愛山渓から層雲峡経由で一周 〜黒岳・北鎮岳・比布岳・愛別岳・永山岳〜
- GPS
- 27:57
- 距離
- 75.3km
- 登り
- 2,881m
- 下り
- 2,878m
コースタイム
[交通機関等移動]
愛山渓倶楽部(9:35)→自転車→愛山渓入口バス停(11:00←食事→11:55)→バス→層雲峡温泉(12:35)→ロープウェー層雲峡駅(13:00)→ロープウェー黒岳駅(13:10)→黒岳7合目リフト乗場(13:30)
[登山道]
黒岳7合目(13:30)→黒岳(14:55)→黒岳石室(15:25)
8月4日
黒岳石室(6:00)→御鉢平展望台(6:45)→北鎮分岐(7:15)→北鎮岳(7:30)→比布岳(8:50)→愛別岳分岐(9:00)→標高2070m点(9:15←電話応対→9:25)→愛別岳(9:50←食事→10:05)→愛別岳分岐(10:45)→安足間岳(11:00)→永山岳(11:20)→滝ノ上分岐(12:35)→愛山渓倶楽部(13:30)
天候 | 8月3日 快晴一時曇り 8月4日 快晴のち曇り |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2013年08月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
バス 自家用車
ケーブルカー(ロープウェイ/リフト) 自転車
温泉までは途中から一車線になりますが全部舗装路です。 駐車場は30台ほど停められそうですが紅葉時期は一杯になります。 ・愛山渓温泉から国道39号の「愛山渓入口」バス停まで自転車で移動。 かなりゆっくり走って所要時間1時間25分。 全行程下りなので非常に楽だが、ブレーキに負荷がかかるため、事前の点検を薦める。 ・愛山渓入口バス停からバスで層雲峡温泉まで移動。 道北バス層雲峡・上川線、愛山渓入口11:47発、層雲峡12:35着、運賃1,000円) 詳細は道北バス時刻表参照(http://www.dohokubus.com/rosen.html) ・層雲峡温泉からロープウェー&リフトで黒岳7合目まで移動 ロープウェーは20分間隔、リフトと随時、運賃合計1,400円 |
コース状況/ 危険箇所等 |
<コース状態> [黒岳7合目−石室] 特に危険箇所なし。花はモミジカラマツとカラマツソウが見頃。他にチシマノキンバイソウ、ミヤマキンポウゲ、エゾレイジンソウ、ダイセツトリカブト、イワギキョウ、ハクサンチドリ、エゾウメバチソウ、ミヤマホツツジなど。ハイオトギリは散りかけ。 [石室−北鎮岳] 北鎮岳分岐までの短い区間に雪渓あり。アイゼン不要ですが急斜面なので下りは要注意。花はエゾウサギギクが見頃。他にヨツバシオガマ、チングルマ、ミヤマアキノキリンソウ、イワブクロ、イワギキョウ、エゾコザクラ、クモマユキノシタ、エゾイワツメクサ、ウスユキトウヒレン、エゾタカネスミレ、メアカンキンバイなど。チングルマは綿毛も多く。チシマツガザクラやコマクサは終わりかけ。 [北鎮岳−比布岳] 特に危険箇所なし。花はクモマユキノシタとチシマツガザクラが多い。他にエゾイワツメクサ、イワギキョウ、チシマクモマグサ、イワヒゲ、ウスユキトウヒレン、ミヤマリンドウなど。 [比布岳−愛別岳] ザレ場がメインで滑落注意。特に主稜線から愛別岳へと伸びる痩せ尾根は滑りやすい。花もあるがチラホラ程度。花よりも眺望がメインの山域。 [安足間岳−永山岳] 特に危険箇所なし。花もあるがチラホラ程度。 [永山岳−愛山渓温泉] イズミノ沢に降りるまではゴツゴツした岩場が続き、泥濘もあって滑りやすい上、ハイマツや熊笹も登山道に被っていて歩きにくい。イズミノ沢は村雨の滝付近にロープ場2箇所。濡れて滑りやすく滑落すると沢に転落するため慎重に。先週、ここで転落事故がありドクターヘリが出動したという話を聞いた。登山道は沢を高巻くようについていて、やや経年劣化気味で沢側に少し傾斜している。三十三曲コースよりは危険度は高いが、慎重に歩けば特に危険を感じるルートではない。沿道の花は諸般の事情により詳しく見ていないが、目を見張るようなものはない。 |
写真
感想
<8月3日土曜日>
今週末は土日共に晴れ予報が出ていたので、自転車リベンジということで兼ねてから計画していた愛山渓から層雲峡経由で一周というのをやってみた。愛山渓温泉から国道39号まで約20kmを自転車で行き、バスに乗り換えて層雲峡へ...あとは愛山渓温泉まで縦走というプラン。
tarumae-yamaさんも今日は北鎮経由で愛別岳に登っているようだが、ルート的に会えそうもないので、軽い気持ちでメッセージカードを置いて自転車を用意。出掛けに愛山渓倶楽部の女将さんから「温泉、入っていかないのー!」っと声を掛けられ、「今日層雲峡に移動して、明日帰って来るから、明日入りに来る〜!」と返答。快適な夏晴れの中を出発した。
以前に大雪縦貫道路のレポートを書くときに読んだ「大雪山国立公園候補地昭和8年版」に、「直井温泉(現・愛山渓温泉)にゆくには」という項目があり、「石北本線安足間駅に下車し、ポンアンタロマ川に沿ふて徒歩で約二十粁をゆくのであるが、この道は早くから拓けてゐたもので非常に楽である」とあり、昔の人は約5〜6時間掛けて歩いたらしい。そんなことを思い出しながら気持ちの良い林道を下って行くが、勾配が急な上、荷物が約17kgあるのでブレーキが平地のように効いてくれない。止ろうと思った地点から数メートル行きすぎて止まる始末。ゴムブレーキには過酷だなと思い、所々で小休止をはさみつつ、のんびりしたサイクリングを楽しむ。沿道にはエゾアジサイが青い美しい花を咲かせている。
20kmの道程と言えども大半は下り。ポンアンタロマ川は渓流から見慣れた大きな川へと変った頃に、道路が二車線になり、更に進むと畑が見えだす。上流側の畑は耕す人もいないのか遊んでいるが、国道近くでは蕎麦の花が満開だった。
沿道の景色を楽しみつつ、かなりゆっくり走って来たが所要時間1時間25分で国道39号の愛山渓入口バス亭に到着。時間は11時、次のバスは11時47分。そんなわけで早めに昼食を取ろうと、目の前の愛山渓ドライブインで舞茸ラーメンを頂いた。ラーメン自体は微妙な感じではあったにもかかわらず、塩ベースのスープと舞茸の風味は絶妙で、結果的には美味しく頂いた。あれで麺も美味ければ最高なんだろうけど...ちなみにこのドライブイン、「札幌180km←→網走180km」という中間点を示す昭和っぽい看板があるが本当なんだろうか...
5分ほど遅れてバスが到着。旭川-層雲峡のロングラン運行では±10分ぐらいはしょうがないか。そんなわけで車窓から見える大雪の山々を楽しみつつ層雲峡へ。層雲峡からはいつものロープウェー&リフトだけれども、こんなに天気の良い日に何故だが人が少ない。黒岳七合目からの道はいつも花が多くて目移りするが、今日は、チシマノキンバイソウ、ミヤマキンポウゲ、エゾレイジンソウ、ダイセツトリカブト、イワギキョウ、ハクサンチドリ、エゾウメバチソウ、ミヤマホツツジなどがポツポツと見られたぐらいでパッとしない。
そんな中、今日の主役はカラマツソウ。7合目リフト乗り場すぐのところから8合目まではモミジカラマツが所々で群落を作って白い花を楽しませてくれる。8合目周辺はカラマツソウとモミジカラマツが混在しているが、9合目に近づくにつれてカラマツソウにバトンタッチ。中にはまだツボミの状態のものもあるが、この淡い紫のツボミのこの花の魅力だと思う。
黒岳山頂はいつものように人で賑わっている。時間もあるので以前から気になっていた三等三角点「温泉岳」を探しに山頂をウロウロするが見つからず...国土地理院の地図の示すところも一通り探したものの何も見当たらない。このときは撤去されたのかと思って探索はあきらめたが、帰宅してから基準点成果等閲覧サービスで確認したら「正常」となっている。一体どこにあるんだろう。
黒岳石室にチェックインして寝床を準備した後は宴会タイム。雪渓で取ってきた雪で冷やしたビールにレトルトのおでんに柿ピー、チーズ鱈とミニ居酒屋状態。いつもと同じく近くのテーブルにいた方々と話をしつつ意気投合した。今回のメンバーは北見のTさん(男性)、Yさん(女性)、そしてベルギーのMさん(女性)。写真の手前のテーブルの三人がそう。Mさんは言葉の通じない中、単独で十勝岳を目指しているとのことで一同心底驚いた。道具も全部持って来れなかったので、日本に来てから7,000円でテント買ったけどあんまり物が良くないとか話していて、中々のチャレンジャーっぷり。天候次第では天人峡に降りると話していたので、水場やテン場、コース状態や天人峡にはバスがないことなど出来る限りの情報は伝えた。そうこうしているうちに酒も進み、ビール二本とウィスキーのお湯割を何杯飲んだだろうか...酒が入ると英語が一段と話せるようになり、知らない間に私が通訳になって4人で話がはずんだ。
20時からはスターウォッチングイベントが始まる。公式にはペルセウス座流星群が多く見られる8月10日に行われるイベントだが、管理人の菅原さんが小屋番の時は、毎日やっていると話してくれた。天体望遠鏡で土星を見せてもらったり、レーザーポインタを使って「このあたりに動いている天体が人口衛星です」と示してくれたり説明も素晴らしい。撮った写真にも偶然人口衛星の奇跡が写っていた。ペルセウス座流星群のピークはまだまだらしいが、それでも、時折、見事なまでに星が流れる。
あっと言う間に1時間ほどのイベントが終わり、名残惜しいが皆と別れて就寝...と思ったが、消灯20時の石室もスターウォッチングに合わせているらしく21時なのに灯りがついている。昼間に足を攣ったと言ってツムラ68(芍薬甘草湯)をあげた縁で、鹿追から来た男性と少し山話をしていると管理人さんが「消灯します」とのことで21時30分に就寝。「きっと明日もいいことあるぞ」と思って素晴らしい一日に感謝して寝たのであったが...
<8月4日日曜日>
黒岳石室にて朝4時30分起床。よく眠れたが、やはり昨日は飲み過ぎたようで少しフラフラする。ボケーっとしつつ外にでると、朝日に照らされた凌雲岳の美しいこと。すっかり目が覚めてカメラを取りに引き返して撮影。その後、朝食の仕度をしていると、昨日一緒に飲んだTさんとYさんが、一足先に愛別岳に向けて出発するとのことで見送った。Tさん達に遅れること約1時間、私も朝食とパッキングをすませて石室を出る。ベルギーのMさんは早立ちしたのだろうか姿が見えない。石室から北鎮岳に向けて歩き始めると、平坦な雲ノ平にも関わらず、強い日差しに早くもフラフラし始める。もう熱中症は懲り懲りなので、早めに帽子と水で予防しつつお鉢平展望台へと向かう。
雲ノ平のチングルマは大半が大きな綿毛になっている。そして、時折、ミヤマアキノキリンソウ。ミヤマアキノキリンソウは忠別岳山頂の大群落が忘れられないが、大抵、夏休み時期には花が散ってしまうので、今年はもう少し頑張って残っていて欲しい。御鉢平展望台への登りへと差しかかったあたりで振り向くと、蛇行する赤石川の向こうに朝霧に包まれた屏風岳と平山だろうか...このままパネルに入れて飾りたいぐらいの絶景が拡がっていた。
御鉢平展望台からは、緩やかな勾配が北鎮岳近くまで続く。北鎮岳への登りルートにはまだ雪渓がある。北鎮岳の「白鳥の雪渓」という呼称は有名だけれども、今までいったいどれを差すのかサッパリわからなかったが、翼を広げた白鳥のような形を見て、何となくわかった気がする。しかしこの雪渓の登りといい、北鎮岳への登りといい、縦走荷物のせいか、日頃のトレーニング不足のせいか、足が中々前に出ない。前日の飲み過ぎなのか、心肺も結構弱っているのか、息も切れ切れで北鎮岳へと登ると再びTさん達に出会った。Tさんも飲み過ぎであまり体調が良くないらしい。また、先に出発する彼らを見送って、私は山頂でしばらく休憩。
北鎮岳から比布岳へ向けての下りはクモマユキノシタの宝庫。この花、地味だけれども結構好きで、色々と見ていると横に長く拡がった個体を発見。なんか盆栽みたいと思いつつ写真におさめる。チシマツガザクラも多く、小さくで可愛い花を咲かせていた。北鎮と同様にヒイコラ言いつつ比布岳を越えると愛別岳分岐。ザックはもちろんデポして行く。愛別岳で食事にしたいのでアタックザックに食料等を詰め込んで、念のためザックの上には、そのあたりに転がっていた岩を載せておく。これで、まずキツネが引きずることはできないだろう。
慎重に下っていると足場の悪い箇所で携帯電話が鳴る。手直な岩場に落ち着けて電話に出ると「旭川北警察です。○○さん(私の名前)ですか?」、何で警察からと不信に思いつつ「はい、そうです」と応えると、「遭難届が出ています。今、どちらにいらっしゃいますか?」と....「はいぃ?!」、「救助ヘリの用意もできていますが、どうされますか?」、一瞬事態が飲み込めなかったが、話を聞くとtarumae-yamaさんが昨日下山して来ない私を心配して届けを出したそうだ。「こちらは愛別岳アタック中でコンディションも良好、先発隊二名に、後ろから二名が来ていますし、何も問題はありません。」と報告すると納得してくれたようだが、入林届しか出していないことを指摘されて、「これから長距離を歩かれるときは必ず警察にも登山届を出して下さい。」と怒られた(^^;。
その後、tarumae-yamaさんとも連絡がついて電話で話したが、事の発端はの私が軽い気持ちで残してきたメッセージカードだったらしく、日帰りで私が下山して来ると勘違いしたらしい。私としては狐につままれたような出来事だったが、tarumae-yamaさんとH原さんは心配して予定をキャンセルして愛山渓周辺の登山道を捜索してくれたらしい。
とりあえずまだ頭は混乱していたが、これで一件落着したかと思い愛別岳に登った。しかしながら、山頂で会った二人も私の遭難の話を知っていて、「見つかって良かった、これで安心して下山できます。」と下山して行き、一体どれだけの騒ぎになっているんだろうと急に不安になってきて、食事をした後、すぐに下山することに。
ちょうど、下山中に愛別岳に雲が掛かってきて晴れた山頂を踏めただけでもラッキーと、愛山渓温泉へと歩みを進める。途中に永山岳で休憩したが、ここでも「遭難した人がいるらしいよ」と話題に...「あぁ、それ私です(^^;。」と。ヤバい、ヤバいよ、どれほどの騒ぎになってるんだと、一刻も早く下山しなくてはと思った。とは言いつつ救助を断った手前、本当に遭難しないように、急ぎつつも、いつも以上に慎重に下山する。途中、鳥を見掛けたので一応撮っておいたが、帰宅してから確認したらギンザンマシコの雌だった。結構近くにいたので、余裕があればもっといい写真になったかもと...
本当は滝ノ上分岐から沼ノ平分岐まで500mの未踏区間を踏んで、沼の平めぐりをして帰ってくる予定だったが、もう、そんなこと言ってる場合ではないので、イズミノ沢沿いに愛山渓へと急ぐ。写真はtarumae-yamaさんとH原さんが捜索してくれた雪渓。この隙間に入り込んだんじゃないだろうかと探してくれたらしい。そんなわけで愛山渓倶楽部に到着。予想に反してひっそりしている。「どうも、ご迷惑をお掛けしました」とカウンターの男性に声を掛けると、向こうも察したらしく、「ちょっと待ってください」と女将さんを呼んでくれる。そして「温泉、入っていかないのー!」っと昨日と同じセリフで女将さん登場、「もちろん入っていきますよ〜っ!」と即答したものの、その後平謝り(^^;。宿泊客始め色んな人達が心配してくれたらしい。私自身、大雪山系は周囲の景色や地形を見ただけでどこを歩いているかわかるぐらい歩き慣れているし、tarumae-yamaさんもそのことは良く知ってくれているハズだけど、些細な行き違いや、小さな不安要素の積み重ねで、最終的には遭難したと思いこんでいたらしい。こんなにも事態が発展することって三文小説の世界でしか起こりえないと思っていたが、現実に起こるんだなぁと、自分の行動に反省しつつ、いい教訓になったと思いながら帰路についた。
Nikon Image Spaceでも写真が見れます。
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