空木岳(千畳敷〜空木岳〜駒ヶ根高原スキー場)
- GPS
- 56:00
- 距離
- 18.1km
- 登り
- 1,232m
- 下り
- 3,008m
コースタイム
2日目: 7:30木曽殿山荘-9:20空木岳-11:50迷尾根-16:00マセナギの先の分岐-16:30池山小屋
3日目: 7:30池山小屋-9:20菅の台BT
天候 | 1日目: 晴れ 2日目: 晴れ 3日目: 晴れ |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2014年03月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
バス
帰り: 菅の台BTから駒ヶ根IC(女体入口)まで路線バス、駒ヶ根ICから新宿まで高速バス |
コース状況/ 危険箇所等 |
<トレースについて> 檜尾岳から大地獄辺りまで、ほとんどトレースがありませんでした。 また、空木からの下りについては、テープも限られているので、迷いやすい状態です。 <積雪・歩きやすさについて> 千畳敷〜サギダルの頭:急な岩場を登るので、万が一のためにロープは必須だと思いました。 サギダルの頭〜島田娘:天気がよければルートもわかりやすいので歩きやすいです。特に危険個所はなく、ここはアイゼン、ストックで進みました。 島田娘〜東川岳:岩稜帯が嫌というほど続きます。雪庇上を歩くのは極めて危険という事で、岩のすぐ下を横にトラバースすることになりますが、表面は半アイスバーンの状態のところが多く、アイゼンの前爪・ピッケルだけを頼りに横に少しずつ進む事になります。気を抜くとアイス上の急斜面を一気に滑り落ちそうになるので、ずっと緊張状態でした。濁沢大峰までは三ノ沢岳の影響が風の影響があまりありませんでしたが、その先は時々強風が吹く時があります。 東川岳〜木曽殿山荘:樹林帯を下りましたが、さほど急ではなかったので少し落ち着けます。 木曽殿山荘〜空木岳:ここも岩稜帯が続きます。ほんの一部だけ鎖が出ているところもありましたが、ほとんどは埋まっていると思われます。 空木岳〜駒石先の分岐:雪の状態も良く、歩きやすい状態でした。天気が良ければ道はわかりやすいです。 駒石先の分岐〜ヨナ沢の頭:尾根上ではなく、少し巻きながら進みます。樹林帯に入り込むので、雪の状態が不安定でした。 ヨナ沢の頭〜マセナギ:迷尾根に入る手前で東側に入り込んでしまいました。目印のテープなどがあってもそこで曲がらなければいけない時もあるので、あまり頼りにしてしまうと危険です。GPSも若干のずれが生じていて、同じ所を何度も登ったり下りたりしながら確認する必要がありました。また、小地獄・大地獄付近の雪がシャバシャバな状態で、横にトラバースする時、滑落しないよう注意が必要です。出来るだけ慎重に進んだ方がいいと思います。 マセナギ〜池山小屋:遊歩道となっていて、スノーシューやワカンのトレースがあり、その部分が少し雪が締まっていて比較的埋もれることなく歩けました。 池山小屋〜駒ヶ根高原スキー場:一部雪がなくなるところや凍結部分、固めの雪が混同している状態です。アイゼンはお好みで。 |
写真
感想
雪山もそろそろ残すところあと僅か。春分の日を含む三連休に、J先生と中央アルプスに行ってきました!中央アルプスと言うと木曽駒ヶ岳が人気の山で、そこは私も大好きな山の一つですが、今回はもうちょっと南にある空木岳。
ヤマレコ内でも冬の空木岳は記録が少なく、あまり多くの人が立ち入っていない様子。しかもみなさん健脚さん揃いのようで、駒ヶ根高原スキー場からずっと登って行っている方の記録ばかり。
さすがに下から登って行くのはキツそうなので、千畳敷のロープウェイを使い、空木岳への縦走、そして駒ヶ根高原スキー場と行く事にしました。
出発ははりきって金曜日の朝の高速バスを使います。三連休のため途中渋滞に巻き込まれながら冷や冷やしましたが、50分ほどの遅れですみました。30分ほど時間があったので、時間が来るまで近くのカフェでお茶をし、ロープウェイ行きのバスに乗り込む事にしましたが、ここで運転手さんに止められます。どうやらこの日は風が強すぎてロープウェイの運転は見合わせとの事。バスも上まで上がらないという事なので、やむをえず駒ヶ根のビジネスホテル・プレモントに宿泊することに。シングルルーム5500円也。朝食はプラス300円とお値打ち価格。日中は図書館に行って山の本を読んだり、駅までブラブラしてました。夕食はホテル内のレストランで駒ヶ根名物のソースカツ丼!!やっぱりここに来たらこれ食べなきゃねっ。
そして翌朝始発のバスとロープウェイを使い、千畳敷へ。本当は極楽平に直登したいところですが、雪崩多発箇所のようなので、サギダル尾根という岩稜帯を行きました。ここが本当にクライミングの要素たっぷり、且つ、アイゼンで岩を登る事になるので、もしものためにハーネスとロープを付けました。J先生が上でビレイしてくれている間、私は途中一枚岩みたいな所で先に進めず。アイゼンの爪をかけられそうな場所がなく、「どうしよう、どうしよう、、、」とひとりごと。困ってるだけでは解決しないので、ピッケルの先を岩にかけたり、膝を使ってみたりと一番安定しそうな場所を探りながら登り、なんとか2時間を費やしてしてサギダルの頭まで到着。ふぅ。。そして私達よりもずっと早いスピードで南側の雪原をさっさか直登して行かれた方は、檜尾避難小屋まで行かれたのでしょうかね。お会いしてみたかったです。
サギダルの頭から先は稜線歩きと思いピッケルからストックに変えたものの、島田娘から先、またしても緊張を強いられる場所が現れます。稜線の上は雪庇が東側に大きく張り出していて、一部に雪割れの亀裂が見えます。Jさんから、「あれがクラックで、あそこから割れて雪崩とかも起きやすい」と教えてもらいました。という事で私達は雪庇を避けて、西側の斜面に取りつきながら進む事になりました。これが辛い・・・ピッケルの先とアイゼンの前歯を使って斜面を横にトラバース。普通に進む一歩が半歩ほどになるので、時間もかかるし、ふくらはぎと腕がパンパンに。かと言って、力を抜いたりしたらザザーっとアイスバーンになった急な斜面を転げ落ちる事間違いない。時々J先生が振り返り、「アイゼンの前爪もっとしっかりささないと」とか「ピッケルもちゃんと差して支えられるようにして」と。言われて、はっ、と気づきました。私、いつの間にかピッケル刺したり前爪蹴りこむのをいい加減にやってた!!無意識で楽しようとしてたけど、これってすごい危ない事だよね。「疲れてるのは分かるけど・・・」と言われすごい申し訳ない気持ちに。J先生は先に行って足跡もつけてくれてて、おまけに私が危ない事してないかチェックしてくれて、気疲れは私以上かと。。。そんなトラバース箇所が何度となく現れてきて、ちょっと肉体的にも精神的にもボロボロ。最終的には「エイヤー」と雪庇の上を二足歩行したい気分になってきますが、クラックの雪崩の話を何度も何度も思い直して、またパンパンになった腕とふくらはぎを酷使しながらトラバース。途中少し休憩できるポイントもあるけど、暗くなると危険度も上がるし長く休んでばかりもいられない。休憩ポイントに来るたびに少しの休憩を取り入れながら進みます。そうやってなんとか東川岳まで来た時には行動開始してから8時間を超えてました。
そしてあとは少し下って、日が暮れる前に木曽殿山荘に到着。誰にも使われていなかったのか、扉の前は雪が積もって一部凍っていました。役割分担でJさんが雪と氷と格闘し扉を開け、私は雪を溶かして水を作る事に。ですが担当を任された水作り。ジェットボイルの点火部分がうまく付かず、ライターもダメ。服の中でガスを温めてもダメで、責任は果たせず。そうこうしている間に、Jさんは担当の雪の掘り起しとドアの開閉に成功。結局冬季小屋の中で二人で水を作りました。そして寝るには少し早かったけど、体を横にしたらコンタクトも外さずにいつの間にか眠ってました。
翌朝、天気も良く、風もそれほど悪くなさそう。充分な睡眠をとって体力・精神力も大分回復(#^.^#) おひさまの下、空木岳に向かって登り始めます。やっぱりトラバース部分も残っていますが、歩き始めてそれほど時間も経っていないので前日よりは快調に進めます。そして待ちに待った空木岳頂上!はぁー、来れてよかったー。近くに見えていたのに、実際トラバースで進むとすごい遠い山だったので、なんか頂上に立てる気がせず、途中もう無理かもと思った!!嬉しい気持ちもありつつ、自分がここに立ててるのがまぐれだったのでは?などと複雑な気持ちが入り交ざっていました。山の上でのこんな気持ちは初めてでした。
そして下山開始。下山道は一気に東側に下りるので、これまでのようなアイスバーンになっている斜面はありません。これこれ、千畳敷からここに至るまで、日常生活のように二足歩行で歩いている時間が極端に少なかったので、スタスタ歩ける事がたまらなく嬉しい!!でも困難はここからでした。。。まず、空木岳からの下ってすぐの駒石周辺、休憩時にヘルメットを下に置いた時のこと。丸い部分を下にして置いたため、空木平避難小屋よりも先(だと思う)までものすごい勢いで落ちて行ってしまいました。。。取りに行くのもちょっと怖いのでそのまま残し、帰ってから警察の方に電話を入れてヘルメットだけが落ちたという事を伝えました。そして次は私。普通に立って歩けるところで気持ち良く歩いていたところ、腰に掛けていたスリングがほどけていて、アイゼンの歯に引っかかって転倒、空木平避難小屋の見える斜面を20m程コロコロと転がりました。大勢立て直してピッケルで滑落停止。危なかった・・・ そしてこの日の懸念事項だった迷尾根。迷尾根に入り込むまでにも迷いました。迷い尾根へは一旦南に行くところ、東の方に進んでしまいました。案外急な斜面なので、ここでの進み方もすべてピッケルとアイゼン前爪を使います。下ったり登ったりするのもまた腕とふくらはぎに負担をかけます。そしてようやく戻って迷尾根の入口まで到着。へとへと。この日予約していたバスには到底間に合いそうにいないので、ちょうど電波が届くところで母に電話をし、バス会社にキャンセルをしてもらい、私達は下山に集中する事にしました。
そして名前の通りの迷尾根。尾根というより樹林帯を一回下って、その後トラバース、そしてまた上がるという状態でした。下っても道らしき道も、トレースも、リボンも無い状態だったので、GPSをチェック。微妙にずれているのでピッケルとアイゼン前爪をフルに利かせながら何度も登り下りを繰り返します。ようやく見つけた小地獄らしきもの。このあたりの雪は緩んでいて、ピッケルもあまり支えにならない状態です。何回目かのトラバースポイントで前爪じゃなくて普通に一歩踏み込んだ途端に崩れ落ちて滑落。雪が緩すぎて滑落停止しても止まらず、(本当はダメなのかもしれないけど)上げていた足を下に降ろしてアイゼンも利かせて何とか100m位(?)で停止。びっくりした。Jさんもびっくりしてすっ飛んで降りて来てくれたので、結局二人してまた上まで這い上がりました。足でまといにしかならない自分に嫌気がさすばかり。。。それでも進まなければ先に到達しないので、慎重に進みました。大地獄周辺は少し鎖や手すり、木が出ているところもあったので、それらを頼って何とか通過です。マセナギの先の分岐位に、テントを張った方がいたので、その方に下山道の状況を聞くと、遊歩道の方がトレースがありわかりやすいとの事。もうあと1時間もすれば辺りも薄暗くなるので、道迷いを避けるためにも結局この先の池山避難小屋で泊まる事に。幸いここで電波が通じたので、母親に電話をかけて下山が一日遅れる事を伝えました。自分自身の心も折れてて、心配もかけてしまった事にちょっと凹みながら電話をすると、「分かった、安全第一でね。」との返事が。本当は心配だとか、何やってるんだとか、色々文句とか言いたい事もあるだろうけど、それを封じてこの場でのこの一言、どれだけ心強かったか。そして小屋まで30分。とてもきれいな池山小屋がありました。今夜はここに止まり、明日明るくなってから、朝一番のバスに合わせて下山です。寝る前にこの二日間の事をあれこれ考えている間にいつの間にか眠りこんでいました。
最終日。と言っても本当は東京に戻って仕事をしているはずだった日。ようやく駒ヶ根高原スキー場まで戻ってくると、スキー場から音楽が流れてきて、街に戻ってきた嬉しさでいっぱいになりました。今回の目的地である空木岳。引き返すに引き返せないような場所にある山。サギダルの頭から見た時には、何てキレイな山なんだろうとワクワクしていたけど、間近で見ると危険がたくさん潜んでいると思いました。この山旅でたくさんのリスクを目の当たりにし、まだまだ自分のレベルが足りていないのに大きく無茶してしまったなと痛感させられました。今後一歩ずつ、自分のレベルに合ったものから最初からトレーニングを積んで行こうと思い直しました。そして後日少し落ち着いてから、今までの行動を振り返って反省会をしようとのこと。今後のために絶対必要ですよね。
空木岳縦走の記録、私にとっては今までの山旅とは違って楽しいばかりではなくて、本当の山の危険さや自分のレベルの足りなさも嫌というほど思い知らされたので、本当はヤマレコ書くのもどうかと思ったのですが、こういう経験、自分の中で絶対忘れないようにしようと思い、敢えて書かせていただきました。
おしまい。
すーごい山行だったんだね!
無事に帰って来れて本当によかった!!!!!
滑落の所とか読むとマジでビビる。。。
でも羨ましいなー
あたしもそろそろ山行きたくてヤバい
またレポートしてね!アメリカから見てます笑
本当にお疲れちゃん!ゆっくり休んでね♪
一緒に行きましたJuhanicです。
機会があれば自分も記録を書きたいがとりあえずここに書いておきます。
今回のリーダーとして途中で振り返るように決めなかったのは大きな判断ミスでと思っていて、非常に恥ずかしく思っています。 無事下山できたのは本当によかったと思っていますが、反省する点が多い。
八ケ岳・横岳の縦走が簡単にできたから、このルートをなめていました。 寒い天気と強い風が行く前に雪を硬くしていて、アイスバーンになっている所が多かった。
小地獄・大地獄の迷い尾根は非常に道が分かりにくくなっています。 GPSを頼ろうと思ったのは大きな間違いでした。最終的にルートは地図・地形・コンパス・日の向きを読んで見つけました。 GPSだけに頼っていると良い事はないです。 ここでは1時間20分と記載した所を通過するのに3時間以上かかりました。
また、雪がシャバシャバとカチカチで影や向きによってかわっていて迷い尾根のトラバースが大変かつ危険でした。同じ時期に行く人ほ直登がいいかもしれません。下りは大地獄を目印にロープを使っ直接下った方が安全策と思えます。
木曽澱山荘から空木岳の登りが場所によってとても急。 鎖がもちろんほとんどうもっていて、岩には氷がついていて、滑ったら致命的な滑落をするような箇所が多い。 夏道のマークは時々出ていて、登るルート事態はそこまで見つけるのは難関ではない。 逆ルートで木曽澱の方に下るのは困難でしょう。
貴重な経験ではありましたが、今後もっと安全な登山に励んで、撤退を決める勇気を身に着けたいと思います。
いいねした人
コメントを書く
ヤマレコにユーザー登録いただき、ログインしていただくことによって、コメントが書けるようになります。ヤマレコにユーザ登録する