蝙蝠岳、小河内岳、烏帽子岳
- GPS
- 56:00
- 距離
- 41.6km
- 登り
- 3,309m
- 下り
- 3,299m
コースタイム
24日 三伏峠テン場4:15→三伏山4:27→本谷山5:04→塩見新道分岐6:11→塩見小屋6:22→塩見岳西峰7:12→塩見岳東峰7:16北俣岳分岐7:38→ 9:12蝙蝠岳山頂9:29→11:16北俣岳分岐11:35→塩見岳東峰12:02→塩見岳西峰12:06→12:48塩見小屋(昼食)13:04→塩見新道分岐13:13→本谷山14:16→三伏山15:01→三伏峠テン場15:09
25日 三伏峠テン場6:21→塩川登山道分岐6:40→鳥倉登山口8:04
天候 | 1日目雨のち曇り 2日目曇り 3日目雨のち曇り |
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過去天気図(気象庁) | 2014年08月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
|
コース状況/ 危険箇所等 |
烏帽子岳の南側の崩壊沢際の登山道は底抜け状態の箇所があり注意。塩見岳山頂付近および北俣岳付近岩場有 |
その他周辺情報 | 鹿塩温泉は旅館、民宿風呂の日帰り使用のため、不定期営業、要事前確認。雨天のため鳥倉林道は落石も見られた。鳥倉林道第1駐車場は到着時満車寸前だった。ここに駐められなければ1km手前の第2駐車場になる。 |
写真
感想
天候不順で毎週末北アが荒天と伝えられる中、予定していた烏帽子〜野口五郎〜竹村新道〜湯俣温泉コースは順延し、行き先を天候が幾分マシだと思われる南アに変更した。
23日
前夜車行で、午前4時頃、鳥倉林道第1駐車場に着いた。しばらく仮眠。
周囲が明るくなり、登山者で周囲がざわざわとしだしたが、重い空の色
に動く気がせず、6時半前にようやく出発。
鳥倉登山口から山道に入ってまもなく雨が降り出す。カッパは着たものの
1時間あまりで雨は止み、日も射してきた。
三伏峠小屋には、9時半頃到着
ガスで塩見岳は見えない--。どうもつい先ほどまでは、きれいに見えていたようだ。テント設営と手続きを済ませ、サブザックに詰め替えて10時過ぎ南方向に出発した。
登山道は十分確認できるが、展望は全くない、ガスの中、30分程で烏帽子岳登頂。証拠写真のみ撮影。山頂からしばらく下りていくと、右側に大きな崩壊地、ふと足元を見ると、足元がない!?、登山道の底がえぐられて橋の上に立ってる状態だった。
11時半頃全くのガスの中、小河内岳山頂に辿り着く。時々ガスが動き、白いベールの向こう側をうっすらと見せてくれるが、山の形までわからない。展望はあきらめ、直下の小河内岳避難小屋が小屋番のいる小屋と聞いていたので立ち寄ってみた。
小屋に入ると先客2名がいた。ご兄弟とのことで、沢や冬山もするエキスパートのようだ。今回はピークではなく、この小屋が目的で、既にすっかり宴会モードでした。バーナーあぶりのシャウエッセンをごちそうになりました。ありがとうございました。この方々もさっきの崩壊地の底のえぐられた登山道の話をしていた。その箇所の整備は三伏峠小屋の担当らしいけど、最近は自然保護でこのような危険箇所の付け替えでもなかなか大変らしい。小屋番さんは73歳でご夫婦で入られてる。以前は塩見小屋のご主人だったらしい。人柄の良さそうな方でした。
小屋で山話をしていると、窓の外は明るくなってきた。三伏峠への戻りは展望見れそうだね、と励ましてくれる。1時間ほど小屋でしゃべってたかな。
戻り道、ガスの中から、烏帽子と塩見が現れた。前小河内も現れたが、小河内はついにガスの中だった。途中、山用地下足袋を履いた4人連れに出会い、リーダーの方と20分ぐらい話をする。南アルプス登って50年、笊が岳も30回登ってるってすごい方だった。この方も小河内岳避難小屋の小屋番さんと泊まりで話をするため来られたようだ。まさに南ア巨匠会談だね。結局、展望や花の写真を撮りながら、2時半頃、テントに戻った。
24日
今日は、蝙蝠岳へのピストン、標準タイムで13時間40分、昨日の小屋番さんも、三伏から蝙蝠はかなり時間がかかるよ、って言われてたので、早めに午前4時過ぎ出発。
お盆を過ぎると、なかなか夜明けが来ない。ヘッ電で暗い道を歩いてるとどの方向に向かってるか、全くわからなくなる。しかも昨夕の雷雨もあって、ぬかるんでいる箇所が多くて、見えないものだから何度も足を取られる。
本谷山到着5時過ぎ、まだ夜は明けない--。
途中、パンをかじりながら、歩を進める。あんパン半分だけで、もう食べられない。今回の山行では食が進まない。長丁場だからシャリバテは避けたいのだが--。そのうち、ようやく夜が明けてきた。
6時20分頃、塩見小屋到着、蝙蝠岳のバッチあるかな?とのぞいたが、忙しい時間なのか、誰もいなかった。
7時10分過ぎ、塩見岳に着く。全くのガスの中で展望はなかった。まあ、帰りにここを通る頃はガスも取れてるだろうと、先を急ぐ。
7時40分頃、北俣岳分岐、ここから蝙蝠尾根。確か、出だしは北俣岳の岩場が見えていたはずだが、ガスに隠されその姿は見えない。尾根への渡り廊下をゆく。
岩場の多くは巻き道があったが、いくらかのアップダウンもあった。間口は狭いが奥行きは広いのが蝙蝠尾根。ここを過ぎたら大らかな尾根の漫歩が待っているだろう。
ところが岩場を過ぎると、平坦な尾根を西から東に強烈な風が吹いていた。
https://youtu.be/eR8beRj93to
https://youtu.be/zlbYON3YQR8
山の風は一定に吹くンじゃなくて、息をしながら吹く、というが、全く息もつかず吹き続けている、岩を切る高い音を響かせながら、どんどん速度を強めている感じだった。ガスで展望もなく、風の吹きすさぶ、広くて石だらけの荒涼とした尾根を墓標のようなケルンを辿りながら、一人南東の方角を歩く。ワクワクするような不安なような気分だ。
石ころばかりの丘を越え下っていくと緑の窪地が近づいてくる。その窪地に入った途端驚いた、そこは味わいのある岳樺や草花の繁る全くの無風地帯、しかし、振りかえるとすぐ後ろの石ばかりの尾根にはガスの激しい流れが見える。でもこの窪地には全く風が吹いていない。ハエのような蚊のような虫たちが木や草の間をふわふわと飛んでいる。彼らはほんの数十m先に吹きすさぶ嵐のような世界を知らず、この楽園の中で一生を終えるのだろうか、と考えた。
森を抜ける、歩を進めていて、ふと明るくなったので目線を上げると、何か青いものが見えた。富士山だ!白峰南嶺の笹山から奈良田越に落ちていく稜線も見える。よかった。ここまで来た甲斐があった、と思った瞬間だった。
やがて風は弱まり、前方には今日の目的地である蝙蝠岳もうっすらと姿を現してきた。きれいな三角錐の端正な山だ。広大で荒涼な尾根の先にハイマツの覆われた端正な三角錐、昨日、小屋番の方が蝙蝠はいい山だよ、と言ってたが、ほんとその通りだ。300名山にも入ってない山だけど、私はこの山が好きになった。
9時過ぎ、山頂。富士山をバックに山頂標識と並んで写真を撮りたかったが、この時はガスの中にお隠れになっていて、20分くらい待ったがついに姿を見せなかった。弱まったとはいえ、動かずにいると風は容赦なく体温を奪っていく。寒さに我慢できず、富士山との記念撮影はあきらめた。
目的を達して、ガスが晴れた尾根を写真を撮りながら歩く。塩見は依然頬被りだが、富士山はもう一度だけ顔を出してくれた。地面に無数に転がる石達を見ているとグレーの石に混じって、白いきれいな石も見える。またグレーの石に白い石がサンドイッチされているものもあり、これを見て思った。南アはかつての海の堆積岩が隆起してできた山と聞いたことがある。プレートのぶつかりで攪拌された岩たちが「こおろこおろ」とこの列島をつくった。そんな歴史を石ころに感じた。
結局、蝙蝠尾根では誰一人会うことはなかった。
北俣岳分岐で縦走路に戻ると三伏から北岳へ縦走するというお兄ちゃんに会った。主に北アを登ってるとのこと。話の最中、ガスが取れて、蝙蝠尾根が日差しに輝いて現れた。一緒になって写真を撮った。彼もこの先北岳まで展望に恵まれて、南アが好きになれば良いなあと思う。
塩見岳に戻るもガスの中、ついにここで展望を得るには至らなかった。たくさんの登山者がいる。ここから30分も下れば展望が開けるというのに、百名山をひとつ得て帰られるのみの皆さんは残念だろうと思う。
塩見小屋で昼食にカップのカレーうどんを購入。蝙蝠岳のバッチはさすがにないですねえ、と言われた。三伏峠には3時過ぎに着いた。
25日
夜中じゅう、雨音がしていた。ラジオによると大阪で豪雨を降らせた雲が南アに流れてきているらしく、朝方までは雨の予報。
今日は下りるだけ。雨でズクズクのテントをたたみ、6時20分出発。
8時過ぎに登山口に着いた。駐車場まで歩くつもりだったが、大阪から来られた年配の方と話をしている内にバスが来たので一緒に乗った。
塩見山頂でもお会いしたガイド引率10人団体も下りてこられた。この団体さんのおかげで、休業日のはずだった鹿塩温泉の山塩館で入浴もできた。
北アも好きになってきたが、やはり南アは良かった。
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