笠取山ピストンのハズがついつい周回。唐松尾山にガッカリも西御殿岩で大満足‼️
- GPS
- 05:45
- 距離
- 16.9km
- 登り
- 1,267m
- 下り
- 1,244m
コースタイム
- 山行
- 4:33
- 休憩
- 0:56
- 合計
- 5:29
天候 | 晴れ |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2021年10月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
|
写真
感想
かなり長い間ゆるキャンをやっていない。もうキャンプ場と言えば登山のテント場の事だと思ってしまうほどだ。そんな中、半年前まで月1でドュオキャンをやっていた高校時代の同級生が久々にしっかり誘ってくれた😃。彼は「車を横付けできる道志の森キャンプ場にせえへん?」と言ったが、僕が「道志はちょっと刺激が足りんなぁ…」と言い、前から二人で「行きたいがワイルドすぎるか?」とためらっていた一ノ瀬高原キャンプ場をリクエストする。友も観念して、予約を二人分入れてくれた。ここは、2時からのチェックインとかなり遅いので2倍料金がかかるが、アーリーチェックイン&レイトアウト(9時インの翌日夕方5時アウト)のオプションを付けた。
自分の道迷いのせいだが、先ずは道がワイルドだった。当日、2時間くらいで着くという想定のもと7時に自宅を出る。登山と違ってかなり遅いスタート。ところが、いつも絶対に渋滞しない圏央道が八王子の手前から混んどる😨。中央道から渋滞が続いている模様。天気は確かにいいがどないなっとんねん?と思うも、すぐに「コロナ終息フィーバーか…」と思い至る。
なんとか渋滞に耐え、中央道の勝沼インターで高速を降りた。中央道はこの先からなぜか事故が多発しているようで、小淵沢インターなどの登山メジャーインターにはここからも相当時間がかかっている模様。ただ、登山者の朝は早いので影響なしか。高速を降りてしばらくすると、大菩薩ラインという走り屋道に突入する。入ってすぐ派手な原色の国産スポーツカーが2台不自然に路肩に止まっていた。さらにしばらく行くと、また同じようなスポーツカーが2、3台止まっている。「なんやこれ?」さらにしばらく行ってトンネルの入口に差し掛かった時だった。やはり仲間内だったようで、スポーツカーが5、6台すごい勢いで迫ってくる。慌ててハザードを出して脇によけた。こっちは不安定な薪を積んだジムニー。ミッションだが勝てるわけもない。すると、最後尾の車が一旦止まって、手を振ってありがとうみたいな感じの合図をくれる。「楽しそうやなぁ」
無意味だが、僕もギアをガチャガチャ変えまくりながら出来るだけ付いて行く。すると、一般の先行車のせいでスポーツカー達がスタックしている所にすぐ追い付いた。その後も前がはけると急な下り坂をスピードにのり走り降りる。そんな事を全集中でやっていると、案の定一ノ瀬高原キャンプへの左折を見逃し、逆に「一ノ瀬高原キャンプ場方面通行止」と看板が出ている所まで来てしまった。ここが一ノ瀬林道からのメインの入口で普段は左折するのだが、近年崩落のためずっと通行止めのようだ。しばらく自分が来た道とこれから行くべき方向感が一致せず、そのまま直進するも、ナビの到着時刻が1時間延びたのでやっと間違いに気付く。適当な場所がなかなか見つからず、かなり行ってからやっとUターン。元来た林道を相当戻って、すごい分かりにくい「一ノ瀬高原キャンプ場」の看板を見つけ右折する。中央道からではなく、青梅街道を奥多摩の方から来ると、先ずは通行止をやり過ごし、次に看板が出てきたところを右折する流れ。
事前にキャンプ場の人から、一ノ瀬林道に入ってから犬切り峠(右に曲がる)に行くルートは道が厳しいので、そのまままっすぐ幹線道路を行って大回りした方がいいですよ、と言われていた。その意識が強すぎて、411号線を右折した後の最初の分岐で明らかに「一ノ瀬キャンプ場」の看板が目に入ったが、「ここを真っ直ぐやな😃」と右折をせずに直進する。すると、「これほんまに幹線道路か⁉️」と思わず口に出してしまうほどのワイルドな道に。戸沢林道の上を行く凸凹道。当然Uターンできる場所もなく、もし前から車が来るとかなりの緊張を強いられる。その後もジムニーのおかげでなんとかワイルド林道を行くも一向に道が改善しない。やっぱりさっきのところ右折やったんかな…でも、ここから戻るのもかなり大変だよな…と、まさに遭難する登山者と同じ思考回路に陥ってくる。
すると、別荘街というか、アウトドア小屋がポツポツあるところにやって来た。幸いデカイバイクの横に人が立っているのが目に入った。窓を開け、「一ノ瀬高原キャンプ場ってこっちであってますか?」とたまらず質問。「いや、この先は行き止まりですよ」なるほど…、やはりか。「キャンプ場の人に分岐を真っ直ぐ行けと言われてここに来てしまいました」というと、「多分それは標識の所を右折した後の話ですね」と、すごく親切に道案内してもらい、ここは、少しスペースがあったのでUターンさせてもらった。「しかし、ここまでめちゃくちゃワイルドな道でした?」と言うと、「そうですよね。でも、ジムニーなら大丈夫☺」とお墨付きをいただく。
ここから、なんとか元の分岐まで、時折くる対向車をかわしながら戻り、左折で一ノ瀬林道に復帰する。すると、天国のような舗装された道が続いていた。「絶対これやん😅」と後は快適なドライブで、「みはらし」と書かれた民宿までやってきた。ここは、確か登山口の駐車場として利用できると山と高原地図に載ってたな、とおばあちゃんが表にいたので車を止めて、質問する。「登山口はどの辺りですか?」すると、目の前のカーブを指差し、「あのカーブの先だよ」と教えてもらい一安心。明日の朝、ヘッデンスタートでその登山口から笠取山まで友達が寝ている間にプチピストンするつもりだった。
ここまで来ると、一ノ瀬高原キャンプ場はもう目と鼻の先。そのまま道なりに行き、一ノ瀬キャンプ場の看板を右折し敷地内に入る。細い坂道を登り、道を挟んで左右にある駐車場の右側に車を止めた。時間は11時半を少し回った頃だった。そこから坂を歩いて下り受付棟に向かう。2分くらいで高原荘と書かれた古い建物に到着。昔のアパートのような引戸を開けた。ビニールシートで仕切られた入口に「ご用の方は押してください」とブザーがある。押すと、管理人の方がすぐに出てきた。前もって色々細かい質問を電話でした時に、「色々心配せずに、先ずは来て自分の目で確かめなさい」と怒られてしまったのだが、多分その女性だ。名前を言うと向こうもこちらを覚えていてくれていた。免疫が出来ていたので、出来るだけ相手の話を遮らずに聞きに徹し、必要最小限を簡潔に質問した。友達はまだ来ていないようだ。前もってここに張ろうと言われていたサワグルミサイトを物色しに行く。沢沿いの心地のいいサイトだが駐車場からかなり下ったところにあり、急な木階段を降りていく。ここは、駐車場にカートが置かれていて自由に使えるのだが、辛うじてスロープのようになっている場所は一ヶ所しかなく、サワグルミテント場に行くにはかなり大回りになる。かつ、サイトまで降りても、木の根っこや岩が至る所にあり重い荷物を載せてカートを使うのは至難の技だ。このサワグルミサイトの奥に繋がるしらかばサイトも一旦受付棟まで登り返し見に行ったが、かなり混雑しているのと、沢が見えないのであまりそそられない。
一旦駐車場に戻ると丁度同級生が到着した。ずっと青梅街道を東京から来たそうだが、こちらは意外に渋滞はなかったとのこと。ただ、帰りにGoogle先生の指示で通ったがかなり時間はかかる。二人でもう一度、サワグルミサイトを見てやはり駐車場からの下りがキツイということで、第三テント場を見に行き、かなり広大なフラットな草原に一度は荷物を置いて場所取りをしたものの、あまりに駐車場から遠いので、やはりサワグルミに戻る。昨日からやっている人たちがちょうど撤収をしているタイミングで最高の場所が空きそうだ。声をかけて断りをいれてから、近くに座ってビールを飲みながら待たせてもらう。気を使ってもらい、早めに荷物をどけて空きスペースを作ってくれたので、荷物を移す。
今回は久々にPOMOLYのフォールディング薪ストーブ最軽量のTimber stoveを持ってきた。テントは同じくPOMOLYのコットンワンポールテント。こいつはむちゃんこ重い。DDのBergen リュックサックにモールシステムでザックの底面にくくりつけてきた。モンベルのアルパインパックに比べてどうしようもなく担ぎ心地が悪いが、キャンプには便利なサイドバッグとアクションバッグがメインコンパートメント以外にあってそこは便利。しかし、腰ベルトが本当に無意味な位置に付いていたり、ショルダーストラップ、ショルダースタビライザーがなかったりと、これから買おうといている方には決してお勧めしない。
まずはコットンワンポールテントを地面にきれいに広げ、六角形の3、4ヶ所を仮止めし、中に潜り込みポールをポール受けに差し込む。それから6ヶ所全てを完全にペグ止めし、4ヶ所に付いている張り綱もペグダウン。ここまではステラリッジと同様にペグダウン多いなぁくらい。問題はtimber stoveの組み立てで、特に煙突の巻き直しがかなりのコツを要する。3メートル×24センチのチタンの鉄板を収納時は短辺方向に巻いているが、これをリングを外さないように気を付けながら、うまく長辺方向に巻き変える。神経をすり減らしながらなんとか巻き変え、直径6センチの筒状になった煙突の片方の穴にダンパーの部品をはめ込む。その後で煙突ごと、ダンパーホールに3ヶ所あるネジ穴を合わせ、チタン製手回しネジで止めていく。最後に煙突の先端に取り付けたスパークアレスターに予め繋げた3本の張り綱を3方向にペグダウン。とにかく面倒くさいが、薪ストーブは本当に暖かく、かつ、内部で薪を燃やすので灰と煙りを一切気にしなくていいのがメリット。料理も薪ストーブの天板に乗せるだけだ。側面が耐火ガラスになっていてゆらゆらとした薪の炎をヘリノックスコットに寝そべって眺めることもできる。正直1泊ではもったいないが、冬キャンプの必需品と思っている。
やっと設営が終わり、薪ストーブにデカイ薪を無造作に突っ込む。着火材と一緒に放り込んでおけば、勝手にしっかり火がつく。火吹き棒やうちわが要らないのも薪ストーブのいいところ。友達が、焼き鳥を始め「いるか?」と持ってきてくれる。僕もホワイトマッシュルームの石づきをとり、アヒージョの素と共にロッジのスキレットに放り込む。薪ストーブの天板に置いて軽く炒め、オリーブオイルを入れ蓋をする。どうも、オリーブオイルが多かったのか、なんかtoo oilyで水気も多くてまずい。かなり煮詰めな食えたもんじゃないな😅 ちょっとこれは人に食わせるような代物ではないので、もらってばっかりになるいつものパターン。友達はかなり几帳面で料理もうまいが、どうも僕は適当でシンプルに肉を焼くのが一番ましな味になる。今回もザブトンを500グラム持ってきてひたすら焼いていた。
一番好きな黄昏時が来る少し前に、久々にフュアハンドのハリケーンランタンに火をつける。いつも灯油だが、最近あまり使わないのでより安全なパラフィンオイルを使う。このフュアハンド、僕が買ったときは2000円台だったが、キャンプブームで8000円台に突入したこともあったらしい。少し暗くなって来た辺りで、夕食のすき焼きを作りにワンポールテントに戻る。妻に適当に取り分けてもらったすき焼き野菜セットを適当に処理していく。大昔に買ったったスノ−ピークのクッカーセットの深なべにオリーブオイルをしいて薪ストーブの天板にのせ、ザブトンを炒める。それから処理した野菜を適当に入れて、行きに買った割下を入れて、ほったらかす。コットに座って薪ストーブの窓から揺らめく炎を眺めていると、友達が「食うか?」とメスティンで炊いたご飯をシェラカップに入れて持って来てくれた。丁度すき焼きもええ感じになってきたので、友達のぱちグリルの前に置いたロゴスの焚き火ローチェアに移動。毎回同じような話をしながら夜が更けていく。少し寒いが、焚き火に直に当たりながら、焚き火とハリケーンランタンの灯りに癒される。明日は友達が寝ている間を利用してサクッと笠取山をピストンすることにしている。登山者基準ではかなり夜更けの午後9時に「じゃあぼちぼち寝るわ」と友達に言うと、「俺はもうちょっとやってるわ」と当然のキャンパーアンサー。自分のワンポールテントに戻ると、締め切っていたのでTシャツで寝れるほどの暖かさになっていた。
翌朝、ガーミンの振動で4時15分に起きた。一ノ瀬キャンプ場はDOCOMOはしっかり電波が入り、ちゃんとガーミンのアラームをセットできた。(友達のAUは全く電波が入らなかったらしい。) 薪ストーブは燃え尽きて消えてはいたが、テント内の冷え込みは大したことはない。結局イスカのニルギリのチャックを少し開けたままでも寝ることができた。沢のすぐ近くで音がかなりうるさく、あまりしっかりとは寝れなかったが。いつも登山では耳栓をするが、薪ストーブ使用中は一酸化炭素中毒警報器をつけているので耳栓は怖くてできなかった。
行きに買ったあんパンを食べながら、岩谷のジュニアバーナーを用意する。こいつは本当に優秀で、カチカチすると一発で火がつく。コールマンのケトルに水を入れ湯を沸かし甘いインスタントカフェラテを飲んだ。どうも体が重いが、ワンポールテントから出て駐車場に向かう。車には登山用のキトラパックを助手席に用意していたので、ハイドレーションなどの準備をする。今回は、前回の反省からハイドレーションには1リットルだけ入れ、ソフトボトルに残りの500mlを分けて入れる。
いつもの如くもたもたしたせいで、結局駐車場を出るときには5時半になっていた。ヘッデンをつけて、YAMAPを見ながら行きに「みはらし」のおばあちゃんに確認した登山口へと向かう。道路に出るともう日の出が始まりつつある。将監登山口に到着し、ロープをくぐって登山道に入った。しかしYAMAPのルートをよく見るとなんか違う。このまま行くと唐松尾山に繋がる登山道になっていまい、笠取山に着かない。おかしいなと思い、一旦登山口のロープをくぐり直して道路に出た。どうやら思っていたルートに乗るにはこの舗装道路を作場平の方に歩かないといけないようだ。もうヘッデンがいらないくらい明るくなってきた。ひたすら林道を1.5キロほど歩くとかなり地味な中島川橋登山道の入口に到着した。途中に車が止められるスペースがあったので、一ノ瀬キャンプ場から行く場合は車でそこまで行った方がかなり時間の節約になる。
中島川橋登山口には熊の目撃注意看板が建っていて、少し恐怖しながら坂をあがって行く。ハーネスポケットにはペッパーマンを忍ばせている。途中草むらがガサゴソいった時は恐怖しながらダッシュしたが、あれは熊だったのか猿だったのか…。その後も特段危険個所もなく歩きやすい登山道だが、やはり2000mに迫るだけあって、足もとは霜だらけ。まずは多摩川の源流の水干(みずひ)を目指して行く。あまり数はないが要所要所で道標が出てきて、それにはすべてに水干の案内がある。水干に近づくにつれて水の音が大きくなり、途中に山と高原地図に水のマークはないにも関わらず、すごいきれいな水が登山道にまで流れ来る沢を通過する。富士山も所々から最高にきれいに見え始めた。最後の水干まで0.3kmの道標で笠取山と道が分かれる。まあ、ここまで来たからと多少時間のロスになるが、水干の方向に坂を下って行く。ほどなくして水干のまさにその場所に来るも、フィールドメモにもあったように水が全くない。ルンゼを少し登ってみるも水気のかけらもなく、水干の説明を読むだけになった。しかもその説明にも、「すぐ上の稜線付近に降った雨は、いったん土の中にしみ込み、ここから60メートルほど下で、湧き水として顔を出し」とある。いまいちなんの感動も得られないまま、もと来た道を引き返し笠取山を目指す。
ここまではかなり緩やかな傾斜の登山道だったが、この最後の水干への分岐を笠取山方面に行く道からかなり急な登りになる。この短い急登を登り切ると、かなり見晴らしのいい小トップに着く。前方に富士山が丹沢から見るのと同じようにきれいに見え、雪化粧した甲斐駒や仙丈ケ岳などの南アルプスもすっきり望むことができた。ここで、至る所にピンクテープがあり一瞬迷う。いったん小トップを降りてしまうもここから降りるはずがないので、もとに登り返し、小トップの右手の奥に登山道が続いているのを発見する。
ここからも勾配はないもののやせ尾根が続き、あれっというほど寂しい笠取山の頂上に到着した。しっかりした山頂標識はあり、先ほどの小トップとほぼ同じような絶景が広がっている。写真を自撮りも含めて何枚か撮りゆっくりする。ちなみに、ここまで登山者には一人も会っていない。「やはり日曜日といえどマイナーな山の登山というのはひっそりしたもんやな。」と思っていると、僕が来たのと反対の方から登山者がこちらに登ってくるのが視界に入った。初めての登山者との遭遇だ。登って来た方は同年代くらいの精悍なベテラン登山者の雰囲気を漂わせている。挨拶を交わし、ここで当初の予定通り引き返そうか、あるいはふつふつと沸いてくる登山者特有の欲に流され、唐松尾山まで縦走し、最初に間違って迷い込んだ将監登山口に降りようかを迷っていることをつい口にしてしまう。時間は8時前で、ここからピストンで帰れば9時半には一ノ瀬高原キャンプ場に戻れると見込んでいた。この精悍な登山者に、「唐松尾山まで行って戻った場合どれくらいかかると思います?」と「人による」としか答えようがない質問をぶつけてみる。コースタイムが4時間ちょっとだったので「3時間くらいですかね?」と言ってみると、彼もおそらく僕の雰囲気を推し量ったのか、「いや〜、そこまではかからないんじゃないですか?2時間くらいじゃないですか?」とおっしゃる。「友達を待たせているので急いでいるんですよね〜」と、どっちやねん!?という受け答えをしても、「せっかく天気もいいし、行った方がいいですよ。友達は待たしとけばいいんですよ」という言葉にノックアウト。そうだよな。まあ急げば10時半くらいには戻れるだろうと唐松尾山行きを決断する。さらに彼曰く、「唐松尾山の先の岩山が絶景なんですよ!」それなんか山と高原地図にも出てたな。。彼には、「ここから先に行くと笠取山のもう一つのピークがあり、そっちの方が人が多いですよ」と教えられるが、景色はさほど変わらないらしいのと、できるだけ早く一ノ瀬高原キャンプ場に戻りたかったので、割愛することにして先を急ぐ。
小トップに戻り、またもや入り乱れるピンクテープに少し迷うも小さい「笠取山」看板の方から水干への分岐まで元来た道を戻る。分岐で唐松尾山の方向に歩いていくと、先ほど山頂でお話した精悍な登山者が僕の先を行っている。こっちが先に出たのにどうなってるんやと思ったが、小トップから僕は分岐に降りたが、そこから直接唐松尾山までの稜線にでる登山道もあったのだろう。確かにそっちにピンクテープがついていた。とにかく普通の道は小走りで急ぐ。この辺りでは数人の登山者がいて、次々抜き去り、先ほどの精悍登山者のすぐ後ろに来た。ただ、彼はさすがに早足で登りでは一切追いつかない。それでどころか少し離されてしまう。ただ、こちらはなにせ急いでいるので平地と下りでは小走りなので、結局迫りくる僕の熊鈴の音色がうっとうしかったのか、彼は立ち止まり何かを探している素振りで僕を先に行かせてくれる。そこからは何回かアップダウンを繰り返し、それなりに体力を消耗する稜線歩き。(標高差200m)また、それなりの岩峰を登っては降りてを繰り返す。もう唐松尾山までそろそろかなと思う辺りで、少し先に新たな登山者がいるのがぎりぎり視界に入った。そしてほどなく唐松尾山の山頂のすぐ手前に将監峠への道標が建っているところに来た。山頂の様にも見えるも唐松尾山の山頂標識はない。それでそこをスルーしほんの数メートル歩くと、そこが、かなり寂しく眺望もまるでない残念な唐松尾山の山頂だった。すると前方のロープが張られた尾根の方からあの精悍登山者が現れた。お互い「あれ?」という感じで、「いつ抜いたのかな?」と聞かれたので、「なんかすごい岩峰を登らされ、すぐに急激な下りを行きましたが…」というと、「あ〜、そこは巻道がありましたよ」とおっしゃる。なるほど、そこで抜かれた/抜いたのねとお互い納得する。彼は尾根を継続して進み例の岩山の道を探していたが、前方にはなかったらしい。地図を見ると確かに唐松尾山を越えていくように見えてしまうのだが、よーく見ると尾根から45度ほど登山道は右に折れている。二人でしばしかなり浅い踏み跡を探っていたが、どう考えても違うので、いったん山頂からもと来た道を戻る。すると、コロッと忘れていたが、将監峠への道標があるところに来て、7,8年前にも来たことがある彼が思い出し、「あ!こっちです」とその道標を下り始めたので、ついていく。この頃も少し時間は気にしていたが、もう登山に夢中になっていて時間がさらに30分ほどかかってしまうがその絶景岩山「西御殿岩」に向かうことになっていた。
しばらくそれなりの登山道を下っていくと、ちょうど西御殿岩に続くすごくわかりにくい分岐で、西御殿岩から戻って来た年配の登山者と遭遇した。かなりテープが微妙で、一人だったら100%気付かなかったと思う。精悍登山者が念のため僕に「分岐です」と声を掛けてくれる。ここからは登山道とはいうものの、かなり踏み跡も浅く、道も険しくなり、あまり登山者が来ない山なことを物語っていた。精悍登山者に少し差を開けられつつ進んで行く。そして、最後のなかなかにとっかかりのない一枚岩の様なところを手を使って登り切ると、その上に別の登山者が立っていた。「ここが山頂ですか?」と聞くと、「そのすぐ先が山頂です。」と答えてくれる。そのまま少し進むと、例の精悍登山者が岩に座ってランチを楽しんでいた。岩峰には、北アルプスチックな「西御殿岩」と書かれた立派な木看板が立て掛けられていた。その正に岩峰の一番高い場所に立ってみる。「これはすごい。。。」360度遮るもののない大絶景。「これは穴場やな。。。。イカン、普通に登山を楽しんでもうてる。。」とつぶやくと、精悍登山者が軽く吹き出した。
正気に戻り、友達を待たしていることを思い出した。すると、精悍登山者が「ここまでのペースだったら、キャンプ場まで1時間くらいで着きますよ。」と見立てを教えてくれる。この時9時45分くらいだったので「10時45分かぁ。。微妙だな。友達はいつも片付けをちゃっちゃとやりたがるから、もうそのころには撤収全部終わってそうだな。。」自分はいつもグズグズするのとは対照的だった。そうはいっても、レイトアウトの料金を払っているし、さすがに昼飯を食っていくくらいの時間軸で12時くらいまでいてくれるかもと先を急ぐ。来た道を戻るだけなのだが、やはり道が不明瞭なのもあってすこし危ないなと感じながら下っていく。すると、「こんな所通ったっけ?」という少し危険な場所を通り過ぎた。そこからしばらく行った辺りで不安になりYAMAPを見ると案の定将監峠への分岐を通り過ぎていた。。。また危険な道を引き返し、極めて分かりにくい分岐を何とか再発見する。
分岐を右に曲がると、すぐに精悍登山者がランチを終えてこちらに向かってくるのが目に入った。「どんなけオレ時間ロスしとんねん。。」と自分に呆れる。彼がさらに近づいてきた所で、「いや~、また迷っちゃいました。。唐松尾山に戻るところでした」と先を譲ろうとすると、「いえいえ、まだ先が長いんで、大丈夫ですよ」としばらく二人で会話を楽しみながら行くことに。言葉のイントネーションが僕と似ていたので、「出身は関西ですか?」と聞くと、「はい、昔は関西にいました」とおっしゃる。「僕も大阪です」というと、あまりに僕の関西弁が強かったのか、「まさか今日大阪から来たわけじゃないですよね?」と聞かれたので、「いや大学卒業後すぐに職場が東京なので、こっちに来ました。今は神奈川に住んでます」と答える。「お住まいはどちらですか?」というと、「山梨です」とおっしゃるので、関西弁の人が山梨に住んでいることに少し驚き話を聞くと、会社がリモートワークOKになったので、東京から山梨に引っ越したとのこと。「おー!今はやりのやつじゃないですか!!」と言うと、「いや、コロナの始まる1年前に引っ越したんですよ。小池知事がワークライフバランスについてやいやい言い始めた時期です。今は週一で東京のオフィスに行けばいいことになっています」とおっしゃる。「やっぱり、山梨とか長野に住んでると登山には最高ですよね!」と言うと、「はい、本当は長野に住みたかったんですが、週一の通勤が必要なので近さを取りました」僕は仕事柄リモートワークできないが、もし可能なら確かにありだよな。。と思わせる決断に、どんどんこういう人が増えそうな社会の流れが不可逆になりつつあることを感じ取った。
会話を楽しみながら進んで行くとあっという間に黒えんじゅ/笠取山と将監峠/雲取山と書かれた分岐点に到達する。どちらに行っても帰れそうにない道標に混乱するも、彼に将監峠の方に行けば、またすぐにキャンプ場の方への分岐がありますよと教えていただく。「黒えんじゅの方に行ったら笠取山に戻っちゃいますよ(笑)」彼とはここでお別れ。今日は10時間の行程で最後は作場平に戻るらしい。
ここからの道はかなりなだらかで、岩もなく走りやすい道。何とか11時前にキャンプ場に戻れるように小走りを継続。すると、牛王院下あたりで携帯が鳴った。友達からだと思い慌てて出ると案の定。AUは繋がらないので、会社の携帯からかけてきたらしい。「大丈夫か?いつ帰ってくるんかなと思って。遭難でもしてるんじゃないかと。。」と心配してくれていた模様。また、予想通り、手持ち無沙汰でもう撤収作業を終えてしまったとのこと。「すまん!!成り行き上、山をハシゴすることになってもうてん。あと2,30分もすれば着くけど、でも、自分の都合に合わせて帰ってもらっていいよ」と極めて自分勝手な返答をしてしまい、大変申し訳なく思う。「そうか、無事ならええねん。じゃあ、俺もう帰るわ」と言うので、その時まだ11時にもなってなかったので、「全然レイトアウト使ってないやん。。」と言うと、「せやな。。でも結構仕事が気になってさ、早めに帰ってやろうかなと。。」と言う。「オッケー、わかった。帰り気をつけてな。またどっかおもろいとこ見つけて行こう!」と言って電話を切った。
もう友達は帰るものの、引き続き、登山道から砂利の林道に変わってからも小走りを継続し、予想通り11時くらいに将監登山口に戻って来た。ロープをくぐって、道路に出ると、正にぴったりのタイミングで友達が道路を車で通りかかり、「おう!絶妙のタイミングやな!!じゃあオレ帰るわ!」と声を掛けられてびっくり。「ホンマ、すまん今日は!!」と何とか最後に会って謝るとことができた。ここからキャンプ場まではさすがに歩き、誰もいなくなったテントサイトに戻って来た。この時間はレイトアウトの人以外は撤収が終わっているので、かなりひっそりしている。登山は大満足なものの、一抹の寂しさも感じながら、昼飯の準備に取り掛かった。。
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