毛勝山 冬道(阿部木谷から)
- GPS
- 12:33
- 距離
- 15.7km
- 登り
- 2,609m
- 下り
- 1,413m
コースタイム
- 山行
- 10:49
- 休憩
- 1:44
- 合計
- 12:33
天候 | 晴れ 時々小雨 下山時はガスが上がってきた |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2021年06月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
自宅10:33発→毛勝山片貝登山口駐車場16:07着(430.7キロメートル) 前夜泊:片貝山荘 12日 片貝登山口駐車場18:07発→アパホテル魚津駅前18:57着(21.6キロメートル) 13日 アパホテル魚津駅前04:39発→自宅09:39着(415.2キロメートル) 総走行距離:866.3キロメートル |
コース状況/ 危険箇所等 |
危険箇所多数 下部の土石流雪渓箇所はずっと危険 毛勝谷雪渓は標高2,000メートル位から急登、雪質悪く滑落しやすい (実際に私が大きな滑落をおこし、活動できない場合、登山者は他に誰も居ないので発見される可能性はココヘリのみでした。) ログは毛勝谷雪渓上部で滑落したため、ガーミンも一旦電池が外れストップしてしまいました。下山時のログが乱れているのはその為です。 休憩時間のうち1時間以上は滑落後のピッケルやカメラ探しに再登坂の時間です。ほぼ12時間は活動時間です。 |
その他周辺情報 | 後泊で念のためアパホテル魚津駅前を予約しておいて良かったです。這々の体でホテルに着き横になりました。興奮状態で熟睡できませんでしたので、早朝自宅に向けて車を走らせ戻りました。 |
写真
装備
MYアイテム |
24c
重量:-kg
|
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個人装備 |
12本歯アイゼン
ピッケル
ヘルメット
長袖シャツ
ハードシェル
ズボン
靴下
グローブ
防寒着
ゲイター
靴
ザック
昼ご飯
行動食
非常食
飲料
サーモス
地図
コンパス
笛
計画書
ヘッドランプ
予備電池
GPS(ガーミンe-Trex30xJ)
筆記用具
ファーストエイドキット
常備薬
保険証
携帯
時計
サングラス
ストック
カメラ
|
感想
○毛勝山(けかちやま/けかつやま)標高 2415m
https://www.yamareco.com/modules/yamainfo/ptinfo.php?ptid=174
○滑落
毛勝谷で滑落し九死に一生を得ました。
一度目は毛勝谷雪渓の最上部から20メトール位クライムダウンで下り始めた下山開始直後、400メートル位滑落してしまいました。
滑落し始めたときはピックを刺して止められると思って一所懸命停止させようと頑張りましたが、腐れ雪には全く効き目が無し。どんどん落下速度が速くなり、途中でピッケルも硬い岩か氷で弾き飛ばされて無くしてしまいました。
その後はもう駄目だ、何処までも落ちる、途中のクラックや岩にぶつかって死ぬかもと覚悟を決めました。
落ちながらもザックの左に収納していたトレッキングポールが目に入り、レキのトレッキングポールのエルゴングリップ部分を雪面に押しつけて落下を止めようとしました。
偶々少し緩い斜面のところでトレッキングポールのヘッド(エルゴングリップ)の僅かな形状で滑落が止まりました。
1分間くらいの滑落でしたが、あっという間に加速してしまい時速30勸未里發里垢瓦ち瓩気燃衢遒止まらず、自分自身では腹ばいの態勢を続ける事だけで精一杯でした。
停止してからは現状を認識し、ピッケルとカメラを途中でなくしていることに気が付きました。左手の指や掌、口の中からも血が出ていました。両胸や腹が少し痛かったのですが、足は打撲程度の痛みで立ち上がり歩くことが出来ました。ザックは停止点に置き、ピッケルとカメラを拾いにトレッキングポールだけで登ってみることにしました。
百メートル以上一歩一歩トレッキングポールを使い、がに股でアイゼンを腐れ雪に蹴り込み雪渓を慎重に登り返しました。50メートル位上でカメラを見つけました。200メートル近く登ってピッケルが見つからず諦めて下山しようとした視線の先にピッケルを見つけました。
滑落したとはいえまだ毛勝谷の急な雪渓を三分の二は下らねばならない状況で、ピッケルを探し当てたことは大きかったです。
ピッケルと途中落としてしまった一本のトレッキングポールを回収し、ザックの処に戻りました。
途中拾った自分のペットボトルの水をザックに収納しようとした瞬間に二回目の滑落をしてしまいました。ただこれは一回目の斜面とは違い大分傾斜が緩くなっていたので、三十メートルくらいの滑落で止まりました。
再び水とピッケルを持ってザックの処へ登り返し、そこからは三度目の滑落をしないように慎重に下山しました。しかし体力的には限界に近くなっていて直ぐに息が上がってしまうこと、一寸したことでつまずいてスリップしやすくなっていました。怖いことに雪面をガスが上がってきて視界が全くなくなっていました。
伏線は実は登りの行程にありました。
下方の土石流に覆われた雪渓箇所が雪解けが進み、彼方此方を慎重に渡らねばならなかったことが疲れの先ず一つ、毛勝谷の雪渓が急にも拘わらず腐れ雪で、ピッケルを刺しながら一歩一歩ジグザクに登らねばならず、それでも足元が横滑りしやすいため、相当に毛勝谷雪渓の登りで疲労してしまったことが疲れの二つ目、そして、雪渓が終了した後の藪漕ぎの場所を知らないため、正面の這松箇所を藪漕ぎして疲れたことが疲れの三つ目、山頂登頂後、帰りの雪渓への取り付き点がわからずに這松や岳樺帯に一度降りてしまいそこからの登り返しで疲れたことが四つ目、つまり急な雪渓を降りるときには体力を使い果たしていたことが原因なのです。既に疲労困憊にあったことが滑落した伏線です。
最後は、クライムダウンすれば大丈夫だと雪渓を登っている際に一人だけ下ってきたベテランの登山者に言われ、そのトレースを辿って降りたのですが、何故かトレースが左に曲がっているので、トレースを追わずに構わずに踏み跡のない真っ直ぐの雪渓にクライムダウンし始めたところ、その直後に横滑りをして滑落してしまったのです。
滑落中は頭がぐるぐるするし、必死に雪面にピッケルを刺して止めようとしますが何が何だかわからない状態でした。
滑落が止まったときは本当に生きているのか、とまず自分の身体を確かめました。
止まったものの、落とし物を拾い行くかどうか悩みましたが、滑落した半分程度は登り返してみようと決めました。その登り返す際は必死でしたが、遺失物回収後は息が上がっていて、そこからの雪渓の下りは緊張しながらゆっくり降りましたが心底疲れました。左足のふくらはぎが痙攣するし青息吐息、右手にピッケル左手に短くしたトレッキングポールで右を向いたり左を向いたりと、兎に角両足横にしてアイゼンの効かない腐れ斜面を斜めに降りました。
雪渓終了後も、土石流箇所は雪渓の崩落で左右が分断している箇所が多く、何処を通って良いのかわからないし、石や土は崩れやすいし本当に体力も尽き果て精神的にも限界でした。精も根も尽き果てた状態でした。
その為注意していたにも拘わらず土石流箇所でも二度尻餅をついて少し滑ってしまいました。
堰堤場所まで戻り、最後のスイッチバック式に道が続く堰堤を越えたときには、これで生きて帰れると心底ホッとしました。
毛勝山の冬道はもう通らない方が良いと思います。
下流の雪渓の雪解けが進んでいて土石流箇所が危険なこと、毛勝谷の雪渓が急にも拘わらず相当緩んでいることがその理由です。
今日の滑落や疲労困憊で疲労遭難寸前までになったのは、夏道尾根道ルートの当初の予定を変更し、結局は冬道を自分でも行けるのではと無謀な計画設定をした自分への山の神様の罰だと思いました。季節と雪の状態の判断が特に甘かったです。毛勝谷の急登は予想外でしたし、アイゼンが効かないのも想定外でした。
私にはこの環境を安全に上り下りする力量が無いのだと結果として反省しました。
クライムダウンとはボルダリングやクライミングの言葉ではないかと思いますが、確かに雪渓を登っているときに唯一出会ったベテラン登山者の方はクライムダウンとおっしゃっていました。ピッケルと足の使い方を目に焼き付けてその通りに実践したのですが、経験とルート取りが甘かったです。
しかしピッケルをこれほど多数長時間使ったのは初めてでした。
ともかく生きてこのレコを書いている自分が信じられないです。
生きていて本当に良かったです。
今までの山歴で一番苦しく厳しかった日帰り山行でした。
ありがとうございました。
コメント
この記録に関連する登山ルート
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雪渓は滑落や落石の危険が高く、私は自信がないので、なるべく行かないようにしています。
ご家族の皆様もご心配されますので、慎重に行動なさってください。
ご無理のない次のヤマレコを楽しみにしております。
amsy10tさん、コメントありがとうございます。
今回は自分の力量を超えた無謀な山行をしてしまいました。これからはこのような山歩きは止め、オーソドックスな一般ルートしか登らないようにします。
右脇腹が痛いのは斜里岳の時と同じ肋骨のひびだと思います。医者に行ってきます。
ご無事で良かったです。
ほんとに今回の登山は状況も怪しかったので心配してました。
無理だけはなさらず今後も登山楽しんでください。応援してます。
masa3112さん、ご心配おかけいたしました。
全身の疲労は徐々に抜けてきており、右脇腹の痛みが残っておいて明日以前に肋骨にひびが入った時に通ったスポーツ専門の医院に行ってきます。
以前肋骨にひびが入ったときに購入した肋骨用サポーター再び役に立つとは夢にも思いませんでした。
次回から今年の山行本番のつもりでしたので、ゆっくり静養し、体力の回復を図ってこれからは慎重に山に向かい合います。ありがとうございました。
読んでいて怖くなりました。
そんなに長く滑落して大丈夫だったとは奇跡のようですね。
本当にご無事で良かったです。
長時間ドライブ、それから結構悪天候での山行が多くてらっしゃるので、体力もおありなんだなと思っていました。
今回は天気が良い中で、こんな事故とは、大丈夫で本当に良かったです。
hrshbさん、コメントありがとうございました。
滑落中は多分1分間くらいだったでしょうがとても長く感じました。止まらないし次第にスピードが増していくので恐怖で一杯でした。
次回以降は今回のようなリスキーな計画はしないと心に強く決めました。
ご心配おかけして申し訳ありませんでした。
まさに九死に一生を得た感じですね。
6年前に雪崩に巻き込まれた時のことを思い出しました。
その時は60m程流されましたが、400mは長いですね。
流されながら頭の中は意外と冷静で色々な事、対応を考え実行されたことがよく分かります。
本当に良かったです。
私自身は滑落の経験はないのですが、涸沢のBCでザイテングラート横で仲間が落石跡の樋状の中を滑落し、スキーで下に先回りし身体を張って止めたことも思い出しました。
いずれにしろ山は怖いので一瞬たりとも気を抜けませんね。
お互いに教訓にして頑張りましょう。
bumpkinさん、大先輩からのコメント恐縮です。ありがとうございました。
私も雪国育ち(高田と言ってももともとは東頸城の在郷育ち)なものですから小中高時代はスキーでもっと急な絶壁を滑っていたことから、少し雪渓を甘く見ていましたのは事実です。
一寸滑ったことは何回か有りましたが、これだけ長い滑落は初めてで次第にスピードが上がり、ピッケルも弾き飛ばされたときには恐怖と共に観念しました。しかし諦めずに色々と試してみたことが停止に繋がり良かったのかも知れません。
bumpkinさんの仰有るとおり、山は素敵ですが反面とても怖いので一瞬たりとも気を抜けません。以降教訓にして頑張ります。
でも誰も褒めてはくれませんが、今回は登りの雪渓や滑落後の下山、自分の力MAX以上に歯を食いしばって頑張って行動しました。
ありがとうございました。
この半年で2度滑落している身としてはとても他人事とは思えません。
頂上直下の直線が滑落ラインなんですね、ジグザグで登った崖マークの急登を一直線、本当にご無事でよかったです。
経験値が上がったと前向きに教訓としてとらえ、これからも楽しんでいきましょう(自問自答)。
ken1586さん、コメント有難うございます
先日ken1586さんの滑落を心配していた自分自身が大滑落をしてしまうとは、何とも情けないしみっともないことです。経験値が上がったことで済んだから良かったものの、途中のクラックに落ちて岩で頭を打っていたり手足を折っていたらと思うとゾッとします。
以後はさらに慎重に自重して山に向かい合います。
ありがとうございました。
私もちょこちょこと、危ない所を歩いているので気が締まる思いで読んでました。
たまたま山友が飯豊の石転び沢登ったレポを読んでいましたが、滑落だけでなく、落石に当たるリスクも怖いと思った次第です。
今の時期の雪渓は要注意ですね。
asarenさん、コメントありがとうございます。一番急な雪渓を、最初は後ろ向きに降りないと危ないということを他の方のレコで知っていたのに、疲れから注意散漫になっていて前向きに降り始めたことも滑落の原因です。雪が柔らかくざれていたこともあり、忘れていました。
雪渓は雪国育ちでも過信は禁物です。
ありがとうございました。
ご無事でなによりでした。
確かに滑落のスピードは速いし恐怖ですよね、昨秋の立山で少しだけ滑落のスピードを体感しましたが、本当に死ぬかと思いました。
24cさんのレコで、新ためて、山には謙虚に向き合う事が大事だと再認識しました。
beech477さん、コメントありがとうございました。10メートルから20メートル位の滑落は何度か経験していますが、今回のように加速していく長い滑落は勿論初めての経験でした。他山の石としていただければ恥をしのんでレコをアップして良かった事になって嬉しいです。お互いに山には謙虚に向き合いましょう。ありがとうございました。
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