登山初心者が行く奥穂高岳 紺碧の空〜♪ 校友さん、こんにちは!


- GPS
- 56:00
- 距離
- 37.5km
- 登り
- 3,019m
- 下り
- 3,006m
コースタイム
- 山行
- 9:10
- 休憩
- 1:40
- 合計
- 10:50
- 山行
- 6:45
- 休憩
- 1:30
- 合計
- 8:15
- 山行
- 4:25
- 休憩
- 1:10
- 合計
- 5:35
天候 | 9/21 晴天 9/22 晴天 9/23 晴天 |
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過去天気図(気象庁) | 2014年09月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
バス タクシー 自家用車
さわんど大橋⇔上高地バスターミナル:乗合いタクシー/4,200円、バス/1,250円 |
コース状況/ 危険箇所等 |
岩稜帯であるため、全体的に危険箇所ではありますが、強いて挙げれば… 北穂高岳:鎖と梯子 奥穂高岳:ザイテングラートと穂高岳山荘直後の鎖と梯子 パノラマコース:屏風のコルまでの鎖、ロープ |
写真
感想
登山をすることを決意した今年の1月に遡ります。
体力づくりを開始して、全身が筋肉痛のためにまるでロボットのように動いていた頃、隔月で送られてくる校友会報の2月号に全国各地で活躍するOB・OGが紹介されていて、その中に穂高岳山荘の今田夫妻の記事がありました。
「私より若いのに山荘を経営なんて偉いなぁ」と思うと同時に、穂高岳山荘から奥穂高岳までの空撮が掲載されていて、これが絶景で「いつの日かこのような山に登ることができるのかな」「穂高岳山荘に行くことができたら、校友会報を見てきたことを伝えよう」と思ったのでした。
しかし、中1の夏休みの読書感想文の宿題(課題図書は自由)で読んだ井上靖著「氷壁」で「穂高イコール危険」というイメージが残っているため、穂高は挑むべき山ではないと思っていました。
時は流れ、気が付いたら鳳凰三山でお泊りデビュー、槍ヶ岳で3,000m超えを果たしていました。もしかしたら、この夏山シーズン中に奥穂高岳に挑戦できるかもしれない。2泊3日ができるのは、秋分の日もしくは体育の日を絡めた3連休しかありません。台風の影響が心配でしたが、どうやら大丈夫そうなので、今回挑戦してみることに。
9/21
1:20に自宅を出発、4:50に沢渡第一駐車場に到着し、さわんど大橋5:40発のバスのに乗るため軽く仮眠でも…と思っていたら、乗合いタクシーの運転手から声をかけられ、人数成立。5人乗ったので、1人あたり840円となりました。お安くなったものの、またしても徹夜のためお得感はありません。
前回の槍ヶ岳から1週間も経たずに上高地に来てしまいました。登山届を提出して出発です。
まだ観光バスが到着していない静かな河童橋周辺は、ひんやりしています。それもそのはず。駐車場近くの気温計では3℃となっていましたから。これでは涸沢は氷点下か?
徳澤園では、先週食べられなかった野沢菜チャーハンを帰りに食べることを胸に誓いながらハイキング気分で横尾に到着。長野県山岳遭難防止対策協会(長野県警)の方から情報収集です。
私:帰りはパノラマコースを予定していますがどれくらい危険ですか?
県警:屏風のコルまでが危険で、その先は大丈夫です。
私:前穂高岳に行きたいのですが、吊尾根はどれくらい危険ですか?
県警:(私と私の装備をジロジロと見て)あなたなら大丈夫でしょう。朝早くに出られれば、15〜16時には戻ってこれると思いますよ。
えっと…私はまだ初心者。見た目で判断しないでほしいのだが…。
横尾大橋を渡ると、徐々に登山道らしくなってきます。結構揺れて面白い本谷橋を過ぎると、ゴツゴツした急登が始まります。これまでなだらかであった分、標高を上げていきます。しばらく樹林帯が続きますが、徐々に穂高連峰が見えてきて、予想よりも早く涸沢に到着。
石だらけの中から平らな場所を探すためにウロウロし、ここだ!と狙いを定めて受付に向かうと、13時からとのこと。とりあえずテントを設営して昼食をとりながら、先週の東鎌尾根を歩きながら見えた北穂高岳に挑戦するかどうか考えます。CTでは、登り3:00、下り1:40となっています。山頂で休憩しても、5:30あれば帰ってこれる?昨日から泊まっている方の話では、テントの受付終了時間は17時。それ以降は、「見回りをする」とかのアナウンスが流れるとのこと。う〜ん、17時までに帰ることができそう。行けるところまで行ってみますか。
涸沢小屋の裏から取り付きます。さすが穂高連峰。いきなりの岩場登場です。えっちらおっちら登っていると、下山してくる皆さんの顔が険しい。あれ?と思ってすれ違う度に話しかけてみると「とてもキツイ」「CTは確実にオーバーする」「6時間はかかると思う」とのこと。今の時間で下山ということは、皆さん朝から登り始めたということだよな…。
私がこれから登り、涸沢まで帰ることを伝えると「無理しない方がいい。明るいうちに帰れるかどうかわからないよ」そして、私が上高地から来たことを伝えると「体力持たないよ。どうしても登るなら、北穂高小屋で泊まるか途中で下山した方が良い」とのこと。
北穂高岳ってそんなに辛いの???
若干心配になりながら登り続けると、やはり皆さんの言うとおりでした。ひたすら危険な急登が続き、集中力を切らすことなく登ることになります。途中の鎖と梯子で、自力では下ることができない年配の女性のために大渋滞。時間が気になって仕方がありませんでした。
穂高側から大キレットに挑戦するためは、北穂高岳まで行っておけると楽なのでしょうが、今の私にはお泊りセットを背負ってでは無理かな?
ようやく小屋と山頂が間近に見えるようになると、岩に数字が振ってあります。何だろう?と思うと、テント場でした。おぉ、凄い場所にある。水汲みやトイレだけでも大変だろうな。天気が悪い時には利用を控えたくなりそうです。
ようやく北穂高岳山頂に到着すると、絶景でした。360度のパノラマです。2,000m以上の山に登ってここまで晴れていたのは初めてなので、感動でした。槍ヶ岳はもちろん、これまでに歩いた稜線が全部見えます。徹夜だし疲れたけれど、登って良かった。風も無くあまりにも気持ち良くて、長居してしまいました。
さて、多くの方が片道の中、下山しなければなりません。事故さえ起こさなければ明るいうちには帰れることが確定したので、ゆっくり慎重に下山しました。
下山後に受付を済ませ、しばらく本番である奥穂高岳を眺めます。「明日登るぞ!」とその前に、疲れを取らねば。早めの就寝でした。
9/22
登山デビューからちょうど7ヶ月。いよいよ奥穂高岳に挑戦です。ザイテングラートでは、既に渋滞が発生しています。山頂には何時に到着するかな?場合によっては前穂高岳は諦めよう。
ザイテングラートは、北穂高岳よりも歩きにくいと感じました。途中の鎖で、鎖にしがみつく女性がいて、見るからに危なかったので「おひとりですか?」と声をかけると「先にいます。死ぬ時は別々です」と、何とも不謹慎な発言。埼玉から来たKさんでした。道を譲っていただき、少し進むとペンキマークのない崖のようなところで立ち往生している女性がいて、見るからに危なかったので「こっちのペンキマーク方が楽ですよ」と声をかけました。Kさんの連れで東京から来たNさんでした。このお二人に「(私の)後ろをついていきますので先導をお願いします」と言われ、どうせ前は渋滞していて先に進めないので、引き受けました。とはいえ、穂高岳山荘までは一定のペースで登れたので、あまりお話することもありませんでした。
さて、穂高岳山荘に到着すると、まずは今田さんを探しました。今田さんは、掃除機をかけているところでしたが、私が校友会報を見て来たことを伝えると、朝の忙しい時間なのに、しばしの雑談と記念撮影に付き合っていただけました。これでひとつ目標を達成です。
そして、少し休憩して、Kさん、Nさんと奥穂高岳アタック開始です。意気込んで出発したのものの、山荘からすぐの鎖と梯子でツアー客との擦れ違い渋滞発生。皆さん年配の方ばかりで、中には自力で鎖を下りられない方も。ちょうど日陰で風も強く、一気に身体が縮こまります。早くして〜、遅いなら先に登らせて〜。
この渋滞中に、後ろに新たに3名増えていて、形式上、私が先導役に。まだ初心者…と言っている場合ではなく、これも経験だと言い聞かせ、ルートファインディングとやらを慎重に行い、進んでいきます。この時、後ろにいたご夫婦は、神奈川から来たとのことでした。
しばらくすると、ジャンダルムが間近に見えてきました。何名かいます。ほぇ〜、凄い!いつの日かあのようになれるのかしら?
そして、奥穂高岳山頂に到着!
先週の槍ヶ岳とは違い、今年の目標にしていたことに加え、天気が良くて絶景なこともあり、感動がこみ上げてきました。高尾山〜景信山からデビューしてちょうど7ヶ月。あの時、まさか自分がこのようになるとは思っていませんでした。いつもは控えめな私ですが、今回は祠の横で右腕を突き上げてしまいました。
目の前に広がる360度のパノラマ。いくら見ても飽きません。山登りを始めて辛いことばかりだったけれど、途中で投げ出さずに続けてきて良かった…。KさんもNさんも嬉しそうな顔をしていて良かったです。また、それまではなかなかお話する機会がありませんでしたが、ここでようやく打ち解けることができた気がします。
到着時間がだいぶ遅くなってしまったので、前穂高岳はきっぱりと諦めました。下山するのがもったいなく、長居してしまいましたが、さぁ、慎重に下山しましょう。
下山もお二人の先導役となります。浮石等に気を付けてゆっくりと下っていると、私たちを抜かしてあっという間に見えなくなってしまう方がいました。ジャンダルムを超えてきたとのこと。そうか、あれくらいではないと、屈指の難路とされる岩稜帯の縦走はできないのか…。
無事に穂高岳山荘に到着。私はついでに涸沢岳に登ることにしましたが、お二人はそのまま下山するとのことで、ここでお別れ。ザイテングラートの下りに不安がっていましたが、お互いに怪我のないようにね。
涸沢岳までは特に危険箇所はなく、ひょいひょいと登って山頂に到着。ちょうど曇り始める頃で、なんとか絶景に間に合いました。少し休憩しようと思いましたが、時間的に北穂高岳方面から続々と疲れた顔をした方が来られるので、その方たちに座る場所を譲る形で戻りました。
いつもは山荘等で食事をすることはないのですが、今回は今田さんのためにお金を落としていこうと考え、昼食としました。初めてまともに食べる小屋の食事。美味しくいただきました。食事後、今田さんにお別れの挨拶をして下山開始です。
この時間であれば渋滞することもないので、のんびりと慎重に下りました。ザイテングラートを超え、涸沢ヒュッテの目の前あたりで、見覚えのある服を着た女性が…。KさんとNさんでした。コースを見失ったらしく、迷子になっていたとのこと。ここでも私が先導役となり、涸沢ヒュッテに到着。その後、先程の神奈川から来たご夫婦と5人でプチ打ち上げ。私以外は小屋泊なので、小屋の夕食開始となる17時まで山のお話で盛り上がりました。
夕日に照らされる奥穂高岳を眺めながら「ありがとう」を伝えました。
9/23
今日も良い天気で、もう一度奥穂高岳に登りたい気分。しかし、下山しなければなりません。トイレに向かう途中、KさんとNさんにお会いし、お二人は普通のコースで下山するとのこと。パノラマコースを提案してみましたが、あえなく却下。ここでお別れしました。
徳澤園の野沢菜チャーハンを期待して、朝食を少なめにして出発です。パノラマコースはどのような感じなのだろう?とりあえず、屏風のコルまで行ってみよう。
道は狭く、すぐ横が切れ落ちていて、確かに一歩間違えれば滑落する状態ですが、ロープや鎖で整備されているので、しばらく続く緩やかなアップダウンは苦になりません。所々で槍ヶ岳等が見えますが、奥穂高岳と北穂高岳山頂からの絶景を拝んでしまった後では、特に何も感じませんでした。
屏風のコルに到着すると、ザックが2つデポされていました。おそらく、屏風ノ耳方面に登られているのでしょう。私もどうしようか迷いましたが、一昨日、昨日と素晴らしい眺望を楽しめたので、今日は安全に下山することにしました。
さて、長野県警によれば、ここまでが危険であとは大丈夫のとこと。私は、この「大丈夫イコール楽」と思い込んでいたため、この先が厄介でした。まずは、ザレている道を一気に下り、その後は梓川の近くまでロープが数箇所設置されているような岩だらけのゴツゴツした下りが続きます。確かに、屏風のコルまでの滑落→アウト!のような道とは異なり、滑落→ケガ程度ではありますが、屏風のコルまでの方がはるかに歩き易く感じました。おとなしく普通のコースで横尾まで下山すれば良かったかな…?
今さら引き返す訳にもいかないので先に進みます。前回の横尾〜徳沢の平坦な道とは異なり、今回はそこそこの運動量であったため、少ない朝食ではお腹が空いてしまいました。仕方がなく、大福とゼリー飲料で誤魔化します。
野沢菜チャーハン目指してひたすら下り、樹林帯に入ってからナイロンザイル事件の遭難碑を発見。「氷壁」のモデルとなっているこの事件のことは知っており、パノラマコースを選択したのは、この遭難碑を確かめてみたかったからでもありました。手を合わせて、先に進みます。
砂防堰堤が出てきて、パノラマコースのゴールが近いことがわかります。そして、ようやく新村橋に到着。上高地まではまだ2時間程度かかりますが、その前に徳澤園に必ず寄らねば…。ここから先はルンルン気分でした。
ルンルン〜♪と歩いていると、あれ?見覚えのある服を着た女性が…。またしてもKさんとNさんでした。私より先に涸沢を出発したものの、普通コースをかなりゆっくり歩いてきたとのことでした。まさか会うとは思ってもいなくて、またお話しながら徳澤園に到着。お二人もお腹が空いているとのことなので、みちくさ食堂で一緒に食事をすることに。先週食べられなかった野沢菜チャーハンにようやくありつけたのでした。途中で大福とゼリー飲料を口にしてしまいましたが、とても美味しゅうございました。
ついでに2週連続となるソフトクリームを食べ終え、上高地を目指します。Kさんが「先に行かれるのですか?」と尋ねてきたので、早くゴールしたい気持ちもありましたが、今回は時間をかけて車を回収する必要がなかったので、上高地まで一緒に歩くことにしました。
昨日の緊張を強いられる道とは異なり、ハイキングのような道ですし、途中で「kenboさん、歩くの速い」とNさんに言われてゆっくり歩いたこともあり、たくさんお話できました。そして、今日も観光客が溢れる河童橋に到着。Kさんが「記念撮影を…」と申し出てきたので、一緒にパチリ。帰路のバスを予約しているお二人とはここでお別れし、バスターミナルに到着しました。
骨折明けから、少ない脳ミソをフル活用して山行のステップアップを描き、7ヶ月でたどり着いた奥穂高岳。初心者でもお泊りセットを背負って単独行でクリア可能であることを証明できました。
槍・穂界隈を歩いてみて、ジャンダルム、大キレットや北鎌尾根超えをする方を間近で見ることで、私の体力不足と岩稜帯の経験が乏しすぎることを痛感したので、目標を達成したことで気を緩めることなく、精進していきたいと思います。
校友の皆さんへ
集まり散じて人は変われど 仰ぐは同じき理想の光♪
穂高岳山荘に寄られた際は、ぜひ今田夫妻に声をかけてみてください。
kenboさん、奥穂&北穂登頂おめでとうございます!
すごく良い天気で、頂上からの眺めも最高ですね〜
私は去年奥穂に行けなかったので、来年のリベンジのためにレコ参考にさせて頂きますね。(北穂は無理ですが…)
あと、念願の野沢菜チャーハン食べられて良かったですね!
徳沢のみちくさ食堂はカレーも名物みたいですよ?
コメントありがとうございます。
前回の槍ヶ岳では真っ白で何も見えなかった分を取り返すくらい、絶景を楽しむことができました。
表銀座の水俣乗越〜槍ヶ岳山荘を難なく歩けたkazuruさんであれば、少し気合いを入れれば北穂も十分に可能ですよ。ぜひチャレンジしてみてください。
みちくさ食堂では、前回・今回ともにカレーの匂いが漂っていました。
カレーも名物なのですか?
それならば、今度はカレーを食べに上高地へ行かねばなりませんね(←食欲旺盛です)。
涸沢、穂高は良いところですが、人が多いときと少ないときとでは印象が全く変わりますよ。ぜひ平日にも行ってみてください。
次は岳沢から北穂まで行かれてはどうでしょうか?
五竜岳でお会いした際にサクサク登られていたssm330さんのようになりたくて、頑張っていた部分がありました。
今回北穂に挑戦したのも、ssm330さんの大キレット超えに少しでも近づきたかったからです。あの時よりは成長しているはずですが、岩稜帯の経験と体力の不足を痛感しました。
でも、いつかは岳沢から槍ヶ岳まで縦走してみたいと思っています。
来年ですかね?
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