鳥谷戸尾根から三ツドッケを経てヨコスズ尾根へ
- GPS
- 08:18
- 距離
- 14.7km
- 登り
- 1,678m
- 下り
- 1,476m
天候 | 晴れのち雨 |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2014年10月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
電車 バス
|
コース状況/ 危険箇所等 |
・鳥谷戸尾根とヨコスズ尾根は標高1000mから上が紅葉のピーク、長沢背稜は風が強く落葉が著しい。 ・奥多摩VCの情報では蕎麦粒山・仙元峠の巻き道が通行注意となっている。注意は必要だがそれ程危険でもなかった。 |
写真
感想
数年前に鳥谷戸尾根から蕎麦粒山を経てヨコスズ尾根に至るルートを試したも
のの、天候悪化の為に仙元峠の先で棒杭尾根を降りた事があった。今回は三ツ
ドッケにも足を伸して同じコースを歩く事にした。
いつもの7時27分発東日原行きのバスは、満員ではあるものの、増発する程では
なかった模様。川乗橋で一緒に降りた人も20名程と、意外と少なかった。昨日
が文句無しの快晴だったので、結果今日は少ないのかもしれない。
愚図愚図と準備をしていると、いつものように最後になった。こちら<>のレコ
を参考に、2つ目のカーブミラーを目印に登山口を見つけた。最初から杉林の急
登だが、九十九折ではなく尾根の腹を直登してゆく。尾根に辿り着けばその背
から1m程東側に下がったところに道が続いているが、グズグズに崩れている。
ただ道ははっきりしていて、蕎麦粒山山頂手前の分岐までのルートで不明瞭な
ところは殆どなかった。
割と低いところから広葉樹林になる。紅葉にはまだ早く、少し色づいている程
度だ。朝食を抜いてきたので、1時間程登ったところでコンビニ弁当を広げた。
木の間から石灰石鉱山が見える。方角からすると倉沢の旧鉱山かもしれない。
笙の岩山までがとにかく長く、勾配も緩くない。色々と妄想しつつ、帰らざる
を得なくなる状況を期待している事に気づく。ただ天気が良かったので、三ツ
ドッケからの絶景を頼みに登った。紅葉も段々と濃くなってきた。
標高900m辺りで尾根が急にせり上がり、道が西側を巻く。急な九十九折の最後
を曲がると、その先にこれまでにない程に鮮やかなモミジとイチョウが迎えて
くれた。急登に報いるかのようで、なんとも粋な事をしてくれる。ごく主観的
にだが、コースを通じてここの紅葉が最も綺麗に見えた。
ここからは勾配が緩くなり、「東京市」と刻まれた石の杭を辿って紅葉の尾根
を歩く。笙の岩山を越すと後は蕎麦粒山山頂直下までは急な道は無い。松岩の
頭の先が昭文社の地図で唯一「迷」印が着いているところで、確かに漫然と尾
根に沿っていると東北東の支尾根に迷い込んでしまいそうだ。ただきちんと地
図を先読みさえしていれば、ここでやや西に行く分岐は充分に気づけると思っ
た。
早朝は快晴だったが、次第に雲が出てきた。鳥谷戸尾根分岐に辿り着いた頃に
は雲が厚くなり、湿った風が強くなってきた。当初予定より30分程遅れてもい
る。元々は蕎麦粒山と三ツドッケのどちらも登る予定だったが、両方の山頂か
らの眺めを比較し、蕎麦粒山を諦めた。
仙元峠方面への巻き道には奥多摩ビジターセンターが「通行注意」と貼り出し
ていたので、平らな道だったが、注意して進んだ。この辺りも紅葉は進んでい
るが、風が強いせいか既に散っているものも多かった。途中、漸く他の登山者
とすれ違う。登り始めて以来一人目だ。この後は数組に出会った。
時間短縮の為、昭文社地図のように一杯水避難小屋は経由せず、長沢背陵から
直接三ツドッケに登る事にし、何度も地形図を見直して、分岐を無事見つけた。
鳥谷戸尾根分岐から丁度一時間かかっている。当初は13時に三ツドッケ山頂に
着くはずだったのに、蕎麦粒山を飛ばしたのにも拘らず30分は遅れている。気
が焦るが急登でペースが上がらない。何度か滑りつつ、予定より53分遅れて山
頂に這い上がった。
日曜の昼に誰もいない。足元から夫婦らしい声が聞こえるが、それもすぐに去っ
た。一面の層雲で、富士山はおろか鷹ノ巣山もよく見えない。ザックを下ろし
て菓子パンと紅茶で昼飯を始めた。
瞬間。
厚い雲が裂け、これから下りる予定のヨコスズ尾根の、丁度紅葉が盛りの西の
斜面を陽が照らし出し、他は灰色で一面の雲天のなかそこだけが錦色に輝いた。
今までのあらゆる苦労や惨めな思いが報われた。景色を見て泣きたくなったの
は、いつかの三月の焼岳山頂で北アルプスの山容を見て以来だ。昨日の快晴で
は、この感動は無かっただろう。奇跡の時間が長かった為−10分程−念の為写
真も撮ったが、矢張り万分の一も表現できていない。迷った結果この記録にも
載せない事にした。
ただぼうっと見とれているとパラパラと降り出したので、降りる事にした。前
回ヨコスズ尾根経由で帰った時は長沢背陵からの一杯水避難小屋への分岐道が
分かりづらく、先程通ったように仙元峠の方に直進してしまった。今回注意し
て降りてみて、漸く写真のような分岐点を確認できた。直進(長沢背陵沿い)の
方にも赤テープがあり、こちらへどうぞと立派な道が続いている。登頂を終え
て気が緩んでいるところで出会いがちな箇所だ。
ヨコスズ尾根を半分程進んだところで濃霧になる。装備を思い出して、必要な
装備は揃っているなと思う。念の為エスケープルートも考えた。西側のカロー
谷・小川谷は急でルートがあるかは知らない。東側の倉沢は有名な廃村に至る
ルート等、いくつかあるのを見聞きしたが、エスケープにとれる程には知らな
い。鉱山開発で地形が変わっている可能性もある。結局慎重に今のルートを降
りる事にした。
いきなり背後から複数の熊鈴が結構な勢いで迫ってきた。単独の男性だ。濃霧
の杉林で熊鈴をがんがら鳴らされても、不気味なだけだ。横に退いて抜いても
らった。
巻き道が終わって滝入ノ峰からの尾根筋と合流するところで、東日原発16時17
分のバスの出発まであと45分となった。ここからは九十九折の釣瓶落としなの
で、自分の足ではもう間に合わないと諦めた。ところが思ったより早く東日原
の民家が見え始め、最後は本降りの中を合羽も着ずに、後から来た別の単独男
性とバス停まで走り、間に合った。日原街道に出た時に間違ってバス停と反対
方向に曲がってしまい、その方まで遅れさせてしまったが、間に合って良かっ
た。
三週間経った今でも、山頂の光の舞台を反芻している。あの光景こそ、完登し
た者のみ得られる特権だ。
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