南ア・聖岳 アリバイ登頂へ日帰りで
- GPS
- 13:32
- 距離
- 27.8km
- 登り
- 2,688m
- 下り
- 2,767m
コースタイム
天候 | 曇り |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2013年06月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
|
コース状況/ 危険箇所等 |
便ヶ島に、登山ポスト、記入用紙、トイレ、水場、食事テーブルなどがありくつろげますが、飲み物の自販機の電機はまだ入っていませんでした。 小屋も人が居られますが、鍵がかかっていて入れません。 |
写真
感想
「アリバイ登頂」、これは murren さんが日記「平成24年中における山岳遭難の概況」のなかで使われていた言葉です。
うーん、言い得ている。これほどピッタリ来る表現は無いと思う。早速使わさせて頂きました。
「アリバイ」、これ以外に目的も意味もな〜にもない登山です。
長年趣味で山に入ってきましたが、3000m峰を全部登った訳ではありません。それどころか南アでは北岳以外は全く知らない。
そろそろ登っておかないと体力的にもう登れなくなる、と3000m峰を一通り登る企画をはじめました。
その第一弾は、6月上旬の塩見岳だったのですが、そうは甘くないと見事に追い返された。
今回が第2弾。登山口の便ヶ島(タヨリガシマ)に、車で前泊して聖岳を日帰りで一気に登ろうという計画です。
3時に目覚ましを鳴らし、ここで朝食を取るとどうも体調を崩すらしいと分かってきたのでお茶だけ飲んで出発する。
西沢渡に着くとすっかり明るくなって、クロックスもどきのサンダルで徒渉する予定でしたが、目の前にモッコ渡しがあるし、やっぱり一度は乗ってみたいと有り難く利用させてもらった。
最初はザックを担いだままロープを引っ張っていたがとてもそんなことでは対岸まで進めそうにない。すぐにザックをおろしてヒーコラヒーコラ引っ張って何とか対岸までたどり着いた。
うわさ通りの重労働。帰りは徒渉にしよう。
さーてこれから先は呼吸を乱さないように黙々と登っていくだけだ。
廃小屋の裏から尾根に出て少し明るいところで左太股を見ると、尺取り虫のようにヒルが上がってきている。ヒェーッ、怖いよ〜と爪先ではじき飛ばした。
他には居ないかよーく見たが大丈夫らしい。きつめのスパッツなので中には入っていないだろう。靴にはタップリ山ビルファイターを噴霧した。
径は、尾根上で余り荒れないのか、よく整備されていると言うよりよく歩かれていて登り易い。
赤石岳の名前の由来になった赤い石なのだろうか、この尾根筋の石も赤い。
姿は見せませんが、鹿が良く啼いている。
1時間おきにはザックをおろして休憩をしたいが、どうも先ほどのヒルが怖くてザック置き場に気を使う。
右手前方が明るくなってきたと思うと、ほどなく薊畑に出た。誰も居ない。
西沢渡から薊畑まで300分のところを230分で上がってきた。想定外の出来、と言いたいところだが、普通は泊まりの荷物があるはず、今日の私は空荷同然だ。
一人ゆっくり休憩していると2パーティ3人の下山の人が来られた。
何でも朝方はよく晴れていて富士山も見えたとか、今は隣の上河内岳も見えない。
普段の行いが悪いからだろうか?でも今日は景色が見えなくてもいい、アリバイ登頂に来たんだから、とひねくれてみた。
朝食兼、行動食兼、ドーピング兼の諸々を口にしたら、さーて残り標高600m。頑張りますか。
標識には、ここから山頂まで130分と書いてある。
小聖に向けて登り始めると数パーティの人とすれ違った。
何故かこの人達、マムートのウェアが多かった。偶然なのでしょうか?
晴れていれば景色が楽しめるのだろうなというところもあるが今日はガス。
小聖の直下でようやく樹林から解放される。主稜線だというのにさすがに南アの森林限界は高いと思う。
冬に来る人はつらいだろうな、どこまで登ってもラッセルで・・・
小聖には50分で到着。よしよし、と10分休憩する。のこり70分で山頂だ。
出来ることなら60分で登ってやろう、とこのときは思っていた。
左手(西沢側)はガレとなって切れ落ちているようだがガスで見えない。右側(聖沢側)は這松のところがある。しかも背は高くない。ってことは冬は南東風が吹くの?と考えながら登っていく。
ザレの斜面にジグザグに径はついている。余り登り易い径ではない。
一瞬ガスが晴れた。ザレ斜面の最上部が見える。あれが頂上だろうか。まだ距離も高度もある。
その最上部に人が見える。今朝、私を抜いていった足の速い人だろうか。
これが最後のピッチだと頑張って登ったからだろうかひどく疲れる。
ちょっと大きめの石があれば、すぐに座って、足を投げ出して休憩する。
なかなか頂上に着かない。左に見える尾根と合流しないと頂上にはならないはずだが、なかなか左の尾根が近づかない。
フッと傾斜が落ちたので顔を上げて先を見ると、頂上はすぐ先だった。
やっと登った。
写真だ写真、アリバイ写真だ。
標識にザックをもたれかけさせてパシャ。
広い頂上だのに誰も居ない。
ザックが一つあるのみ。奥聖へ空荷で行って居られるのだろう。
行動食を摂りながらゆっくり休憩する。
このヤマレコを見ると皆さんの水の摂取量が多いので、もっと飲んだ方が良いのだろうかと今日は出来るだけ飲むようにして登ってきた。
ここまでで飲んだ量が300ml、この休憩で100ml飲み足したのでまだ400mlしか飲んでいない。
出来るだけ飲むつもり出来たので、他に3本のペットボトルが手つかずでザックに入っている。
炎天下だったらもっと飲んだのかも知れない・・・
ザックの主が、奥聖から戻ってこられて様子を教えてもらった。
下山が暗くなりそうとかでない限り奥聖は登る気で居た。
理由は、聖岳は深田久弥の百名山の一つになっているが、前聖と奥聖の両方セットで聖岳となっているようなので百名山のカウントアップには奥聖に行っておかなければならない。
GPSのスマホとカメラを手提げ袋に入れて空荷で奥聖へ向かう。
ザレではなく岩尾根を荷物無しで下り気味に進むので歩きやすい。これがガスでなく正面にドーンと富士山が見れたら最高なんだろうなと想像すると少々残念だ。
奥聖岳の三角点にも標高点にも登頂。これで、深田久弥の百名山、35座目をゲット。
ここでもアリバイ写真を撮ったら、ガスで景色は見えないのでさっさと引き返します。
前聖への引き返しの最後のピーク(前聖の東、100m弱のピーク)に立ってみたら、どう見ても前聖の標識のあるところよりこちらの方が1m程高い。
国土地理院の標高点はないけれど、本当は、聖岳の最高峰は3014mじゃないのかな、と思う。
ザックに戻ってお茶を飲み、やっとペットボトル1本を空にした。
さあ、転倒しないように気を引き締めて下りましょう。
さようなら聖岳。
さすが下りは速い。1時間ちょうどで薊畑に戻ってきた。
ここで小雨がパラパラときたので、カメラも防水ケースにしまい、レインウエアをザックの最上位にいれて歩き始めた。
幸い雨は降らなかったが、西沢渡への下降尾根の径は元々濡れているので滑りそうで怖い。
傾斜のある下降が続くのでヒザがガタガタになってしまった。
西沢渡の河原では、モッコ渡しには目もくれずに予定通り徒渉しようとサンダルに履き替えるためにスパッツをはずしたら、わぁ〜、右足靴下に血が。
結局、右足はヒルにやられていたんだ。
ズボンの裾をヒザまでめくり上げ、徒渉する。
ヒヨーッ、冷たい水、気持ちいい。いやー冷たすぎて痛いぐらい。
対岸でまた登山靴に履き替え、あとは、10箇所ぐらい崩れているとは言え平坦道を歩いて便ヶ島に戻ってきた。
計画では、明日は塩見岳へ日帰り登山の予定でしたが、今日の下降で、ヒザがガタガタになったのでとても無理、とあっさり横浜へ帰ってきました。
かくして南アの3000m峰の一つに登れました。
そして私的にはもう一つの記録が。
それは、日帰り登山の標高差です。
便ヶ島が標高970m、前聖岳が3013mで、その差が2043m、日帰り登山標高差の過去最高です。
今までの日帰り登山標高差は、猿倉駐車場から白馬岳の1702mが最高だったのですが、今日は、一気に2000mを越える記録が作れました。
いつか2000m以上をやってみたいと思っていただけにこれも嬉しい記録です。
[ 地図 ]
6月上旬に塩見岳を目指した時は、出発前日に2万5千の地形図を購入しましたが、この紙の地図の情報が古かったので、今回は2万5千の地形図無しで行きました。
持って行ったのは、昭和61年(1986年)版のエアリアマップです。
これも薊畑で前聖岳までのコースタイムを見ただけで、結局、紙の地図は殆ど見てないことになります。
休憩の度に、スマホの地図ロイドで現在地を教えてもらい、次のピッチの地形を読みとっていました。
[ スマホのGPS ]
6月上旬の塩見岳の時は新しいスマホ HTC バタフライ のGPSの正確さと素晴らしさを書きましたが、生データをネット上で使うのに抵抗があったので地図は手書きでした。これでは信憑性に欠けると思い今回は HTC butterfly 山旅ロガーの生データで地図を作製しました。
この地図で2〜3のお断りを。
まず、標高1700m付近で線が2本になっているのは、下山時に径をロストしましたが、無理矢理前進したので往路と復路がずれています。
次ぎに、奥聖岳の直前も微妙に線が膨らんでいますが、ここは雪田のところで、帰路は雪を嫌って数メーター横を歩きました。
この程度の差が分かるほどの正確さです。
最後に、便ヶ島から西(村側)は、地図ロイドを終了させるのを忘れて、ザックに入れたまま車の後部座席に置いて発車しました。
時速は10〜40km/hです。車の中でもこれだけのログが取れています。
そして、ログの終了点は、落石事故防止の通行止め開始地点です(8:30〜17:00の間のみ通行可能です。それ以外の時間帯は、自己責任で鉄パイプを動かしてまた元に戻しておくようです。)
また、山旅ロガー終了時の電池残量は48%でした。
13時間半のログ収集+地形図閲覧でほぼ半分しか電池は使っていません。
HTC butterfly 実に素晴らしいスマホです。
これを本当に有効に使わさせてくれる 山旅ロガー と 地図ロイド のアプリにはただただ感謝です。
ありがとうございます。
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