武尊山(沖武尊〜前武尊縦走・不動岩敗退)
- GPS
- 18:29
- 距離
- 24.4km
- 登り
- 773m
- 下り
- 1,874m
コースタイム
- 山行
- 5:06
- 休憩
- 1:09
- 合計
- 6:15
過去天気図(気象庁) | 2015年02月の天気図 |
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アクセス |
利用交通機関:
電車 バス
|
写真
装備
個人装備 |
長袖シャツ
長袖インナー
ハードシェル
タイツ
ズボン
靴下
グローブ
予備手袋
防寒着
雨具
ゲイター
バラクラバ
毛帽子
着替え
靴
ザック
アイゼン
ピッケル
スコップ
行動食
非常食
調理用食材
飲料
水筒(保温性)
ガスカートリッジ
コンロ
コッヘル
調理器具
ライター
地図(地形図)
コンパス
ヘッドランプ
予備電池
GPS
筆記用具
ファーストエイドキット
針金
常備薬
ロールペーパー
保険証
携帯
時計
サングラス
タオル
ナイフ
カメラ
ポール
テント
テントマット
シェラフ
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感想
仕事もあるので実際に行けるかどうかは判らないが、今シーズン中に雪の赤岳に挑戦してみたいなと思っている。しかし、自分には、特にピッケルを使った経験がほとんど無い。なので、経験を積むべく、ピッケルが必要となる山を探していた。手持ちの冬山のガイド本では、武尊山は技術のグレードが星三つで体力のグレードが星二つ(赤岳と同じ)、アイゼン・ピッケルが必携とも書いてあったので、武尊山へ行ってみる事にした。念のため、ワカンとストック、テント泊の装備も用意した。また、前の週のうちに上越線の沼田駅〜川場スキー場のシャトルバス(無料!!)も予約しておいた。
(1日目)
当日は快晴。気分が高まってくる。ただ、シャトルバスと接続の良い快速電車は、最寄り駅だと途中乗車になるため、結局沼田駅まで座れなかった。シャトルバスに乗り換えて川場スキー場へ。リフト券を買おうとしている登山者には、登山届を記入して提出するよう呼び掛けていて、呼び掛けに従い登山届を記入してリフトのチケットを購入する際に提出したら、下山時にカウンターへ提出するためのチケットも貰った。結構ちゃんとしているスキー場なんだなと感心した。チケット2枚で一番上まで行けるので、帰りの分も含めて1回券を4枚買った(合計\1800)。
2本のリフトを乗り継いで一番上まで行ったが全然寒くなかった。むしろ暑い位で、剣ヶ峰山への急登を目にしてまず服を1枚脱ぎ、アイゼンを装着してピッケルを取り出した。天候の条件が良いからか、リフト終点のちょっとしたスペースは、身支度を整えている大勢の登山者がいた。他の登山者の装備をチラチラと見てみたが、ピッケルよりもストックを持っている人の方が多く、中にはスノーシューを履いている人もいた。ガイド本から膨らませていたイメージとだいぶ違う事にちょっと戸惑った。
気を取り直して、剣ヶ峰山への急登を登り始めた。程なく展望が開けてきた。快晴で富士山まで見える素晴らしい眺望だ。何度も立ち止まって景色を眺めながらゆっくり登った。剣ヶ峰山の山頂に到着した。ここからの下りは急で、ピッケルが活躍する筈、と予想していた場面だ。しかし、予想に反して大した下りではなく、一応はピッケルを直ぐに刺せるように心の準備はしていたが、滑落しそうな気配はまるでなかった。
剣ヶ峰山と武尊山(正確には沖武尊)との鞍部で疲労を感じ、休憩した。そう言えば、2日前まで食欲がなくておかゆを食べていたことを今頃になって思い出した。今日は体力がないかも知れないと思ったが、その通りで、そこから沖武尊の山頂までは休み休みしか歩けず、しまいには、すれ違った下山中の登山者に、もう少しだから頑張れ、と励まされる始末だった。
ヨレヨレになってようやく山頂に辿りついたが、やはり展望は素晴らしく、それまでの体の重さを忘れて全方位の眺望を楽しんだ。
さて、リフトの最終が3時45分で、予約した帰りのシャトルバスが4時である事を考えると、そろそろ下山しなければならない。しかし、沖武尊への登りでヨレヨレだった筈なのに、このまま下山してしまうと、ガイド本に書いてある通りの予定調和的な山行になってしまうので面白くないなと思い始めた。何よりもっと山に浸かっていたかった。幸い、両足の指先の血行は問題なかったので、予定を変更して前武尊方面へ縦走してみる事にした。
中ノ岳への登山道は、細いけどトレース有り。一度踏み抜きをしてしまい、途中ですれ違った単独行の登山者にも、アイゼンよりワカンの方が良いかも、と言われたが、履くのが面倒だったのでアイゼンで通した。中ノ岳の山頂手前はなかなかの急登だった。中ノ岳の山頂らしき場所(雪に埋もれているのか道標は見当たらなかった)から先を見ると、トレースが無い。沖武尊と中ノ岳の間のトレースは、沖武尊に登った登山者の中に、中ノ岳まで足を伸ばした人が何人かいて、その人達が付けたトレースだったようだ。
前武尊まで尾根通しなので、迷うことはないだろうと考えて、先へ進んだ。最初は下りで、雪の沈み込みもさほどではなかったので、トレースの無い雪山に自分だけのトレースを付けるのが、何だか気持ち良かった。そのうち、雪の沈み込みで膝上まで潜るようになり、アイゼンの上にワカンを装着した。小さなピークを巻いたところで、胸上までの踏み抜きに遭ってしまい、胸上まで体が潜っても、足が底に着かず浮いている状態だったので、脱出にかなり手間取ってしまった。その後も、次の家ノ串山の山頂まで何度も踏み抜きに遭い、再びヨレヨレになりながら家ノ串山の山頂に辿り着いた。
振り返ると、沖武尊はかなり離れてきて、中ノ岳も山体が見渡せる程度に離れてきていた。今日はもう川場スキー場には下山しないので、登山届を提出し、シャトルバスも予約していた関係上、予定を変更したので川場スキー場には下山しない旨を川場スキー場へ電話で伝えた。家ノ串山の山頂は平坦で、スキーの跡が無数に付いていた。どうやらここはバックカントリースキーが盛んな場所のようだ。山頂がキャンプ適地だったのでここでキャンプしようかと一瞬迷ったが、明日は天気が下り坂になる予報だったので、今日のうちになるべく先へ進んでおくことにした。それに、川場剣ヶ峰の陰から見えてきた前武尊は近そうだったし、そちら方面へスキーのトレースもあったので、それを利用すれば時間も短縮できるのでは、と思った。
スキーはやらないし詳しくないのだが、スキーのトレースを辿ってみて、随分傾斜が急な場所でも降りられるんだな、と感心した。でも、どうやって 登ったんだろう?
スキーのトレースを辿ってみたら、踏み抜きはないし、雪の沈み込みも小さくて楽だった。スキーのトレースは川場剣ヶ峰を巻いていたので、それに沿って川場剣ヶ峰を巻いてしまった。地図では川場剣ヶ峰を尾根通しで歩くルートに危険マークが付いていて、遠くから見ても岩だらけで時間がかかりそうな山に見えたが、またの機会があれば挑戦してみたいなと思った。
前武尊は、それまでの沖武尊などの山より明らかに低く、前武尊と川場剣ヶ峰の鞍部からちょっと登っただけで着いてしまった。前武尊の山頂には人工物があり、山小屋かと思ったが、近付いてみたら、小さな屋根の下に銅像(地蔵?)が安置されていた。久しぶりの人工物だったので、写真を撮った。
そろそろ夕刻になってきたので、キャンプ地を選定しなければならない。幸い、前武尊山頂から不動岳方面へ10m程下った辺りにちょっとした平らな場所を見つけ、そこにテントを張ることにした。夕焼けを眺めていたかったが、やる事が多いので仕方がない。テントを設営してマットを膨らませた後は、途中で夕食を摂りながら、ひたすら水作りに精を出した(鍋が小さく1回で作れる水の量が600cc程度なので、水作りを何度も繰り返した)。前武尊から下山するルートは、スキー場へ下りるルート1本と、不動岳を経由するルート2本の、合計3本のルートがある。このうち、不動岳を経由して川場温泉へ下るルートは、川場温泉からのバスの本数が少ないので却下し、スキー場経由か不動岳経由で国道120号に至る2本のルートを検討した。スキー場を経由するルートは所要時間が短い。不動岳を経由するルートは、途中が破線ルートで危険マークが付いている。ただ、冬山のルートガイドでは、岩と氷のミックスルートをアイゼンで通過する場面が良く出てくるので、アイゼンでの岩場通過を体験してみたい気もする。結局、明日の天気が悪ければスキー場経由でさっさと下山し、天気がさほど悪くなければ不動ルートに挑戦してみる事にした。
(2日目)
朝起きて空を見ると、天気はさほど悪くない。朝食を済ませ撤収を終えても、天気に変化がないので、それならば、とアイゼンの上にワカンを装着し、不動岳方面へ下り始めた。不動岳方面へはトレースはなかったが、尾根通しだし、それほど雪も深くなかったので、順調に進めた。鞍部から先を見ると岩峰が幾つか連なっているのが見える。手始めに一番手前の岩峰に取り付き、雪が付いている急傾斜をキックステップで登り始めた。
山頂付近で踏み抜きに遭ったが、何とか頂上に辿り着き、眺望を写真に撮った。次の岩峰は頂上にあまり雪が付いていないように見えたので、ここでワカンを外し、アイゼン+ピッケルに切り替えてみた。しかし、岩と氷のミックスならアイゼン+ピッケルが有効なのかも知れないが、岩+軟らかい深雪では、ピッケルが雪に抵抗なく刺さるので支点にならず、ワカンがないため踏み抜きに遭い易くなるので、アイゼン+ピッケルは有効ではないようだ。深雪の斜面をたまに踏み抜きに遭いながらトラバースし、次の岩峰に何とか到達した。次の岩峰の頂上には石碑があり、写真に撮った。
ガスがかかってきて、次の岩峰は見えなかったが、次の岩峰との鞍部へ向けて急傾斜を下った。鞍部まで下ると、次の岩峰が急に姿を現したが、岩が露出した垂直の壁で、鎖も見当たらないし、とても登れそうな気がしない。しばらく岩峰を目の前にして呆然としていたが、ふと気が付くと、小動物の足跡が、鞍部から岩峰を左に巻きながら登っている。このルートしかないなと判断し、取り付いてみた。
しかし、アイゼンを履いているとやはり登りにくい。左足は岩肌に前爪を掛けられる足掛かりを見つけられたが、右足の足掛かりがどうしても見つからない。岩を覆っている雪を手で払ったら鎖が出てきた。ここが鎖場である事はわかったが、鎖を使ってみてもアイゼンでは岩の上に上がれなかった。アイゼンを履いて岩場を通過するのは、想像以上に難しかった。
一旦鞍部まで戻ってアイゼンを外し、登山靴で再チャレンジ。濡れている鎖と冬用のグローブの組み合わせは滑り易く、ちょっと難儀したが、最初の鎖場は何とか通過できた。しかし、次の鎖場を見ると、岩場を垂直に下りるルートで、グローブが滑り易いので下りるのも不安だが、雪で次の鎖場までの足掛かりの有無が確認できないのがより大きな問題だった。雪を払うには両腕で岩からぶら下がって足で払うしかなく、かなりリスクが高いように感じた。岩に着いた足掛かりを確認できなければ、進む気にはならない。悩んだ末、ここは無理せず引き返す事にした。
最初の鎖場を下りて鞍部まで戻ったが、これからどうしよう。前武尊まで戻る気にはならなかったので、登山道はないが沢筋に沿って下山することにした。沢筋を下山すると道迷いし易いのは知っていたし、冬の沢筋は雪崩のリスクもあるので、これまで、登山道の無い沢筋を下りた経験は無かった。ただ今回は、地形図で、目の前の沢筋を下りて行くと、いずれ目的の登山道と交差する事が確認できたので、常に耳を澄ませて雪崩に注意することと、GPSで頻繁に現在位置を確認することを心掛けて、沢筋を下りてみた。いざ沢筋を歩いてみると、下り一辺倒だし、雪の深さにもあまり変化がなくて快適に歩けた。至るところに小規模な雪崩の跡があったが、沢筋を歩いている間は幸いなことに雪崩が起きる気配は無かった。
目的の登山道へ川岸を上がるところでは、雪の壁に阻まれてちょっと苦労したが、何とか這い上がった。登山道にもトレースは無かったが、後は沢に沿って行けば除雪された舗装路に出られるので、あまり悩まずに進めた。舗装路に出てからは更に単調な歩きとなったが、途中にあった唯一のコンビニで大休止をとって、何とか歩き通した。
今回は、当初の目的だったピッケルの経験を積むという面では物足りなかったが、山にどっぷりと浸かるという点では満足できたので、良い山行だったのではないかと思う。
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