仙丈ケ岳・甲斐駒ケ岳(北沢峠・七丈小屋でテン泊)
- GPS
- 56:00
- 距離
- 20.4km
- 登り
- 3,138m
- 下り
- 3,077m
コースタイム
6:40北沢峠6:45
6:50北沢駒仙小屋7:50(テント受付・設営)
8:00北沢峠8:00
9:30大滝頭9:35
10:30小仙丈ケ岳10:35
11:30仙丈ケ岳山頂12:00
12:15仙丈小屋12:30
13:05馬の背ヒュッテ13:15
13:55大滝14:00
15:10大平山荘15:15
15:30北沢峠15:30
15:45北沢駒仙小屋
13日(2日目)
北沢駒仙小屋6:00
6:35仙水小屋6:35
7:10仙水峠7:20
8:55駒津峰9:05
10:35甲斐駒ケ岳山頂10:50
12:00御来迎場12:00
12:40七丈小屋
14日(3日目)
七丈小屋7:00
7:45御来迎場7:50
9:15甲斐駒ケ岳山頂9:30
10:50駒津峰10:55
11:30双児山11:35
12:55北沢峠
合計距離: 20.36km
累積標高(上り): 2878m
天候 | 3日間とも晴れ |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2013年10月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
電車 バス
|
コース状況/ 危険箇所等 |
北沢峠から甲斐駒ケ岳 仙水小屋から先の樹林帯を出た所のガレ場で、ルートが不明瞭な箇所あり。 駒津峰から先の直登orマキ道の分岐では、手足が短い人はマキ道を選ぶのが吉 |
予約できる山小屋 |
|
写真
感想
先日、涸沢で初めてのテント泊山行を無事に終え、次はテント泊の荷物を背負ってちゃんとピークを踏みたいなぁなどと欲が出て来た今日この頃。
2週間前の涸沢が5〜6分ほどの紅葉の色づきだったこともあり、もしまた北アに行けば見頃を過ぎてしまっているかもしれないと思い、今回は南アルプスに照準を定めた。
また、今回はテント場の雰囲気にもこだわりたい。
川のせせらぎを聞きながら食事がしたいなぁとか、ひっそりとした森の中で静かに過ごしたいなぁとか、今までの山行とは違った視点で山のことを考えるようになっていた。ある程度の標高差を登れる山で、かつ魅力的なテント場がある山はないかと探していると、甲斐駒ケ岳の七丈小屋のテント場の写真に辿り着いた。
山の中腹付近にあり、下界や周囲の山が一望できる絶好のロケーションのようだ。気象条件にもよるが、朝は雲海も見れることもあるらしい。
ここを今回の山行の一番の目的地として設定し、計画を立てた。
また、今回は3日間の計画を立てられるため、すぐお隣の仙丈ケ岳にも登ることができる。
この仙丈ケ岳、自分の好きな沢沿いのルートがあったり滝が見れたりと、自分の頭の中の“いつか登ってみたい山リスト”の中に入っていて、実は3000m峰デビューはこの仙丈ケ岳にしようと以前は考えていた山なのだ。
仙丈ケ岳は日帰りでも登れる山だし、甲斐駒の七丈小屋に早く着いて展望の良い場所を確保するために出来るだけ早く出発した方がいいと考え、1日目に仙丈ケ岳、2,3日目に甲斐駒ケ岳に登ることに決めた。
出発は前日の金曜日。
仕事を定時で終え、コインロッカーに預けておいた60リットルのザック取って新宿からスーパーあずさに乗り、甲府駅前のビジホに泊まった。1日目に仙丈ケ岳に登り、日が暮れる前に北沢峠に戻って来るためには、朝4時20分の始発の広河原行きのバスに乗らなければならないのだ。
朝4時過ぎにバス停に着くと、既に人が大勢いて驚いた。
以前、北岳に行ったときは人が多くてバスの台数が追いつかず、35分も遅れて甲府を出発して当初の計画を狂わされることになってしまったが、今回は時間ピッタリに出発してくれた。それでもこの始発便はバス5台での出発となった。登山客はゆうに100人はいるだろうか。まだ夜が明けてもいないのに、山に向かう人たちもバス会社も本当に凄いと思う。頭が下がりますわ。(俺もか?)
広河原には予定よりも早く到着したが、北沢峠行きのバスもそれに応じて早めに出発してくれたこともあり、30分も早く北沢峠に着くことができた。
まず、北沢駒仙小屋へ向かい、先にテントを張って、それから仙丈ケ岳に登る。
この北沢駒仙小屋のテント場も実に良い。テント場のすぐ近くに川が流れていることもあり、自分が思い描いていたようなテント場ですぐに気に入ってしまった。
朝早くテントを片付けて出発した人が多かったのか、川沿いのベストな場所にテントを構えることができた。ここで今日の夜までのんびり過ごしてもいいくらい・・・などという邪念を振り払い仙丈ケ岳へ向かう。
途中の大滝頭までは1時間半の道のり。道も分かり易く、難なく登って来れる。
樹林帯を抜けると展望が開け、甲斐駒をはじめ、鳳凰、富士山、北岳などの山々が姿を現す。
特に、甲斐駒の出で立ちには感動した。今まで、北岳と鳳凰からも甲斐駒の姿を見てきたが、全然なんてことのないただの山という印象しかなく、みんな甲斐駒カイコマって何でそんなに特別視するんだろうと不思議で仕方なかったが、ここで今甲斐駒の姿を見て初めてその理由が分かった。
ひと言で言うと“山らしい山”、“The 山”って感じ。とにかく、出で立ちが抜群に格好良い。“君臨する”とかいう言葉を使ってみたくなる。甲斐駒はそんな山のように感じた。また、頂上付近の岩肌の白さもその個性を際立たせていて大変印象深い。しばし、足を休めて富士山などそっちのけで見入ってしまった。
いい加減で見とれるのを止め、歩を進める・・・が、ゆっくりしたペースになってしまう。たびたび後ろを振り返り、甲斐駒の姿が標高が上がるにつれて少しずつ変化していくのを楽しんでいた。
気が付けば、あっという間に登頂。日本で数少ない3000m峰なのに、1000mも登ってきたのに、こんなに易しい山道もあるんだなと正直驚いた。
山頂には、何故かスーツ姿の人やカップルで昼寝をしている人がいたりして、何とものどかな雰囲気だ。高尾山とかの低山に来たみたい。
しかし、周りに目をやると南アルプスの山々や富士山、甲斐駒の後ろに聳える八ヶ岳連峰などの展望が素晴らしく、やはり高山に来たと実感させられる。
下山ルートは別の道を進む。仙丈小屋と馬の背ヒュッテを越え、沢沿いのルートに出た辺りからとても綺麗な紅葉がお出迎えをしてくれた。
そこから少し下ると藪沢大滝に出たが、周囲の葉の色はまだ色づいておらず、紅葉の見ごろと言うのは本当にわずかな期間なんだなぁと実感した。
やがて、大平山荘に到着し、そこから北沢峠への近道を通って自分のテントに帰ってきた。
朝にテントを張った時よりもテントの密集度が高くなっていた。しばらく、テントの中でゴロゴロしながらデジカメの写真を見て振り返ったり食事をしたりした後、就寝。7時にシュラフに潜り込んだ。
明日は甲斐駒の頂を目指すのだ。今日の山行で、今までとは比べものにならないくらい甲斐駒に対する期待が高まっていた。
2回ほど夜中に目が覚めたが、翌朝は4時前に起き、6時前にテントを畳み終えた。
6時スタートというと遅く感じたが、周りを見渡すと少しもテントの数は減っていない。
その時はちょっとホッとしたが、今になって考えると仙丈か甲斐駒に空荷で出て行った人が多かったのかも。
仙水峠でひと息入れ、駒津峰までかなりのスローペースでやっとこさ登ってきた。
ここでの甲斐駒の展望がまた素晴らしい。仙丈ケ岳から見た甲斐駒もとても良かったが、ここから見る方が距離が近いだけあって、一段と甲斐駒の雄大さを感じ取ることができる。
また、甲斐駒に背を向けると、昨日登った仙丈ケ岳がよく見えた。確かに、女王の異名を取るだけあって何処となく緩やかで優しい雰囲気が感じられる。
表現が難しいが、例えて言うならば、甲斐駒と仙丈はまるで夫婦のよう。
夫の甲斐駒を立派に引き立て、縁の下の力持ちのように振る舞う仙丈ケ岳。しかし、実質的に標高が高いのは仙丈の方。家庭内の実権は妻の仙丈が握っている・・・みたいな感じ。
う〜ん、この隣り合う二つの山はまさに夫婦の縮図や。まぁ、縮図というほど小さくはないんだけど・・・
とか何とか考えながら歩いているうちに直登コースと巻き道コースの分岐点に辿り着いた。
特に深く考えずに直登コースを選んでしまったが、やはり直登というだけあって岩場が多く、大きな岩の隙間をザックを挟まれたりしながら何とか乗り越えることができた。
ここを乗り越えればあとは頂上はもう間近。山頂にたどり着いた。
山頂はやや人が多かったが、晴天だった事もあり周囲の山々の展望に大満足であった。
少し長めに休憩を取った後、七丈小屋へ向けて歩を進める。
下りで若干膝が痛くなったものの、何とか小屋に到着。テントを建て、ひと仕事終えるとビールが飲みたくなったので小屋に行くと、食事は出していない代わりに、カップラーメンやらお湯を入れて出来るパスタやらスナック菓子やら、酒のつまみになりそうなものが並んでいたので、ペヤングを買ってお湯をもらいビールを開けた。と、不覚にもここで初めて湯切りのお湯をどうするかに気づく。主人に聞くと、その辺に捨ててよいと言われたので水場まで行ってお湯を捨てたが、どうにも後ろめたさが残ってしまった。
山を管理する人間がペヤング売っちゃダメだろ〜。まぁ、それに気づくのが遅かった俺も問題だが。
最終日の朝は3時半頃に起きて、朝日が昇る前に食事を済ませ、カメラを構えて東の空が明るくなるのを待った。気温は2〜3℃くらい。
朝日が昇る間、撮影場所を変えたりパッキングをしたりしながら何度もシャッターを切る。周りのテン泊の人たちは山頂での御来光を狙ったのか、人っこ一人おらず、ここでの御来光はまさに独占状態。夢中になって撮っていると気が付くと7時近くになっていた。
7時ちょうどに撤収を終え、再び甲斐駒頂上を目指す。
山頂で御来光を見て来た人とすれ違いながら、鉛のように重い体を何とか頂上まで運んできた。
スタートが遅かったので、山頂に着いたのが昨日より1時間くらいしか違わなかったため、特に前日と変わらない風景になってしまったが、相変わらず山頂にいる時は気分がいい。
帰りは巻き道を通り、双児山ルートで下山。
疲れからか、若干膝が痛んできたこともあって標準タイムを少し超えてのゴールとなった。
今回の山行の一番の収穫は、やはり何と言っても甲斐駒の雄姿を堪能できたことに尽きる。
今度は季節を変えて、大仙丈ケ岳やアサヨの方から進路を取り、徐々に迫りくる甲斐駒を堪能しながら山道を歩いてみたいと思う。
おしまい
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