錫杖岳 3ルンゼ
- GPS
- 22:03
- 距離
- 12.4km
- 登り
- 3,693m
- 下り
- 3,695m
コースタイム
- 山行
- 7:50
- 休憩
- 1:26
- 合計
- 9:16
- 山行
- 8:48
- 休憩
- 0:43
- 合計
- 9:31
天候 | 19日 雨っぽいギリギリ雪 20日 曇、雪、一瞬 21日 晴 |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2022年03月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
|
写真
感想
恒例の3月連休を使っての冬期最後の遠征に行ってきました。今年の目標は北アルプスの隣にある錫杖岳。この日に向けて、岩稜登攀、アイスの登攀を行ってきたので、初めての山だが不安はない。天気予報があまり良く無いのが心配だったが、晴れてしまうと壁に日光が当り雪崩の巣窟になってしまうので、少しぐらい悪い方がいい。初日は重たい荷物を背負いアプローチ、雪が悪く苦労するが、なんとかベースにたどり着き3ルンゼの岩壁にむかう。ルンゼの岩壁は期待していた氷壁はなくドライ状態、、、3ピッチ目を中々、越える事ができないので、翌日に持ち越しにして撤退。ベースで身体を休める。翌日、再チャレンジ、昨日、撤退した3ピッチ目を2時間を要し越えて、13時過ぎにピークに到達!!取付から約5時間半、2人でガッチリ握手、笑顔がこぼれた。他のルートも、いろいろ登りたかったのだが、この1〜2週間で岩壁下部は凍りが無くなってしまっていて、まだ我々の実力では厳しそうだったので、3ルンゼだけに終わってしまったが、練習してきた事が実を結び、充実に山行になりました。今シーズンの冬期アルパインはこれで終わり!天候に振り回されたシーズンでしたが、良い締めになりました!
1日目 アプローチと三ルンゼ
雨交じりの小さな雪で登山口からすぐに雪があったがグサグサで歩きにくい。荷物も重いので早々にワカンを装着する。渡渉も水量が多く、どこから渡るか上下を偵察。メインの箇所より少し下側で水面下にある石を使い渡渉する。その後も薄らトレースをラッセルしながら岩屋を目指す。渡渉後は初めてだとルートが判りにくい箇所もある。岩屋に到着するが携帯の電波がないので錫杖沢出合まで戻り、斜面にテントを設営。設営後、前衛壁を目指す。ワカンを履いていくか悩んだが履いて行って正解。取付までグサグサ雪でアプローチの疲れもあり大変だった。
1ピッチ目
ロープは出さず、雪面を上がる。正面の大きな岩にハーケン2本に黄色の捨て縄が付いた終了点あり。チリ雪崩も落石も無し。
2ピッチ目
左からでも右からでも行けそう。右は落石ラインっぽいが安定していたので右から広いチムニーを登り、左上し右上気味に直上すると終了点。難しくはないが支点を取る場所が少ないので落ちられない。カム0.75を使用。
3ピッチ目
条件が良ければ氷壁になっていて、どこからでも登れるのだろうが水の滴る完全ドライ。左から登るがガバっぽい箇所もガバでなく厳しい、なんとかA0で小さな棚に登るも、残地支点も見えず雪交じりにガスも出ている為、広島からのアプローチで疲れた身体を休める為に明日に持ち越しにする事にする。懸垂2ピッチで取付に戻る。
テントに戻るとまだ15時15分だったが、大量の食材とお酒で疲れを癒やす。外は気温の低い小さな雪がけっこう降っていて明日が少し心配になる。
2日目 三ルンゼ
4時起床、6時出発、昨日のトレースと低い気温のおかげで昨日より歩きやすいがワカンを履かないと埋まりまくるぐらい。出発してすぐ岩屋の少し向こうに緑色のテントが張ってあるのを発見!私たちのテントのすぐ傍を通ったはずだが、盛り上がっていたのか、酔っていたから気づかなかった。ワカンで昨日のトレースを各自のペースで登っていると右側に二人のパーティーがラッセルしているのが見えた。ツボ足でかないり大変そう。我々の方が後から出発したのだが、どんどん追いつく。50mぐらい右側の斜面を直上しているので、どこを登るのかなーと思っていたが岩壁末端ぐらいから、三ルンゼを目指してトラバースしてくる。我々も良いペースだったので、どちらが先に取付につくか?と内心、楽しんでいたのですが突然、相棒が振り向いてニコニコ笑顔で「やってしまいました。忘れ物しました」と発表、、、なんとアイゼンをテントに置きっぱなし。さすがに、アイゼン無しでは、どうにもならないのでザック置いて取ってこーい!となる(笑)自分の荷物もけっこうあり、相棒のザックを背負う事もできず、しかたなく目の前にザックを投げ、2歩登り、またザックを投げ2歩登りを繰り返し、漸く取付に到着し息を整え、ワカンをハズそうかと斜面の方に振り向くと、もう目の前に相棒が!!なんという速さ、、、若者恐るべし、、、
先行パーティーは、もう1ピッチ目を登りセカンドが登り始めていた。たぶん、3ピッチ目で追いつくだろうから、もう焦らず準備して我々も登攀開始。
1ピッチ目
ロープは出さず、雪面を上がる。
2ピッチ目
初日と同じようにあがる。初日より雪が締まっていて緊張感なく登れる。先行パーティーに追いついたので8m下の支点でセカンドを引き上げ、待機。
3ピッチ目
チリ雪崩が連続でくるが、氷りや岩も混ざってない。岩は昨晩からの雪で白くなっているが、白くなっただけでドライ状態で厳しさは変わらない。先行パーティーは撤退して降りていった。昨日のラインと変え少し左側からの登攀を試みるが厳しい。昨日の同じラインからの登攀に切り替え頑張る。昨日は見えたハーケンが雪で隠れ判りにくく、なかなか進めないが諦めず越えて行く。ピッチ後半は支点を取れる箇所も少なく怖かった。
4ピッチ目
右上すると岩壁にぶち当たり右側のトンネルに入っていく、ザックがあっても入れる程度、奥まで入ると身体の向きを変えて上を見ると空が見える。あそこから顔を出すと、何が見えるんだろうとワクワクするルートだった。穴から出ると急な雪面が現れ、下を見ると相棒が見える。雪面を登ると終了点。
5ピッチ目
期待してなかった氷りが左側に張ってる!!しかも、スクリューが刺せそうなほど!
漸く準備してきた事が試せる。リードしたい〜と思う気持ちを抑えビレイをする。最初に岩の下のクラックでカムで支点、氷りでスクリューを2本使い越えて行く。フォローはスクリューを落とさないようにしながら続いた。楽しかった!
6ピッチm
右にチョックスートンの場所、左は氷りはなく今にも朽ちそうなリングボルト。このリングボルトで人工らしい。手作りアブミの踏み段が合わないのと、けっこう遠いリングボルトにアブミをかけるのが大変で疲労する。アブミを2本をかけたあと、相棒にリードを代わってもらう。抜け口がちょっと怖い、アブミの回収もちょっと怖い。
7ピッチ目
もうほぼ終わりだが、一応ロープを出し綺麗な雪面を空に向けて登っていく。あの上はどうなってるだろう?とワクワクしながら詰めていると「ん?」まさか、あの上は雪庇ではないかと気づく。急に慎重になって左にトラバースし終了点らしき松ノ木にかかった残地スリングで終了。てっぺんは、確認するとやはり雪庇だった。相棒を引き上げ満足の笑顔で握手。
暫く付近の景色を楽しんだあと、懸垂で取付まで戻りました。取付からは雲がかかったアルプスが見える。絶景が見たくて暫く待ったが雲は動かず諦めてベースに戻り、まだまだある食材とお酒で反省会を行い20時頃消灯しました。空には星が出ていて錫杖の岩壁の向こうに月が出ていました。明日は良い天気の予感。明日は、帰るだけと決まったので起床時間を決めず消灯。
3日目 下山
5時頃、目が覚め起床。寒いがストーブをガンガン焚きすぐに暖まる。明るくなってきたので、朝食の前にカフェオレとココアを片手に二人で外に出てみると錫杖岳がドーンとすぐ近くにある。晴天の素晴らしい景色である。暫く堪能していると寒くなってきたのでテント内で朝食。帰るだけなのに腹一杯のミートパスタ。帰るのが惜しくてダラダラと過ごすが、仕方なくパッキングを開始しテントを片付け下山開始、行く時は大変だった雪面もトレースがあり楽チン。時折見える北アルプスや氷壁、大量のデブリなどを楽しみながら下山しました。渡渉も初日より水がだいぶ減っていて楽勝でした。1ルートしか行けなかったですが、満足の錫杖合宿を終える事が出来ました。帰りに飛騨高山で観光、何度も通った事があるのに、普通の時間にくると、人が凄く多いいのと京都みたいな街並みがあるのを知らなくてビックリしました。あとラーメン屋さんが凄い多い!飛騨高山ラーメンって有名なの?高速に乗るまで輝く北アルプスが見え、後ろ髪を引かれる想いで帰広となりました。
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