剱岳
- GPS
- 32:00
- 距離
- 14.3km
- 登り
- 2,297m
- 下り
- 2,297m
過去天気図(気象庁) | 2015年09月の天気図 |
---|---|
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
|
写真
感想
八月に行った、立山のトンデモ山行。あれは山ではなく観光地。観光するなら、山じゃなくて平地が良い。観光しにわざわざ山行かない。一から十までうんざりの立山観光の中で、唯一心動かされた剱岳の姿。どっかりとした、巨大な岩の殿堂。かねてより行きたかったあの山へ、ついに行くことにした。
剱岳登山のメインルート、立山室堂を経て劔に至る別山尾根はまっぴら御免なので(立山後遺症)、北アルプス三大急登の早月尾根ルートを採る。北陸道立山ICを下り、県道46号線〜県道333号線と経て馬場島に向かう。馬場島が近づくと道は細く見通しの悪いくねくね道になるものの、道自体はしっかりと舗装されており、標識も出ているので迷うことはない。
4:30頃駐車場に着くと、平日にもかかわらず七割方車で埋まっている。この日は好天が予想されているものの、明日は急速に崩れるらしい。本当は今日小屋まで、翌日山頂へ……の予定だったけれど、この日のうちに登頂と予定変更。コースタイム15時間半のこのルートを日帰りしようという猛者も、さすがに暗いうちにヘッドランプをつけて出発していく。
登頂してから小屋に至るまでのコースタイムは11時間40分。これまでの経験では、行動時間が8時間を超えると疲労が溜まって極端に遅くなり始める。前半いかに時間を稼ぐのか、それでいてスタミナの消耗を抑えるか、難しいペース配分をしなきゃいけない。
10:10、早月小屋到着。明日は荒天なので、今日登るしかない。チェックインだけ済ませ、重い荷物をデポし、ヘルメットをかぶって10:30出発。ここで予備の水まで置いていく失態。後半、脱水でバテて大幅ペースダウンの原因となってしまった。
下山時に頭が痛くて喉が渇ききってて、そのうち朦朧として崖に下りていく尾根を下ろうとしてしまった。典型的で初歩的なロストに愕然。こういう時に人って遭難するんだ、とヒヤリとする。
頂上からの下山途中、小屋は見えているけど例によって全然近付かない。何人かが、小屋から出たり入ったりこちらを見上げているのが見える。「あ〜いたいた、下りてきてる」「あのおばちゃん無事だったよ〜」とか言ってるんでしょう。すんませんねっと。
かくして確か17:30頃、フラフラになりながら小屋に到着。怒られる前に先制して心配かけたことを丁寧に詫びると、ホントに心配しとったわ! とご主人より愛の鞭。お連れさんも心配しとったよと。いや、連れなんかいないけど。とにかく荷物を下ろすこともままならず、手も顔も拭けず、カラッカラの喉を潤す時間も貰えず、とにかくすぐ! 晩飯食え! もう始まっとる! 冷めとるぞ! と食堂へ急き立てられる。み、水……。
さて心配してくれてたのは、私より一足先に駐車場を出て、二足先に下りてきて、すれ違い登っていく私に声を掛けてくれたオジサンだった。若くて綺麗な女性がまだ下りてきていない、と周りに話しまくっていたらしく、食堂へ入った途端に軽くガッカリムードが漂う。若くも綺麗でもなくてすんませんね。話盛ったのは私じゃないよ? とりあえずオジサンにも一言詫びておく。疲れすぎて、美味しいんだけど食事も喉を通らないのだが、遅れた上に残したりなんてできっこない。時間をかけて、無理にでも飲み下す。でもそのおかげで、翌日の疲労回復が上手くいったように思う。
一夜明け、午前のうちに荒れるとは思えぬ綺麗な朝焼けの中5:40に出発。キノコを採りながらゆっくり降りると言ってた、私を心配してくれてたオジサンはあっという間に私を追い抜いて行く。あれでゆっくりなんだ〜、今年70と言ってたけど健脚だこと。聞けばかつてはテニスで国体出場だと。やっぱ基礎体力の違いですな。
キノコのおじさんはキノコを見つけると藪に入って黙々とキノコ狩り。そんなオジサンを抜きつ抜かれつ、9:05下山。いや〜……大した試練でした。面白かった!
ほどなくしてオジサンも下山。天然ナメコとクリタケを山盛り分けていただく。いいのかな〜いや、断るのも無粋だしね。
その後良い温泉を教えていただき、そこでランチまでご一緒する。あまり詳しくは聞いていないけど、住んでる場所とか乗ってる車とかから察するに、かなりハイソな人っぽい。オジサン楽しかったです。またどこかで会えたらいいね。
高速に乗る前、急速に山から風が吹きおろし、黒い雲がびゅんびゅん流れていく。帰り道は眠気も吹っ飛ぶ暴風雨で、エライ目に遭った。下山途中、日帰り登山する人と3人ほどすれ違ったけど、大丈夫だったのかとかなり心配だった。翌日早月小屋のご主人に電話する所用があり、ついでに尋ねるとみんな無事に下山した様子。良かった。
また来たいが、どうかなあ。これから先の人生で一番若い現在の私でこの有様だから、この先無事に登れるとは思えない。一生の記念に、なってしまったのかもしれない。
まあでも、素晴らしい山行になったことは間違いない。登山を知る人生でよかった。
いいねした人
コメントを書く
ヤマレコにユーザー登録いただき、ログインしていただくことによって、コメントが書けるようになります。ヤマレコにユーザ登録する