暴風の赤岳、快晴の硫黄岳


- GPS
- 56:00
- 距離
- 22.0km
- 登り
- 2,086m
- 下り
- 2,087m
コースタイム
- 山行
- 4:20
- 休憩
- 1:40
- 合計
- 6:00
天候 | 1日目 晴れ 2日目 曇りのち雨(山頂付近暴風) 3日目 快晴 |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2014年07月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
|
コース状況/ 危険箇所等 |
赤岳の山頂付近や地蔵尾根は鎖場があります。有名な所だけに全体的に道は整備されて登りやすいですが、悪天候の場合はやめた方が良さそうです。 |
その他周辺情報 | 赤岳鉱泉でお風呂に入れます(1,000円) 美濃戸口にも下山後すぐお風呂に入れる八ヶ岳山荘があります(500円) |
写真
感想
赤岳は八ヶ岳の最高峰。そそり立つ頂に前から憧れの念を抱いていた。
去年は登山一年目ということもあり南八ツには近づかず、初心者推奨の北八ツを歩いた。そんな思いを温めての今回の登山、振休をとって2泊3日ののんびりスケジュールだ。
1日目、晴れ。
猛暑というくらい、暑かった。
ほんとに標高高い場所にいるんだろうかというくらい。
美濃戸口から行者小屋まで3時間の道程。テント担いで猛暑の中、立ち止まると虻が猛攻撃を加えてくる。
虻も暑さで気がたっているのだろうか。河原沿いで休憩してると、肘がチクリと痛み、次の瞬間何かに噛まれたかのような激痛が。腕がみるみるパンパンに腫れてきたのでまくって見ていたら、親切なおばさまが薬を塗ってくれた。ありがたい。
これが効いたのか、すぐ腫れがひいた。
暑さと虻の猛攻に辟易するも、八ヶ岳の山容が目前に姿を現した時はさすがにテンション上がる。
程なく行者小屋についた。
小屋前はとても賑わっていた。テントを張り、昼食に持ってきたハンバーガーを作って食べる。美味しいのだが、暑すぎてお供のコーラがとにかく進む。
この時点で正午くらいなので天気も良いし、上に出発する人も沢山いた。自分達は2泊ののんびりスケジュールだし午後は崩れるかもしれないから、と日蔭を見つけてのんびりした。500円の八ヶ岳アイスを食べながら小屋を行き交う人々の姿や青い空、八ヶ岳の峰々を眺めるのは至福の時間だった。
2日目。4時に起きてテントを出ると残念な天気。ガスガスだった。
ただ電波の入った昨日の時点での天気予報では晴れのち曇だったし、ひょっとすると上に行ったら晴れるかも?といつもの妙に前向きな思考が働き出発することに。。
昨日ダラダラしてこの日に備えていたのもあり、なかなか様子を見よう、という思考にはなれなかった。
文三郎尾根を登る。結構登ってから振り返ると行者小屋が小さく見え、かなりな高度感。マムートマークの階段を見つけ、お~これかこれかとなる。
登るにしたがい、麓から吹き上がる風が強くなってきた。文三郎尾根を登り終わり、稜線に出た瞬間ものすごい突風が吹きつけてきた。身体がよろける。「ん?これは危ないぞ...先に進んで大丈夫だろうか?」という考えが一瞬頭をかすめる。
でもここまで来たし、ここからが楽しい核心部だし、山頂は目前だし、と前に進むモチベーションにかき消されてしまった。
山頂付近の切れたった迫力のある岩場が目前にせまり、鎖を握ると「暴風の中、自分は何を頑張っちゃってるんだろうな」と思いながらも静かな興奮状態にもなっていた。
見た目は激しいが、さすがによく整備された山なので問題は無かった。登りやすい。山頂小屋から降りてくる人が多く、すれ違いがちょっと大変。
鎖場は思ったより短く、山頂に到着。こんな天候なのに人が多い。
撮影でまごつくと混み合うと思ったし、風も吹き荒れてるので、率先して撮影役にまわり、来た人達の山頂写真をどんどん撮った。(隙を見て自分達も)
その後、頂上山荘で休憩(一時避難)。カップラーメンを食べながら電波も入った所でツイートと天気予報を見る。10時以降は降水確率が上がっている。(この時7時半くらい)雷雨に注意との事。こんな暴風でさらに雷雨ときたらどんな試練になるか分からない。休憩もそこそこに下山することにする。
下りは地蔵尾根を通るルート。
こちらも気をつけなければいけなそうな道だ。
赤岳展望荘までの稜線歩きは突風をモロに受けないようかがんで進んだ。岩の影に隠れるようにしながら、風の弱った瞬間に次の岩場に隠れに走るような感じだった。
下りの斜面も、登ってくる人がガッチリ鎖を掴んでるのでそれを触るわけにいかず。横にトラバースしながらジグザグに足場を探して降りた。
展望荘に着いた時、雲が風で晴れる一瞬があった。赤岳の隣に見えたのはなんと富士山。赤岳の山頂も姿を現してくれた。大自然の気まぐれな粋な計らいにあちこちで歓声が上がる。
美しい。登ってきて良かった、とこみ上げる瞬間だった。
地蔵尾根も鎖や狭い階段など、ところどころ険しい所はあったが稜線を下りて風も落ち着いてきたので問題無かった。
なだらかな樹林帯に降りてきた時はやはりホッとした。
9時頃、雨にもあわず無事行者小屋に。テントを手早く片づけて今日の宿、赤岳鉱泉に移動する。
赤岳鉱泉に到着。大きな山荘でとても綺麗で便利な所だった。テントを立てていると警察のヘリが上空を通過する。
昼御飯を食べていると、土砂降ってきた。まさに間一髪。
早い行動して良かったと心底思う。
山荘に無線が入ってきて救助の状況が聞こえてくる。文三郎尾根付近で滑落した方が心肺停止状態との事...ショックなニュースに愕然とする。
確かにあの状況では滑落の可能性も大きかったが、自分達も2時間前くらいで通過した場所だっただけに。。そして滑落した方とはすれ違って挨拶していたかもしれない。
悪天候の山はやはり怖い。テントで寝る時、赤岳に登った満足感と、それに対して危険な時に踏みこんだという罪悪感、亡くなられた方を思うと。。という気持ち、無事で良かったという安堵感等が織り混ざってなかなか寝つけなかった。
翌朝晴れたら硫黄岳に行こう、今日みたいな天気なら大人しく降りようと決めて就寝。
翌朝、寒さで目を覚ます。
昨晩は蒸し暑くて薄着で寝たので身体が冷えきっていた。油断した。
早朝寒いという事は...!?とテントを出てみるとまさかの快晴。
これは行くしかないっと硫黄岳に出発。登りやすいなだらかな坂を登っていく。それでいて知らず知らずのうちに標高を稼いでいる。優しい山だ。南八ツにもこんな山があったとは。
樹林帯を抜けると驚きの眺望が待っていた。まず横岳、赤岳、阿弥陀岳の迫力ある山肌が眼前に。その奥には南アルプスの甲斐駒ケ岳や仙丈ヶ岳が見える。興奮して写真を撮りまくり、さらに進むと赤岩の頭に到着。ここが快晴のため、360度の大パノラマ。
南アルプスから中央アルプス、御嶽山、乗鞍岳、北アルプスまで全て見える。近くには天狗岳と蓼科山が。
こんな天気にこの眺めは本当に最高としか言いようが無い。
写真ばかり撮って、なかなか進まない。帰りが多少遅くなろうがそんな事はどうでも良い、という気分になっていた。硫黄岳山荘まで進み
バッチを購入して戻るとガスがどんどん上がってきて、さっきまでの景色が嘘のようにあたり一面真っ白に。夏山はやはり難しい。
赤岩鉱泉に戻り、北沢ルートで無事下山。悪天候と快晴を味わい、山の美しさと厳しさを堪能した3日間となった。八ヶ岳、これから何度も行く事になりそうだ。
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