ガスでがす/三ノ塔尾根-塔ノ岳-大倉
- GPS
- 07:13
- 距離
- 17.7km
- 登り
- 1,588m
- 下り
- 1,590m
コースタイム
- 山行
- 6:00
- 休憩
- 1:14
- 合計
- 7:14
※GPS立ち上がり不調で牛首手前までルート手入力
天候 | 曇り・霧雨 |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2023年11月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
電車 バス
|
コース状況/ 危険箇所等 |
三ノ塔尾根も整備はそこそこ。濃いガスと前夜の雨で岩や木の根が濡れて滑りやすかった |
その他周辺情報 | ・木ノ又小屋のトイレは土足厳禁で、中は大変きれいに管理されています ・少し前から弘法の里湯は券売機を廃止して有人窓口に一本化されています |
写真
装備
個人装備 |
コンパス
水筒
食料
レインウェア
傘
着替え
防寒着
ヘッドランプ
ストック
保険証
ティッシュ
タオル
計画書
時計
携帯電話
カメラ
筆記具
緊急保温シート
ガイド地図
ツェルト
応急医薬品
GPS
予備電池
非常食
|
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感想
朝、渋沢駅から望む表尾根はどっぷり重たい灰色の雲の中だった。
前夜、低気圧が去って西高東低の冬型気圧配置となるので、関東はいずこも晴れると踏んだのだが、「神奈川県西部には雨雲が残る」という前夜のNHK天気予報が図星。プロに逆らっても勝ち目はなく、まさに「希望的観測」だった。
来てしまった以上は仕方ないので(?)大倉でバスを降りると、意外や人影が多く、登山計画書提出のテーブルまで出されている。立ち会う警官に計画書を渡して風の吊り橋方向に向かうと、トイレの裏で「表丹沢」と書いた緑色のビブスの人の周りに30人くらいが集まっていた。こんな天気に何のイベントだろう(後で歩荷体験と知った)といぶかりながら、ビジターセンター前で支度を整えて出発。観光客らしい姿が2,3人見えたが、林道に入ると人影はなくなった。
思ったほど寒くはなく、薄暗い植林の中で羽織ったレインウェアを脱いで登山シャツ一枚になった。尾根通しの道を分け、標高500m辺りで樹間からチラリと下界が見えたが、ほどなく白い帳のような雲の中に入ってしまった。
標高600mを超え、間もなく牛首という所で一頭の鹿が林道を横切るのが見えた。熊でなければ問題ない。軽自動車1台が止めてある牛首で汗を拭い、登山道へ。しばらくは舗装されていない林道との交差が続くが、800mを超えた先からぐんと傾斜が増した。薄らぎかけていたガスが濃さを増し、幾筋かに分かれた踏み跡を適宜選びながら急坂を登る。
1000m付近でいったん緩んだ坂が再び斜度を増すと、やや古びた木段が現れる。天国ならぬ頂上につながる階段で、階段が尽きると三ノ塔は近い。ここまで出会ったのは下山のランナー1人だけだったが、階段の途中で傘を杖にした軽装の男性が下りてきた。地元の方で毎日表尾根一帯を歩くという。「今日はこの天気なので牛首から三ノ塔往復だけにしました」とのこと。丹沢が散歩代わりとは恐れ入りました。
行く手がやや明るくなって表尾根縦走路に合流。1人男性が休んでいたが、50mも歩けば山頂だ。見事にガスに覆われた三ノ塔山頂には、それでも十数人が休憩中だった。汗を拭ってから休憩所に入り、お握り一つを早弁する。汗で冷えた身には、人いきれでほんのり暖かいのがいい。
相変わらず真っ白な中を出発。たまに霧雨を感じるが、基本的には「雲」であり、びしょびしょ濡れる訳ではない。地蔵からの下りは濡れた足場に緊張したものの、整備が進んだので危険は感じなかった。ただし、烏尾山との最低鞍部は両側の浸食が激しく、いつか木橋が崩れるかもしれない。
烏尾山荘は扉が開いて営業中のようだったが、そのまま通過。小さなアップダウンを経て行者ヶ岳の登りにかかる。不慣れな若者たちを抜いて山頂に至ると、傘を開いてアマ無線を開局している男性がいた。この雨模様でも機材は大丈夫なのだろうか。
行者の鎖下りは、手前の短い方から渋滞していた。高齢の男性が登りで難渋していたらしい。長い方の鎖は慣れない人が時間をかけたための渋滞。「晴れたらもっと人が多くて大変だろうな」と誰かが呟いた。ここの下部は鎖が「複線」なので先回りさせていただいた。
政次郎ノ頭に至るガレ場はガスで下が見えない分、恐怖もない。さらにひと登りで書策小屋跡を経て、そのまま新大日への登りに取り付いた。新大日茶屋跡は少し前から更地になっていたが、説明を読むと解体にはボランティアがみんなで協力したらしい。丹沢に登り始めた2008年には、書策小屋跡も残骸が残っていた。塔ノ岳でも日の出山荘の跡が長く廃墟となっていた。営業をやめた山小屋の後始末というのは、なかなか大変なもののようだ。
ガスに細かい雨粒が混じる気がしたが、傘をさすほどではなく、そのまま木ノ又小屋を目指す。営業していなかったら傘を差して休憩するか、それとも塔ノ岳の尊仏山荘まで頑張るか悩んだが、窓から人影が見えて安堵した。「営業中」のアピールが弱いので、素通りしてしまう登山者も多いのではないか。
中は薪ストーブで温かかった。せっかくなので靴を脱いで上がり、カップ麺とお握りの弁当の後、小屋自慢のコーヒーを店名入りカップでいただいた。ストーブ周りの土間で休んでいた二人は、この天候の中、ビールを凍らせて持ってきて飲んだとかで、しきりと暖かさを喜んでいた。小屋番の女性との話で、今朝、大倉で見た団体は「歩荷体験」の参加者らしいことが分かった(後日、この歩荷体験イベントが、まさに新大日茶屋解体活動を機に結成された表丹沢登山活性化協議会の方たちによる「大倉尾根、歩荷してみ隊!」というイベントだったことを知った)。
ゆっくり休んで、出がけにトイレを借りようとしてその清潔さに驚いた。屋外にあるのに「土足厳禁」の中はカーペットとスリッパが用意され、家庭のトイレのようにきれいだ。2年余り前にできたはずだが、これだけ手入れされていると、皆さん一層きれいに使おうと心がけるだろう。もっとも、切迫して飛び込もうとすると登山靴を脱ぐのに焦りそうだが。
ここから塔ノ岳は20分ほど。最後の急坂を越えて山頂に至ったが、景色は三ノ塔と同じく深いガスの中だった。風もあまり吹いておらず、それほど寒くはないが、長居しても仕方がないのでさっさと下山に向かう。既に右膝の痛む気配があるので、予防にシップを貼った状態で木段を下りた。
花立の下で何やらポリタンクを歩荷中のチャンプ畠山氏とすれ違う。相変わらず短パンで元気いっぱいだ。そのすぐ先、花立山荘前で今朝見た「歩荷体験」の団体に出会った。荷揚げ体験はここで終了、解散となるらしい。ビブスの女性に「畠山さんもイベントに協力していたのですか」と尋ねたら、そうではなく通りかかっただけで、参加者はたまたま”本物”と遭遇することになったのだとのこと。
花立の階段下の岩が目立つ道をテンポよく下り、天神尾根分岐を経て長い木段、さらに堀山の家に続く岩場の道へと至る。気が付くと周囲が明るくなり、雲の下へ抜けたようだった。かすかに色づく木々を写真に収め、堀山の家前で小休止。少し下った尾根線からは、三ノ塔からの稜線も見え始めた。
駒止茶屋上で赤くなったモミジを発見。この下のモミジ回廊も少しは色づいたかと期待したが、まだほとんど緑一色だった。この異常高温の秋では仕方がないだろう。濡れた道でペースが抑え気味になった分、さほど脚に疲れはきていないので、若い人を抜きながら見晴茶屋に到着。今日初めてすっきりと遠くを見通せる景観を楽しんだ。相模湾の向こうの三浦半島と房総半島がはっきり分かる。
トイレを借りて出発。少し薄暗くなってきたように感じたが、時刻はまだ3時。克童窯からの舗装路を歩いて畑地に至ると、雲が薄くなった空はまだまだ明るかった。表尾根の稜線も今頃になって全容を見せ始めたようだ。先ほど見た気象協会の1時間予報は4時ごろだけ「時々晴れ」となっていた。天気予報は、やはりプロの見解に頼るにしくはないらしい。
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