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Yamareco

記録ID: 4121848
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積雪期ピークハント/縦走
白山

【白山】荒谷の大白水谷右岸尾根〜中宮道上部から御前峰

2022年03月27日(日) [日帰り]
情報量の目安: S
都道府県 石川県 岐阜県
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GPS
--:--
距離
31.9km
登り
2,811m
下り
2,797m

コースタイム

日帰り
山行
17:30
休憩
0:00
合計
17:30
1:30
110
駐車地(荒谷沿いの林道入り口)
3:20
160
大白水谷右岸尾根取りつき
6:00
120
△1786.3m(三等・廣河原)
8:00
250
12:10
170
15:00
90
16:30
60
△1786.3m(三等・廣河原)
17:30
90
荒谷沿いの林道に着地
19:00
駐車地(荒谷沿いの林道入り口)
ルート図では行きも帰りも間名古の頭のピークを通過したようになっていますが,実際は,帰路では同ピークの西側斜面を巻きました(ほぼ夏道通りのルートですが,積雪期は結構急斜面で,雪面が硬い場合は滑落の危険があるので注意)。
天候 曇りのち晴れ
過去天気図(気象庁) 2022年03月の天気図
アクセス
利用交通機関:
自家用車
荒谷沿いの林道入り口に駐車。2台程度余地あり。林道は除雪されていない。
コース状況/
危険箇所等
※「大白水谷右岸尾根」の大白水谷は,沢登りで有名な大白川の大白水谷とは別ですのでご注意(荒谷の右俣のことです)。

・荒谷沿いの林道は除雪されていない。雪崩デブリの片斜面が頻繁に現れ,河床まで高さがあるため滑落すると無事では済まない。もう少し雪解けが進むまでは一般には通行をお勧めできない感じ。
・尾根に取りついてからは,御前峰まで特に問題になる箇所はないが,御前峰の北側斜面はかなり急で,雪面が氷化しており,かなり強く蹴りこまないとアイゼンの歯が立たないくらい。もう少し気温が上がって雪が緩むまでは,北側から御前峰に登下降する場合は注意してください。
まだ分厚い積雪に覆われた荒谷沿いの林道をヘッデン頼りに歩き出す。昨日から降っていた雨は,ありがたいことに出発時には止んでくれた。
まだ分厚い積雪に覆われた荒谷沿いの林道をヘッデン頼りに歩き出す。昨日から降っていた雨は,ありがたいことに出発時には止んでくれた。
今年の多雪のためか,林道は雪崩デブリの片斜面が頻繁に現れる。荒谷の河床まで高さがあるため,滑落するとタダでは済まない。アイゼンとピッケルを確実に雪面に決めつつ通過していく。ある意味,本日最大の核心。
今年の多雪のためか,林道は雪崩デブリの片斜面が頻繁に現れる。荒谷の河床まで高さがあるため,滑落するとタダでは済まない。アイゼンとピッケルを確実に雪面に決めつつ通過していく。ある意味,本日最大の核心。
小谷は凄まじい量の雪崩デブリで埋もれ,乗り越しに苦労した。片斜面やらデブリやらの処理で,林道の通過に2時間も要してしまった。
小谷は凄まじい量の雪崩デブリで埋もれ,乗り越しに苦労した。片斜面やらデブリやらの処理で,林道の通過に2時間も要してしまった。
やっとこさ目的の大白水谷右岸尾根の末端に到着し,尾根に取りつく。取りつきは少し急だが,それほど問題にはならない。
やっとこさ目的の大白水谷右岸尾根の末端に到着し,尾根に取りつく。取りつきは少し急だが,それほど問題にはならない。
尾根の途中で,やっと夜が明けた。次第に晴れていく霧が幻想的。
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尾根の途中で,やっと夜が明けた。次第に晴れていく霧が幻想的。
尾根自体も,立派なブナが多く,なかなか良い尾根であります。
尾根自体も,立派なブナが多く,なかなか良い尾根であります。
いいねぇ。
これが標高点1555mの岩記号の岩峰かな?
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これが標高点1555mの岩記号の岩峰かな?
うっすら青空が出てきた。
うっすら青空が出てきた。
登ってきた大白水谷右岸尾根を振り返る。
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登ってきた大白水谷右岸尾根を振り返る。
ガスで分かりにくいが,上部は無木立の広大な斜面がひたすら続く。
ガスで分かりにくいが,上部は無木立の広大な斜面がひたすら続く。
ついに主稜線上の△1786.3m(三等・廣河原)に登り上げた。ピークはいかにも白山らしいオオシラビソの森に囲まれている。写真はこれから進む間名古の頭方面の眺め。
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ついに主稜線上の△1786.3m(三等・廣河原)に登り上げた。ピークはいかにも白山らしいオオシラビソの森に囲まれている。写真はこれから進む間名古の頭方面の眺め。
間名古の頭方面に歩を進める。おっ,青空が! このまま順調に天候が回復してくれるといいなぁ。
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間名古の頭方面に歩を進める。おっ,青空が! このまま順調に天候が回復してくれるといいなぁ。
左手には奥三方岳。三方崩山は奥三方岳の影に隠れて見えない。
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左手には奥三方岳。三方崩山は奥三方岳の影に隠れて見えない。
オオシラビソは次第に姿を消し(豊富な積雪に埋もれているのかもしれない),美しい雪の稜線歩きとなった。
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オオシラビソは次第に姿を消し(豊富な積雪に埋もれているのかもしれない),美しい雪の稜線歩きとなった。
右手に並走する中宮道の稜線(ゴマ平避難小屋から少し登ったピークのあたり)。きれいだねぇ。
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右手に並走する中宮道の稜線(ゴマ平避難小屋から少し登ったピークのあたり)。きれいだねぇ。
奥原谷(荒谷の本流)の源頭部を見下ろす。これはいい斜面。スキーで滑ったら絶対気持ちいいやつ。
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奥原谷(荒谷の本流)の源頭部を見下ろす。これはいい斜面。スキーで滑ったら絶対気持ちいいやつ。
振り向くと,妙法山から野谷荘司山にかけての北縦走路の稜線が一望できる。
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振り向くと,妙法山から野谷荘司山にかけての北縦走路の稜線が一望できる。
雲海に浮かぶ山々。地平線の遠い山並みは,北アルプス。
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雲海に浮かぶ山々。地平線の遠い山並みは,北アルプス。
昨日の雨はこの標高では雪だったようで,わずかに霧氷が見られた。
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昨日の雨はこの標高では雪だったようで,わずかに霧氷が見られた。
そしてついに,間名古の頭のひとつ手前のピークと,その右奥に真っ白な大汝峰と剣ヶ峰の姿が。
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そしてついに,間名古の頭のひとつ手前のピークと,その右奥に真っ白な大汝峰と剣ヶ峰の姿が。
大汝峰と剣ヶ峰のアップ。剣ヶ峰の影にちらりと御前峰も見える。
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大汝峰と剣ヶ峰のアップ。剣ヶ峰の影にちらりと御前峰も見える。
右手には残雪をまとった火の御子峰の姿も。
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右手には残雪をまとった火の御子峰の姿も。
楽々新道の稜線を一望。きれいだなぁ。
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楽々新道の稜線を一望。きれいだなぁ。
夏道は間名古の頭を巻いているが,せっかくなので稜線通しに間名古の頭のピークに登頂。やっぱり絶景!
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夏道は間名古の頭を巻いているが,せっかくなので稜線通しに間名古の頭のピークに登頂。やっぱり絶景!
緩やかに弧を描いて大汝峰まで続く純白の稜線。2年前,三方崩山・奥三方岳から間名古の頭に登った時に,この光景を見て,大汝峰までの稜線に憧れたのだった。その稜線を,これから実際に歩こうとしている。
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緩やかに弧を描いて大汝峰まで続く純白の稜線。2年前,三方崩山・奥三方岳から間名古の頭に登った時に,この光景を見て,大汝峰までの稜線に憧れたのだった。その稜線を,これから実際に歩こうとしている。
東には,足元の間名古の頭から奥三方岳まで続く稜線。2年前の1月に辿った稜線だ。懐かしい。
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東には,足元の間名古の頭から奥三方岳まで続く稜線。2年前の1月に辿った稜線だ。懐かしい。
間名古の頭からの眺望を楽しんだ後,間名古の頭の南側のコルに降りる。この下りがかなり急で,コルに降り立ってから間名古の頭を振り返ると,まさに見上げるようだ。帰りは絶対に巻こう…。
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間名古の頭からの眺望を楽しんだ後,間名古の頭の南側のコルに降りる。この下りがかなり急で,コルに降り立ってから間名古の頭を振り返ると,まさに見上げるようだ。帰りは絶対に巻こう…。
さあ,ここからは中宮道の上部と合流。メインディッシュの稜線だ。うぐいす平から,行く手の美しい稜線を眺める。
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さあ,ここからは中宮道の上部と合流。メインディッシュの稜線だ。うぐいす平から,行く手の美しい稜線を眺める。
振り返ると,笈ヶ岳など,白山北方の山々が雲海に浮かんでいる。
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振り返ると,笈ヶ岳など,白山北方の山々が雲海に浮かんでいる。
なだらかにうねりながら続く雪の稜線。
3
なだらかにうねりながら続く雪の稜線。
うぐいす平付近を振り返る。
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うぐいす平付近を振り返る。
白い竜の背のように,うねりながら大汝峰へと連なる稜線。
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白い竜の背のように,うねりながら大汝峰へと連なる稜線。
思わず走り出したくなるような風景。(疲れるので走りませんが。「白竜の背のような稜線」ということは,当然アップダウンも多いわけで…)
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思わず走り出したくなるような風景。(疲れるので走りませんが。「白竜の背のような稜線」ということは,当然アップダウンも多いわけで…)
そして,北弥陀ヶ原。絶景としか言いようがない。
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そして,北弥陀ヶ原。絶景としか言いようがない。
抽象画の世界のような青と白の世界を,ひたすら歩いて行く。
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抽象画の世界のような青と白の世界を,ひたすら歩いて行く。
右手には仙人谷を見下ろす。右奥は笈ヶ岳。
2
右手には仙人谷を見下ろす。右奥は笈ヶ岳。
なんだか,時間の感覚が失われていく。
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なんだか,時間の感覚が失われていく。
北アルプスの山並みが,驚くほど近くに見える。昨日の春の嵐が大気中の塵を落としてくれたおかげで,空気が澄んでいるのだろう。
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北アルプスの山並みが,驚くほど近くに見える。昨日の春の嵐が大気中の塵を落としてくれたおかげで,空気が澄んでいるのだろう。
右手の仙人谷と,地獄尾根の眺め。
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右手の仙人谷と,地獄尾根の眺め。
仙人谷は深い積雪に均されている。スキーで滑降したらどこまで降りられるだろうか。
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仙人谷は深い積雪に均されている。スキーで滑降したらどこまで降りられるだろうか。
手前は地獄尾根上部,奥は楽々新道の稜線。
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手前は地獄尾根上部,奥は楽々新道の稜線。
白山本峰がだいぶ近づいてきた。御前峰(左),剣ヶ峰(中央),大汝峰(右)の三峰を一望しながら歩けるのも,この稜線のよいところ。
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白山本峰がだいぶ近づいてきた。御前峰(左),剣ヶ峰(中央),大汝峰(右)の三峰を一望しながら歩けるのも,この稜線のよいところ。
クリーミーな白山東面台地。今日は誰か滑っているだろうか。
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クリーミーな白山東面台地。今日は誰か滑っているだろうか。
東面台地。アルカディア。
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東面台地。アルカディア。
御前峰の足元に突き上げる,転法輪谷の源頭部。ちょっとだけデブリの跡が見えるが,概ねきれいで滑るのに支障はなさそう。スキーで来ればよかった…と今さら後悔しても遅い。
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御前峰の足元に突き上げる,転法輪谷の源頭部。ちょっとだけデブリの跡が見えるが,概ねきれいで滑るのに支障はなさそう。スキーで来ればよかった…と今さら後悔しても遅い。
稜線をさらに辿っていく。
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稜線をさらに辿っていく。
ヒルバオ雪渓の源頭部のアップ。デブリもクラックもなく,雪崩の兆候はなさそうだ。さてさて,どこからどうやって登ろうか…。
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ヒルバオ雪渓の源頭部のアップ。デブリもクラックもなく,雪崩の兆候はなさそうだ。さてさて,どこからどうやって登ろうか…。
雪はよく締まっており,雪崩の危険は少ないと判断したため,お花松原(もちろん,お花も這松も今は雪の下だが)の鞍部から稜線を離れ,小白水谷の上部,ヒルバオ雪渓を進むことに。(本当は稜線通しに大汝峰にも登りたかったのだが,さすがに時間が足りないと判断した。)
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雪はよく締まっており,雪崩の危険は少ないと判断したため,お花松原(もちろん,お花も這松も今は雪の下だが)の鞍部から稜線を離れ,小白水谷の上部,ヒルバオ雪渓を進むことに。(本当は稜線通しに大汝峰にも登りたかったのだが,さすがに時間が足りないと判断した。)
春の日差しの乱反射に目が痛くなるような,白銀の世界を進む。
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春の日差しの乱反射に目が痛くなるような,白銀の世界を進む。
見上げる稜線は,抽象の極致まで高められた,青と白。
2
見上げる稜線は,抽象の極致まで高められた,青と白。
登路はちょっと迷ったが,最も登りやすいと思われるヒルバオ雪渓の左俣を登ることにした。このあたりは山スキーで何回か来ているので,勝手はよくわかっている。
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登路はちょっと迷ったが,最も登りやすいと思われるヒルバオ雪渓の左俣を登ることにした。このあたりは山スキーで何回か来ているので,勝手はよくわかっている。
強い日差しにぎらつく急斜面を喘ぎ登っていく。時々,氷板が張りつめている箇所があり,アイゼンが効かずちょっとヒヤッとして,何度も蹴り込みを入れる。
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強い日差しにぎらつく急斜面を喘ぎ登っていく。時々,氷板が張りつめている箇所があり,アイゼンが効かずちょっとヒヤッとして,何度も蹴り込みを入れる。
斜面の途中から振り返る。
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斜面の途中から振り返る。
急登を登り詰め,ついに白山の山頂台地に到着。かなり風が強く,下界の春の陽気に慣れてしまった頬に痛いくらいに冷たく突き刺さる。
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急登を登り詰め,ついに白山の山頂台地に到着。かなり風が強く,下界の春の陽気に慣れてしまった頬に痛いくらいに冷たく突き刺さる。
翠ヶ池は当然雪に埋まっていたが,一部,青氷が出ている箇所があった。もうすこし日中の気温が上がるようになれば,次第に溶け始めるだろう。
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翠ヶ池は当然雪に埋まっていたが,一部,青氷が出ている箇所があった。もうすこし日中の気温が上がるようになれば,次第に溶け始めるだろう。
大汝峰。1月に登った時より,大幅に雪庇が大きくなっている。
残念ながら今日は時間がないので大汝峰はパス。1月に悪天候で登れなかった御前峰を優先する。
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大汝峰。1月に登った時より,大幅に雪庇が大きくなっている。
残念ながら今日は時間がないので大汝峰はパス。1月に悪天候で登れなかった御前峰を優先する。
そして,御前峰。ますます強まる爆風に押し倒されそうになりながらも,少しずつ近づいていく。
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そして,御前峰。ますます強まる爆風に押し倒されそうになりながらも,少しずつ近づいていく。
御前峰の北面から取りついたが,かなり急斜面なうえ,ガチガチに凍り付いており,アイゼンの前歯のみをかろうじて雪面に蹴り込みながら,暴風の中,御前峰の山頂稜線に這い上がった。
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御前峰の北面から取りついたが,かなり急斜面なうえ,ガチガチに凍り付いており,アイゼンの前歯のみをかろうじて雪面に蹴り込みながら,暴風の中,御前峰の山頂稜線に這い上がった。
御宝庫岩は未だに分厚い氷をまとっている。
3
御宝庫岩は未だに分厚い氷をまとっている。
時折吹きつのる強風に耐えつつ歩を進め,山頂へ。
3
時折吹きつのる強風に耐えつつ歩を進め,山頂へ。
御前峰山頂に到着。厳冬期は氷のオブジェのようになっている標柱は,既に氷の鎧を脱ぎ捨てていて,春を感じさせた。
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御前峰山頂に到着。厳冬期は氷のオブジェのようになっている標柱は,既に氷の鎧を脱ぎ捨てていて,春を感じさせた。
背後は大汝峰。
室堂から別山の眺め。
3
室堂から別山の眺め。
室堂は相当雪に埋もれている。神社は屋根がかろうじて出ているくらいだ。
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室堂は相当雪に埋もれている。神社は屋根がかろうじて出ているくらいだ。
今年の別山は格別美しい。
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今年の別山は格別美しい。
大長山や赤兎山,経ヶ岳といった山々。
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大長山や赤兎山,経ヶ岳といった山々。
さてさて,お社にお参りしないと。
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さてさて,お社にお参りしないと。
お社にお参り。大分雪が溶けたなぁ。
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お社にお参り。大分雪が溶けたなぁ。
山頂の北側を見下ろす。どの池もまだ雪に埋もれている。左奥は真っ白な大汝峰。
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山頂の北側を見下ろす。どの池もまだ雪に埋もれている。左奥は真っ白な大汝峰。
今日は本当に空気が澄んでいる。御嶽や乗鞍岳,北アルプスまでよく見える。
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今日は本当に空気が澄んでいる。御嶽や乗鞍岳,北アルプスまでよく見える。
北アアップ。あちらも,さぞ雪たっぷりなことだろう。
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北アアップ。あちらも,さぞ雪たっぷりなことだろう。
日差しは春のものだが,風はまだまだ冷たくて,頬に容赦なく突き刺さる。この山頂も,まだしばらくは時折雪が舞うこともあるだろう。冬が春へと季節の座を完全に譲り渡す少し手前の一日,お社の脇の凍り付いた石垣に腰を下ろして,下界の青みがかった風景をしばらく眺めていた。
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日差しは春のものだが,風はまだまだ冷たくて,頬に容赦なく突き刺さる。この山頂も,まだしばらくは時折雪が舞うこともあるだろう。冬が春へと季節の座を完全に譲り渡す少し手前の一日,お社の脇の凍り付いた石垣に腰を下ろして,下界の青みがかった風景をしばらく眺めていた。
さて,帰ろうか。
さて,帰ろうか。
下山は,北面の急峻な氷化斜面を避けて,御宝庫岩の南側から迂回。御前峰よ,さようなら。次に会うときには,まだ雪をまとっているだろうか。
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下山は,北面の急峻な氷化斜面を避けて,御宝庫岩の南側から迂回。御前峰よ,さようなら。次に会うときには,まだ雪をまとっているだろうか。
ヒルバオ雪渓の急斜面を慎重に下降して,帰路へ。
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ヒルバオ雪渓の急斜面を慎重に下降して,帰路へ。
雲がダイナミックに足下を流れていく。
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雲がダイナミックに足下を流れていく。
アップダウンの多い稜線を丹念に辿り直し,下山。
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アップダウンの多い稜線を丹念に辿り直し,下山。

装備

備考 雪は締まっているが時々ガボるためワカンを使用。稜線上は雪面が硬く氷化している箇所があるためアイゼン・ピッケル必須。

感想

 2年前の1月に三方崩山から間名古の頭に登った際に,間名古の頭から大汝峰へと緩やかな弧を描いて延々と続いている中宮道の美しい雪稜を眺めて,いつかこの稜線を積雪期に歩いてみたいと思った。
 しかし,泊まりの日程が取れるならまだしも,日帰りでこの稜線を白山本峰まで辿るのはなかなか困難そうである。未練がましく地形図を眺めていると,…あれ,この林道とこの尾根,使えるんじゃない? ということで,今回の山行となった。
 今回登路とした大白水谷右岸尾根(沢登りで有名な大白川の大白水谷とは別で,荒谷の右俣の大白水谷のことです)は,概ね穏やかで登りやすい尾根で,美しいブナの森も広がっており,なかなか雰囲気の良い尾根だった。上部は開放的な無木立の雪斜面で,登高するにつれて,稜線を目指す心は否応なしに高まっていく。
 間名古の頭以降の中宮道の稜線は,なだらかにうねる白い竜の背のようで,つるりと磨かれたような紺碧の空の下,白く輝く稜線をなかなか近づかない白山本峰に向けて延々と歩いていると,だんだん現実感が失われていくような,不思議な感覚に襲われた。2年前のあの日に眺めて憧れた稜線を実際に今,歩いている。そう思うと,一歩一歩の歩み,一瞬一瞬の風景が,忘れがたいような,大切なものに思われた。
 アイゼンの前歯しか立たないような氷の斜面を冷や冷やしながら這い登り,やっとたどり着いた御前峰の山頂は,まだ冬がそこから立ち去りかねているかのような,厳寒の爆風が吹き荒れていた。しかし12月や1月に来たときのような,一瞬にしてまつ毛が凍り付くような風雪や,目を驚かせるような氷のオブジェはもうない。一つの季節がもう一つ別の季節にだんだんと座を譲り渡していくときの,寂しいような嬉しいような何とも言えない気持ちで,屋根の氷が溶けかけたお社を眺めたり,眼下の青みがかった風景を見つめたりしていた。眩しい陽光や透き通ったザラメ雪と一緒になって,春山の季節の訪れを心から喜べるようになるのは,もう少し先になりそうだ。
 下山して京都に戻ると,鴨川では桜が咲き始めていた。

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