北アルプス/槍ヶ岳北鎌尾根
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- GPS
- 56:00
- 距離
- 36.1km
- 登り
- 2,681m
- 下り
- 2,436m
コースタイム
7/20 起床(2:45)-出発(4:10)-北鎌尾根上2000m(5:05-15)-P2[2120m峰](5:40)-北鎌のコル(10:20-40)-P8[2749m峰]への登り約2700m地点?(11:25-40)-独標[2899m峰]前のコル(12:25-13:05)-北鎌平(17:45-55)-槍ヶ岳(19:30-35)-槍岳山荘(20:00)
7/21 起床(4:30)-出発(6:40)-槍沢ロッジ(9:30)-横尾山荘(10:30)-徳沢園(11:10-30)-河童橋(13:00)-上高地バス停
天候 | 晴れ |
---|---|
アクセス |
利用交通機関:
電車 自家用車
7/21 帰路は別動隊の自家用車で沢渡から帰宅。 |
写真
感想
今や北鎌尾根はほとんどが北鎌沢から登られているようだが、後で振り返った時の充実感を求めて湯俣経由北鎌尾根末端からの行程を選択した。最近のルートガイドでも北鎌の核心はアプローチと書かれているが当時でもそう言う印象だった。あるはずの橋はなく、崩壊しかけた河岸のヘツリ、梅雨明け早々で増水した水俣川の徒渉、倒れた木の幹に股がっての天上沢越えと正に冒険的なアプローチだった。
天上沢を渡ったP2の基部にテントを張り静かな夜を過ごし翌日は4時から行動を開始し、北鎌尾根をトレースして槍ヶ岳山頂を踏んで槍ヶ岳山荘のテント場に到着したのは20時過ぎ、16時間を越える活動は堪えた。でもその日の山行を終えてテントでやけにハイになっていたのを思い出す。
好天に恵まれたのも幸いだった。雪渓で出会った雷鳥、夕暮れ間近の本峰の登攀、雲海の向こうの白山。ガレ場が非常に多かったのは神経を使わされたが本峰の登攀は快適だった。
使用カメラはLeica CL、レンズSummaron 35/3.5。1970年代の器材でシャープネスは今日のデジタル器材とは比べるまでもないが当時としては写りと可搬性の良い妥協点だと思っていたし、Kodachromeのしっとりとした色調にははまり役だった。2日目は快晴で空も突き抜けるように蒼くこれはVelviaが最高のパフォーマンスを見せるシチュエーションだった。CLの露出計は壊れていたのでミノルタの露出計を持って行った。L.L.Beanのフィッシングベストを着て右のポケットにCL、左のポケットに露出計を入れていた。
荷物の軽量化にも腐心し、寝袋ではなくエマージェンシーシートにくるまり夜を過ごした。これはこれで充分だったが動くとガサガサ音を出すので同行者には耳障りだったかもしれない。水も持参する量を少なくしたが、これは2日目で脱水気味になったので良くなかった点だった。以来水分はケチらないことにしている。
7月19日(土)晴
7/18 23:54新宿発急行アルプス85号に乗車.当初の予定では23:50発の急行アルプス・デラックス車両(^_^)に乗る予定だったが,我々が駅に着いた21:30の時点で既に長蛇の列(指定席は2週間前には売り切れ)で仕方なく,アルプス85号・貧弱車両(T_T)に乗った.85号では椅子に座ることができたが,通路はしゃがんだ乗客と荷物で満ちておりトイレに行くときは肘掛けの上を歩いて行くしかない状態であった.JRには混雑期の臨時列車増発を強く望む.列車の中はザワザワしており良く眠れないままに信濃大町着(5:10).改札を出ると電話予約していたタクシーが私の名前の看板を掲げていた.相乗りの男性1名と共に大町駅発(5:40).東京電力ゲート着(6:15).ゲートが開くまで登山指導所に山行計画書を提出,アプローチの写真を見せて頂く.ゲートの内側には大町名鉄タクシー,アルプスタクシー各5台,合計10台の車しか入れない様で,順番待ちの車が数台あったが我々は6:30の開門と同時に入れた.なお,1台の車には乗客4人までと決っているそうです.程なく高瀬ダムに到着,歩き始めた(6:45).タクシー代は消費税込み(\7020).名無避難小屋(8:15)は釣り用(?)で土間+4畳部屋で薪もあり結構快適そうだ.湯俣の吊橋を渡ってからは道が悪くなる.水際をヘツリ気味に通過するところで(ザイル使用)順番待ちなどで約1時間要する.なお5m上方にフィックスロープがあり,これを使用して通過しているパーティーもあった.ヤブありガレありの荒れた道を1時間ほど進むと川原に4,5人立すくしていた.周囲を見渡すと対岸に橋の残骸があった.こんな所で引き返す訳にもいかない,という思いはおそらく共通であろう.ここを徒渉するしかない様であるが,皆お互いを伺っている様だ.流れは速い.川幅は約15m.水深は深いところでおそらく胸ぐらいか.慎重に徒渉点を探す.幸い対岸に向かって3mの所に岩があり,そこから力いっぱいジャンプすれば深みを飛び越して水深が腰ぐらいの安全地帯まで行き着けそうである.空身でザイル確保してもらう.衣服や靴を脱ごうかと思ったがやめて,そのまま入水する.あまり冷たくない.なんだか後方から数人の視線を感じる.水は腰ぐらいまでで予定の岩までたどり着いて上がる.ザイルを5m程手繰り寄せループを作る.呼吸を整える.ザイルを上に投げると同時にジャンプする.着水と同時に泳ぎ(必死!)無事対岸に立つことができた.ザイルで3人分のザックを空中輸送する.他のパーティーの女性が私のマネをして徒渉を試みるが流される.幸いザイルで無事回収された.フィックスロープを使用してtadomasa氏、Aki-CL氏が徒渉して,次に他パーティーのメンバーが徒渉した後,我々は自分達のザイルを回収して,先を急ぐ.千天出合を過ぎて天井沢の徒渉点(P2基部)に到着する.千天出合を過ぎると理屈では水量は半分になるはずだがそうは見えない.むしろ流れは確実に強くなっている.徒渉点を探して上流に進んで行くと,幸いにも両岸からの倒木が「人」の字の様になり天然の橋が出来ていた.ザイル確保して空身のAki-CL氏が倒木に馬乗りになりズリズリ進みフィックスロープを張る.tadomasa氏、13Kが渡っていると先ほどのパーティーが追いついてきて我々のフィックスロープを使いたいというので許可する.その男性は先ほどと同様に我々のザイルを使用して横断し自分達のザイルをフィックスして,我々のザイルを返してくれた.彼らはN山岳会所属で今回は女性2名との3人パーティーだそうだ.他に単独行の1名が「橋」を渡った.我々はすぐ近くの平地で,N山岳会パーティーも近くで,幕営する.水平がとれており快適なテント場である.単独行者はさらに進む様だ.おそらく北鎌沢をつめる予定なのだろう.
7月20日(日)晴
暗い中,テントを撤収し30m程下流方向に歩いてから尾根を登り始める.はじめは適当に歩いていたが,はっきりした踏み跡に気付きこれを登る.徐々に明るくなるなか,木の根や残置ロープをつかんで急斜面をガンガン登る.やがて傾斜が緩くなり尾根上にたどり着いた.尾根上は多少ヤブもあるがはっきりした踏み跡があり歩き易い.この時点では今日中に槍沢ロッジまで降りられるかも知れない,などと甘く考えていた.間もなく岩峰(P4?)が現れる.直登は辛そうなので,天井沢側から巻く.懸垂下降した後,いやなガレ場を登り尾根に戻る.P5,P6,P7付近は地図で読めない小ピークが連続するが概ね尾根上を歩く.安全のため1回ザイルを出して懸垂下降する.北鎌のコルに下っている時,北鎌沢右俣を登って来る3人パーティーが見えた.P8[2749m峰]を登る途中(2700m?)で休憩中のこのパーティーに追いつく.大天井岳の貧乏沢を下って来たそうである.彼らのリーダーはメンバーを励ますためか「あと1時間で独標ですよ!」と言っていた.しばらく前から時間が気になり出した我々にも心強い言葉であった.しかし我々は,独標前のコルの雪渓で給水した(約40分要する)こともあり,独標付近に着くのはこれから3時間後であった.なお,独標は千丈沢側から巻き頂部は通らなかった.独標以後,岩峰が連続するがほとんど千丈沢側を巻く.途中で男性2名のパーティーに追いつく.また先行してるはずN山岳会に追つかれた.独標を登って来たそうだ.後ろを見るとさらに数人の姿が見えた.彼らは途中でビバークしたと思われる.北鎌平はテント数張りが張れそうな広さがある.石を並べて造った防風ブロックもあった.またウレタンマット付きの赤いザック(60Lぐらい)が残置されていた.槍ヶ岳への登りは踏み跡をたどって千丈沢側から登り始めるが嫌なガレ場を歩かされた後,岩稜上に到達した.こんな事なら初めから岩稜を登った方が楽だった.沈みつつある夕日,夕焼け染まる北鎌尾根,東の空には満月が見える.疲労と焦りから適当なルートを登ると,見覚えのある祠と白ペンキで書かれた「キタカマ」の文字があった.19:30槍ヶ岳着.ここで乾杯する為のビールを持参しているのだが時間が無いので諦める.しっかり記念写真だけは撮って即下山.暗くなる中ヘッドライトを用いてゆっくり降りる.ハシゴと鎖と白ペンキに導かれて槍岳山荘に到着(20:00).
別働隊(上高地ー水俣乗越ー槍ヶ岳ー槍沢ー上高地)と無線連絡が取れず、困っていたら、隣のテントから「うるさいぞ!」と怒鳴り声が聞こえてきた。少々声が大きくなっていたかもしれない。
7月21日(月)
上高地バス停にて,昨日今日と何故かまったく無線連絡の取れ無かった別動隊と合流.バス停は非常に混雑しており2時間以上待って乗車.(上高地ー沢渡 ¥1350)沢渡駐車場の車に同乗させてもらって帰宅.
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