ユーシン〜蛭ケ岳
- GPS
- 32:00
- 距離
- 23.7km
- 登り
- 1,547m
- 下り
- 1,593m
コースタイム
天候 | 快晴 |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2014年11月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
電車 バス
|
写真
感想
(22日)
昨年秋に台風のため中断した計画のリベンジである。素晴らしい快晴のもと、薄雪を被った富士山を丹沢湖の湖面に見送って出発。地味な車道歩きが続くが、周囲の山は盛りを過ぎた紅葉がまだ色彩を残している。ハイカーはそこそこ歩いているが、思ったよりは少ない。青崩隧道を過ぎると川面が近づき、丸く白い巨岩が陽射しに眩しい。途中で脇の林内に入れる踏み跡を発見し、探検に行ってみると、流れを背景に楓が点在する良い風景があった。同角沢出合で水辺に下り大休止。白い岩床が美しい、最も渓谷らしいところだ。幅広くなった川べりを歩いていると、それほど遅い時間でもないのにもう黄色みを帯びた陽光が夕暮れの雰囲気だ。ユーシンロッジに泊まる。
(23日)
山深くなってきた林道をさらに辿る。熊木沢の広大な川原の奥に蛭ヶ岳が朝日に照らされている。橋を渡り、すぐ右手の杉と楓の木の右側から登山道に入る。標識が何もないのはいささか不親切だ。杉植林の急登になり、左右の沢を見下ろしながらぐんぐん高度を上げる。登るにつれ、塔の岳、ユーシン渓谷の向こうに愛鷹山、そして富士山と視界が広がってくる。もはや周囲の山肌は枯葉色だ。傾斜が緩やかになると小広い弁当沢の頭。ブナの大木が聳え、気分の良い所だ。いよいよ主脈が屏風のように眼前に立ちはだかってくる。体調が優れず、イバラとアザミのダブルとげ攻撃にも悩まされながら、苦しい登りが続く。檜洞丸や、後方に霞んだ箱根の眺めが慰めだ。人声が近づき、ようやく縦走路に登りついた。俄然、行き交う人が多くなる。木陰には雪が少し残っており、道は泥んこだ。このルートは6年前に塔の岳から畔ガ丸までを歩いたきりだが、その時は霧の中で、今日の大展望は嬉しいが、今まで深い山懐を歩いてきたので、関東平野の街並みが見えるのは興ざめでもある。
重い足を持ち上げ、やっと蛭ヶ岳頂上だ。懐かしい檜洞丸から大室山のジャイアント、富士山を主役に、南アルプスや、好きな八ケ岳まで見えるのがとても嬉しい。富士山の緩やかな裾野を見ていると、あそこまで西丹沢を歩いて行きたいと気持ちがそそられる。それにしても皆さん早いお着きで、どこから登ってきたのだろうかと不思議だ。
さて、先の長さを考えるとゆっくりできない。初めての領域に踏み込む。下りの階段が続くが、段差が小さめに作ってくれてあるので歩きやすい。人が減って、渋い森の中を歩く楽しみを味わえる。馬酔木、ブナ、植林、唐松と色々な樹林が出てくるのが面白い。地蔵平から原小屋平にかけては地形が複雑で、丹沢の中では異例のなだらかな稜線だ。姫次では青空が広がりほっとする。ここからは歩きやすい道になり終盤の雰囲気だ。黍殻山は残念ながら割愛、振り返ると丹沢山から蛭ヶ岳のシルエットが、東京辺りから見るのと同じような線を描いている。道志川沿いの集落が左手に見えているが、まだまだ遠い。何と長い縦走路か。これを1日で駆け抜けてしまう人がいることに改めて感嘆する。最後のピーク焼山で、空腹に耐えかねて非常食まで食べ尽くしてしまった。ゆっくりもできず日暮れと競争で下りにかかる。薄暗い杉林を膝を労わりながら義務的に歩くのみ。少しだけ残った紅葉が慰めだ。マップに出ている分岐を見落としたか?いつまでも着かないので焦っていると突然石畳みが出てきて気が抜ける。林道に下り立ち、晩秋の里に出た時はしみじみと嬉しかった。道志川沿いを訪れるのも、高校生のころ今倉山に藪こぎ兼歩荷訓練に来て以来だ。夕暮れの焼山を仰ぎながらバスに乗る前に缶ビールを1本空けて余韻を味わう。
都内や、中央道の藤野辺りからも顕著に見えて気になっていた丹沢主脈をようやく踏破して、永年の宿題を片付けた気分だ。
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