光岳って、思いのほかいい山でした。


- GPS
- --:--
- 距離
- 16.3km
- 登り
- 2,089m
- 下り
- 2,098m
コースタイム
2日目 5:42光小屋―7:50易老岳―11:05登山口
天候 | 1日目 晴れ 2日目 晴れのち曇り、のち雨。 3日目 雨 |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2013年09月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
台風17号は低気圧に変わりましたが、日本海に横たわる前線を刺激し、各地で記録的な大雨やトルネードが発生しました。光岳の登山道よりも、登山口までの林道の方が心配される状況です。 飯田ICから矢筈トンネルを抜け、上村小学校までは問題はありません。上村小学校から迂回路の山道となります。民宿「みやした」までは通常の山道ですが、「みやした」から民宿「ひなた」へ下る道は車1台がやっと通れる道です。段々畑のようなところに民家が建っていて、ジグザグに細い道を下ります。「ひなた」からは林道赤石線を走ります。北又渡発電所の手前、大野地区にゲートがあり、監視員がいて説明して呉れます。危険個所が終わった場所にも監視員がいます。落石に注意しながら林道を進み、「ひなた」からおよそ45分で無事易老渡の駐車場に着きました。これで光岳、もう半分は登頂したようなものです。 |
コース状況/ 危険箇所等 |
コース全体を通して特別危険な場所はありません。面平までのジグザグ道、トラバース気味の道に一部道幅の狭い場所がありますが、ロープがありますので掴まってゆっくり渡れば問題はありません。易老岳までの尾根登りは長いですが、ここまで登れば別世界になります。 下りは雨の中、易老岳までは所々に水溜りがありますが、泥濘と云う程のものではありません。易老岳から急坂を慎重に下ります。面平でひと息ついてジグザグ道を下ります。ジグザグ道だと侮って足早になってはいけません。わたしはここで4回尻餅をつき、1回は弁慶のスヌをしたたか打ってしまいました。ジグザグ道で緩やかに見えますが、結構急なんです。 ここら辺りの山は、ヤマビルが多いと云うことですので、ヤマビル対策が必要です。 |
写真
感想
百名山が三つ残っています。そのうちのひとつが光岳。一昨年も昨年も登山口までの林道が崩壊し、登ることが出来ませんでした。修復工事も終わったようで今年は大丈夫そうです。ところが状況はそう甘くありません。登山口までのコース状況を徹底的に調べ、天気の状態も考えて登山日も2回変更し、これで登れなければまた来年。5時までに危険個所を通過しなければならないので、前日少々早めに出立し、順調に走って3時過ぎに易老渡に着いてしまいました。広い駐車場には5台停まっていましたが、中には誰もいません。折りたたみ椅子に座って、ビールを飲みながら本を読んで過ごしました。5時過ぎにコンビニ弁当を食べ、明るいうちから運転席に横になりました。目覚めるとまだ外は明るく、悶々と、後部座席に移ったりしましたが、やっぱり運転席の方が居心地が良いな。夜中、満天の星、明日は晴れるだろうな。
翌朝4時に起き、暗闇の中、パンと牛乳の朝食。ヤマビル対策で、百均で購入したサポータを足首に装着し、「ヒル下がりのジョニー」をたっぷり噴霧します。塩漬けタオルを首に巻き、汗拭き用にもう一丁別のタオルを。5時過ぎ、白み始めましたが森の中、ヘッデンをつけて遠山川源流に掛かる橋を渡っていよいよ登山道へはいります。まずは面平を目指して、ジグザグ道を登ります。面平に到着。ミズナラ、サワラ、ブナの巨木、イヌブナ、モミ、ツガと、豊かな森の中でひと休みです。これらの木はお面の材料になったと云うのが、面平の由来だそうです。江戸城天守閣や京都の神社仏閣にも使われたそうです。面平からは尾根道、植生が変わり、自生のヒノキ、コメツガ、シラビソ、トウヒなどの樹間から、チラチラと聖岳が垣間見えます。急になったり、緩やかになったり、下ったり、通して見れば急な尾根道。次に目指すは小ピーク。光小屋は独自のきまりがある小屋、3時までに小屋に着かないと夕食にありつけません。頑張って登ります。コースタイムより少し遅れてピークに到着。三角点の横、座りやすそうな石を選び、その周りに「ヒル下がりのジョニー」をまんべんなく噴霧。ザックを下してその石に腰を下ろします。次に目指すは易老岳、地図を広げるとコースタイムは1時間。あと1時間頑張れば尾根上に登りつく、あと1時間ぐらいは屁でもないと云い聞かせ頑張って登る。30分を過ぎ、あと半分頑張ろうと思って少し登ると柱が立っている。なんと、ここは茶臼岳と光岳の分岐だ。昭文社の地図のコースタイムはいい加減であるが、20分以上も早く着いたのでグッと気持ちが楽になりました。もうこれで森の中の単調な登り、ひたすら登り続けるだけとはお別れです。
分岐にはザックが沢山デポしてあります。コースタイムから見ても易老岳はまだ先のようです。帰りに気が向いたら寄って行こうと、光岳への道に入ります。地面を覆うシラネワラビの中、一本の道が続いています。三吉ガレは崩壊地、見晴らしは良く、振り向けば兎岳から聖岳に向かう稜線が見えます。三吉ガレから少し下った平坦な場所でひと休み。三吉平にしては近すぎます。そこから登ったり下ったりを繰り返し、どうやらここが三吉平。ヤマビル除けのスプレーをし、ザックを下して石に腰をおろします。昨日SAで買ったオムスビ、賞味期限は昨日の11時となっていますがお構いなく食べます。下ってきた団体さんも、わたしの周りで休んで食事を摂り始めます。聞くと、総勢24名、高知からやってきて、聖岳、茶臼岳と縦走し、今朝4時に茶臼小屋を発って光岳に登って来たと云いいます。見れば60は過ぎているような方ばかり、その元気さに感服。分岐にデポしてあったザックは、この人達のもののようです。
三吉平から岩ゴロゴロの谷筋の道を登ると、周りの景色は一変。ここからが光岳の真骨頂、眺望が一気に開けます。「南限のハイマツ」が広がり、霧に霞んだ幽玄の世界に入ります。ここは南アルプスの最南端、太平洋の湿った空気が霧を呼びます。静高平の水場は水量豊富、音を立てて流れています。明日の為に水を補給。ここまで来ればもう大丈夫、イザルヶ岳に寄り道をします。背の高かったハイマツも、ここでは低く、美しい緑の絨毯が広がっています。ここのみどりは元気です。だだっ広いイザルヶ岳山頂、晴れていれば富士も望めるといいますが、今は乳白色の中に沈んでいます。地面がモコモコした亀甲状土からなるセンジヶ原には木道が伸び、霧の中に消え行きます。天空の回廊、光岳っていいとこだったんだ。霧の中に光小屋が浮かんで見え、予定より随分早く到着しました。光小屋は新しくって奇麗で、頑丈そうな小屋です。チェックインしてから空身で山頂を目指します。小屋番が、「カッパを着て行った方がいいよ」と送ってくれます。云われたとおりすぐに雨となりました。箱庭の中、10分ほどで山頂です。山頂は木々に囲まれ展望は無く、南アルプスの山頂に立っているとは思えません。すぐ近くに展望台があります。そこへ行ってみました。大岩からの展望、真っ白でした。
小屋に戻ってビールを頼むと、飲料水は一切ありませんと云う。小屋開け時にヘリで運んだきりで、8月20日頃に全て売り切れたとの事です。誠にガッカリです。お話し相手をして下さった男性も残念そうでしたが、わたしの持参のブランデーを分けあって喉の渇きを我慢しました。酔いに任せてお話しをしました。岐阜県多治見の山の会のお二人で、男性は74歳のTさん、女性は多治見のIさんで76歳との事。便ヶ島から聖に登り、茶臼岳を縦走して来たとの事。そしてこのテカリで百名山達成と云う事です。Iさんの記念すべき日に立ち会うことができ、元気を分けて頂きました。Iさん、Tさん、有難う御座いました。これからも登り続けて、またどっかの山で飲み比べをしたいもんですね。
夜中、雨が屋根を叩き、雷鳴が轟きます。翌朝、雨の中を下山。易老岳に寄ってきましたが、そこは分岐から1分も必要としませんでした。面平からは何回か尻餅をつきましたが、無事登山口に帰りつくことが出来ました。百均のサポーター、首に巻いた塩漬けのタオルを取り、お陰でヤマビルに襲われなかったことに満足しました。靴下と靴を代え、外でパンをかじり、運転席に座ると、右腕の長袖の上を尺取り虫が。いつ付いたのかヤマビル、指先で弾き飛ばしてあげました。意気ようようと駐車場を発ち、林道を走ります。と、右足の靴下の中がチクリとしました。ん?これはひょっとすると。車を停めて靴下を下ろすと、案の定、ヤマビルが気持ち良さそうに丸くなっています。まだ赤くはなっていません。「ヒル下がりのジョニー」を吹きかけると、ポトリと落ちました。どうやら駐車場で拾って来たようです。
「かぐらの湯」で汗を流して、帰りは阿南から天竜峡、飯田山本ICから中央高速に乗りました。
「ヒル下がりのジョニー」大活躍!
*\(^o^)/*
ビールはないけど、良い方々との出会いがありましたね。
そして、やっぱり雨…。
おつかれさまでした。*/
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