奥久慈ハイキング 下野宮ー西金(大子アルプス 県北ロングトレイル)


- GPS
- 12:14
- 距離
- 22.7km
- 登り
- 2,043m
- 下り
- 2,114m
コースタイム
- 山行
- 11:02
- 休憩
- 1:12
- 合計
- 12:14
天候 | 曇り、朝のうち時々雨 |
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過去天気図(気象庁) | 2022年08月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
電車 自家用車
https://www.yamareco.com/modules/yamareco/detail-4538583.html 登山口付近の駐車場は登山者用ではないので駐車してはなりません。 下山後は西金駅から水郡線で下野宮駅まで移動し、そこから駐車場まで20分ほど歩きました。下野宮方面の汽車は10時台、14時台、16時台に各一本といった具合に極端に本数が少ないので、目当ての汽車の時刻を決めて逃さないようにします。それに加えて、水郡線の上に夕立の巣があり、登山中雨が降っていなくても、大雨の影響で遅延が生じることが多々あります。運行状況にも気をつけます。 西金駅には乗車証発行機があるので西金駅から乗車したことの証明に乗車証を入手します。ワンマン列車の場合乗車する際に乗車ドア(ドア脇のドア開くボタンを押します)を入ったところに乗車証発券機があるのですが、常陸大子までは車掌つき、常陸大子からワンマンということがあるので念のために乗車証を入手しましょう。 |
コース状況/ 危険箇所等 |
序盤の大子アルプス鋸21峰は、県北ロングトレイルの一部になってから格段に歩きやすくなりました。それでも這って登り降りしなければならないような急登、急下降が続く身体にこたえるコースです。 男体山登山口まで、断崖の横、ナイフリッジを通る箇所が無数にあります。難度は低いのですがもしつまずけば死亡という危険箇所だらけであるということを認識しながら歩きます。 全体を通して枝道が沢山あります。特に迷いやすい(はっきりした枝道がある)ところは標識がありますので、標識をよく確認しながら進みます。 それ以外に標識のない枝道も全体を通して何箇所もあります。そういうところは一番はっきりした踏み跡が今回の縦走路です。 生瀬富士から立神山にかけては補助ロープのあるような登はん要素がある箇所があります。ロープや潅木をうまく使って3点支持で登り降りします。 立神山から山王山へ上り返す途中で滝川(生瀬の滝、袋田の滝を擁する川)を渡渉する箇所があります。夏場は靴脱ぎが普通なのですが、今回は水量少なめで靴脱ぎなしで渡渉することができました。どう歩くかはちょっと頭を使います。 大子アルプスから西金駅まで水場はゼロなので飲料水の十分中継ぎ上げが必要です。 |
写真
装備
備考 | ヘッドランプ 帽子+防虫ネット ミスト式虫除け(商品名 スキンベープ)、手袋(ゴム引き軍手、商品名「タフレッド」) 渡渉用サンダル ファーストエイド 雨具 スマホGPS 携帯電話 タオル 着替え(下着一式、Tシャツ、ショートパンツ、体拭きタオル) 飲料水3L、スポーツドリンク1.5L)ミニあんぱん、塩補給飴(今回はレモン味と小豆味)。 山の中は実は日差しは強くないのですが、それでもきついアップダウンを行動することで身体がヒートアップします。ザックの背中や帽子の頭などの放熱が悪いので、こまめに停止して荷を降ろし放熱します。その際にこまめな水分補給も心がけます。 今回背中に熱がこもらないようにと、ザックににつけるメッシュ状の背当てを百均で買って付けましたが、これは本来背当ての中に保冷剤などを入れて使うものだったので、空気抜きにはあまり役立ちませんでした。 より有効だったのは、こまめにザックを両手でおんぶするようにして背中とザックの間に隙間を作ることでした。ただし今回は前回よりも気温がずっと低かったのでそもそも身体が楽でしたが。 前回の大子アルプスではアブの大歓迎を受け、服、手袋の上からもかまれました。虫除け対策は必須です。クモの巣対策を兼ねて防虫ネットと虫除けクリームを使いました。 筆者にとって最強の虫除けである日焼け止めクリームを今回は顔、手、首にべた塗りしました。さらに小型のミストタイプの虫除け(スキンベーぷ)を持ち、羽音がし始めたらこまめに全身に吹き付けました。 そのせいか、天候のせいかは不明なのですが、1週間前の縦走ではアブ、ブユ、ヤブカの大歓迎を受けて、アブには服や手袋の上からもかまれたのですが、今回は虫刺されはゼロでした。 出発すると下山するまで水場がありません。十分すぎるくらいの飲料水を担ぐ必要があります。筆者はスポーツドリンク込みで4.5Lかつぎ、4Lほど飲みました。 ゴム引き軍手は這い回ったり登はんしたりする目的にはいいのですが、暑苦しいのが難点です。 |
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感想
今まで何回もやってきたところの、西金ー下野宮縦走の逆コース。前回の息が詰まるような蒸し暑さと一転して、曇りがちな天気も手伝って奥久慈の夏らしい涼し目の縦走を楽しめた。同じ道でも歩く向きが違うと景色が変わって楽しい。楽しいあまり、月居山ー男体山で一端大きく縦走路から外れてしまったことはご愛嬌。
今回のハイキングで、暫くの間長い山歩きはお休みだ。
ーーー以下自分のためのメモーーー
前回は月居山までで下山したが、何とか男体山まで足を伸ばして西金へ降りたいと考えていた。終列車を調べてみると意外なことに20時09分まである。大円地山荘を19時に通過すれば終列車に乗れるなら、のんびり歩いても大丈夫ではないか。
その一本前の汽車は17時22分。昨年ならば、このコースは12時間コースだから、5時出発で何とかなるところだ。西金から下野宮を目指すときは下野宮17時32分を目標にしていた。しかし今年の体力でこのルートをこの季節に12時間で歩ききるのは難しい。超早出、3時くらいには歩き出したい。しかし前回経験しているように大子アルプスをヘッデン便りで歩くのはルートファインディングと、崖っぷちを歩くという危険性から厳しい。ぼうっと歩くのには向かない。
週日の疲れが残っている土曜日に、目覚まし時計で3時起床し(調子がよければ3時は勝手に目が覚めるが、今回は目覚ましで確実に起きることにした)、4時ごろ出発。スタート地点の通称(?)「宮川グラウンド駐車場」(これ地図で検索かけても出てこない)に到着したのは5時だった。
17時台の汽車に間に合うには、去年の体力があったときでも微妙な時刻だが、終列車ならば十分間に合うだろう。ありがたいことに、今朝はひんやりしていて奥久慈らしい早朝だ。熱中症で動けなくならないようにぼんやりのんびり歩こう。
天気はあまりよくない。久慈川を渡るときに見える稜線は雲の中だ。こつこつ歩いて月待ちの滝近くの登山口入り口に入った。通行者カウンタがある。前回自分が来たときは前々回自分が来たときからカウンタが増えていないことに驚いたが、今回は4カウント増えていた。
入山の時点で曇りとはいえ日が昇っていたおかげで、ルートファインディングは格段に楽になったし、1峰から3峰にかけての崖っぷちとナイフリッジといった危険箇所の通過に全く手間取らないのは助かる。
さらに驚いたのは、序盤でアブやブユの歓迎を全く受けなかったことだ。確かに今回は自己流最強虫除けクリームの日焼け止めクリームをべた塗りして臨んでいるが、羽音もしないのは不思議だった。気温が少し下がると活動度がぐっと下がるのだろうか。それでも暫くすると羽音がし始めたので、音がしたら早めに携帯のスキンベープを身体のあちこちに吹きかけて止まられないように先手を打った。
3峰の小岩塔を過ぎてからはまず三角点「釜田」までの急登を何も考えずに歩き、いくつかのアップダウンの後に林道を横断する。時折木の葉をたたく雨の音がする。
6峰を過ぎて、林道へ下る前に左へ急カーブするところがあるのだが、今回はそこのカーブを薄い踏み跡に沿ってまっすぐ進んでしまった。この枝道は去年から存在を知っていたし、前回はわざと入ってみて様子を見てきたくらいの箇所なのだがそれでも間違えてしまった。今回の山行はぼうっとして歩いていたせいか、後の月居山ー男体山縦走でも道間違えをやらかしてしまった。
林道を登ってからはおなじみの急登、急下降を繰り返す。危なげなところは諦めて最初から四つんばいで移動した。特に下降の場合、重心が低いし転倒の危険もないので、安心して下ることができた。
涼しいせいか、疲労度が低い。前回は大子アルプスの時点で大汗をかき、ズボンを伝った汗が靴の中にたまって、音を立てるほどだった。担いだ水もずいぶんと飲んでしまったのだが、今回は大子アルプスではごくわずかな回数休憩するだけで歩けてしまった。
這い上がったり、這い降りたりを繰り返し、17峰ー18峰(18峰は三角点「赤坂」)間にある観望点に到着したときはまだ9時前だった。1時間早くスタートした先週とほとんど変わらない時刻で、気持ちよく歩けていることがよくわかる。
19峰あたりになるとあと少しという気になるし、最後の劇降りを除くと歩きやすく、高度もある気持ちの良い道になって気持ちも晴れる。そして以前に比べると楽になった最後の降りを這い降りて。コルにある馬頭観音に無事を感謝した。
ここからが中盤戦だ。生瀬富士ー立神山は気が抜けないがその緊張感がたまらない。
生瀬富士南峰から北峰では、序盤の大岩に取り付いて岩稜欲を満たす。立神山では来た道を戻るような不安に駆られる降り口を見つけて根気よく急下降していく。
滝覗きまで来ればあと一息。袋田の滝に加えて、山王山を従える月居山の雄姿と、その先に白木山、男体山へと続く縦走路の尾根尾根を眺めて気分を高揚させた。
17時22分の汽車を狙うための通過タイムは月居山正午だと思っていた。まだ正午までは時間がある。これなら5時台の汽車で比較的早い時間に、特に日没前に水郡線を楽しむことができるのではないかという気持ちになってきた。
渡渉点も靴脱ぎなしに通過、山王山の急階段も前回のように休み休みということもなく通過し、月居山の最後の急登をむさぼるように登って月居山山頂に到着したのは12時15分前だった。これなら5時台の汽車も大丈夫だろう。
月居山のジャンダルムと筆者が勝手に呼んでいる岩塔に乗ると。ナナカマドかヌルデか、気の早い紅葉が始まっていた。確かになでしこの花がそこかしこにあり「我が待つ秋は近づくらしも」(万葉集)かも知れないが、まだまだ暑い日日は続くだろう。
大子アルプスのサディスティックなアップダウンに比べれば月居山ー男体山縦走路はやさしいし愉快な山道だ。逆コースになると同じコースも違う景色が目の前に開けてこれまた愉快な気持ちになる。
そして景色が変わって楽しいついでにまさかの月居山ー男体山縦走路で道間違えした。快適な縦走路を歩きながら、近頃気づいていた縦走路の道の崩落の進行が気になった。そしてなんとなく踏み跡が柔らかく感じられる。まだまだ普通に縦走路だったのだが、虫の知らせか、GPSで現在位置を確認したら登山道から直角に大きく外れているではないか。
踏み跡ははっきりしているのだから、けものみちへ踏み込んだわけではないだろう。今までしっかり見てこなかったが実際の縦走路は地図上の登山道とは異なるのではないか。そういうことは実際にあることだ。自分の歩いた軌跡を見てみようということで、過去のGPSデータを覗いてみた。軌跡は地図どおりだった。戻るしかない。
ずいぶん正解の縦走路から外れてしまっていたが、振り返ると見たことのある岩だ(もちろん本当は見たことがない岩なのだが)。確か鍋転がし山を目指す終盤戦、この岩をきつかったよな。本当に道間違えなのだろうか。そしてその岩を過ぎると県北ロングトレイルの標識があり。やはりこの道は「正しい道」である。
しかし自分の記録は、今歩いている道が間違っていることをはっきり伝えている。まずは登山道まで戻ってみようということで、暫く歩いてみたところ、一体何をとちくるったのか、水根への分岐を水根方面へ下っていたのだった。ここには営林署のしっかりした標識があり、普通道間違えしない。正解の登山道は道なりに普通に歩けばいいので、あえて入らない限り間違えないような道だ。
ちなみに今回迷い込んだ水根方面の分岐路、地図上では水根から出た登山道が途中で途切れる。実はいつか使って、水根から戻ってみたいと思っていた道だ。この秋にでも歩いてみることにしよう。
正しい縦走路に戻り、気持ちよく男体山を目指すが、終盤はしょっぱい登りの連続が待っている。まず白木山分岐までの登り、そしてクマザサ帯を過ぎて、木の根が網の目のように出た急登を登るのだ。これを登ったらおしまいだと思ったら、一回急な下りをおろされてからやっとあずまやにたどり着いた。
ここからはのんびり歩けるだろう。
男体山頂からの景色をいつもとは違う満足感で眺めると、一般コースを気持ちよく降りて行った。ブナの巨木の3兄弟がいる登り返しは、道の崩落が気になっていたが整備されていた。頭が下がる。そのコルを登りきって稜線に上がると、左手に小さい池があることに初めて気がついた。この池を巻くようにして持方の方へ降りていくこともできるのかもしれない。
頂上稜線からはかなりのハイペースで降りていった。キツネノカミソリの群落、櫛が峰基部の接近を拒むようなオーバーハング、庭園のような苔むした倒木などを眺めながら、小走りになったり、歩いたり。暗い杉林の向こうに明るく開けているところが見えれば、それが一般コースの入り口だ。登山はそこで終わる。
ありがとうございました。男体山に手を合わせて、西金駅まで急いだ。
途中何度か小走りで急いだのは、旧道を回って清水をくむためだ。おかげで西金駅での着替えには最低限度の時間を割くことしかできなかったが、微かな甘みのある(ような気がする)山水を3Lくんで、週末の飲料水にした。
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