大キレット(上高地〜槍沢ロッヂ〜南岳〜穂高岳山荘〜新穂高温泉)
- GPS
- 56:00
- 距離
- 30.3km
- 登り
- 2,136m
- 下り
- 2,553m
コースタイム
14日:槍沢ロッヂ(4:45)〜ババ平(5:35)〜大曲(5:55-6:00)〜天狗池分岐(6:45-6:50)〜天狗池(7:25-7:30)〜横尾尾根のコル(8:05-8:10)〜主稜線(8:50-8:55)〜南岳(9:05-9:10)〜南岳小屋(9:20-9:25)〜長谷川ピーク(10:35-10:45)〜北穂小屋(12:00-12:30)〜涸沢分岐(12:40)〜最低コル(13:25-13:30)〜涸沢岳(14:30-14:40)〜穂高岳山荘(13:55)
15日:穂高岳山荘(4:55)〜荷継沢(6:20-6:25)〜重太郎橋(7:10-7:15)〜白出沢出合(7:55)〜穂高平小屋(8:25-8:30)〜新穂高バスターミナル(9:05)
過去天気図(気象庁) | 2011年08月の天気図 |
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アクセス |
利用交通機関:
電車 バス
松本〜上高地 \2,400 新穂高温泉〜平湯 \870 平湯〜新島々 \1,900 新島々〜松本 \680 松本〜淵野辺 \3,570 |
写真
感想
大キレットはいつか達成したい念願でした。しかしなぜか自分には手の届かないものではないか、というようにも思っていました。ネットで見ても大変だった、というレポがかなり多くて楽勝だったというのは少ないですよね。
思い切ってチャレンジすることにしたものの、ルート選定もまた大変。新穂高から槍平を初日にした方が全体的に縮められますが、主稜線に登るのに先に安房峠くぐってしまうのはどうしても趣味ではなく、上高地〜槍沢ロッヂを初日としました。
さて、出発初日。今回は少しでも早く出ようと淵野辺の始発で行きます。松本から上高地線の接続時間がかなり短いのが不安でしたが。
自宅を3:30に出て、淵野辺でとりあえず一番高い切符(\1,620)を買い、電車に5:00過ぎに乗ります。八王子で乗り換えて高尾から中央線。寝たと思ったら大月で乗り換え。次も寝たと思ったら甲府でした。さすがに睡眠不足だと電車で爆睡できますね。誤算だったのは中央線で車内精算が来なかったこと。松本はJRとアルピコの乗り換えに改札がないので、実際電車降りてアルピコのホームにダッシュする手もあったのですが、新島々で淵野辺からの切符出してどうなるか不安がぬぐえず、結局松本の精算所で時間をくわれてしまい、気づいたらもう新島々への電車は出てしまっていました。ま、仕方がない。次の電車に乗っても新島々発のバスに接続していないので、松本からの直通に乗ることにします。微妙に時間が出来たので早い昼食を近くで取り、バスターミナルで切符を買ってバスの列に加わります。さすがにお盆の上高地、並ぶ人も半端ではないですね。しかしバスも複数出ているようで、席を確保できたのは2台目でした。若干市内渋滞していますが、そこそこ流れてバスは上高地へ。途中新島々で誰も待っていなかったので、推測ですが新島々からも臨時のバスが出ているのではないでしょうか。
さて、釜トンネルを過ぎるといよいよという感じが高まります。大正池からは雲の切れ間から穂高が望まれ、さらに期待感が。上高地でバスを降りると既に12:00を回っていますが、慌てても仕方がない。トイレ・水の準備・登山者カード・準備体操。ここは施設は全てそろっているのは助かります。この間はザックカバー買っちゃったし。
大変な人ごみの中出発。河童橋から小梨平を通って明神へ。明神まではとにかく人が多く歩きにくい。それでも意外と早く着きました。明神岳が印象的です。
ここを過ぎると驚くほど人が減ります。皆さん明神池を見に来てるのでしょうね。確かに雰囲気いいところですし。道には人ではなくてサルの大群が。50匹以上はすれ違ったかな。こわいですね。観光客が襲われた、なんてニュースは聞いたことがないので大丈夫なんでしょうけど。目を合わせないのがいいのか、良く分かりませんが襲われないことを祈りながら歩きます。何とか無事を通過。徳沢から横尾へ。横尾に3時前に着いて一安心。この先は高校生のとき歩いて以来。実に21年ぶりです。その時間の経過がショックでした。蝶ヶ岳への道をすぐ分け、沢沿いに進みます。意外に早く槍見河原。確かに槍が見えます。遥か遠くに。本当に遠い…。
間もなく一ノ俣を渡ります。昔の地図には常念へ登る道がついてますが、今ではどこから登るのか良く分かりません。美しい沢のようですね。続く二ノ俣の方が立派な橋がかかっています。美しい槍沢を見ながらの歩行が続きます。
ロッヂ直前になって傾斜がきつくなります。一踏ん張りでロッヂに到着。外に人があふれています。不安に駆られます。とりあえず受付。素泊は\6,000です。部屋は4畳に6人。ザックを廊下に置けばまあ寝られますね。早々に食事。自炊場は小さいですが自炊の人が少ない様で空いていたのは助かりました。
翌朝。4時前に起床し食事をすませ、5時前に出発。間もなく明るくなってきました。少し歩けば槍の穂先が姿を見せます。
槍沢を詰めるに従い徐々に傾斜がきつくなります。いつのまにか周囲はお花畑。
穂先を目指す人々と分かれ天狗原への道に入るとすぐに大きな雪渓をトラバースし、その後は徐々に登っていきます。この辺りもお花畑だらけ。
ふと後方を見ると息を呑むような槍の穂先の荘厳な姿が。疲れも忘れてしまいます。
天狗池の東岸にたどり着き、南側をぐるっと周ります。池の西岸から槍ヶ岳を見ると・・・。見事な逆さ槍。感動で言葉もありません。
ここからはいよいよ本格的に登り始めます。
横尾尾根に乗り、主稜線をひたすら目指します。前方にはこれから向かう北穂のなんとも怪異な山容と前穂北尾根。
急登に耐えること1時間。やっと主稜線に乗り、南岳に到着。東は素晴らしい展望でした。西の大笠は微妙に隠れてしまい残念。
さて、小屋で水を買って暫し休憩。心の準備。獅子鼻から大キレット展望。さすがに迫力がありますね。北穂の飛騨側絶壁を見てるとちょっと背筋が寒くなります。
下りにかかります。全体的に小石が多く、足を置くとずれるので非常に歩きづらい。前にも人が多いですから、落石させないように慎重に進みます。危険なところもありますが、ほぼ鎖があるのでゆっくり進めば問題ありません。ハシゴに到着。さすがにこれは高度感があります。下りだからよいですが登りだったら途中でバテそう。ハシゴ2本降りるとほぼ下りは終了。下りきって振り返るとなかなかのものです。
ここからしばらくキレットの底にあたる稜線上の道。ヤセ尾根と言えばそうですがまず問題ありません。しばらく行くと鎖のある岩のピークの登り。登りきったところで渋滞になってます。ここが長谷川ピークでした。写真で見るよりは怖くありませんでした。フラットなナイフリッジをしばらく進み、鉄のステップのついた一枚岩を下ります。ここが多少高度感あります。
下りきって広くなったところがA沢のコル。いよいよ北穂の登りにかかります。まず正面から取り付きます。一気に登って行きます。岩場ではありますがごく普通の道。どうやらこの辺が飛騨泣きらしいんですね。本当にたいした事なかったんですけど。登りと下りで相当印象は違うと思います。その後信州側に巻く感じの道になり、最後の登り。ここはとにかくきついです。足上がらない。300m下っての登り返しだから、険しさだけではなく肉体的にもかなりハードなんですね。ほんとヘロヘロになってやっと北穂小屋。達成感はあることはありますが、それよりも長年の目標があっけなくクリアされてしまって何だか寂しさが沸いてくるような複雑な気分でした。
大キレットの感想は、まあ期待通りでしたね。危険なところにはちゃんと鎖があるので。前穂の山頂単独で行ける人だったらゆっくり進めば全く問題ないでしょう。体力的にかなりハードなのでそっちの方が重要ではないかと個人的には思いました。
さて、北穂小屋で昼食をとり大休止。ここで終了も頭をよぎりましたが、時間がまだあるので穂高岳山荘に進むことにしました。HPで今日は穂高岳山荘混雑、とはっきり書いてあったので不安も若干ありましたが、ここで泊まっても一緒だし、と自分を説得。まずは北穂山頂へ。携帯通じたので家へメール送信。
ここから先も岩場が続きますが大キレットに比べれば高低差がぐっと小さくなるので気楽です。この辺からガスが結構出てきて展望はなくなってしまいました。
まず信州側を巻いて涸沢への分岐をすぎ、南峰へ若干登り。緩く下って行きます。ドームは信州側を巻きます。顕著なピークではありますが、ドームには見えないかな。最低コルまで徐々に下って行きます。ときどきガスが晴れると目の前に巨大な三角の壁が。涸沢岳の登りが手ごわそうです。あれをどう巻くのかな、と思いましたが、なんと結構正面から登っていくんですね。三角形の信州側の辺に沿って登っていく感じ。ぐいぐい高度が上がりますが、この辺から大渋滞。休憩しつつ登れるので楽と言えば楽ですが暇でした。やがて道が飛騨側に変わり、ピークの飛騨側を巻きます。涸沢岳と思って登ってたのは涸沢槍だったようです。再び道は信州側に変わり、最後の登りはとにかく狭いルンゼ状の直登。オーバーハングと書いてある本がありましたがそれは大袈裟かな。
すっかりガスの中になってしまいましたので小屋へ下ります。予想通り小屋では受付の大行列。6畳の部屋に10人で寝ることになりました。しかも1畳の寸法が小さいような…結局たまらず談話室に移動。大椅子に座って寝てました。ちょっと寒かったけど。
翌朝。ガス晴れたかな、と外に出たら昨年同様真っ白け。この小屋とは当りが良くないかもしれませんね。仕方ないので新穂高へ下り始めます。大石だらけの超のつくような急斜面。あっと言う間に小屋は遥か上になってしまい、忘れ物気づいても絶対戻りたくない、と言う感じです。30分ほどすると一気に晴れてきました。前方には昨日見られなかった大笠。やはりカッコいい山ですね。
とにかく浮石の多い急な下りが続きます。幸いなことに雪渓あるところは右岸を高巻き。やっと落ち着いて歩ける傾斜になったところが荷継沢。先行者はさらに沢沿いに下って行きました。とりあえず休憩していたら右岸の山すそから人が。どうやらこのすぐ下が滝なのでここから大きく高巻きするようです。この人来てくれなかったら完全に間違えてましたね。鉱石沢をわたり、プチ下廊下と言う感じの崖上の道になります。壁面に鎖があるので良いですが、なかったらここ相当怖いと思います。しかし花が美しく咲いていました。
ハシゴを降りると重太郎橋で左岸へ渡ります。穂高岳山荘の御主人が開いた道とのことです。山荘の場所はHPで白出沢のコルとうたっているし、HPにこの道の状況が詳しくあったりして、この道は穂高岳山荘にとって特別な存在だな、と言うのは感じられます。しかし重太郎新道にも名前が残っていて、凄い人だな、と思うほかありません。
間もなく林道に出て、穂高平小屋から少し登山道を下って意外に早く新穂高に着くことが出来ました。平湯で少し早い昼食にして、帰りも鈍行で帰宅。諏訪湖の花火の日だったようで、岡谷から茅野あたりまで大変なことになってました。
山好きとして一つの節目になったと強く思います。忘れられない山行になりました。
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