日留賀岳〜桃ノ木峠〜白倉山〜若見山周回
- GPS
- 10:55
- 距離
- 25.2km
- 登り
- 2,066m
- 下り
- 2,062m
コースタイム
天候 | 快晴 |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2021年03月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
自転車
|
コース状況/ 危険箇所等 |
全般に、標高1300mより上は完全に雪がつながっていました。 この日は気温も上がらず最高の雪質で、終始アイゼンのみで歩けてしまい、せっかく持って行ったスノーシューはただの錘となってしまいました。 |
その他周辺情報 | 下山後、おもて那須手形を利用し、華の湯で汗を流す。 |
写真
感想
この日は安定した天候に加え気温があまり上がらないという予報で、残雪歩きの絶好のチャンスを得た。本当は近いうちにきたっちさん、こももちゃんと一緒に歩くプランだったのであるが、週末は天気があやしいし、このチャンスを逃すと藪が出てしまいそうである。ぜひとも快適な残雪歩きをしたいコースなので、お二人に断りを入れ、単独で歩くことにした。
そのプランというのがシラン沢左岸尾根で日留賀岳に登った後、未踏区間としてぽっかり空いてしまった1471.9m三角点から桃ノ木峠の間を埋めるというものである。お二人と一緒であれば、横川に車を1台デポして楽ちんしようと思っていた。しかし単独となると、横川に原付デポするのも面倒だし周回が基本となる。では尾根通しで周回するとなると、白倉山から尾頭峠もしくは若見山へつなぐかとなる。どっちでもいいけど、どちらかというと後に残すと面倒そうな後者を片づけておきたい。だがこれらすべてを歩けたとしてもスパルタンは確定である。成否は膝と雪の状態に大きく左右されるだろう。せめて若見山から下山後、駐車地まではチャリを利用するとして、エスケープ案も入念に検討し、状況によっては日留賀岳から一般ルートで下山してもいいし、桃ノ木峠でギブアップするなら横川側に降りて男鹿高原駅まで歩き、電車で上三依駅へ移動、ゆーバスに乗り継いで駐車地近くへ戻るという案を用意し、時刻表をスマホにダウンロードして臨むことにした。
いずれにしても余裕をもって行動するためにはできるだけ早く出発しておきたい。しかし2時半に自宅を出発する予定がいつも通りの寝坊で3時発になってしまう。とりあえず致命的な遅れにならなくてよかった。エスケープ案もあるし多少の遅れは想定内である。下道を走り、下山予定地にチャリをデポし、塩原運動公園に移動。事前に駐車地をどこにするかさんざん調べ、ストリートビューでようやくここに目星をつけたのであるが、あとからshige-ponさんや野球親爺さんもここを使われていることを知り、ちゃんと見ておけば無駄な労力を使わずにすんだのになんて思った。というより、今回のルート設定にあたって、塩那道路をショートカットするルートはお二人の記録を参考にしたにもかかわらず駐車場所まで見ていなかったというまぬけな話なのだが。
というわけで真っ暗な駐車場に車をとめて準備を整える。実は先日の温泉ヶ岳山行で先代のMSRライトニングアッセントがぶっ壊れてお役御免となっていた。もともとデッキはボロボロ、フレームの刃が丸まっているのに加え、先日の山行でビンディングのベルトと底が割れてしまったのだ。おそらく経年劣化だろう。そんな状態だったので、いつ世代交代してもいいように一昨年の秋には次のシューを購入しておいた(実際は膝を壊してやけ買いした)のであるが、やっとこさ新型ライトニングアッセントの日の目を見られそうだ。
そして今回は絶景を約束されたコースなので、久しぶりにデジ一もザックに入れる。また気温は上がらないとはいえ、ロングコースだから水分も3リットルは持参する。その他アイゼンやらなんやらザックに詰め込んだら結構な重量となってしまった。もちろん靴は冬靴だから軽快に歩くこともできない。ヘッデンをつけ、のっけから重い足取りで歩き出す。
前情報通り、箱の森プレイパークの看板を左へ入っていくと遊歩道だか作業道跡だかわからない道型が続いている。落ち葉に埋もれて不明瞭ではあるがどうにかたどれるレベルだ。ほぼ地図通りの位置で、急斜面を九十九折に登っていく。
左にひとつめのヘアピンカーブが見えてくるあたりで道型を見失う。適当に登っていくとたまに道型が横断するが、楽をしようとそれを追っていくと東側の斜面で消失し、結局急な登りを強いられるということを何度か繰り返す。地面は凍っていないのでスパイクを付ける必要性はない。ふたつめのヘアピンカーブも、そんなことをしているうちにいつの間にか過ぎていた。標高900mあたりからは尾根型が明瞭となり、傾斜も落ち着く。また尾根にそって電柱が続いていて踏み跡もありヤブはない。
出発から約50分で塩那道路に乗り上げる。雪はまったくない。ここまで道路を歩くよりも、30分は短縮できただろう。この先も、地図で見た感じ尾根を直進できそうではあったが実際はかなり急である。擁壁とフェンスの隙間から取付けそうにも見えたけど、そろそろ足も疲れてきたところだし、息を整えるためにもここからは道路を歩くことにする。
塩那道路からの眺めはすばらしく、薄暗い中にも東には弥太郎山、南には高原山が一望でき、退屈しないで歩くことができる。20分ほど道路を歩いて土平園地に到着。このあたりからようやく足元に雪が見られるようになった。気が付くと周りも明るくなってきたのでヘッデンの明かりを消す。
ゲートから先は未踏エリアとなる。北側の斜面になると雪が残っているが、日当たりのいい南側や東側にはまったくない。稜線からのご来光を拝みつつ進んでいくと徐々に北側斜面の雪が深くなり、締りも悪く踝あたりまで沈むのでスノーシューを履きたくなるが、どうせまた雪が消えることはわかっているので我慢して壺足で歩く。傾斜が下りに転じるようになると雪のない区間が続き、一気に距離をかせぐ。想像していたよりも道の状態は悪くない。前方にこれから向かう日留賀岳や鹿又岳、眼下に小蛇尾川のダムなんかを見ながら下り基調で進んでいき、九十九折のところは適当にショートカットして出発から約2時間で目的のシラン沢左岸尾根取付き地点に到着。尾根上に雪はない。ここまで順調にこられたのも雪が少ないおかげだろう。少し足を休ませることにする。ちなみにここから日留賀岳まで、携帯の電波は終始つながっていた。
尾根の序盤、雪はないがヤブもなく、自然林で癒し系の尾根だ。徐々に枯れたスズタケが出始めるが密度はさほどでもない。ただし足を滑らせて前方に転ぶと目に刺ささりそうなので気を付ける。標高1200mあたりから雪島がみられるようになり、1300mあたりからは尾根中央には雪がなくても右側はほぼ完全につながるようになる。尾根センターもヤブはないからどこを歩いてもいいのだが、冬靴だとやっぱり雪の上が歩きやすい。雪はよく締まっており、傾斜が緩いのでツボ足のまま進んでいく。左手に一般ルートのある尾根が意外と近くに見える。風もなく穏やかで薄着でちょうどよい。標高1400mあたりから傾斜が強まってきたので休憩もかねてアイゼンを装着。ストックのバスケットもノーマルからスノータイプに付け替える。面倒ではあるが、スノーバスケットは木の枝とかに引っ掛けストレスになるので、雪がないところはノーマル、雪のあるところはスノーに付け替えるようにしている。
ほどよく雪が締まり、アイゼンが小気味よく利いて快適に登っていく。やっぱりこの感触がたまらない。標高を上げていくに従い、樹林の中ではあるが周囲の眺めもよくなっていく。最近おなじみの高原山を背後に、右手には長者岳あたりの尾根を見ながらぐんぐん上る。昨年きたっちさんとこももちゃんが格闘したヤブは完全に雪の下である。
一般ルート手前で、唐突に日留賀岳が見えるようになり一気にテンションが上がる。よく見ると山頂直下にカモシカがいるのを確認。ここからしばらくデジイチを出して撮影モード。一般ルートに合流すると、数日前(たぶんwakasatoさん)の足跡とカモシカの足跡があり。正面には雪庇のビクトリーロードが続き、振り返れば高原山や日光連山、左に会津駒、右に大佐飛山などを見ながら登るが、撮影や山座同定に忙しくなかなか足が前に進まない。
一般ルートに合流してから40分くらいかけてようやく日留賀岳山頂に到着。それでも9時到着だからすこぶる順調だ。膝の調子も問題ないし、雪質も最高の状態なので予定通り桃ノ木峠方面へ下ることにする。とりあえず、360度の展望を楽しみながらしばらく休憩。相変わらずここからの眺めは素晴らしい。周囲の山とくらべ、この一帯だけ突出して白く、まるで異次元の世界に迷い込んだようだ。少し風があって寒いが上着を着るほどでもない。これから下る尾根や白倉山に続く尾根を観察しておく。ここから白倉山まで、雪が完全につながっているのがわかる。雪が腐ってさえいなければ、快適な歩きが期待できそう。
日留賀岳から先は残雪期に5回歩いており、毎度踏み抜きに苦労させられるのであるが、今日はそれもまったくない。今までで一番条件がいいのではないだろうか。早くシューを履きたい気持ちを抑え、安全のためアイゼンのまま歩き続ける。北に続く尾根には2人分くらいの足跡があった。いったん桃ノ木峠への分岐を見送り、展望のいい小ピークまで往復してから予定の尾根へと下る。ここから1471.9m三角点までは2014年3月にも下りで歩いている。尾根には一人分の足跡が残っており、後からtochisudさんのものだと知る。数日前にみー猫さんととくちゃんがこの尾根の途中まで登っていたことは知っていたが、まさか他にも足跡があるとは予想していなかった。
標高1700m付近で、みー猫さんととくちゃんが撤退したコブに到着。ここは、下り方向だとコブを登るかたちになるため、遠くから見るほど難しくはないが、コブの上から振り返ってみると垂直に切れ落ちているように感じてしまう。これを見て撤退するのもやむを得ないだろう。2014年同様、自分は下りなので難なくコブを直登してやり過ごした。
以後、危ういところもなく快適な雪庇の尾根が続く。眺望を楽しみながらゆっくり下って1471.9m三角点の手前で少しだけ登り返す。一部笹が出ているもすぐに雪がつながり、ひと登りで明大の青ブリキ板のある三角点峰に到着。桃ノ木峠まで下ってから休憩したかったが、のどが渇いたのでここで一休み。日焼け止めもしっかり塗ってお肌をケアする。
さて、ここから桃ノ木峠までつなげることが本日第2のミッション。(tochisudさんの)足跡は、北尾根を横川方面に下るのだろうと思ったら、以外にも桃ノ木峠方面に続いている。人のことは言えないが、マニアックな人がいるなぁなんて思ったりして。尾根型のはっきりしない斜面のようなところを、方角だけ定めて下る。時々大きい段差や急な斜面があったりするので歩きやすいところを選んで適当に下っていくと、やがて見覚えのある切通しのような鞍部に到着。表示板は木の窪みにかけてあった。足跡はここで北へと離れていき、今時期三島街道を忠実たどることができるのかいなと思ったが、tochisudさんの記録を見るとちゃんと辿られたようである。雰囲気のいい場所なのでここでのんびりしたいところではあるが、さっき休憩したばかりなので休まず反対側の斜面にとりつく。前回無雪期に歩いたときは地面がグズグズで登りづらかったが雪があると歩きやすい。とはいえ、そろそろ足に疲労がたまってきているため一歩一歩ゆっくり登る。前回は1304Pをまいてしまったので、今回はなるべく忠実に市境界をなぞっておく。しかし次の無駄ピークは省エネのため裾をまいた。
そして次の鞍部からしばらく緩い登りが続く。このくらいの勾配だと足に負担なく歩けるので助かる。雪は少しだけ緩み始めるも、気になるほどではない。この先シューの出番がないことを薄々感じ、持ってきたことを後悔しはじめている。どこかで無理やり履いてもいいけどそれも面倒だし、ここまできたらデビューは次回の楽しみにしよう。
1463Pあたりから、突如人の足跡が現れ、白倉山方面に続いていた。こんなところから現れるなんて、まさかハンターか?と思ったら、これはshige-ponさんのものらしい。5日前のものなので、その間雪が降っていないようだ。
単調な景色に飽きてきた頃、雪庇帯を過ぎて白倉山に到着。shige-ponさんの足跡は西へ向かっていた。
自分は足跡のない尾根を南進する。500mほど快適に南下したところで、若見山につながる尾根までが地形図通りの激下りとなる。はじめのうちは雪があるので踵のアイゼンを利かせながら一気に下っていけたが、100mも下ると急に雪がなくなってしまった。勾配もきつくなって落ち葉で滑りそうなので、アイゼンを履いたまま北側からまくように傾斜を殺しつつ下る。靴とアイゼンはあっという間に埃で真っ黒になってしまったが仕方ない。安全なところまで下ったところでアイゼンを脱ぎ、日陰に残った残雪できれいに掃除をしながら最後の休憩。
すっかり雪のなくなった尾根を東へ進み、若見山を目指す。ヤブはないが灌木の枝がスノーシューに引っかかって歩きづらい。やっぱりワカンにしておけばよかったとまた思ってしまう。久しぶりに長時間重荷を背負って歩いたため、さすがに肩もいたくなってきた。若見山への最後の登りがきつく、やっとの思いで残雪に覆われた山頂に到着。相変わらず山名版がにぎやかな山頂だ。せっかくなので荷物をおろしてザックを記念撮影。出番のなかったシューがむなしい。
山頂から少しだけ一般道を歩き、途中から道をはなれ南東尾根へと下る。鉄塔からは巡視路がつけられているようだが、遠回りの予感がしたので尾根を直進。時折巡視路らしき道を横切ったり並行したりしつつ、落ち葉ですべって転ばないように急降下。最後はほんの少し巡視路を利用して階段を降り、チャリをデポしたところに無事到着。
あとはチャリで下るだけとはいかず、木の葉化石園入口からは登りとなる。ひーひー言いながら立ち漕ぎして、最後は汗だくになりながら駐車地に戻った。
帰りに華の湯で汗を流してゆっくり膝を温め、充実した山行の余韻に浸りながら帰宅した。
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