりも降りてまた登ることになる。観音岳からの下りは結構急で帰路のことを考え少し憂鬱になった。鳳凰小屋への分岐点まで約150m下る。小休止を摂り再度登りに掛かるが賽ノ河原と同じ高さに来た所でアカヌケ沢ノ頭へ向かうのを止め、トラバースを選択することにした。トレースは無くそれなりの積雪であったが、安定して賽ノ河原に出た。
賽ノ河原から仰ぎ見るオベリスク(地蔵仏)の存在感は凄い。二つの塔が合わさった形は正に合掌のようであり、賽ノ河原の地蔵達に祈りを捧げているようにも見える。その掌の下にはガリーを通って容易に辿り着ける。そこにザックをデポして一段登ると基部になる。残置のロープが下がっており、ダブルサイズのスリングを絡めて先ずI坂がごぼうで登る。I坂が降りてからA木CLと僕が続いた。基部からの高さは5m強と言う所、二つの岩の合わさった所は奥にハンドサイズの隙間が走っていて概ねは外側に開いたディエドール状のチムニーになっている。最初のスタンスに立ち込んでロープに出掛かりを取って南側の岩にスタンスを取りながら登る。スタンスは1cm程度のものがそこここにあり、そこを頼りにして上に伸びていく。背中を北側に付けると言うよりは左肩を擦りながら攀って行くが、最後には行く手は合掌した指先に阻まれるので南側のフェースに思い切って出て行かないといけなくなる。この時点では完全にロープに手掛かりを託している状態だから結構な緊張感を持ってフェースに出るがソールのフリクションは充分に効いてくれた。到達したオベリスクの絶頂は素晴らしい展望が約束されている。北アルプスから乗鞍、南アルプス、八ヶ岳と峰々を数えながら全周を見て廻すがここでもやっぱり甲斐駒ケ岳の存在感が群を抜いた感じだ。北側の塔が南側よりも1m程高いが、そこには打ち込まれたピンとスリングが残置されていた。足下の賽ノ河原を見下ろすと凄い高度感がある。A木CLと360°の大展望を一通り楽しんで降りることにするが、降りだしの一手が一番緊張させられる。降りた後は登路と異なるトンネルの通り道を見つけて這い出したが、出てみると「ホーオ三山 FUJI T.C.Y」の銘板があった。オベリスクにより良いスタイルで登るとするとそれなりの登攀の準備が必要だろう。チョックが数個あれば安心して登れるとも思える。
これで今日の山行の目的は達したことになるが、山行は帰るまでである。賽ノ河原で小休止してできるだけ省エネ作戦で帰路を進む。とは言えそうスピードが上がる訳では無い。観音岳への登りが厳しかったが、その後も度々ある登り毎に「こんな径だったっけ?」と訝いながら黙々と歩き続けた。それでも雪のある内は下りも楽だったが、雪も無くなった杖立峠から夜叉神峠への下りは先の長さを感じさせられた。夜叉神峠から登山口までの下りも同様で長い。ほぼ計画通りの時間に駐車場に帰着できた。流石A木CLの計画だ。今回もハードながら楽しませて貰いました。
GPSの履歴を見ると距離は25.4km、合計獲得高度は2316mとなっていた。翌日も疲労は残るものの心地好い疲れだ。鳳凰三山のルートは子連れでも楽しめるし、次回は子どもと一緒に行っても良いと思う。でもその時は日帰りではなく、泊り行程で行こう。
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