【二口山塊】大行沢
- GPS
- --:--
- 距離
- 21.2km
- 登り
- 1,416m
- 下り
- 1,320m
天候 | 晴れ |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2014年09月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
電車 バス 自家用車
復路:仙山線面白山高原駅から仙台駅、仙台から市営バス |
写真
感想
帰省を利用して、郷里宮城の大行沢(おおなめさわ)に登ってきました。天気にも恵まれ、音に名高い「天国のナメ」が堪能できました。今年三月に山岳会に入会してからほぼ半年、当面の目標だった「一人で沢に行く」が達成でき感慨に堪えません。
山と渓谷9月号の特集によれば下流は「厳しい遡行が続く。初級者向きではない。」。それでも折角だから下流から登ることにしたのですが・・・。
今回も地元民の利を生かして親に車で送ってもらう。家から入渓点の秋保ビジターセンターまで40分。沢の装備を身に着けて(今回はヘルメットと沢靴だけだが)大行沢橋から入渓。初っ端から明るいナメで弥が上にも期待が高まる。ナメはすぐ終わりU字の断面を持つゴルジュに入る。これがまた美しい。白くすべすべした岩質からして、奥多摩や丹沢では見たことのない感じである。初めての一人沢で舞い上がっているからそう感じるのかもしれない。
ゴルジュの側壁には所々ステップが刻んであったりハーケンが打ってあったりするが、僕の技術だと完全にへつりだけで進むことはできず、時々は水に腰までつからなければならない。標高は低くとも秋の東北の沢、かなり冷たい。水に入ればすぐのところをそろそろとへつるのも、足を滑らせて肩まで漬かるのも一興。途中1.5mぐらいの深さにエイト環と安全環つきカラビナを見つけ、足先で回収しようとするも冷たさに断念する。
20分ほど進むと3mのF1が現れる。事前情報では水流の右が登れるようだがそこに取り付くまで淵を6,7m泳がねばならない。寒いのも嫌だが、それ以上に水が濁ってもいないのにどす黒く、何か「いる」雰囲気で腰が引ける。クラゲとか河童とか無縁仏とか?沢に来ておいて水の中に入るのが怖いとはお笑いだが、そう思ってみてもやはり恐怖感が払拭できなかった。へつりも無理そう。
少し戻ると左岸に一段高くなっているところがありステップが浅く切られている。何も考えず安易に登り始め、安全地帯まであと2mで詰まってしまった。何とか降りることはできたが、自分が降りられる範囲で登るという原則を忘れていたことを反省。諦めて引き返し、セオリー通り大東岳裏登山道の途中から再入渓することにした。そう決めてからもしばし往生際悪く滝を眺めていた。
復路、悔し紛れに先ほどのエイト環とビナを回収。同じ場所にハーケンと環なしビナもあったがこちらは流石に残しておいた。といっても、丹沢のキャンプ場で拾ったアタッシュ3Dでセルフビレイを取っている僕でも沢に沈んでいたギアに命を預ける気にはなれない。欲しい人がいたら差し上げます。
橋から再び林道に上がり、大行沢と併走する裏登山道を登る。多くのネット記録や持参した遡行図(山と渓谷の9月号に載ってたもの)では京淵沢を過ぎてナメ地帯が始まる地点で降りているが、僕はだめもとでゴルジュが終わってすぐの川原に降りてみた。登山道は割とどこからでも沢に降りられそう。
しばらくは大きな石が散らばったごく平凡な渓相。だらだら歩いていくと5mのF2。遠目には階段状に見える。右岸の岩屋の下を潜り、まずは左から取り付いてみる。別に難しくはなかったが、何分はじめての一人沢なので緊張した。まあ足を滑らせても釜で行水するだけだっただろうが・・・。登りきったときには歓喜のあまり叫びが上がった。
再び単調な沢歩きが始まる。だるい。岩は次第に大きくなり、水に足を入れずに岩を攀じ登り伝って進む感じになる。こうなると少し楽しい。一度左岸の支沢に引きずりこまれそうになったが遡行図にない大滝が表れたので気づくことができた。あれは京淵沢だったのだろうか。
いい加減うんざりしたころに2段6mのF3。苔むしたナメ滝で一見簡単そうに見えるものの、登り始めてみると(僕にとっては)かなり難しい。傾斜のゆるい右端はヌメヌメで、ラバーソールの沢靴では歯がたたない。戻って左岸を巻こうとするもバンドが途切れていて断念。右岸もだめ。少し離れて滝を見てみると最初難しそうに見えた左が案外いけそう。今度はF2と違って落ちたらただではすまなさそうなため、かなり心臓バクバクだった。残置のハーケンにも助けられ何とか1段目を抜けることができた。踊り場に身を投げ出したときはF2とは対照的に、安堵のあまりしばらく動くことができなかった。2段目は右から簡単に登ることができる。
またまた平凡な川原歩きをこなしていると、少しずつ岩が減ってナメっぽくなってくる。そして終には、美しいナメが延々と続く、大行の名に恥じない景観が繰り広げられる。なるほどデート沢と言われるのも頷ける。防水カメラがないせいであまり写真を取れなかったのが残念だ。
樋の沢避難小屋はまだかなーと思いながらナメを歩いていると、だんだんと水量が少なくなり源頭の雰囲気になってきた。それでもナメは続いている。やがて水量が少なくなりすぎ、ナメになろうとしてなりきれていない感じになると流石におかしいなと気づいた。どうやら避難小屋を見落としてしまったようだ。避難小屋のところで登山道が沢を横切っているはずなのに。ちょっとありえない見落としだ。深く反省。
やがて右岸に赤テープの続く踏み跡が現れ、その先にあるルンゼを辿っていくと僅か5分ほどで稜線に出る。至れり尽くせりの快適さだ。流石はデートコース。ここは予定通り権現様峠から面白山高原駅に降りるのではなく、欲張って去年歩きそびれた面白山までの稜線を歩いておくことにする。秋空の下、のんびりハイキングのつもりだったが、意外と距離が長いのと濡れた沢靴で足が擦れるのとでなかなかハードだった。そんなこんなで駅に着くころにはいつも通りとっぷりと日が暮れていた。
服を着替えたころにちょうどやってきた18:26発快速仙台行きに乗り、1時間半で実家の風呂に入ることができた。
まとめ:簡単な沢ではあったが、単独ということで今までにない緊張感があり楽しめた。寒くならないうちにもう2,3本沢に登っておきたい。来年の夏は母なる広瀬川の源頭を訪ねに笹木沢を登るのも面白そうだが、その前に車の免許を取らないと・・・。
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