高倉山〜大日山〜みつまた山〜藤倉山☆愉悦の加越国境縦走
- GPS
- 29:27
- 距離
- 25.6km
- 登り
- 1,965m
- 下り
- 1,965m
コースタイム
- 山行
- 7:16
- 休憩
- 0:50
- 合計
- 8:06
- 山行
- 7:22
- 休憩
- 0:26
- 合計
- 7:48
天候 | 両日とも晴れ |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2023年03月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
|
コース状況/ 危険箇所等 |
■高倉山〜蛸坊主〜千本杉の頭:痩せ尾根で雪の着き具合が嫌らしい危険ゾーン ■横谷山の東側は急峻な壁 ■三つ尾〜藤倉山:痩せ尾根は藪剥き出しに難儀。後半は稜線近くを走る林道(河内〜南谷線)を利用 ■藤倉山北尾根:下半分は雪ミックスの笹とアセビの藪で通過するのに難渋 ※稜線の雪はよく締まって歩きやすい。尾根下部を除きスノーシューを使用。林道は除雪済み。上流の真砂町方面は林道に積雪あり (n) |
写真
感想
加賀大日山は気になりながら登っていない。ましてや積雪期になんてと思いながら頭の片隅に追いやっていた。ところが最近この山域にご執心な山猫さんから打診を受ける。山小屋で鍋パーティをしようというのである。私はシュラフを持っていないので大枚叩いて購入することに。
まさきさんと3人で丸岡で食材を調達する。九谷の発電所まで進むとその先は進入禁止で大幅ルート変更を強いられる。山慣れた山猫さんはテキパキと高倉山ルートを考えられる。信用しているので付いて行くしかない。
急登を凌いで高倉山まで上がると、雪の着き具合が中途半端で険悪な痩せ尾根が続いている。踏み抜いて危うく滑落しそうになったが穴に嵌ったスノーシューがストッパーになり助かった。まさきさんに引っ張り上げられて事なきを得る。以後、スピードが落ちてしまうと優しい皆さんは荷物を持ってくれるという。私も15kgのザックを担いだことがなかったので限界だった。お申し出にすがることにする。
小大日を過ぎる頃には日没が迫っていた。大日山からはヘッデン付けて締まった雪原を下って登り返すと大日小屋が暗闇の中に浮かんで見える。先着した山猫さんが明かりを燈してくれた山小屋は、どんな高級旅館よりも寛げそうな宿に見えた。薪ストーブで炊いたカレー鍋は冷えた身体を温めてくれる。皆で飲む酒も旨い。瞬く間に3時間の宴が終わり就寝に就く。夜半から強風が吹き荒れて音がするが頑丈な山小屋が有難い。
朝はゆっくりして6時に起床。端材を割って炊いた薪ストーブが温かい。昨夜の鍋の残りに野菜やうどんを投入してカレーうどんを美味しくいただいた。今朝も白山は霞が酷く靄って見えない。PM2.5のせいだろう。さて下山は真砂谷に下りるはずが、この稜線を見たら下るしかないでしょうとの山猫さんの悪魔の囁き(天使の誘惑)‥に負け加越国境稜線を下ることになる。この稜線も南谷の頭まではアップダウンはあるが絶景の雪原下りだ。
横谷山を越えると一変してデンジャラスゾーン。最後のJCP藤倉山からは藪尾根だが、やっと地上に降りられるという安堵感から苦にならなかった。林道の傍らに咲く初々しいキクザキイチゲがお帰りと囁いている様だった。帰宅したらザックや衣服が煙臭い。でもいい山旅になった。山猫さん、まさきさんに助けられながら長い縦走路を踏破できたことに感謝いたします。 ナオジロー。
今シーズン最後になるであろう雪山ハイクで加越国境を歩こうかと考えていたところ、山猫さんから加越国境を計画していますが・・・というタイムリーなお誘いが。
しかも天気良ければ大日小屋で一泊しましょうとのご提案。
無雪期の避難小屋泊は経験あるが、積雪期の小屋泊は荷物が重い上にスノーシュー装着なので体力面の不安はあったが、いつかは行きたい山小屋であったのでご一緒させてもらうことに。
しかも、ナオジローさんはこの山行のためにシュラフ一式を購入したとの事。
これはもう行くしかない。
ただ、僕の中では山猫さんとナオジローさんは酒豪であると認識している。
僕は酒類は好きだが、アルコール耐性は低い。
今回の山旅における核心部が「山小屋での宴」に変わった瞬間だった・・・(笑)
林道の通行止めにより、当初の予定とは違う高倉山経由のルートとなった。
高倉山を過ぎてからは痩せ尾根、急登があり、踏み抜き多発。
雪付きが悪い区間はスノーシューを脱いで登ったりと体力と時間を要してしまった。
真砂谷の頭を過ぎると尾根は穏やかになり、ずいぶん歩きやすくなったが、今度は時間が気になり始める。
このペースでは日没までに小屋に着くのは厳しいなと思いつつ黙々と高度を上げていく。
いくつものピークを越え、大日山の頂に立った頃には夜の帳が下りていた。
山頂は広くグラウンドのよう。3人で記念撮影をし早々に小屋へ向かう。
鞍部に下りた所でヘッデン歩行になったが、雪上ではそれも楽しく感じた。
山小屋に到着すると薪ストーブに火を入れて山猫さんの調理が始まった。
メインは山猫さん秘蔵のタレを使ったカレー鍋。
ストーブの火口蓋が脱落していて漏れ出した煙が小屋内に充満し、目がしみて開くことができなかったが、口の中にはスパイシーなカレー香が広がった。
3人でアルコールを飲んでいると、僕はいつもの通り眠気に襲われ始めた。
腹も満たされ、もう目を開き続けるのは限界と感じ、お二人より先に寝させていただく。
夜中の気温は氷点下ではなかったようだ。
強風と酔覚めの寒気で目が覚めてしまい何度も寝返りを打っていたが、いつの間にか意識が遠のいていた。
2日目は霞掛かった晴れ。
至福の雪稜歩きを堪能し、無事山行を終えることができた。
今回も山猫さん、ナオジローさんとの山旅を楽しむことができました。
ありがとうございました。
また、ご一緒しましょう。
今年も雪山の季節は急速に終焉を迎えつつある。雪の季節に登りたい山は数多くあるが、山行計画を実行に移す前に山々からは急速に雪が消えてゆく。関西の山で雪が残っているところはほとんど無く、残っていたとしても山頂や稜線の上にわずかに残っている程度だろう。
土曜日は広い範囲で晴天の予報だ。前回、果たせなかった下谷山の周回を再度、ナオジローさんにご提案申し上げるとこの週末は空いているとのことでご快諾いただく。ハナさんが週末はご都合が悪いとのことであった。
数日前には日曜日は夕方から雨の予報であったが、その日曜日の天気も予報を見る度に好転してゆく。避難小屋泊の山行の可能性をご提案申し上げると、ナオジローさんはシュラフはお持ちでないが、小屋での鍋パーティーにはご興味がある・・・とのことで、急遽、職場の近くのモンベル・ショップにダウンハガー#3を買いにいく。先週末に丈競山の避難小屋に泊まった限りではダウンハガー#3では到底難しいと思ったが、この週末なら可能だろう。何しろ勝山でも気温が日中は20度を超える予報だ。
この日も靭帯損傷を患う娘の移動のために車が使えないので、敦賀駅からnaojiroさんの車に乗せて頂き、まさきさんとは福井医科大学病院の近くのスーパーが開店する9時に待ち合わせる。この日は春霞がきつい。福井の周辺の山々が朧げに霞んでいる。どうやら空気中に漂う黄砂とPM2.5が多いらしい。
待ち合わせのスーパに入って驚いたのは豆腐やおあげの豊富な取揃えがあることだ。近くに永平寺があり、精進料理の需要があるからこの界隈は豆腐を作る店が多いということをまさきさんが教えて下さる。
買い物を済ますとR364を北上し、孫谷ダムを対岸に渡ってところで、ダム湖の畔を上流に向かう。すぐに富士写ヶ岳の登山口があるが既に10台ほどの車が並んでいた。先週の山行で丈競山からの下山の途中に出遭った丸岡山の会の男性が富士写ヶ岳は人気の山であることを仰っておられたが、確かにそのようだ。
さらに上流の九谷ダムを過ぎると、ダムによって堰き止められた碧色の水を湛える大きな湖が現れる。五彩湖という名称らしい。湖のほとりの展望広場からは大きく富士写ヶ岳を仰ぐ。「想郷」と記された石碑がある。の建設により、片谷町、坂下町、小杉町、生水町の4つの集落と二つの小学校が水に沈んだことが記されている。この九谷ダムは大聖寺川の氾濫対策として36年の歳月をかけて建設された。ちなみに、山奥の集落においても町とするのは石川県特有の慣習らしい。
市谷町方面に向かう県道から分岐し大聖寺川の上流に進むと、道路の周囲には積雪が現れるが、道路は除雪されている。千束川との合流地点にある九谷発電所から先は道路崩壊に対する工事のために通行止となっている。
当初の山行計画は真砂町から藤倉山に登り、そこから加越国境を避難小屋のある加賀甲まで縦走し、翌日に徳助の頭から真砂町に下山するというものであった。ここから真砂町までは少なくとも4kmの道程があり、雪がなかったとしておよそ1時間の行程だろう。しかし、工事地点から先は除雪はないだろう。初日の行程を高倉山を経て大日山に至るコースに変更する。
ところでこの真砂町、国土地理院の地図にはわざわざ「まなご」と読み仮名がふられているが、一般的には「まさご」と読むだろう。そもそもこんなところに町があることが驚きであるが、既に廃町となっている。この時期に真砂町まで車で入れるとは虫が良すぎる考えであり、既に廃町となった集落までは除雪されていない可能性も考慮すべきところであった。
登山の準備をしているともう一台車がやってきた。明らかに登山者のものではないだろう。通りすがりにご挨拶すると、やはり釣りの方達であった。千束川に沿って林道を進む。除雪されていない林道は10cmほどの積雪がるが、日当たりの良い場所では所々で地面が露出している。雪が融けた林道の路傍では早速にも蕗の薹が顔を出している。
雪の上には二組の真新しい踏み跡がついている。高倉山への登山口の手前で轟々と流れる川に釣り糸を垂れている二人の釣り客の姿を見かける。釣り客達は我々の姿が目に入らないかのように林道の先へと進んでいった。
夏道は明瞭ではあるが、尾根の取り付きは急登から始まる。尾根はすぐに自然林となる。雪が融けてまもない登山道は湿っており滑りやすいので、足元に注意しながら慎重に登ってゆく。登るにつれて斜度は緩くなってゆく。
標高が500mの手前あたりから雪がつながり始める。雪の下にほとんど埋もれた足元の藪の中から突然、真っ白なぬいぐるみのような動物が飛び出したかと思うと、脱兎のごとく一目散に逃げてゆく。まさしく文字通りの脱兎であった。
ニホンノウサギは足跡は多く見かけるが、実際の姿を見かけたのは庄部谷山の南の黒谷でテント泊した時だけだ。冬になって純白に衣替えした個体を見るのは初めてだ。尻の背後についているボンボンのような尻尾が愛嬌を感じさせる。それにしても動物の身体は合目的的に作られているはずだが、なぜあんなものがついているのだろうと不思議に思う。
スノーシューを履いて登るとすぐにも尾根は壮麗なブナの純林となる。ブナの樹冠が描く穹窿に癒されながら尾根を登ってゆく。
ブナの樹林を抜け出して好展望のピークに飛び出したと思うとそこが高倉山の山頂であった。金谷大日山と両側には脇侍のように小大日と加賀甲が純白の大きな山容を広げているのが目に入る。そして、蛇行しながら小大日に向かって続いてゆく長い尾根。時間を見ると、13時過ぎではあったが、ここまで2時間半を要している。どうやらナオジローさんが登りで相当にばてたようだ。なんとか回復しくれて、日没までに小屋のある加賀甲に辿り着けるといいのだが。
高倉山を過ぎると尾根はコルに向かって下降してゆく。尾根は一気に細くなり、所々でナイフリッジが発達している。尾根は陽当たりが良いせいで雪が途切れがちであるのも鬱陶しい。細尾根の先にはp866の急峻な鋭鋒が顔を覗かせている。真砂谷の頭と呼ばれるところであるが、蛸坊主の異名があるらしい。樹々の助けを借りて急峻なピークに登り詰めると、再び大日山へと続く尾根の展望が広がる。ここから先は尾根の雰囲気は一転し、広々とした尾根にブナの純林が続いている。尾根上に広がる複雑な地形にゆっくりと傾いてゆく午後の陽光が美しいブナのシルエットを描いてゆく。
徳助の頭のピークに登ると唐突にブナの樹林が終わり、山頂部には一気に広々ととした雪原が広がった。山頂からは小大日、大日、加賀甲が視界に大きく飛び込んでくる。西陽を浴びて輝く銀嶺が連なる様は壮観というほかない。加賀甲の山頂の上には本日の目的地である避難小屋が見えるが、あそこまで辿り着くのはまだまだ時間がかかりそうだ。
小大日にかけて樹木のほとんどない雪稜を緩やかに登ってゆく。この時間になると急速に気温が低下するものだが、この日は気温が高いせいだろうか、気温が低下する感じがない。幸いにして風もほとんどない。
小大日山に到着したのは17時前。いよいよ大日山が眼前に迫る。いつしか大日山や加賀甲の斜面が夕陽を浴びて黄金色に染まっている。大日山への鞍部には100mほど下降してから250m以上登り返すことになりそうだ。右手に見える大日山から加賀甲にかけての吊尾根がなだらかであるのが救いだ。
大日岳の山頂への登りから背後を振り返ると、夕日が日本海に沈んでゆくの見える。水平線の上がうっすらと灰色の帯がかかっているように見えるのは黄砂のせいだろう。黄砂がなければもっと綺麗に空が茜色に染まるのだろうが、贅沢を言ってはいる場合ではない。
大日山の山頂は広々とした雪原が広がっている。東側には越前甲へと続く稜線が残照を映して青く染まっている。背後の白山は夕暮れの空の中に溶け込んでいこうとしている。山頂で残照を背景に三人の写真を撮ると、避難小屋のある加賀甲に向かう。急速に夜の帷が降りてくる。
避難小屋には薪ストーブがあることは知っていたが、残念ながら薪はあまり残ってはいない。小屋の壁を作り直した時の廃材のようだ。薪を破るための斧があったので、廃材を燃やしやすい大きさに割らせていただく。薪ストーブの焚口の蓋が外れているので、薪に火がつくと室内にもうもうと煙が広がった。
ビールで乾杯するとまずは一品目は蕗の薹と鍋のために用意した豚のバラ肉、ハナビラタケを炒める。実はこんなこともあろうかと思って、アクセントのためにブラックオリーブを携行したのであった。これが意外と美味であり、蕗の薹の苦味がビールによく合う。夕食のメインはなんといってもカレー鍋だ。豚肉のほか、新玉ねぎ、豆腐、こんにゃく、白舞茸と色々と担ぎ上げてきた食材を放り込む。
この日は福井の日本酒が呑みたいと思っていたので、永平寺の吉田酒造が醸す「白龍」。福井の酒米「ハナエチゼン」の純米酒は初めての味わうものであったが、naorjioさんによると華やかでフルーティーでありならが程よく辛口で美味しいとの評であった。日本酒の後はとっておきの芋焼酎「山猫」の出番だ。ナオジローさんもこの焼酎はお気に召して頂いたようだ。
小屋に着いた時には微風だったのだが、料理をしているうちに急に風が強くなってきたようだ。昨年のこの時期、縫ヶ原山と荒島岳の間でテント泊した時も日中は快晴微風だったにもかかわらず夜は暴風で大変だったことを思い出す。風鳴りの音を聴きながら眠りにつくのだった。
【二日目】
翌朝は日の出前に起きるが、相変わらず風鳴りの音が聞こえてくる。ナオジローさんは「室内が寒いので薪ストー?に火を熾して欲しい」と仰るので、残りの薪に火をつける。私は寒さは感じないが、お二人は昨夜は寒かったらしい。小屋の外に出ると東の方角が明るく色づいているが、高曇りの雲が広がっており、綺麗な日の出は期待できなさそうだ。
当初、この日はここから真砂町に向かって尾根を下るだけと考えていたので、昨晩のカレー鍋の残りにうどんを投入し、小屋でゆっくりと朝食をとる。支度を整えて小屋の外に出ると太陽は既にかなり高く昇っていた。意外と蒼空が広がっており、この日も晴天が期待できそうだ。
加賀甲の山頂の西側には大きく蛇行しながら彼方へと伸びてゆく加越国境の雪稜が目に入る。下山するまでの行程が多少長くなるくらいであれば、この雪稜の縦走を諦める理由にはならないだろう。この見事な雪稜に比べると真砂町に向かって下降してゆく尾根はなんとも見劣りするのだった。
加賀甲からの広々として雪原には瑕疵のような大きなクレヴァスが生じていた。雪原の下降はすぐにもこじんまりとしたブナの純林の中へと入ってゆく。鞍部に到着するとブナの林を抜けて、再び広々とした雪原に出る。おそらくこの雪原の下には笹藪が広がっているのだろう。この稜線を辿ることが出来るのも積雪期のみであることは言うまでもない。
やがて広々とした雪原が終わり、尾根の左側にはブナの純林が延々と続くようになる。尾根が緩やかに右に向かってカーブする。尾根の右側は急峻な斜面となり、大きく発達した雪庇が続く。三角点のある毛無は雪庇の尾根の小さなピークであった。
次のp1126には広々とした雪原の鞍部を挟んで登り返すことになる。登り返しが大きいように思われるが、実際には100mほどの標高差だ。
なだらかな雪稜をたどり、南谷の頭と呼ばれる小ピークca1120mを過ぎると尾根は大きく右手に曲がり、横谷山(p1098)が視界に入る。
横谷山の山頂はわずかに10mほどであるが、東側に雪の壁が出来ていた。北側には藪が出てい流ので、雪壁をトラバース気味にステップを作りながら登るほかない。
横谷山からはわずかな区間ではあるがやせ尾根の下降となる。
次のみつまた山にかけては雪原が広がる鞍部から緩やかに斜面を登ってゆく。緩斜面に疎らに点在する杉の樹々がまるでジオラマのような風景にリズミカルなアクセントを刻んでいる。
みつまた山は加越国境と高平山を経て浄法寺山から続く長い稜線との合流地点であることにその山名が由来する。樹木のほとんどない雪稜を北上すると、左手には高平山、丈競山、右手には大日山から続く稜線を眺めながらのパノラマが広がる。高平山は先週、浄法寺山からの尾根から眺めた時の印象とは異なり、竹田川の広い源流域を挟んで眺めるとその大きな山容は圧倒的な存在感を示す。
次の三角点ピーク△1062.9m三ツ尾にかけてはほとんど高低差のない尾根であり、一投足で到着する。このピークも遮るもののない360度の展望が広がるが、ここから先は樹林の細尾根となるようだ。ここからの下山ルートは二つの可能性が考えられる。まずは北東に伸びる尾根を辿って林道に着地し、延々と林道を歩く方法が考えられる。無難な方法ではあるが、林道が谷を大きく迂回するので意外と距離が長い。実際に選択したのはこのまま加越国境尾根を北上する方法だった。
三ツ尾のピークから1kmほど先で林道と合流すれば下降点となるca970mの藤倉山の手前までは尾根伝いに林道が続いており、アップダウンの少ない尾根歩きが期待出来るだろうと考える。しかし、林道合流部までの1kmはなかなか嫌らしいところであった。尾根はすぐにも細尾根の急下降となる。急下降が落ち着いたところで今度は雪が途切れ、スノーシューを脱ぐ羽目に陥る。再び雪が現れたところでスノーシューを履くが、頻繁に踏み抜きが生じる。
なんとか尾根の末端のca950mにたどり着くとその先はナイフリッジとなっているので、右手の谷を下降することにする。そこで尾根の先からこちらを凝視している黒い顔があることに気が付く。ニホンカモシカだ。尾根の向こうからもう一匹、小さな顔が顔を覗かせる。どうやら親子のようだ。カモシカの母子はしばらく我々を見つめた後、静かに尾根の向こうに姿を消す。下山後、まさきさんが調べてくださり、カモシカのメスは一匹のみ子供を産み、2〜3年は一緒に過ごす・・・ということを教えて頂く。
林道に着地すると下降点となる藤倉山までは遠くに見えたが、確かに早く到着した。好展望の広がる藤倉山からは再び東に大日山、南東に高平山から丈競山の展望を再度、堪能する。
ここからはしばらくはブナの純林の快適な稜線が続く。真砂町へと下降する尾根を右手に見送ってp631へと続く尾根を進むが、ca700mのあたりで尾根が細くなると突如として尾根上は雪が途切れ、到底、尾根芯を進む気にはなれないような濃密な藪が露出している。尾根の両側は急斜面ではあるが、少しでもましな左手の斜面をトラバースして藪の細尾根を迂回するが、ここでも頻繁に踏み抜きをする羽目に陥る。
尾根が平坦になると再び雪が現れる。p631の好展望地を過ぎてca550mのあたりからはいよいよ雪が消えて、再び藪尾根の下降となるが、先ほどとは異なり、なんとか進むことの出来る藪だ。それに足元には微かな踏み跡がある。もちろん人のものではないだろう。鹿のものだろうか。林道に着地すると丁度、そこが除雪終了地点であった。
最後は轟々と雪解け水の流れる大聖寺川の川音を聴きながら雪のない林道を歩く。林道には昨日ほどではないがわずかに蕗の薹を摘むことが出来る。ふと視線をあげるとキクザキイチゲの薄紫色の可愛らしい蕾があった。
Naaojiroさんの車で福井から敦賀に向かうと昨日とはまるで異なり、西の空には澄んだ夕空が広がっていた。しかし北陸の天気は変わりやすい。敦賀駅に着く頃には雨が降り始める。敦賀駅でnaojiroさんとお別れすると再び白龍のハナエチゼンと五百万石を入手して京都への帰路に着くのだった。
コメント
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とんでもない(私にとっては)奇想天外なルートの山行ですね。🥴
お疲れ様でした。
感想文を拝読させて頂くと、やはり山猫さんの提案なんですね。
いつもながら奇想天外かつマニアックなコース選定に敬服いたします。
愉しそうなお三人さんの写真を楽しませて頂きました。
特に小屋での鍋パーティ、私もアルコールは好きなのでそこだけ参加させて欲しいと思いました。
ところで、ナオジローさん腰の具合は完全復活でしょうか。今後もお気をつけてください。
奇しくも同じ日に同じ福井の山でヘッデン下山した私と皆様との共有感を感じております。
私の勝手な考えではございますが🙂。
今回のルートも山猫さんの提案でした。
だいたいロングバリルートになる傾向ですが、楽しんで同行させてもらってます。
山小屋での薪ストーブ鍋パは楽しく、誰もいない雪稜線を歩くのは爽快でした。
同じ日、Duo-Jetさんも銀杏峰から部子山を周回され、ルートミスでかなりの歩行距離になったようですね。それもまた山旅の楽しみの1つでしょうかね・・・
Duo-Jetさんがいつも作るうどんランチはおいしそうで、今度僕もやってみようと思います。
お疲れ様でした。
当初のコースは真砂町から徳助の頭に上がるはずでしたが、林道が通行止めで大周回となりました。
取り付き/下山尾根/稜線の雪の状態を的確に判断された山猫さんの計画。私はついて行くだけでした。
期しくもDuo-Jetさんと同日にヘッデン登行になりました。思い返すと不安は妙になく、メルヘンティックでさえありました。同行者がいてくれるから言えるのですが。
カレー鍋はフグちりより美味しかったです。宴は3時間続いたのですが疲れが勝って寝たのでした。
今回の距離と累積標高は日帰りのDuoさんと同じになってます。ご苦労が分かります。
腰椎の骨折は完治しました。後遺症もないです。今までと同じように歩けることに感謝です。
銀杏峯〜部子山の周回、お疲れ様でした。私はnaojiroさん達との山行ではいつも事前に山行計画を作成しますが、普段はルート作成をしないこともあってルート・ミスは多くやらかしてます。多くの場合、自分が辿りたい・・・と思う方向に進んだ結果なんですよね。
私も数年前のこの季節に周回したことがありますが、突如として猛烈な藪が現れて大変だった覚えがあります。林道に出たので、それほど長い区間ではなかったのだが幸いでしたが。避難小屋で薪ストーブでの鍋パーティーは非常に愉しいものですが、薪のお陰で燻されることになりました
また何ともマニアックで濃い山旅ですね😉
とても羨ましいのですが、日帰りしか経験の無い私には積雪期の小屋泊はハードルが高すぎます💦
今年こそは泊まりの山行にトライしたいと考えてはいるのですが(毎年思ってはいる😅)
避難小屋で煙に燻されてみたいなぁー😁
お疲れ様でした♪
>また何ともマニアックで濃い山旅ですね😉
他の方はいざ知らず、はなさんには云われるほどのことはないでしょう
>積雪期の小屋泊はハードルが高すぎます💦
>今年こそは泊まりの山行にトライしたいと考えてはいるのですが
では、まず無雪期に
>避難小屋で煙に燻されてみたいなぁー😁
家内はそんなとこ嫌だ〜と申しておりましたが、はなさんならお付き合い頂けるかな
薪ストーブは火を入れると、すぐに山小屋内が暖まるほどの火力でした。
同時に漏れ出た煙で涙が止まらずに、時々外に出て涙をぬぐう事態に
薫製にされたザックやウェアは、いまだに家の中で煙臭を漂わせています
避難小屋泊にチャレンジするならストーブの蓋が壊れていない山小屋をオススメします
思い返してみれば、シンドかったけれど素晴らしい山旅でした。
夕闇迫る小大日と大日山、大日小屋への雪上ヘッデン登行、加越国境稜線の連なる白いピークを乗り越えて行く爽快さ、辛いけれど楽しさが勝るのです。
15圓離競奪はさすがに体に堪えましたが。
私が小屋泊デビューしたのだから、はなさんも。
はなさんがいればもっと陽気な山旅になったでしょう👍
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