富士山 (富士山駅から)(パラグライダーで下山・太平洋に届かず)
- GPS
- 19:18
- 距離
- 54.5km
- 登り
- 3,175m
- 下り
- 3,976m
コースタイム
- 山行
- 10:02
- 休憩
- 4:02
- 合計
- 14:04
天候 | 晴れ。 6/17 北風6〜9 6/18 北風3〜5 |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2023年06月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
電車
復路:吉原駅から電車 |
コース状況/ 危険箇所等 |
吉田ルートほとんど夏道 お鉢めぐりは雪面トラバースありピッケル推奨 |
予約できる山小屋 |
里見平★星観荘
|
写真
装備
個人装備 |
ビバーク装備
パラグライダー装備
クライミングハーネス
予備カラビナ
予備スリング
防寒着
食料
スポーツドリンク
電子機器
|
---|---|
備考 | 入山時18kgくらい 食料を水飴と塩ラムネだけにしたところ二日間の行程で便意を催すことがなかった |
感想
富士山駅から歩いて富士山に登り山頂からパラグライダーで下山しました。太平洋まで飛びたかったですが残念ながら届かず、手前の某小学校に降りました。
【企画】
23年6月10日に離陸ミスでハーネスを壊したことを期に山岳フライトは休止しようと思っていましたが今週末に富士山上空が北風予報になっているのを見て「やっぱり富士山→太平洋フライトだけやっとくか」と思い今回の山行を実施することにしました。
自分の過去の山岳フライト記録を確認したところ実効滑空比(始点終点間の水平距離 / 始点終点間の高低差)は5前後で富士山→太平洋フライトに必要な7には到底及ばず、また今回1500m以下では海風を受ける可能性が高かったため太平洋に届く可能性は3割くらいで考えていました。ただ正直なところ実効滑空比の低さの主要因は機体性能だと思っており、今回高高度の追い風を利用したりスピードバーを導入してそれでもダメなら中級機を買うしかないだろうと考え(現在は初級機を使用)、その判断材料の意味も込めて本山行を実施することにしました
入山手段/時間帯の選定で少し迷いました。以下の二択で前者を選択しました。
・6/17(土)前夜発&富士山駅から徒歩
デメリット: 仕事終わりに直行で睡眠時間取れない、登りが長く疲れる、体に悪い
メリット: 昼前に山頂に着けるので離陸場所選定に時間的余裕あり、昼前後は富士山南面の気流が上昇基調になると考えられ太平洋に届く確率が高くなる。五合目までのバスを使わずに富士山駅から登った方が「良いスタイル」である。
・6/18朝発&五合目までバス
メリット・デメリット: 上記の逆
6/18は6/17よりも風が弱い予報でフライト確率は高そうだったので上記のどちらを選ぼうが何らかの理由で飛べなかった場合は山頂でビバークして6/17に飛行トライ、無理ならスバルライン五合目のバスで下山すれば良いと考えていました。左足首を軽く捻挫していて腫れと痛みがあったのでフル徒歩下山はあり得ない状況でした。月曜は仕事なので6/18発は自粛しました。
【準備】
・スピードバー(アクセル)の準備
これまでスピードバーは使用していませんでしたが今回滑空比を上げるために洋服のハンガーで自作しました。
過去実績からスピードバーなしでは絶対に太平洋に届かないだろうと思われました。
・ハーネスの補修とバックアップの用意
前回のフライトでパラ用ハーネスは左臀部がビリビリに裂けてしまいましたが強度の要であるダイニーマ線は無事だったので破けた尻当てパッドや表皮をガムテープで適当に補修して利用しました。ただ少し心配だったのでクライミング用ハーネスとスリングでバックアップを取り、パラ用ハーネスが破断しても即墜落・制御不能にはならないようにしました。
【登り】
浅間神社から馬返しまで吉田登山口遊歩道を歩こうとしましたが遊歩道のデコボコが足首の捻挫に応えたので道路を歩かざるを得ませんでした。道路歩きでもノーダメージでは無かったのでこの時点でかなり先行きに不安を感じましたが、馬返しからの登り登山道では意外にも捻挫が気になることがほとんどありませんでした。
佐藤小屋から少し上がったところでご来光を拝みました。富士山には今回含めて5回登っていますが今回が一番晴れていて眺めが良かったです。八合目くらいまではコースタイムの8〜9割くらいのペースで歩けていましたが八合目辺りから疲労と頭痛に悩まされペースを落とすことになりました。
吉田口山頂に着いたのが10:30くらいで時間的な余裕はあったので離陸場所を探しつつお鉢巡りをしました。が、安全な離陸場所はなかなか見つからずさらに頭痛が悪化して吐き気も催してしまいパラグライダーどころでは無くなってしまいました。過去二回の富士山駅スタート富士登山でも程度の差こそあれ似たような状況に陥ったので自分の体力では五合目登山しか無理なのかなと思わされました。
高速下山すればスバルライン五合目のバスに間に合わないこともない時間でしたが頭痛・吐き気・捻挫で高速下山は危険だろうと考え、吉田口山頂付近の木のベッド(?)でしばらく眠ることにしました。17時くらいに起きた時には吐き気は収まっていたものの頭痛はまだ残っていたのでその日中の離陸は断念しビバークすることにしました。
【ビバーク】
木のベッドは地面から離れていて寝心地は良かったのですが風が当たるので風を防げる石垣の近くでビバークしました。前々から富士山でビバークしてみたいと思っていてマットやシュラフ、iPadなどを持参していたので快適に過ごすことができました。富士山はテント泊禁止と聞いていたのでツエルトは張らずに体に被せるに留めましたが、テントを張っているビバーク客もおり、中には火口内部の目立つ場所に堂々とカラフルなテントを張っている人もいました。
朝4時頃に人の足音で目覚め、ご来光を見ようかと思いましたが外が寒くシュラフから出るのが面倒で二度寝してしまいました。起きたときには頭痛は治っていて、また長時間寝たせいか捻挫の痛みや腫れも改善しており気のせいかもしれませんが登山開始前よりも良くなっていました。
【フライト】
早朝は風が弱めで容易に離陸ポイントを見つけることができそうでした。しかし遠くに飛びたければ昼前がベターだろうと思い悩みました。というのも前回のフライトで「富士山山頂離陸後しばらくは沈下が大きい傾向があるのでは?」という所感を得ていました。これは空気の密度や気流の影響があると思われますがなんにせよ富士山南面が本格的に温められて上昇気流が発生する10時以降に飛んだ方が太平洋に届く可能性が上がると思われました(実際前日昼前後にお鉢巡りで南面を観察した際に強い上昇気流で雲が形成される様子が確認できました)。しかし同時に「離陸できるときに離陸しないと後悔する」という山岳フライトの鉄則もあり、悩んだ末に早朝に離陸することにしました。もっとも「昼まで5時間待つとかバカバカしくない?」という感情が最大の決め手だった気はします。
今回の離陸場所は傾斜は良かったのですが拳大の石が散らばったガレ場で石にラインが引っかかりまくり過去一苦戦しました。
1回目: リバースで立ち上げて振り返って走り始めた瞬間に石でコケて失敗
2回目: リバースで立ち上げようとしたがビビってテンションを十分にかけられず上がりきらずに失敗
3回目: リバースで立ち上げて離陸成功
失敗するたびに回収して再設置するんですがこれにすごく時間がかかるんですよね・・・ パラのラインは細いので石に引っかかった状態で無理に引っ張ると破断する可能性がありますし。芝生や雪だったら簡単だしそもそもコケたりビビったりしないんでしょうが。常念岳や後立山連峰のどこかで飛んでみたい気持ちはあるんですが無雪期は同じような問題がありそうです。
割と早い段階(3000mくらい?)から向かい風を食らいはじめました。スピードバーを踏んで見たところ確かに速度は2m/sくらい上がりましたが滑空比が改善しているのかどうかはよくわかりませんでした。
前回の富士山フライトと同様、飛行後しばらくは沈下速度が大きく高度が下がるにつれて沈下速度が改善しました。原因としては以下の3つを考えています。
・空気の密度が低い
・富士山周辺の高高度の気流は(すくなくとも昼前後以外は)いわゆる山風で下降基調になりやすい
・風下を飛んでるので吹き下ろしに叩かれて沈下した
高度1500mくらいで太平洋に届く可能性を捨てて手前にランディングすることにしました。今回は成り行き上小学校を選択したのですが、これは失敗でした。日曜の朝7時なので人はサッカー少年1人しかおらず安全性は問題なかったのですが、住宅街の中にある小学校のためどうしても着陸直前に民家の上空を低空飛行することになってしまい近隣住民の心情的によくありませんでした。
【その他】
太平洋に届かないことは想定内だったとは言えやはり届かないと悔しさは残ってしまいます。昼前後であればもっと上昇気流を拾えて届いた可能性がありますし、もっとよい北風が吹いていれば届いた可能性がありますがそこまでコンディション依存となると自分でコントロールできる要素が小さすぎてガチャみたいになってしまって面白みにかけるんですよね。やはり中級機(自分の機体は初級機)を買うというのが費用以外の点では現実的なのかもしれません。出費の痛みが富士山→太平洋フライトの気持ちよさに勝ってるかは怪しいので実行はしない気がしますが。
景色の良さとか気持ちよさで言うと巻機山や前回の富士山のときからの差分はあまりなかったのでやはり今後のモチベーションが厳しい感じはしています。死ぬかもしれないというスリルは(特に離陸の瞬間に)毎回感じているし今後も感じ続けるだろうと思うのですが餌としてはやや弱い・・・
コメント
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ありがとうございます。今の所パラグライダーを極めようとは考えていないですが・・・(踏み込んだ話をするとパラグライダーはフィジカルが必要ないわゆる「スポーツ」ではなくどちらかというと車の運転やゲームに近い遊びなので、テクニックを極めるのはもう少しフィジカルが衰えて一般的なスポーツができなくなってからでいいかなみたいなことを思っています)。
実は私も富士山の下り対策としてスケボーやインラインスケートを持参することを検討したことがありますが流石に重いし嵩張ると判断して実行はしませんでした。自転車を持って上がるのはすごいですね・・・
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