思い出の白神岳 (蟶山コース→二股コース)
- GPS
- 07:19
- 距離
- 9.7km
- 登り
- 1,099m
- 下り
- 974m
コースタイム
天候 | 高曇り。視程100km(?)程度 |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2009年08月の天気図 |
アクセス | |
コース状況/ 危険箇所等 |
白神岳の登山路は国道101号からのコースほか、十二湖の青池からのコース(大峰コース)が紹介されていますが、大峰コースは青池から6〜7時間(下りは5〜6時間)の長丁場となるだけでなく、崩落箇所も多いため、登山路としても下山路としても、一般登山者には全くお勧めできません。現在は通行禁止となっています。数年前、5月連休時(残雪時)にこのルートを下山したまま行方不明になったままの人もおります。従って、今回は国道101号からの一般ルートについての報告となります。また、地図、標高グラフについては、下りの二股分岐までとしています。 全体的に、標柱が適度に設置されており迷いやすい箇所はありません。急な斜面の殆んどには補助ロープが適切に設置されています。ただし、二股コース、二股直前の急下降部分には補助ロープがありません。疲労が蓄積されている脚・膝のことを考えれば、ロープがほしいところです。 蟶山コースは道よりも動物(サル、マムシなど)に注意が必要です。クマは鈴を鳴らしていけば大丈夫だろうと思います。 二股コースは動物よりも道に注意が必要です。登りは言うに及ばず、下りですら健脚者向けです。二股付近でごく短い徒渉がいくつかありますが、水量豊かな急流であり増水した場合は立ち往生してしまう可能性があります。下山路に使って徒渉できない場合は、山頂まで逆戻り(標高差750m、3時間程度の登り返し)になります。 【登山口〜二股分岐】 泥濘んだ箇所が少しありますが危険なところはありません。登山道も明瞭で迷うところもないと思います。 【二股分岐〜(蟶山コース)〜山頂(三角点)】 総じて転落などの大事故となる危険な箇所や迷う箇所はありませんが、下草がよく刈りこまれているわけではありません。(原則的に自然のままにしているのかもしれません。) 二股分岐以後は道幅が狭くなりますが、蟶山分岐までの登山道は明瞭です。 最後の水場から蟶山分岐までは、木道になるまで短い急登が断続しますが、要所要所にロープが設置されています。基本的に、木道は泥濘んだところに設置されているので、通常以上に滑りやすい点に注意が必要です。 蟶山分岐からは大峰分岐までは支稜線上をアップダウンを繰り返しながらたどりますが、泥濘んでいる箇所も多くなるほか、登山道脇のクマ笹も背丈ほどに伸びており少し鬱陶しさを感じます。"山頂へ1.5km地点"から大峰分岐まで30分程度の急登となります。 大峰分岐から山頂までは標高差30メートル足らずですが、いつになく泥濘がひどく、ところどころ下草に足下が隠されてしまう箇所がいくつもあります。大事故にはなりませんが、スリップ転倒に要注意といったところです。 【山頂〜(二股コース)〜二股分岐】 山頂から二股まで748mの急下降になります。1.8kmのうち7割前後に補助ロープが張られており、大いに助かりました。なお、二股に到着する直前10分程度の間も急坂ですが、ロープはありません。なお、補助ロープは天然繊維物風(麻混紡?)のものを使っています。黄黒のナイロン繊維のロープは通行できない箇所に張られており、補助ロープではありません。 泥濘はありませんがザレ場、ガレ場もあり、急斜面であるため滑らないよう慎重かつ丁寧な足運びが必要です。場合によっては後ろ向きの下降も必要かもしれません。ブレーキをかけながらの急下降となり腿や膝への負担は相当大きいです。 二股では、ともに水量豊な母沢と、種蒔苗代沢が合流して白神川となりますが、母沢および白神川を徒渉します。それぞれ10歩足らずであり、張ってある補助ロープに掴まりながら渡るので通常時は問題ありませんが、増水時は川幅が拡大するなどにより徒渉不可能となる危険性が相当あると思います。徒渉で問題になるのは基本的にはこの2箇所です。 二股から二股分岐までは、蟶山コースとなっている支尾根の下部(白神川沿い)をへつって行くことになります。ごく小さい沢(一の沢〜三の沢)を渡る箇所もあります。これらの沢は増水時は滝のようになる可能性があります。また下山時は左側が白神川への急斜面となっておりますが、補助ロープなど転落を防止するためのものは全くないほか、道幅の狭い場所や崩落しかけている箇所がいくつかあるため、川側へ転落・滑落する懸念は残ります。道そのものはブナなどの根が張って滑りやすいところもありますが、泥濘もなく、道幅さえあればまったく問題ないのですが……、"ありのまま"の感が強いです。この道はもう少し整備しても良いかもしれませんが、ブナとヒバの混じった気持ちのよい道でもあります。 また、二股付近は写真や絵画的にも魅力的なところだと思います。 (その他) 温泉としては、国道を北上すると、ウェスパ椿山、みちのく温泉、不老不死温泉(いずれも深浦町)が車で20分前後のところにあります。南下すると秋田県八峰町の"いさりび温泉 ハタハタ館"まで車で10分(登山口駐車場から国道まで5分)程度です。これらはいずれも宿泊可能です。 また、ハタハタ館までの途中に焼きイカで知られる"福寿草"という食堂があります。イカも美味しいのですが眺めもすばらしいところにあるのでお勧めです。 上記のほか、アオーネ青森(旧十二湖サンタランド)にも宿泊可能です。(温泉はありません。)オートキャンプ場も近く(国道に出てから車で能代市方向へ数分)のほか、大間越海岸には、釣り客向けの貸し別荘もあります。 |
写真
感想
白神岳は私の故郷である能代市のほぼ真北30kmにあり、天気さえ良ければピラミダルな山頂をいつも目にすることができます。(青森県の陸奥沢辺方面からは南東方向となるため、均整のとれた三角形の姿は見ることはできませんが、海越しの長い稜線もきれいです。)
この山は、昭和49年(35年前)8月、自分が登りたいと思って登った最初の山です。途中二股までは父親に連れて行ってもらい、二股から山頂までは単独行でした。能代駅から陸奥黒崎(現 白神岳登山口)駅までディーゼルカー(SLだったかもしれません)に乗り、駅(標高5m足らず)から長い歩きが始まります。まさに海抜ゼロから登る山でした。今は標高181mの駐車場まで車で行くことができるので、往復で2時間程度楽することができます。
かつては、白神岳はマタギを含む青森県の地元の人たちの山であり、純粋な登山として楽しんでいたのは能代市周辺の住民に限られていたように思います。世界遺産となった今でこそ、"白神"の名を知っている人は増えましたが、能代市周辺以外の秋田県人では姿を見た人は少なく、"白神岳"と"白神山地"混同する人もおります。年間10数日程度は秋田市の5階以上のビルから見ることができるのですが、見えることを知っている人は限られ、秋田市から白神岳を確認できる人は皆無に近い状態です。
平成の時代に入り、世界自然遺産登録が話題となってからは全国区の山となり、一時的なオーバーユースによって黄害がもたらされ、二股コースは一時廃道となりました。その後、山頂近くに立派なトイレが建設されたことなどにより、数年前、二股コースが復活しました。各行政機関や関係者、住民の相当の貢献があったものと思います。(すぐそばの十二湖は、観光開発が進みかつての素朴さがだいぶ減ったように思われ、少し残念ですが……)
この山には今回で3年続けて登りましたが、登山者は今回が一番少なかったと思います。正午頃で山頂に20人程度、登山中に出会った下山者6〜7人でした。それでも全国区の山らしく、仙台や東京からのほか、日本在住のドイツ人夫妻も登っていました。昨年は広島からの20人くらいのパーティがいたほか、一昨年は京都からの10数人の大ベテランのグループにも出会いました。
前の週にNHKの地方局主催で30人近いパーティ登山が行われたようであり、そのうちオンエアされるかもしれませんが、それをきっかけに大勢の人が押し寄せることのないように祈るばかりです。
この山はいわゆる"花の山"ではありません。敢えて言うなら"森の山"でしょうか? 白神山地=ブナの印象ですが、白神岳には美しい天然ヒバもたくさんあります。特に二股分岐〜二股の間はヒバの成木だけでなく幼木もいたるところに自生しており、木々の清々しさと力強さを感じることができます。
世界遺産でなければ、たぶん静かな山であり続けたのでしょうが、登山者は増える方向にあると思います。一度に大勢の人が登ると急激に山は荒れてしまうので、休日に集中することなく、できれば少人数でお願いしたいと思います。
コメント
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白神岳を楽しみにしてます。(現在編集中)
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