記録ID: 3113760
全員に公開
積雪期ピークハント/縦走
槍・穂高・乗鞍
大日岳、乗鞍岳 クラシックルートでピストン
2021年04月26日(月) [日帰り]
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体力度
4
1泊以上が適当
- GPS
- 07:43
- 距離
- 17.0km
- 登り
- 1,762m
- 下り
- 1,763m
コースタイム
日帰り
- 山行
- 6:54
- 休憩
- 0:50
- 合計
- 7:44
距離 17.0km
登り 1,765m
下り 1,780m
〇想定リスクと対応
1.前日予報で風速23m/sだった。自分の経験上、乗鞍山頂では、予報よりも強めに吹くように感じていたこともあり、予報以上の風速を想定して装備した。山頂だけの安全性を考慮すると、ハードシェル(上下1kg)がベストだろうが、山頂以外の活動や重量を考慮し、レインウェア(上下0.6kg)とした。その代わり、汎用性も考慮して化繊長袖ジャケット(0.25kg)を追加して対応した。結果的に防風、防寒対策は適切だったと思う。
2.前日のような踏み抜き多数が想定されたので、早朝から出発して功を奏した。
3.過去の他の方のレコでは、スキーで9~10時間、相当に速い登山者で8時間半。過去のレコよりも時期が遅いことから、藪や踏み抜きが多く、最悪12時間程度を想定した。実際は笹薮区間は短く、藪もそれほどひどくなかった。雪も締まっており、標高1700m以上は雪道だったため助かった。
4.雪崩リスクは森林限界の上と山頂直下。実際は雪が締まっていたため問題なし。ただし、復路の際、山頂直下の斜面の一部で、雪が湿って色が濃くなった区間があったため、慎重にルートをとった方が安全だろう。
5.雪が出てくるのは1800m以上だと想定し、トレランシューズで楽をしようとしたが、実際は1700mから雪。ただし、森林限界の1.5k手前くらいまでトレランシューズで行けた。復路はトレッキングシューズのまま履き替えずに下山した。
6.今回は、出発時、標高1400mでー2℃だったため、念のため1600mアップした山頂で-10℃を想定し、装備を強化した。実際は山頂で-4℃だったが、爆風だったこともあり、結果的にバラクラバが役に立った。少し鼻の凍傷のリスクを感じた。もし山頂でー7℃程度でバラクラバがなかったら、今日の強風下では短時間でも鼻が軽い凍傷になったかもしれない。
1.前日予報で風速23m/sだった。自分の経験上、乗鞍山頂では、予報よりも強めに吹くように感じていたこともあり、予報以上の風速を想定して装備した。山頂だけの安全性を考慮すると、ハードシェル(上下1kg)がベストだろうが、山頂以外の活動や重量を考慮し、レインウェア(上下0.6kg)とした。その代わり、汎用性も考慮して化繊長袖ジャケット(0.25kg)を追加して対応した。結果的に防風、防寒対策は適切だったと思う。
2.前日のような踏み抜き多数が想定されたので、早朝から出発して功を奏した。
3.過去の他の方のレコでは、スキーで9~10時間、相当に速い登山者で8時間半。過去のレコよりも時期が遅いことから、藪や踏み抜きが多く、最悪12時間程度を想定した。実際は笹薮区間は短く、藪もそれほどひどくなかった。雪も締まっており、標高1700m以上は雪道だったため助かった。
4.雪崩リスクは森林限界の上と山頂直下。実際は雪が締まっていたため問題なし。ただし、復路の際、山頂直下の斜面の一部で、雪が湿って色が濃くなった区間があったため、慎重にルートをとった方が安全だろう。
5.雪が出てくるのは1800m以上だと想定し、トレランシューズで楽をしようとしたが、実際は1700mから雪。ただし、森林限界の1.5k手前くらいまでトレランシューズで行けた。復路はトレッキングシューズのまま履き替えずに下山した。
6.今回は、出発時、標高1400mでー2℃だったため、念のため1600mアップした山頂で-10℃を想定し、装備を強化した。実際は山頂で-4℃だったが、爆風だったこともあり、結果的にバラクラバが役に立った。少し鼻の凍傷のリスクを感じた。もし山頂でー7℃程度でバラクラバがなかったら、今日の強風下では短時間でも鼻が軽い凍傷になったかもしれない。
天候 | 快晴、気温-6~4℃(山頂でー4℃)、最大風速25m/s以上 |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2021年04月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
|
コース状況/ 危険箇所等 |
・標高1700mまで 最初は林道を登っていくが、林道から登山道への入口はクマザサの藪となっており、見た目ではわからない。少しさまよったのち、GPSで「ここしかない」と思われる踏み跡に入り込み、クマザサの藪を進む。少し進むと、沢が見え、沢沿いは藪が少ないので沢沿いに進むと、時々、心眼で踏み跡らしきものが見えるような気がするので、クマザサと低木の藪を進む。ある程度はっきりした道がでてくると、標高1700m手前で、突然、集落跡が出現する。集落の生活道を思われる道を進み、クマザサや低木の藪に突入すると、雪が出てくる。ここの標高が1700m位で、ここからはほぼ雪が繋がる。雪はかなり締まっているので、トレランシューズのまま進む。 なお、復路で「逆くの字型」のコース部分のショートカットを試みた。一帯がしっかりと締まった雪だと思っていたので行けると思っていたが、実際は雪がなく、通行困難なクマザサの藪や、等高線からは読めない急斜面(斜度50度以上か?)があり、ショートカットは不可能だった。また、夜間だとこの藪区間はルーファイ困難。少なくとも400ルーメンのヘッドライトは必要。日中ならばルーファイルに慣れている人はなんとかなると思います。 ・標高1700m~森林限界まで しばらく行くと森林限界が見えてくるので、トレッキングシューズに履き替える。ここまで道迷い以外は危険箇所無し。 この時点で北風が吹き込んできたので、上下レインウェアと防寒テムレス、化繊ジャンバー、トレッキングシューズと12本爪、バラクラバ、サングラスを装着。これから想定される予報23mの爆風に備える。 森林限界以降は硬く締まった雪の急登が続く。斜度30~40度程度か?雪が締まっているので、雪崩リスクは低そうだが、雪崩始めの状況で凍結して安定したような雪面が広がる。油断はできない。効率的なコース取りとリスクを天秤にかけて進路を模索したが、悩ましい状況だった。この時点で右手から風速10~15m/s。 ・森林限界~大日岳山頂まで 森林限界を乗っ越すと、少し平らなハイマツ帯となる。雪は締まったままでツボ足で歩ける。ここから見える大日岳と剣ヶ峰の2峰がそびえたつ。最初に大日岳へ登る。 この時点で右手から風速15~20m/s。 見た目で左、中央、右の3尾根がある。 左の尾根は岩場とハイマツ、雪のミックス。恐らく風裏となる。尾根全体の斜度はそれほどでもないが、尾根の下部で1箇所、斜度45度強の雪の急登があり、滑落しそう。雪崩た場合、雪崩に巻き込まれる可能性も高いと判断。その上も岩が転がりそうな感じだった。近づいてみると、より危険を感じた。やめよう。 右の尾根は比較的斜度が緩いが、恐らく20m/s以上の爆風地帯だ。ハイマツ帯、岩場などのとりつき場がない雪の斜面の区間があり、危険を感じた。爆風の中、ここを通過するのはヤバイ。煽られて転倒したらサヨナラだ。やめよう。 中央の尾根は多少、斜度があるが、ハイマツ帯、岩場などが連続しており、その間を縫っていけば山頂までいけそうだった。恐らく20m/s程度の風は来そうだが、ハイマツや岩に取り付けばなんとかなりそうだ。ここを行こう。この尾根を直登して大日岳山頂へ登った。斜度は30~40度。時折40度強。時々ウィペット利用で四つん這いで登る。 想定外のことが起こった。25m/s程度の爆風が何度か襲った。とっさに台風姿勢をとり回避するが、そのうちの1回が特に強烈だった。右からの爆風に押し倒さ、ハイマツにしがみつく。怖い。かなりの時間をかけて慎重にゆっくりと登った。ハイマツの藪と岩場を縫っていく。 ・大日岳山頂~乗鞍岳山頂 大日岳山頂は常時25m/s程度の爆風だった。まともに立っていられない。突風が吹くと息ができない。カメラを静止するのも厳しい。風の息継ぎの間に撮影する。 ここから右手の乗鞍岳へのルートを見る。この爆風下で、いったんコルへ降りてそこから岩場を登って乗鞍山頂までをルーファイする。恐らく下のコルは風の通り道でさらに風が強いだろう。そこを通過できれば、乗鞍岳への岩場の登頂は風裏になるだろうから、道さえあれば行けそうだ。道はあるのか?よく見るとコルに破損した夏道の杭とロープが見える。夏道がある!!ならば乗鞍山頂までの夏道もあるはずだ。コルを通過できるかどうか・・・。とりあえず様子を見ながら行ってみて、危険ならやめよう。降りてみると常時25m/s以上の爆風。さらに突風が吹く。ここまでの風は計器で観測したことがないので体感でもよくわからない。耐風姿勢のまま、風の息継ぎの時に小股で進むが、雪礫が襲ってくる。結構痛い。サングラスや顔にもバチバチと雪礫が襲う。なんとかコルを通過し、風裏の乗鞍山頂へ続く岩場に出ると、うそのように、穏やかな陽光とそよ風となった。ここでパンを2つ食べ、ドリンク(凍結しはじめていた)を飲んで休憩した。そこから目印のない岩場をルーファイしながら山頂へ登ると、再び25m/s程度の爆風だったが、乗鞍本宮奥宮の陰で絶景を楽しむ。 ・乗鞍岳~森林限界 乗鞍岳山頂から高天原に続く手前の尾根をくだれるか様子を見ると・・・かなりの斜度と爆風地帯だった。無理だ・・・・。登ってきたコースを戻り、下れそうな尾根を下って行く。復路では、樹林帯手前まではやや雪が緩み、踏み抜きもあったが、樹林帯では硬くしまっており、問題なく歩けた。 |
写真
森林限界を越えます。
この辺から風速10m/s程度。
予報では山頂で-5℃、風速23m/s。
これから立ち向かう爆風に備えて、トレランシューズからトレッキングシューズ、12本爪、防寒テムレス、レインウェア上下、化繊ジャケット、バラクラバを装着しました。
この辺から風速10m/s程度。
予報では山頂で-5℃、風速23m/s。
これから立ち向かう爆風に備えて、トレランシューズからトレッキングシューズ、12本爪、防寒テムレス、レインウェア上下、化繊ジャケット、バラクラバを装着しました。
大日岳(左)と乗鞍剣ヶ峰(右)が見えました。
この絶景の中を進みます。
本当に素晴らしい。ここは天国か?
しかし、爆風(ここで15m/s程度)過ぎて、むしろヘブン!!
そして、ここからが結構時間がかかった。
この絶景の中を進みます。
本当に素晴らしい。ここは天国か?
しかし、爆風(ここで15m/s程度)過ぎて、むしろヘブン!!
そして、ここからが結構時間がかかった。
さあ、大日岳への登坂です。
どう攻めようか・・・。
左の斜面は緩そうだが、写真に写っていない下部でハイマツが途切れている雪面があって、滑落したら止まらなそうだった。
右の尾根は行けそうだが、よく見ると、やはりハイマツがない雪面区間がある。ここも下から見るとちょっと怖い。
中央の尾根は少し急だが、ハイマツや岩場が連続していて、間を縫っていけば転んでも止まりそうだし、しがみつけそう。
よしっ!!中央尾根を直登しよう!!
どう攻めようか・・・。
左の斜面は緩そうだが、写真に写っていない下部でハイマツが途切れている雪面があって、滑落したら止まらなそうだった。
右の尾根は行けそうだが、よく見ると、やはりハイマツがない雪面区間がある。ここも下から見るとちょっと怖い。
中央の尾根は少し急だが、ハイマツや岩場が連続していて、間を縫っていけば転んでも止まりそうだし、しがみつけそう。
よしっ!!中央尾根を直登しよう!!
これなら安心だ!!
・・・と思ったら、25m/s以上の爆風が何度も襲う。
耐風姿勢でしのげば大したことない・・・と思ったら、でっかいのが1発来た!!
耐風姿勢の自分に横殴りの爆風!!
横倒しにされてしまった・・・。
必死にハイマツにしがみつく。
ハイマツ帯で良かった。
・・・と思ったら、25m/s以上の爆風が何度も襲う。
耐風姿勢でしのげば大したことない・・・と思ったら、でっかいのが1発来た!!
耐風姿勢の自分に横殴りの爆風!!
横倒しにされてしまった・・・。
必死にハイマツにしがみつく。
ハイマツ帯で良かった。
大日岳山頂!!
森林限界からが結構時間がかかりました。
常時、風速25m/sの爆風地帯。時折、体がよろめく。
この距離でこれだけかかるとは、最近、なんだか体力落ちたような気がする。やはり歳なのか・・・。
森林限界からが結構時間がかかりました。
常時、風速25m/sの爆風地帯。時折、体がよろめく。
この距離でこれだけかかるとは、最近、なんだか体力落ちたような気がする。やはり歳なのか・・・。
剣ヶ峰と手前のコルを観察する。
間違いなく、今日、コルは風の通り道!!
まともには歩けないだろう。ただし、右側の谷へ落ちることはない・・・と思う。
コルの先の岩場はどうだろう。きっと風裏だろうから、そこまでいければ山頂にはたどり着ける。でも道はあるのか?
じっくり観察すると、コルに破損した杭とロープが見える!!
夏道あるんだ!!ならばある程度安全な道があるはず!!
行ける!!行けるぞ!!
間違いなく、今日、コルは風の通り道!!
まともには歩けないだろう。ただし、右側の谷へ落ちることはない・・・と思う。
コルの先の岩場はどうだろう。きっと風裏だろうから、そこまでいければ山頂にはたどり着ける。でも道はあるのか?
じっくり観察すると、コルに破損した杭とロープが見える!!
夏道あるんだ!!ならばある程度安全な道があるはず!!
行ける!!行けるぞ!!
そして爆風コルを息も絶えだえに、なんとか通過。あまりにも爆風だったので、耐風姿勢で牛歩で進むだけしかできなかった。
この写真は風裏の岩場から。ここは陽光射すそよ風の天国でした。
パンを2つ食べ、ドリンクを飲む。絶景を眺める。
そして感じる・・・。今の自分の「生」を!!
この写真は風裏の岩場から。ここは陽光射すそよ風の天国でした。
パンを2つ食べ、ドリンクを飲む。絶景を眺める。
そして感じる・・・。今の自分の「生」を!!
そして突然、集落跡が???
溶岩で石垣を作っている。少なくとも5軒以上はあったはず。
路の痕跡もある。一体、どんな歴史があったのだろう。
どんな集落で、どのような歴史でここに住み着いて、そしていつ無人となったのか?
そういったことが、いまでも心に引っ掛かっている。
どなたか知っている方がいれば教えてくださいm(__)m。
溶岩で石垣を作っている。少なくとも5軒以上はあったはず。
路の痕跡もある。一体、どんな歴史があったのだろう。
どんな集落で、どのような歴史でここに住み着いて、そしていつ無人となったのか?
そういったことが、いまでも心に引っ掛かっている。
どなたか知っている方がいれば教えてくださいm(__)m。
撮影機器:
装備
個人装備 |
ジオラインLW長袖シャツ
モンベルのウィックロンジオサーマルロング
ロングパンツ(モンベルマウンテンガイドパンツ中厚手)
モンベルのジオラインバラクラバ
防寒テムレス2セット
薄手手袋(防風防寒手袋とスーパーグリップ)
レインウェア上下
3シーズントレッキングシューズ(ノースフェイスのヴォルト)
サロモンスピードクロス5GTX
ザック(グラナイトギア38)
パン2個(消費)
非常食(柿の種)
水2.0L(1.5L消費)
地図(地形図)
ヘッドランプ(レッドレンザーMH5を2個)
予備電池
GPS(ガーミンmap64sとetrex30)
筆記用具
ファーストエイドキット
保険証と免許証
スマホ
BDウィペット(直径12cmのスノーバスケットへ交換)
ココヘリ
防寒着(薄手ダウン
化繊薄手ジャンバー)
ツェルト(トレイルシェルター)
12本爪アイゼン
ワカン
CAMPアイスマスター
カメラ
貴重品
サングラス
総重量
約12kg位
|
---|
感想
今回は、naotooさんのレコに触発され、どうしても行ってみたくなったコースだ。
https://www.yamareco.com/modules/yamareco/detail-3054067.html
乗鞍岳への積雪期バリエーション。
こんなコースがあったのか?という驚きとワクワクが止まらなかった。
いてもたってもいられなくなり、賞味期限切れのリスクも顧みず行ってきました。
結果は、予想以上の絶景と爆風の中、素晴らしい山行を楽しめた。
爆風は想像以上だったが、良い経験になった。
そして、自分の未熟さも思い知った1日でした。
最後に、「naotooさん、ありがとうございました」。
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コメント
この記録に関連する登山ルート
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greenriverさん、こんにちは。
少しでもお役になれたようで良かったです。爆風を越えた絶景、まさに地獄から天国のダイナミック「これがあるから辞められない」が心に響きました😁
集落跡、私も (山小屋?) と気になっております。
naotooさん、おはようございます。
本当にお早いですね(笑)。
いつも、魅力的なレコ、ありがとうございます。白山方面のレコも、さらっと書かれてますが、ヤバめのレコで苦笑してしまいました。あれは、相当な方でないとやれませんね。
集落あとは、山小屋ですかね。たしかに家にしてはちょっと一家屋あたりの面積が広すぎるような気もします。時間があったら調べてみますね。
ちなみに、前日もトラックお借りして、平湯から十石山と硫黄岳行ってきましたが、容量不足で後日アップします。雪の状況が悪く、難儀しました。怖かったですし(笑)。
また、何か機会がありましたら宜しくお願い致します。
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