【禅定道を繋いで】白山縦断
- GPS
- 23:15
- 距離
- 48.7km
- 登り
- 3,998m
- 下り
- 4,130m
コースタイム
- 山行
- 10:05
- 休憩
- 0:41
- 合計
- 10:46
天候 | 晴れ |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2021年07月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
電車 バス 自家用車
一里野からバスで瀬女に向かう予定だったが下山に時間がかかりバスを逃し、ヒッチハイクで金沢駅へ |
コース状況/ 危険箇所等 |
雪渓は赤谷渡渉点手前と室堂手前 危険なものではない 加賀新道の一里野スキー場山頂駅からの下山道は出だしが草に覆われ道が分からずGPS頼りに尾根道に入った。尾根道からは道が明瞭 |
その他周辺情報 | 一里野温泉は上部の崩落で輸送パイプが寸断され休業中 |
写真
感想
色々あって久方ぶりの山。
ところが、一緒に行く人もいなければ、車もない。
さて、どうしようかと考えてるうちに、ふと数年前に紅葉山行で加賀禅定道を訪れたときに、野伏ヶ岳などよく訪れていた石徹白方面からの道は美濃禅定道と呼ばれていて、いつか繋いでみたいなと思っていたのを思い出した。
さっそくアプローチを調べてみると、岐阜から長良川鉄道に乗り継いで、美濃白鳥からバスで上在所へ行ける。
下山先は一里野温泉からは1時半にコミュニティバスが出ていて、金沢に夕方にたどり着けそうだ。
当初金曜日に年休とって、2泊3日のんびりとも考えたが、急な仕事であえなく潰えて、金夜発。
単独で2日間の突貫。いよいよルートのコンセプト?通りの修験の山行になりそうだ。
7月16日 久々の新幹線
なんとか、急な仕事を終わらせて(ように見せかけ)、時間休で18時半のひかりに飛び乗る。ひかりなんていつ以来だろうか。
米原で東海道本線、岐阜で長良川鉄道に乗り継ぐ。長良川鉄道はなんとも奇抜なデザインだ。
23時過ぎに美濃白鳥にたどり着き、道の駅へ。なんだか地元の人が屋台っぽいフードカーで盛り上がっている。寝るにはやかましいが、飲み会の賑やかさを懐かしく思いながら沈。
7月17日 美濃禅定道を上がる
5時起床。いつも車で寄るローソンで、最後の買い出しをしてバス停へ。
街中に「白山参道」という石燭台があって禅定道であることを思い知らされる。
ほどなくバスがやってきた。うつらうつらと揺られながら上在所へ。
半年ぶりの白山中居神社、雪のない時期に来るのは初めてだ。先を急ぎたいがやはりお参りをして登山開始。
何台か車に追い抜かされるのを少し苦々しく思いながら石徹白登山口へ。銚子ヶ峰や三ノ峰を目指す人たちか、駐車場はほぼ満車だ。
登り始めてほどなく石徹白の大杉。幹回り・樹高ともにさすがの大きさ。ちょうど朝陽が頂点にかかりダイヤモンド大杉だ。
雨宿りの岩屋といった修験の名残を通り過ぎ、神鳩ノ宮避難小屋で一息入れる。
朝方の曇りはすっかり取れて青空。いよいよ暑くなってきそうだ。
まだまだ元気なので調子ヶ峰にあっさり登頂。野伏から続く2月時期に石徹白ぐるっとしたときの山々を望む。あれもいい山行だった。
行く方を向くと一・二・三と続きその奥にどっしりと別山。前回は真っ白、今回は生命感溢れる緑を青空に輝かしている。目指すはあの向こう側、まだまだ先は長い。
銚子ヶ峰から先へ進むと植生が亜高山帯に変わり、色とりどりの花に癒されながら一ノ峰・二ノ峰と越えていける。
ミヤマキンポウゲが咲き乱れる平地を過ぎて一登りすると三ノ峰の避難小屋。噂通りの立派な避難小屋だ。
そろそろ登りのペースが落ちてきたような。少ししっかり目に休憩をとって三ノ峰まで一登り。
振り返ると草原の中の小屋が立つよい風景。
ようやく白山の本体を望むことができた。思ったよりも残雪は少ないように思える。
いよいよ登りがしんどくなってきた。大きな登りは別山までとムチを入れる。
御手洗池は干上がっていたのかよく分からなかった。近づいてきた別山はなかなかのかっこよさ。
どことなく知床(知西別とか)に似た山容が郷愁を誘う。
そんなこんなで、別山に至る。
大行事権現を祀る三山の一角。銚子ヶ峰は遠くなり、白山本体が随分と近づいた。夏山縦走らしい進行感が心地よい。
しかし、南竜はまだまだかかりそう。二時間で着くのか?(それもそのはず、別山から南竜は見えず、南竜だと思っていたのは室堂だと理解するのは少し先)
チングルマやハクサンイブキ、コバイケイとお花畑に励まされながら、天池や岩屋を横目に多少の険しさのある稜線を進む。ちょっとの登りも堪える。
赤谷渡渉点手前のちょっとしたトラバースに残雪が少しあったが、特に問題にはならない。
赤谷で軽く水を被り、最後の力を振り絞って南竜に辿り着いた。もうヨタヨタ。
湿原の続く木道、クロユリやハクサンコザクラ、イワイチョウなどが咲き、ちょっとした天国感。
山荘は多くの人で賑わっていて急に別世界に来たようだ。
受付を済まして明日も早いのでそそくさと晩飯を食べる。。雲増えてきて今一つな夕焼けをながめつつ、 炊いた米に出来 合いのハンバーグをぶちこんだレトルトカレー。手抜きだがうまい。
月が出ているので星空は明日に期待して、水分をたっぷりとって沈。
明日も長丁場。はたしてどうなることやら。
7月18日 加賀禅定道を下る
1時起床。いつもどおりラーメンをかきこみ、パッキング。期待通り満点の星空。当然、天空の主役は天の川をまたにかける夏の星座たちだ。
室堂までいきなり標高を上げる。日の出までの時間もありゆっくりのんびり登っていく。
ハイマツの道を上がっていくと、室堂の手前に雪渓が。
暗くて方向が分かりにくいので注意して道に復帰。
室堂ビジターセンターも御来光という人たちがこれから動き出そうというところ。既に登っている人の灯りも2,3
見える。
まだまだ日の出まで時間があるので一息入れて御前峰の登りに取りかかる。(ここで御前峰に登って次の大汝山で御来光としていれば少し違った未来があったかも)
空がだんだん白んできて、夏山で一番いい時間帯。室堂からは続々と明かりが登ってくる。ほどなく山頂、白山比弯声勹宮にお参り。
続々と人が登ってきて、ここ1年の山で一位二位を争う賑わい(もうひとつは大文字(笑))。
北アから南ア、御嶽が一望でき、高山あたりは雲海という絶景。室堂からやって来た神主?らしき方が、日の出直前に白山の歴史や山座同定をしてくれる。
そしていよいよ御来光。立山と薬師の間から太陽が昇る。朝陽に照らされ輝きだす剣ヶ峰や大汝山、別山。
神主さんの号令に合わせてみんなで万歳三唱。
なんだが面白い体験だった。
さて、イベントが終わりみんなざわざわ動き出す中、大汝山に向けて出発。
福井方面に目をやると影白山もはっきり見られた。白山大権現の現れか。
翠が池を挟んで朝陽に輝く北アルプスを横目に、池巡りの道にちょこちょこ騙されたり、未だトラウマの残る中宮道の分岐を見送り大汝山へ。
ここまで来ると人はだいぶ少なくなる。かくして大汝権現に参り、白山三山参りが完了した。
先週は伊勢神宮にも行ったし、何かいいことはないだろうか(万馬券が当たるとか)。
気を取り直して出発
最初適当に進んでいたら健全に道を外しており、いらない登り返し。
気を取り直して、ハイマツと砂礫が広がる道を歩いていく。ほどなくハイマツは背丈ほどになるが、人もいなくなり、高山闊歩といった感じで気持ちがよい。
七倉で楽々新道を分け、いよいよ加賀禅定道へ歩を進める。
四塚山あたりが静かでなだらかな地形が続き、コイワカガミなんかも最盛期で、個人的にはハイライトだった。
すれ違いざまに少し話した人によると、結構登り返しありますよとのこと。
確かに地図でみても思ったよりある。そして数時間後に身をもって知ることとなる。
その人は楽々新道を下ろすとのこと。ふと右手に目をやると登り返しのような箇所はなさそうで、なるほど楽々といったところ。しかし、修験の道が今回のテーマなのだ。
四塚山を越えると、いよいよ加賀こと金沢の街を望むことができる。
しかし、下山地点である尾根末端はまだまだ遠い。一息入れて下り始める。
長坂の急坂を下ると一気に植生が高山帯から亜高山に変わる。ゴゼンタチバナやマイヅルソウ、キヌガサソウなどを愛でながら油池を横目に進んで行く。
油池からはトラバース気味に登り返し。疲れもあるが暑い!
天池手前の雪渓で少し涼んでひと踏ん張りで天池。水の池塘。カエルの卵らしきものもあるが、煮沸で飲用可も少しうなずける。振り返ると四塚山も遠ざかりつつある。
天池の先はところどころ林道が続く湿原帯で金沢を望みつつ、花も愛でつつとなかなかいい感じ。
展望台から百四丈の滝を見学。滝もさることながらこの渓谷の地形がすごい。
美女坂頭くらいに来ると、疲労と暑さのダブルパンチで大分やられてきて登り返しのペースがなかなか上がらないし、美女坂の下りも大分足に来る。
ひいひい言いながら奥長倉を越えて小屋に転がり込む。持ってきた粉末のポカリと行動食を頬張り、終盤戦に備える。ポカリは身体にまっすぐ届くのを実感。
小屋からは樹林内となり景色もあんまりのため、いよいよ修行といった感じ。
長倉は手前に小さいポコがあったり、ニセピーに騙されたりと半ギレ状態。
その先の緩やか下りゾーンにもちょっとした登り返しやしかり場分岐のたった20mほどの登り返しで死にそうになりながら進む。
紅葉時期に来た記憶もかすかに甦るが、懐かしむほどの余裕もない。
しかり場分岐で加賀新道と檜新宮参道に分かれるが、コースタイムが短く少しでも一里野温泉の近く降りたいという理由で加賀新道へ。
こちらはおおむねなだらかな下りの後に、檜倉の登り返しがある。
分岐で少し長めに休んだおかげか、思ったよりも余裕で越える。
道が横切った先もさらに下り。ゴンドラ終点のある山頂駅へ。当然ゴンドラは動いているわけもない。ここまでくれば300mの急坂を下るのみ。あとひと息だ思っている、遠くの道をサルが横切っていった。
山頂駅から尾根の下り口までは道が不明瞭というか、背の高い草藪漕ぎを一瞬強いられる。まったく道が分からなかったので、GPS頼りに降り口へ。
尾根に入ってからは道もはっきりするので、最後の下山パワーを振り絞り転がるように標高を下ろしていき、ついに車道に転がり出る。もうヘロヘロのヨタヨタ。
セミが鳴きしきる道を下ろしていき一里野温泉にたどり着いたが、なにやら駐車場には車がない。
あれれ、と思い入口を見ると、なんと上部での大崩落で温泉の輸送パイプが寸断されたためあえなく休業。
失意の中、13時半のバスも逃しているので、タクシーを呼ぼうと電話をするもどこも範囲外で断られてしまった。困った困った。
そんなこんなで、久方ぶりのヒッチハイクを敢行。お参りで徳が積まれたのか、10分もしないうちにジムニーに乗ったご夫婦に乗せていただくことができた。
ドライブで岐阜に抜けようとしたが、ホワイトロードが通行止めで戻ってきたとのこと。風呂には入れなかったがこれでトントンか?
最寄りの公共交通機関のある瀬女までお願いするが、なんと金沢駅まで乗せていただけることに。感謝しかありません。本当にありがとうございました。
そんなこんなで予定よりも早く金沢駅へ。駅近のアパホテルの日帰り入浴もできる大浴場で汗を流してさっぱり。
その後は海鮮丼でおなかを満たし、お土産を買い込んでサンダーバードに乗り込む。
実は初サンダーバード。
車窓から充実感と疲労感を感じながら白山を眺め、うつらうつらしているうちに京都へ。
もはや棒でしかない足をヨタヨタと引きずって家路についた。
コメント
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同じコースを挑戦してみたくなりました。
1月ぶりの山で最後はヘロヘロでした。歴史も踏まえていいルートですし、3日なり4日なりでものんびり楽しめると思います。ぜひ行ってみてください!!
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