熊野古道:小辺路、伯母子岳〜五百瀬(三浦口〜山天辻〜伯母子岳〜五百瀬)【奈良県】
- GPS
- 09:16
- 距離
- 20.3km
- 登り
- 1,723m
- 下り
- 1,703m
コースタイム
- 山行
- 8:55
- 休憩
- 0:21
- 合計
- 9:16
旧五百瀬小学校P 757 ― 民宿政所 801 ― 三浦口 807 ― 670m広場で休憩 850/856 ― 標高756m標高点 906 ― 山天からの道との合流点(推定) 915 ― 930m最低鞍部 1014 ― 1028m標高点(発見できず) 1030 ― 休憩 1032/1038 ― 1100mピーク付近 1059 ― 山天辻 1134/1136 ― 1212m標高点(推定) 1149/昼食/1211 ― 赤谷峰 1246 ― 伯母子峠 1311 ― 伯母子峠避難小屋 1313/1316 ― 三浦への迂回路との合流点 1329/1330 ― 伯母子岳 1331/1347 ― 頂上道と周回道(熊野古道)の分岐 1357 ― 伯母子峠避難小屋 1411/1412 ― 頂上直行の道との合流点 1437 ― 上西家跡 1449/1458 ― 三田谷登山口5.4km 1509 ― 水場「弘法の封じ水」 1534 ― 水ヶ元茶屋跡 1535/1543 ― 三田谷登山口2.6km 1557 ― 石畳 1616 ― 待平 1628 ― 三田谷登山口0.9km 1633 ― 三田谷登山口 1700 ―トイレ 1703 ― トンネル 1708 ― 旧五百瀬小学校P 1712
● 行動時間 09:15
天候 | 晴れ |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2022年07月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
(和歌山市内=五百瀬) 三浦口―山天辻―伯母子岳―伯母子岳登山口―五百瀬 (五百瀬=和歌山市内) ●登山口へのアクセス ○五百瀬、三浦口 ・国道168号「川津」にて西方向へ曲がると県道733号。これをひたすら走ると約8kmで「三浦口」さらに続けて「五百瀬」。五百瀬にある旧五百瀬小学校は小辺路ハイカー向け駐車場とされている。ただし、駐車可能範囲が特に示されていないので、駐車可能台数はよくわからない。駐車無料 ・五百瀬からトンネルをくぐり、さらに奥に進むと三田谷の「伯母子岳登山口」がある。登山口付近には駐車場はない ・三浦口の小辺路案内標示の裏から上る石段を上がると、山天辻への道 ・ちなみに三浦口では対岸の三浦へと渡る吊り橋があるので、それを目指すと小辺路三浦峠への入口はすぐに見つかる ・県道733号は、斜面災害により三浦口手前で仮設道路となっている (2022.7現在) |
コース状況/ 危険箇所等 |
○三浦口〜山天辻 ・マイナーコース。途中には道標は全くない。踏み跡はあるが、幅のある緩斜面では踏み跡を確認することが難しい場合もある。踏み跡をたどる歩きであり、地図と足裏の感覚が頼り ・三浦口からの道と山天集落からの道の合流点を確認することはできなかったが、それより上部では尾根が明瞭になることもあって道筋は判りやすくなる ・たどり着く「山天辻」にも特段の名称標示はない ○山天辻〜伯母子峠 ・「山天辻」から「赤谷峰」を経て「伯母子峠」に至る山稜。全般に緩やかな昇降、尾根とは思えないほどに幅広の道。樹林帯を行くため見通しは利かない ・道標や山名標示は全くない。しかし、明瞭な分岐道はないため道迷いの心配も少ないように思う ○伯母子岳周辺 ・伯母子峠では大股から三田谷、五百瀬、三浦に至る熊野古道小辺路が横切る。これと交差するように伯母子岳から赤谷峰へと至る山稜がある。それぞれに道がある。峠には避難小屋とトイレが建っている ・どの方面への道も道取りはしっかりしているが、赤谷峰や山天辻方面は案内はされていない ・峠からはひと上りで伯母子岳。伯母子岳からは四方に道がある。熊野古道のバイパス路、護摩壇山へのルート、伯母子峠へのルート、どれも案内標記がある ○伯母子峠〜三田谷の伯母子岳登山口 ・熊野古道小辺路ルートの一部。道幅もあり、迷い分岐には誤った道ごとに「ここは熊野古道ではありません」との標記もあるので、迷う心配はまずない ・最上部の上西家跡から伯母子峠にかけての部分に崩落箇所があり、ちょっと前の情報では通行止め「伯母子岳を迂回せよ」ともあったのだが、崩落箇所には仮橋も架けられ、通行はできるようになっている ・待平の上部には石畳が残るが、急坂の石畳であり、他の熊野古道での残存箇所と同様に、雨後には滑りやすくて歩きにくい (いずれの記述も2022.7現在) |
その他周辺情報 | ●買う、食べる ・五百瀬、三浦口には飲食店もコンビニも見当たらない ・最終の店がどこになるかをよく確認の上、事前手配されたい ●日帰り温泉 ・十津川温泉には宿屋多数。多くの宿で日帰り入浴できるようだ (2022.7現在) |
写真
感想
マイカーと公共交通機関を活用した「日帰り小辺路踏破」の第4弾。唯一の同じ発着点からの往復計画である。とはいうものの単純な往復ではつまらない。山天辻を経由する周回を目指した。
4ヶ月前にもやってきた五百瀬。旧小学校前に駐めて歩き出す。目の前の「民宿政所」に宿のご主人の人影が見えたので立ち寄り。山天ルートや古道ルートについても伺う。山天ルートは、あまり利用する人がいないので荒れているかもしれないとのこと。慎重に行動しようと思う。
三浦口まで来ると、三浦峠方面への登山者が数名。ここ数日の不安定な天気のせいか、はたまた夏の小辺路の人出はこんなものなのか、いささか寂しい。
三浦口の古道標記の裏手にある狭い石段から着手。すぐに「熊野古道ではありません」標記が現れる。それは当然承知の上で、その先へ。
落ち葉の激しく降り積もった急坂をジグザグに上っていく。蜘蛛の巣も多い。仕方がないので枯れ枝を振り回しながら進む。上るにつれ、落ち葉こそ減るが急勾配は変わらない。そのまま標高差300mくらいを一気に上り、ようやく現れた広場で休憩。
急勾配が一息つくと緩斜面となるが、そうなると今度は踏み跡探しが難しくなる。マーキングすらない踏み跡をひたすら追いかける。
GPSプラス地図、そして足裏の感覚が頼りだ。特にGPSと地図の組み合わせは本当にありがたい。リアルタイムの自分の居場所がわかるのだから、このような道なき道を行くときには欠かせない。時折逸脱することがあるが、それには気をつけたい
756m標高点からは国道地理院1/25,000によると点線道があることになっている。しかし、先ほどまでと全く同様の踏み跡が続いているばかりだ。
しばらく進み、山点集落からの道と合流。いや、合流したはずだが、山天からの踏み跡をキチンと確認することができなかった。たぶん合流したのであろう。その先くらいからは、コース上にピンクのテープが見られるようになる。ここに来てようやく目印の登場だ。
それにしても暑い。夏だから当たり前のようだが、天気予報によると今日はせいぜい20℃程度のはずだ。汗が噴き出してくる。それを嗅ぎつけるのか、アブが次々襲来する。服の上からでも襲ってくる。アブくらいになると、腕に留まればその重量感ですぐさま振り払えるのだが、ブユであろうか、細かな個体もいるので振り払い続けないといけない。少々面倒になってきた頃、虫除けを持っていたことを思い出し、腕や首筋に噴霧。どうにかちょっとはマシになったようだ。それにしても蜘蛛の巣にアブにと、いつにも増して今日は虫にご縁がある日だ。
900m台の鞍部を越え、頂上山稜への尾根に取り付く。最初の1,028m標高点や1,100m標高点は見つけることができなかった。
それでも尾根筋がはっきりとしてきた最終部を上っていく。ミズナラが目立つ。やがて、樹間の日差しが明らかになり、頂稜部に到着。特に名称を表すものはない。ここまでの所要時間次第では「山天の高」を往復しようと思っていたが、短縮は図れなかったのでやむなく先へ。
そこからは緩やかな頂稜を歩く。頂稜と言っても痩せた尾根ではなく、幅の広いゆったりとしたものだ。地形の影響もあるのか、ミズナラなどの林となっているので、眺めがないのは相変わらずだ。
途中、枯死木に囲まれて日差しを感じる場所で昼食。風が出てきた。最初のうちこそ涼しげでよかったが、汗で衣類の濡れた身には寒いくらいになってきた。
食べて、先へ。赤谷峰は一応は名のある地点だが、着いてみると、特段の名称表示は見当たらない。古びた木の棒が所在なく建植されている。かつてはこれに山名標が付いていたのであろうか。
ここまで来て、いよいよ目指す伯母子岳が見えてきた。伯母子岳を写真に収めると、自ずから護摩壇山も写り込む。前回はその辺りを歩いたなぁと感慨に浸る。
山頂からは緩く下降し、先ほどまでと同様の緩やかな斜度の林の中を進む。ところどころにブナも混ざり始める。やがて、伯母子峠。人工的な林道が斜面と並行に峠をかすめ、山道は峠を特別な場所とも思わず再び高度を上げる。そして伯母子峠避難小屋に到着。ここには避難小屋とトイレが設置されている。
いよいよ、伯母子岳への最後の上り。あまり急坂はなく、淡々と高度を上げる。最後に小辺路三田谷へのルートの迂回路と合流し山頂部へ。
暑くはない日差しの中で休憩。前回同様、今日も周囲の見晴らしが利く。果無や大峰もしっかりと見える。眺めを堪能したのち下降へ。まずは大股に向かう下降路を進み、山頂下の熊野古道との分岐点へ。ここで前回ルートと分かれ、山頂を巻く古道ルートで伯母子峠へと戻る。途中には山頂からの水流を三条通り越すが、水には近づきにくい。
つい1時間前に横切った伯母子峠に戻り、いよいよ五百瀬に向けて下降。へつるような道取りもあるが、一定の緩い斜度で下降していく。何カ所かの崩落を過ぎ、仮の橋が架かった場所も過ぎると道は幅のある立派なものになる。しばらくすると、山頂へと直行する迂回路と合流。ややあって、上西家跡。建物は残っておらず、礎石や基礎の石積みはそのままになっている。山中の尾根筋ではあるが、鞍部になっているため広場になっているようだ。
かつてはここばかりではなく茶屋があるほどの人の往来があったということに驚く。
その先で標高差50mばかりの上り返しがあるが、全般穏やかに進む。次は水場と水ヶ元茶屋跡が現れる。ここには弘法大師像も安置されている。水場は「弘法の封じ水」と呼ばれているようだ。水を飲みこそはしないが、タオルをヒヤヒヤにして、ネジを巻き直す。
その先でも50m近い上り返しが再びやってくる。上りきると「登山口まで1.9km」の標記。下りていくと、途中からは石畳が現れる。石畳は「待平」まで断続的に続いており、急な斜面では石段になっている。斜めの石畳は歩きにくいことこの上なく、雨上がりだと滑るため特に注意を要する。
杉清集落の上部であろうか、珍しく分岐が訪れ、残りは0.9km。この辺りからは急坂がやむことなく続き、最後は急な石段で舗装路へと降り立った。入口には、小辺路や三田谷といった標示が多数並んでいる。川沿いの急斜面の取り付けだけに、付近には駐車場はなさそうだ。結局、ここから登山をする場合にも、今回駐車した旧五百瀬小学校に駐めることになるようだ。
県道733号をとぼとぼと歩き、トンネルを越えると朝見た光景。振り返ると、朝見たままのトンネル出口。9時間を越える周回で戻ってきた。
ちょうど民宿のご主人やお母様がいらっしゃったので無事に帰った旨お声をかける。道のことなどをお伝えする。天候不順でこの三連休もキャンセルが多いそうだ。日帰り登山者であっても、宿の窮状には共感するものがある。当分は大変なんだろうなと思いつつも、できることもないままに、五百瀬をあとにした。
それにつけても今回の山行きでは誰ともすれ違うことはなかった。9時間を越えるコース取りで、無人というのは珍しい。夏の低山だからなのか、前後の日の天候のためなのか。人流が再び抑制気味ということではあってほしくないものだ。
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