晩秋の四国アルプス縦走【後編】瓶ヶ森〜石鎚山
- GPS
- 26:01
- 距離
- 23.2km
- 登り
- 2,303m
- 下り
- 1,432m
コースタイム
【day2】0630シラサ峠-0650伊吹山-0710よさこい峠0715=0740土小屋0745-0850東稜基部-0905二の鎖小屋0925-0945石鎚山(弥山)-1000天狗岳1030-1105夜明峠-1125一軒茶屋-1200八丁坂鞍部-1220成就社-1240ロープウェイ山頂駅-1300西之川バス停1430=1500黒瀬湖1600=1700観音寺1830=1930宇多津2058=2102坂出2144=(車中泊)
【day3】=0645横浜
天候 | day1 快晴 day2 曇り時々晴れ day3 曇り |
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過去天気図(気象庁) | 2013年11月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
電車 自家用車
ケーブルカー(ロープウェイ/リフト)
山頂成就〜山麓下谷 石鎚登山ロープウェイ(片道1000円) 西之川バス停〜宇多津 レンタカー 宇多津〜坂出 JR予讃線(片道200円) 坂出〜横浜 JRサンライズ瀬戸号(のびのび座席、往復約25000円) |
コース状況/ 危険箇所等 |
■道の状況 7月の集中豪雨と9月末から5週連続ヒットした台風のせいで、四国の山はどこも土砂崩れで林道や登山道が荒れています。高知県いの町に問い合せたところ、7月から瓶ヶ森林道が落石のため通り抜け不可になっており、10月26日からは土小屋〜よさこい峠間で通行止めになっていて復旧未定とのこと。また愛媛県西条市に問い合わせたところ、東之川登山道は通行不可、西之川登山道は注意喚起のみとのことでした。しかしながら、実際現場に行って見ると、西之川ルートは瓶ヶ森頂上付近では「通行止め」の看板が愛媛森林管理署によって立てられており、よさこい峠では通行止めの張り紙をしたゲートが開いていて事実上通行制限なしになっていました。。。orz ちなみ歩いてみた感じでは、注意して歩けば全く問題ないです。。。それよりも瓶ヶ森林道と平行して走っている登山道の笹薮が深くて難儀したっつーの。 ■温泉 石鎚山温泉とはどんなもんかと思って、京屋旅館さんに入ってみました。入浴料500円ですが、濁り湯の泉質はともかく、ばーちゃんちの風呂に入ったみたいで風情ゼロです!バスで来たのならともかく、車で動けるなら、もっと麓に降りてから湯之谷温泉に立ち寄れば良かった! ■飲食店 西条市に出る途中の道路沿いには何もないので、宇多津に向かう途中の観音寺にて「道の駅とよはま」に立寄り、「瀬戸内の地魚と旨い舎利」という看板に惹かれて「回転寿司ここも」に入りました。ネタはまあまあレベルですが、国道11号線沿いにあって便利なのか、観光客よりは地元の人で結構繁盛して18時過ぎには待ちも出ていました。 |
写真
感想
四国アルプス縦走4日目ともなると疲れが出てくる&天気も下り坂予報だったので、シラサ峠に泊まって瓶ヶ森と石鎚山は車でできるだけ標高の高い登山口までアプローチして、さくっと歩く、もし雨が降ったら瓶ヶ森林道と石鎚スカイラインの紅葉ドライブでいいや、という不届きな作戦を立てていた。
しかし剣山系の縦走を終えて、高知県いの町に道路状況を確認すると、依然としてよさこい峠〜土小屋間は通行止めだという。そうなってくると、香川県からシラサ峠と土小屋にアプローチするのは絶望的にめんどくさいではないか。しかも祖谷の山道ドライブにかなりウンザリしていたので、あまり高知側の道路に深入りしないほうがいいな、と直感的に思った。
そんなわけで作戦を練り直し、ちょっとキツイけど西之川から瓶ヶ森に登ってシラサ峠に泊まり、登山道を歩いて土小屋まで移動して石鎚山にアタックして、成就経由で西之川に降りてくるクラッシック周回ルートで行くことに決めた。
石鎚ロープウェイのある西之川まではいよ西条ICインターからあっという間に着いた。さすがに紅葉期の観光地だけあって平日でも人の数も車の数も多い。京屋旅館の駐車場に停めようとしたら、1泊2日で1000円だというので、それはあまりにも高いな、と思って西之川バス停の奥の駐車場(空き地?)に停めた。そして林道を進んで行くと、車両通行止めの看板の脇にひっそり「登山道が荒れているのでしばらく入山をお控え下さい」という立て札がしてある。道を誤ったかと思って、バス停の付近で掃除をしていた近所の方に様子を聞いたが、西之川登山道がつぶれたという話は聞いてない、東之川はしばらく前から工事しているけど、、、とのこと。念のため、立て札に西条市観光課の電話番号が添えてあったので電話して聞いてみると、台風の影響で道が荒れているが、通行禁止という情報は聞いていない、十分注意して通過してください、とのことだった。
役所にお墨付きをいただいて、安心して歩き出す。もう昨日の下山道みたいな怖い思いはしたくないから。(詳しくは四国アルプス縦走【前編】を参照のことhttp://www.yamareco.com/modules/yamareco/detail-365517.html)
舗装道路が終わっていよいよ山道に入ろうかというところで、今度は「まむし道」という立て札にひるむ。全く何にも対策してこなかったぞ。。。いざとなったらストックで体を大きく見せたりするとびびらす効果あるかな。しかしそんなことは、目の前のきつい樹林帯歩きに集中していたらすっかり忘れてしまった。写真で見る限り、瓶ヶ森はなだらかで優しい山容をしている。だからきっと登りやすいだろうと勝手に決めつけていたが、よく考えたら標高差1400mもあるではないか。これは富士山とか北岳の登りに匹敵する標高差だ。。。縦走4日目の体には厳しいけど、だましだまし行くしかない。それにしても人っ子一人通らないな。鳥越まではきついけど、それなりに整備された登山道をただただ歩くだけ。その先でルンゼ状の岩場まじりの急登をジグザグに詰めて行くのだが、これがちょっと崩れていたり歩きにくかったり段差があったりで両手両足を使わないとならなくなる。コースタイム1時間のところ、1.5時間ぐらいかかってようやく明るく平らな所に出たと思ったら、そこが瓶壷と呼ばれる山名の由来にもなった水場だった。そこで第一ハイカー発見。というか、発見された?「あらあなた、そっち側通行止めの方から来ちゃったの?」言われてみて、確かに黄色いテープが張ってあり「通行止め」とはっきり書いてある。愛媛森林管理署が、そう決めたらしい。でもこの程度の荒れ具合なら過保護すぎるような気もするけどなあ。
4時間半かかって辿り着いた瓶ヶ森の氷見二千石原は、それはもう夢のように清らかな美しい笹原で、今までの暗い樹林帯とのあまりの格差に目がくらくらするほどだった。こんな平和なところがあったのかー。しかも誰ひとり歩いていない。ザックをデポし、のんびり歩く。笹の間から、ウラジロモミがヒョコヒョコと生えていて、それがまた超絶かわいらしい。眼下には真っ白な雲海が沸き立ち、その上に青く顔を出しているひときわかっこいい山塊が見える。もしや、あれが石鎚山???遠くない???明日あんな遠くまで歩けるのかな?
そのまま氷見二千石原で遊んでいても良かったのだが、一応瓶ヶ森(女山)の山頂を目指す。あそこまで行けば、反対側の景色も見えるだろうから。果たして、その反対側の景色がまた、素晴らしかった。今回、瓶ヶ森林道が壊れていて行くことのできなかった、伊予富士、寒風山、笹が峰へと続く尾根がすっかり見える。その中腹を走る林道、見るからにドライブしたら気持ち良さそうだ。この稜線もいつか歩いてみたいなー。
そうこうしているうちに4時をまわってきたので、暗くなる前に避難小屋に着こうと、シラサ峠を目指して下山開始。これがまた、ヤブヤブとは噂に聞いていたので時間がかかっても車道を行こうかどうしようか迷った挙げ句、山道を選んだのが失敗だった。腰の高さまで来る笹をかきわけ、刺のあるバラ科の植物にひっかかれ、つるべ落としに落ちる夕陽にあせり、なんとか暗くなる前に小屋にはついたのだが、途中でザックから落とし物をしていたようで、ヘッドランプとファーストエイドと洗面用具を入れていたスタッフサックが消えている!えー!これから水場へいって水も汲まなければならないし夕飯もつくらないといけないのに。
ちなみに、山荘しらさの外に水道の蛇口はあったけど、ひねっても水は出てこず。近くに沢はあるけど、水量が少なくてあまり流れていないから飲めるとは思えず。仕方なく山荘に入ってロビーで「すみませーん」と何度か声をかけたが誰も出てこず。背に腹は代えられず、洗面所からお水をくませてもらった。真っ暗な小屋で、今夜もひとり。幸い2009年に建てられたばかりの避難小屋はとてもきれい。Tライトキャンドルをひとつつけたけど、料理ができる明るさではない。困ったな、、、と、iOS7にトーチ機能がついてたことを思い出す。これが結構明るくて助かった。水と明かりがあればなんとかなるもんだ。避難所生活みたい。。。
翌日、縦走5日目。
5時起床、外は星がまたたいている。本日は自分の誕生日だ。今年も山の中だ。わーい。そんなわけで、朝からパンケーキを4段重ねに焼いて小さくお祝いする。そして外が十分明るくなるのを待って行動開始。薮漕ぎにそなえて雨具を装着し、土小屋への5キロ余りを目指していざ伊吹山へ登り始める。と、なぜか綺麗に刈り払いがしてあり、肩すかし。この何の変哲もない小さく平らな山頂でピクニックでもするのか、よく整備されている。しかしそこからよさこい峠に降りる道はまたしても腰から胸あたりまで迫る笹薮で、想定通りぐっしょり濡れた。なんでこうなんだ。。。
よさこい峠には土小屋方面にゲートがあったが、開いており、そこには通行止めとはっきり書いてあった。通れるのか、通れないのか、はっきりしないが、誰もいないのをいいことに、そのまま車道を進む。なるべくなら山道に入らず、このまま車道を歩きたいな、、、と思っていたら、何と対向車がやってきた。手をあげて停まってもらって、道路状況を聞いて見ると、工事箇所はあったが別に危険はなかった、土小屋にも通行止めの張り紙がしてあったがゲートが開いていたので来てしまった、よくわからん、と言っていた。よくわからんけど、歩けるならありがたい。ってことでお互いの無事を祈って歩き出すと、なんと後ろから車が来た!ここで秘技ヒッチハイク。若い男の人で、ひとりで紅葉を見にドライブに来たとか、通行止めのことは全然知らなかったとのこと。快く土小屋まで乗せてくれた。ありがとう!助かりました!
土小屋に着くと、ものすごいガスと強風にあおられて、急いで防寒具を取り出した。大丈夫かな、この天候でクサリ場通過できるかな。しかし登山道に入ると木々に守られて穏やかに歩くことができた。しかもゆるゆるとしたトラバースがえんえんと続く。なるほど、周りを見ても歩いているのは年寄りばかり。あっという間に東稜基部、そして二の鎖小屋までの4キロ余りの道を歩いてしまった。ここで重たいザックはデポして、身軽になってクサリ場にトライ。土曜日ではあったが幸い早い時間だったので、まだ渋滞も発生しておらずあっという間にクリア。残念ながら三の鎖は工事中で通行不可、巻き道で弥山にあっけなく登頂。あまりの簡単さに拍子抜けしてしまう。しかし相変わらずのガスガスでいつもヤマケイとかでお馴染みの天狗岳の穂先がよく見えない。それでも記念受験的にいちおうタッチしに行って、記念撮影して、さらにもう少し先のピークまで行ってみたがやはり何も見えず。弥山に戻るといつのまにか大量の人が上がって来ていてびっくり。居場所もないので、さっさと下山開始。下りは全部巻き道で二の鎖小屋まで戻った。ザックを回収し、今度は成就を目指して下山の続き。こっちの道は、圧倒的に若い人が多い。どんどん上がってくるが、皆息を切らしてとてもつらそうにしている。自分は随分楽をしちゃったなー、と罪悪感にさいなまれるが、よく考えたら同じ標高差を昨日上がったじゃん。しかもロープウェイも使わずにさ。胸はっていいんだ、私。そう気を取り直して歩いた。しかし、あれですな、クサリ場が本来の迫力を伴うのは、成就からちまちまと階段状のきつい急登を歩いて心肺機能および足腰をいじめて来て、その上で一の鎖、二の鎖、三の鎖と順番に上腕二頭筋三頭筋を痛めつけるからこそなんだなー。クライミングジムでぶっ通しに1時間ボルダリングしたあと、最初にラクラククリアしたレベルのルートが難易度が上がって這い上がれなくなってる、そんな感じといったらいいのかな?その分ん自分は楽をしてしまったので達成感という意味では全然感じられなかった。まあ、5日目だからこれぐらいで良しとしよう。
成就のあたりは紅葉のまっさかりで、お弁当を持ってピクニックしに来た家族連れやカップル、修験者?なのか白装束の人々で非常に賑わっていた。すっかり下界に下りて来たようだったけど、まだ標高1300mもある。そこから西之川まで標高差800mの薮かもしれない登山道を歩いて降りる元気は全然残っておらず、まっすぐロープウェイに向かって観光客と一緒に下界到着。文明万歳。
車に戻って温泉にいく支度をしていると、近くに停まっていた観光バスから運転手さんが降りて来て、お弁当が一人分余っちゃったから食べない?といってわけてくれ、両手のひらいっぱいのチョコレートまでおまけにくれた。なんでだろう、ひもじそうに見えたかな?笑
京屋旅館の温泉はこれといって特筆することはなく。まだ午後をまわったばかりだったので、今治方面にドライブしてもよかったのだが、いかんせん天気があまりよくないので、黒瀬湖まで降りてお茶を沸かしてのんびりしたあと、観音時で瀬戸内海をちょろっと眺めて、お寿司を食べて、宇多津でレンタカーを返して、浜街道のマックカフェで時間をつぶしてから坂出に出て、サンライズ瀬戸号に乗って爆睡しつつ帰途についた。
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