南ア白根南嶺・沼平─中ノ宿吊橋─所ノ沢越─布引山─笊ヶ岳
- GPS
- 22:27
- 距離
- 37.6km
- 登り
- 3,887m
- 下り
- 3,916m
コースタイム
- 山行
- 5:43
- 休憩
- 1:00
- 合計
- 6:43
- 山行
- 5:11
- 休憩
- 4:43
- 合計
- 9:54
- 山行
- 4:47
- 休憩
- 0:40
- 合計
- 5:27
天候 | (1日目)晴れのち曇り (2日目)晴れのち曇りのち雨 (3日目)晴れ |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2023年07月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
|
コース状況/ 危険箇所等 |
FH2000M標識から所ノ沢越までのトラヴァース道にある2ヶ所あるザレ場の横断は、トラロープを頼りに慎重に横断する。中ノ宿吊橋と中ノ宿沢間のトラヴァース道も地味に危ない。全コースにわたり登山道は概ね明瞭。 |
その他周辺情報 | 赤石温泉白樺荘で入浴。 |
写真
装備
個人装備 |
長袖シャツ
Tシャツ
タイツ
ズボン
靴下
グローブ
防寒着
雨具
着替え
靴
ザック
ザックカバー
昼ご飯
行動食
非常食
飲料
ハイドレーション
ガスカートリッジ
コンロ
コッヘル
調理器具
ライター
地図(地形図)
ヘッドランプ
予備電池
筆記用具
日焼け止め
ロールペーパー
保険証
携帯
時計
サングラス
タオル
カメラ
ポール
テント
テントマット
シェラフ
携帯トイレ
スパッツ
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感想
以前に日記に書いたとおり、27年前に老平から布引山、笊ヶ岳に登った後、布引山から所ノ沢越に下りる途中で道が分からなくなり、結局、布引山に登り返して老平に戻ったことがあった(https://www.yamareco.com/modules/diary/225464-detail-303495)。その後リヴェンジの機会を狙ってたけど、所ノ沢越から中ノ宿吊橋へのルートはザレ場の横断が困難となり、再訪を諦めてた。しかし、『ヤマレコ』他(笑)の記事によると、十山さんがこのコースの整備を行い、難所のザレ場にはステップが切られ、トラロープも設置されているという。リヴェンジを果たすまたとない機会! 今回の登山道再整備は永続的なものではなくて、登山用品でもよくある「期間限定の復刻版」みたいなモンで、クラシックルートの期間限定復刻と捉え、挑戦するなら今すぐ行くしかない!と思ってた。それでも最初のうちは「自分には無理!」とビビって、椹島ロッジからの往復で笊ヶ岳に行くつもりだった。しかし、今年入ってからの椹島ルートの記録を確認したところ「もしかして、中ノ宿吊橋から所ノ沢越ルートのほうがマシじゃね?」と思うほど椹島ルートが荒れてたので、所ノ沢越ルートに挑むことを決断。もともと笊ヶ岳に登るにあたっては10年に1度しかもらえないリフレッシュ休暇(月〜金連続の5連休を取れる)を使うことは決めてたけど、中ノ宿吊橋から所ノ沢越に挑むに際し、所ノ沢越の水場でのテント泊で2泊3日の日程を組んだ。最初のうちは椹島または老平から入山し、下山で中ノ宿吊橋に下りることを考えたけど、アヤしいルートを下るからには上りで状況を知っておいた方がいい…と、中ノ宿吊橋からの往復となり、本来なら1泊2日でも行けるコースだけど、不測の事態があっても日程的に対応可能なように、2泊3日になった(苦笑)。1日目は午前2時に『キャラメルハウス』(自宅)をクルマで出発で、畑薙第一ダムには午前9時着のつもりでいたけど、弟子(妻)に「前泊すれば?」と言われ、前泊することになった(苦笑)。白樺荘に泊まることを考えたけどすでに4人部屋しか空きが無くアウト。奥泉駅前の民宿奥大井さんのお世話になることになった。
出発当日は10時に『キャラメルハウス』を出て、塩尻北I.C.から長野道─中央道─中部横断道─第二東名経由で静岡S.A.へ。塩尻北I.C.に出るため、国道471号で平湯に向かったけど、7月24日から28日は工事のため夜間通行止めらしい…。弟子の勧めるとおり、前泊にしてなかったら通行止めに引っかかって大幅迂回を強いられたところだった。静岡S.A.からは国道362号経由で千頭に出たけど、峠越え区間に差し掛かった途端もの凄い勢いで雨が降り始めた。カーステレオでかけてたメタリカの音がかき消されるくらいの激しい降り。無事千頭に降りたけど、千頭にはコンビニが無いので、最寄りコンビニとなる『ミニストップ中川根町店』まで買い出しのために片道9 km往復した後に奥泉へ向かい、民宿奥大井さんにチェックイン。
1日目は、朝5時前に民宿奥大井さんを出発。平日ということもあり、無事沼平の登山者用駐車場にクルマを入れられた。弁当喰って、靴を履き替えてから、6:19に駐車場から歩行開始。コースタイムがよく分からないので、今回は2000年4月初版のヤマケイの『アルペンガイド(15)荒川・赤石・聖』を持って来てる。それによると、畑薙第一ダムから中ノ宿吊橋までコースタイムは2時間40分。今年すでに野呂川出合から両俣小屋まで林道歩きしてる(https://www.yamareco.com/modules/yamareco/detail-5649627.html)ので、それくらいならあまり苦にならない(苦笑)。あっちは土砂崩れやら路面欠損やら渡渉やらのあるズタボロ林道だったけど、こっちは現役の林道で殆どが舗装されてて、クルマが通れるから、ラク(苦笑)。南アルプスの百名山をすでに踏破済みなど南アルプスにはさんざん登ってるけど、静岡県側から登るのは初めて。松本からにしろ、富山からにしろ大廻りしないと着かないから敬遠してたんだけど、初めて来ただけに見るもの全てが新鮮。東海フォレストの送迎バスには「1号車」といった号数ではなく山の名前付けてる(私がみたのは、「悪沢岳」)とか、畑薙大吊橋が意外にちっちゃいとか(苦笑)。畑薙大吊橋のたもとには自転車が1台デポされてる。誰か上ってるみたい。沼平到着時には前日の雨を引きずってか曇りがちだったけど、どんどん青空が広がってく。青薙山登山口で休憩した後、さらに林道歩きを続ける。それまでは左岸歩きだったので、日光とは無縁だったけど、畑薙橋で右岸に渡りマトモに日光が当たるようになった。しかも、現場への通勤時間帯なのかトラックが何台も砂埃を巻き上げながら横を通過してく。赤石水力発電所を通過し、紅葉沢橋を渡ると、8:12にあっけなく中ノ宿吊橋に到着。2時間もかかってない(苦笑)。こっちの吊橋には自転車のデポは無かった(苦笑)。
中ノ宿吊橋を渡ると中ノ宿沢までしばらく下り基調のトラヴァース。ここの道も荒れ気味で、まるで「ここで音を上げるようなヤツは所ノ沢越に行く資格なし!」と、試されてるかのよう(苦笑)。中ノ宿沢に着いて解放された時にはホッとした。中ノ宿沢で給水し、いよいよ本格的上り。急坂で、サインを見落とさないように慎重に登る。天狗岩を通過し、小一時間で真っ二つに割れた「FH1434」の看板に到着。ここで塩カルビ弁当喰った。2000年のアルペンガイドだと、中ノ宿沢から1時間40分登ったところに水場があるとの記載がある。確かに、沢状の地形を通過したけど、倒木やら崩壊やらで通過にあたっては気を使った。もしかして、水場もろとも崩れ去った? 次の1時間で「FH1800 m」標識、さらに30分ほどの歩きで「FH2000 m」標識に到着。この「FH2000 m」標識から長いトラヴァースが始まるように言われてるけど、その手前からトラヴァースは始まってる(苦笑)。この「FH2000 m」標識では、Softbankでも電波が入った(苦笑)。いよいよ核心部のザレ場に向かう。難所は2ヶ所で、下流側の難所は従来のコースを放棄し、50 mほど下ってから難所を横断する。ロープを頼りに慎重に通過。ここはホントに足場が悪い。この難所を通過すると、下った分50 mほどを上り返す…(汗)。従来のコースに合流するとすぐに上流側の難所。ステップも切られていると聞いてたけど、もうすでに崩れてて、ロープを頼りに慎重に渡る。無事難所を通過し、テン場に向けて登ってく。水量の多い沢に出たけど、テン場はここでは無く、もう一つ沢を廻り込んだ先だった。13:02にテン場着。いつの間にか天気は曇りで、いつ雨があってもおかしく無い雰囲気…。前日の雨のほか、聖平でテントが水没した悪夢(https://www.yamareco.com/modules/yamareco/detail-2565483.html)を思い出し、豪雨があっても大丈夫なように、しっかりテントを張る。15時過ぎに少しポツポツ来たほか、18時台には雷が鳴った…。さらに、20時台にもポツポツ来たな…。
ということで、翌7月27日はせっかく笊ヶ岳に登るというのに、天気が良くなく、展望もゼロの恐れがあった。所ノ沢越からの笊ヶ岳往復のみであればそんなに頑張って早起きする必要は無いけど、天候を考えて3時起きで朝食を済ませて、4:32にテントを出発。テントはテン場に張りっ放しだ。この時期の4:30は薄暗く、ヘッドランプを点けて所ノ沢越を目指す。薄暗いなか、27年前にはたどり着けなかったと所ノ沢越に、4:41に到着。そのまま所ノ沢山への急登にかかる。27年前は所ノ沢山(c. 2,210 m)まではたどりついてたんだけど、その先で道が分からなくなった。稲又山から布引山の間も去年整備の手が入ったようで、登山道を隠すような倒木は一掃され、コースサインも明瞭。27年前も、こうだったらなぁ〜。所ノ沢山を登るうちに夜は明け、山梨県側の展望が開け始める。雲は多いものの青空もみえており、天気はそんなに悪くない。5:20に所ノ沢山に到着し、休憩。次の1時間で布引山に着いた。この頂上に来るのは27年ぶりで、標識も十山さんのものに刷新されている。昔のままなのは三角点のみ?(苦笑) 頂上は静岡県側が開けており、上河内岳や茶臼岳や光岳、池口岳がみえたけど、聖岳は雲のなかで、赤石岳は雲に覆われようとしている最中…。荒川や悪沢は木々が邪魔してよくみえない。布引山頂上を出発し、木漏れ日のなか最低鞍部(昔のガイド本では「倉沢ノコル」と呼ばれてた場所)まで緩く下っていく。最低鞍部で休憩後、笊ヶ岳への上り。頂上が近づき森林限界を越えると、日光がモロ当たりになって、暑い! 笊ヶ岳頂上には7:49に到着。布引山頂上でみたよりもさらに展望は悪化し、名だたる3,000 m峰はすべて雲のなか…。3,000 m無い上河内や中丸盛山などが辛うじてみえた。笊ヶ岳に登るかたはよく小笊の向こうに富士山がみえる構図の写真を撮影されるけど、このコンディションじゃ無理だな…と、最初から諦めてた。だけど、小笊のほうをみたら、後ろに控える巨大な物体は…。富士山! ホント、一瞬だけ富士山の姿がみえたけど、そのお姿はアタリマエのようにガスでかき消されていった…。頂上で1時間粘ったけど、富士山が姿をみせることも、聖・赤石・荒川・悪沢から雲が取れることも無かった。
前に来た時には小笊の往復をしていなかったので、せっかくなので小笊まで空身で往復。バリエーションコースのランカン尾根のコース上だから仕方ないけど、コース状況は悪い。しかし、多くの登山者が往復してるためかよく踏まれてる。小笊には年代物の標識があってビックリ! 「1981.8.19」って、書いてあるゾ!
笊ヶ岳頂上に戻り、10分休憩。笊ヶ岳頂上には70分居たけど、ひとりの登山者の姿もみなかった(苦笑)。笊ヶ岳頂上から64分かけて、布引山に戻る。この頃にはガスのなかに入ったのか、陽は全く差さなくなった。誰も居ない布引山頂上で昼寝(爆笑〜!)。
ポツポツと雨粒が落ちて来たため、慌ててレインウェアを上半身のみ着用し、ザックにカバーをしてから、13:11に布引山頂上を出発。すぐに雨畑コースを見送り、急な下りを慎重に歩く。雨はすぐに止み、レインウェアを着込んだ上半身がサウナのように暑い。雨どころか時折薄日も差すけど、遠くで雷鳴が響いてる。雨が本格的に降り出す前に所ノ沢越のテン場にたどり着かないと。しかし、所ノ沢越までは下り一辺倒ではなく、c. 2,210 mピークなど、3つくらいピークを越えていかなきゃいけない。登山道は布引崩のフチにつけられてる箇所が多く、間違って登山道を踏み外そうものなら、即死、だ…。すでにかつての登山道が崩壊し、静岡県側に付け替えられてる箇所も多い。危険箇所は慎重に通過し、c. 2,210 mピークに到着。下りに入ると、午後2時とは思えないくらい周囲が暗くなってくる。遠くの雷鳴も心なしか近くなってるような気もする…。薄暗い所ノ沢越に14:12に到着。着込んだものの用無しだったレインウェアを脱いでから、テン場へ向かう。そんな時に限って雨が降りだすから、困ったもの。テン場には14:26に到着。
テントのなかに転がり込んだタイミングで本格的な雨となり、17時台まで降り続いてた。雨が止んだ18時頃、さっきまでの暗さはどこへやら、辺りは明るくなっていた。
7月28日は朝3時半に起床。今日は難所のザレ場を通過するため、雨が残ってたら嫌だ。雨が止みますように…という願いは叶い、雨は止んでた。4:49にテン場を出発。水場よりも水量の多い(けど、周囲に天幕適地が無い)沢を渡り、足元の悪い斜面を登ってくと、トラヴァースが始まる。この先待ち受ける悪場は2ヶ所。やがて目に前にザレ場が広がる。上流側の難所だ。ここは設置されたトラロープを頼りに必死に渡る。渡り終わってから自分の靴をみたら、斜面に必死に爪先を打ち込んだせいか、両足とも爪先から半分は土で真っ茶だ…。しばらくトラヴァース道を往くと、旧ルートとの分岐が現れて足元の悪い斜面を50 mほど下る。そして、下流側の難所に到達。ザレ場の前に小沢を渡るけど、この沢もガレが不安定で歩きにくい。下流側の難所もトラロープを頼りに無事通過。これで難所を2ヶ所とも通過。木にしがみつきながら不安定な斜面を50 m登り、旧来のトラヴァース道と合流。しばらく若干登り気味にトラヴァース道が続く。テン場から1時間以上かけて、「FH=2000M」の標識に到着。ここからもしばらくはトラヴァースが続くけど、電光型に下り始めるようになる。「FH=1800M」の標識を通過し、あとは尾根どおしに下る。隣の尾根に移るため一旦沢形地形に降りるけど、倒木があったりして地面が不安定。ピンクリボンを見逃さないように慎重に移動。隣の尾根に乗ったらまたひたすら下り。かつての林業拠点だった場所だろうか、古いレールが放置された広場は開けており、大無間山がみえた。ひと段下ったところにはプロパンガスのボンベが放置されてたけど、ここでカモシカと遭遇。シャッターを押すより早くさっさと逃げてった(苦笑)。さらにひと段下ると「FH=1434M」の標識に7:08に到着。地形図にある・1,434 m地点だろう。ここで、コーンピラフ(アルファ米)を喰う。食べ終わった後もひたすらの下り。天狗岩を通過すると次第に沢の音が大きくなってくる。中ノ宿沢に到着。ここの沢には橋などは無く、渡渉点を自分で探して渡るしかない。上手く渡れたつもりだったけど、最後の最後で着地した右足が滑ってポチャった…(苦笑)。
中ノ宿沢から中ノ宿吊橋までは、大井川に沿ったトラヴァース区間。区間は短いけど、所ノ沢越から中ノ宿沢までの区間を凝縮したかのような危ない道。この道を放棄し、大井川の河原を歩くひとも居るというのも頷ける(苦笑)。中ノ宿吊橋に出た時には、ホッとした(苦笑)。昨日の雨で踏み板が一部湿ってた中ノ宿吊橋を渡り、大井川東俣林道に8:12に到着。ここからは危険が殆ど無い林道歩きのハズが、赤石水力発電所の手前で大型車どうしの離合困難局面に遭遇。こんな時に側をチョロチョロと通ろうとする登山者や自転車乗りは運ちゃんにしてみたら邪魔者でしかないだろう(苦笑)。しばらくは日光がモロ当たりの右岸歩きが続いたけど、畑薙橋で左岸に移ると日蔭になって涼しい。青薙山登山口を通過し、9時半に畑薙大吊橋に到着。林道歩きを厭う登山者たちが乗ってきたのか、橋のたもとに自転車が3台デポされてた。
前に書いたとおり、南アルプスを静岡県側から登ったのは今回が初めてなので、畑薙大吊橋も今回が初めて。せっかくだから少し歩いてみた(苦笑)。吊橋の下流側にある休憩小屋にも自転車が1台デポされてたけど、この小屋、自転車があると自転車置き場にしかみえない(爆笑〜!!!)。10:14に沼平ゲートを通過し、10:16に駐車場に戻った。入山した時の3倍くらいにクルマが増えてた。さすが金曜日! クルマに戻ったら、白樺荘で入浴してから、富士見峠経由で新静岡I.C.に出て、中部横断道─中央道─長野道経由で塩尻北I.C.まで移動。安房トンネル抜けて『キャラメルハウス』に7時過ぎに戻った。
今回持参した2000年4月初版のヤマケイの『アルペンガイド(15)荒川・赤石・聖』では、笊ヶ岳へは今回歩いたルートがメインで、老平ルートと椹島ルートはサブ扱いだった。かつてのメインルートのため、歩くひとが少なくて『山と高原地図』からルートが削除されようが、『ヤマレコMAP』ともうひとつのアプリ(苦笑)の地図で無視されていようが、踏み跡じたいはしっかりしてるし、十山さんがしっかりサインをつけてくれてるので迷いようが無い。問題は、やっぱり2ヶ所のザレ場。私が『ヤマレコ』ともうひとつのアプリ(苦笑)の諸先輩方の記録を参考にして今回挑んだように、私の記事に誘発されて多くのひとがこのコースに挑み、このコースが「期間限定」で終わらないようになってくれることを心から願っています。
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