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記録ID: 6354489
全員に公開
積雪期ピークハント/縦走
東海

【奥美濃】気になるピーク P1128m & 若丸山

2024年01月07日(日) [日帰り]
情報量の目安: S
都道府県 福井県 岐阜県
 - 拍手
GPS
--:--
距離
11.1km
登り
1,287m
下り
1,294m

コースタイム

日帰り
山行
10:00
休憩
0:00
合計
10:00
6:30
150
冠山トンネル南口付近の駐車スペース
9:00
110
10:50
150
気になるピーク P1128m
13:20
70
14:30
120
16:30
冠山トンネル南口付近の駐車スペース
天候 終日,雪(午後から風雪強まる)
過去天気図(気象庁) 2024年01月の天気図
アクセス
利用交通機関:
自家用車
国道417号線の冠山トンネル(昨年11月に新規開通)の南口にある駐車スペースに駐車。スペースはかなり広い。
コース状況/
危険箇所等
<積雪状況>
・ 取り付き時点でうっすら新雪が載っている程度だが,坊主尾根の主脈に乗り上げると旧雪がつながり,スノーシューを履いた。越美国境稜線は50cm〜80cm程度の積雪で,まだ灌木がだいぶ出ているが,ササの藪は埋まっており歩く分にはほとんど支障がない状態。新雪が30cmほど積もりつつあり,スノーシューでスネ程度の沈み込み。現在,激しく降雪中のため,今後,積雪は急増すると思われる。

<ルート状況>
・ 尾根への取り付きは,冠山トンネル南口の駐車スペースに面した斜面にロープが張ってあるので,そこから登っていくとスムーズに取り付ける。もう少し積雪が増えるとロープが埋まるかもしれないが,斜面自体はほどほどの傾斜なので,その場合は適当に斜面を登ればOK。
・ 今回登路とした坊主尾根(シタ谷左岸尾根),及び標高950m付近から分岐して冠山トンネル南口付近に落ちている支尾根のいずれにもピンクのマーキングが頻繁に付いている。尾根の分岐が微妙な箇所が2箇所ほどあるが,どちらも濃密にマーキングが付いているので覚えておけば帰路に間違うことはないと思う(【後日追記】その後の積雪でマーキングは埋まり始めている。マーキングに頼らず十分読図を)。少なくとも坊主尾根の途中までは藪も薄そうなので,積雪が少なくても登りやすいのではないかと思う。
・ 今回訪問したP1128mに続く尾根は,意外に尾根が狭い印象はあったが,特に危険個所はない。上部で雪庇が発達しつつあるので注意するくらいか。P1128mはあまり大きな木立がなくすっきりした印象で,眺めの良い好印象のピーク。ここだけ天然ヒノキやヒメコマツが生えているのも面白い。
・ 若丸山までの越美国境稜線は,現時点では特に注意すべき箇所はなかったが,今後積雪が増えると雪庇が発達し,特にP1206の手前付近がやや痩せた感じになる(通過自体はそれほど難しくない)。
冠山トンネル南口付近の駐車スペースに車を停め,すぐ脇にある擁壁の階段を登って尾根に取りつく。(下山時に気が付いたが,駐車スペースに面した斜面にロープが張ってあり,それを辿ればもっと容易に尾根に取りつける)
冠山トンネル南口付近の駐車スペースに車を停め,すぐ脇にある擁壁の階段を登って尾根に取りつく。(下山時に気が付いたが,駐車スペースに面した斜面にロープが張ってあり,それを辿ればもっと容易に尾根に取りつける)
取り付き時点では新雪がうっすら積もっている程度だが,藪はほとんどなく,問題なく登っていける。すぐにブナの森となる。
取り付き時点では新雪がうっすら積もっている程度だが,藪はほとんどなく,問題なく登っていける。すぐにブナの森となる。
ピンクテープを発見してびっくり。この支尾根も,もう登られている方がいるらしい。
ピンクテープを発見してびっくり。この支尾根も,もう登られている方がいるらしい。
雪が小やみなく舞う中,感じの良いブナの森を眺めつつ登る。
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雪が小やみなく舞う中,感じの良いブナの森を眺めつつ登る。
坊主尾根の主脈と合流する地点には,ピンクテープが二重に貼ってあった。吹雪で視界がない場合,地図読みが難しそうな箇所だと思っていたので,これなら帰路も安心だ。(【後日追記】その後の積雪でマーキングは埋まり始めている。マーキングに頼らず十分な読図を。)
坊主尾根の主脈と合流する地点には,ピンクテープが二重に貼ってあった。吹雪で視界がない場合,地図読みが難しそうな箇所だと思っていたので,これなら帰路も安心だ。(【後日追記】その後の積雪でマーキングは埋まり始めている。マーキングに頼らず十分な読図を。)
強まる降雪の中,坊主尾根を登っていく。沈み込みがスネを越えたため,スノーシューを履いたが,全く沈まないかと思えば急に膝まで落ち込んだり,なかなか難儀な雪質。
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強まる降雪の中,坊主尾根を登っていく。沈み込みがスネを越えたため,スノーシューを履いたが,全く沈まないかと思えば急に膝まで落ち込んだり,なかなか難儀な雪質。
越美国境稜線が近づいてきたが,吹雪で霞んでほとんど見えない。こんな大雪の日だから,当たり前か。
越美国境稜線が近づいてきたが,吹雪で霞んでほとんど見えない。こんな大雪の日だから,当たり前か。
しかし,越美国境稜線のP1262m(一説に冠ヶ峠)に立った瞬間,とつぜんガスが吹き飛び,まさかの青空が!(まあ,疑似好天というやつだろうけど…。)
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しかし,越美国境稜線のP1262m(一説に冠ヶ峠)に立った瞬間,とつぜんガスが吹き飛び,まさかの青空が!(まあ,疑似好天というやつだろうけど…。)
おお,冠山も見える!
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おお,冠山も見える!
厳冬期の冠山は,やっぱりかっこいい。
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厳冬期の冠山は,やっぱりかっこいい。
雪雲の下から,次第に現れわたる奥美濃の山々。
雪雲の下から,次第に現れわたる奥美濃の山々。
登ってきた坊主尾根。
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登ってきた坊主尾根。
これから進む越美国境稜線。まだ積雪が少なくて黒々しているが,歩く分には問題なさそうだ。
これから進む越美国境稜線。まだ積雪が少なくて黒々しているが,歩く分には問題なさそうだ。
若丸山の雄姿。時間(と視界)があったら寄りたいけど,どうかな。
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若丸山の雄姿。時間(と視界)があったら寄りたいけど,どうかな。
そして,目指すP1128mに続く尾根。
そして,目指すP1128mに続く尾根。
P1128mアップ。このピークを目指します。
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P1128mアップ。このピークを目指します。
それにしても,まさか晴れ間が出るなんて。今日は悪天が確約された一日なのに,本当にラッキーだ。
それにしても,まさか晴れ間が出るなんて。今日は悪天が確約された一日なのに,本当にラッキーだ。
とにかく,視界があるうちに急ぎましょう。
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とにかく,視界があるうちに急ぎましょう。
登ってきた坊主尾根を右手に眺めながら。
登ってきた坊主尾根を右手に眺めながら。
P1204は,大きなブナが多くて良いところ。
P1204は,大きなブナが多くて良いところ。
さて,P1204から南に分岐する尾根に入り,P1128mを目指す。このあたりは雪が増えたら雪庇が伸びそうだなぁ。
さて,P1204から南に分岐する尾根に入り,P1128mを目指す。このあたりは雪が増えたら雪庇が伸びそうだなぁ。
目指すP1128m
尾根を下るうち,周囲は再び雪雲に包まれ,横殴りの雪に視界がかすみ始める。雪庇が発達し始めた尾根を辿り続ける。
尾根を下るうち,周囲は再び雪雲に包まれ,横殴りの雪に視界がかすみ始める。雪庇が発達し始めた尾根を辿り続ける。
意外に尾根が狭い印象だけど,左右の傾斜はそれほどでもないし,特に問題はない。
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意外に尾根が狭い印象だけど,左右の傾斜はそれほどでもないし,特に問題はない。
しかしこの尾根,変な形のブナが多いな…。幹の途中でめっちゃ枝分かれしてる。
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しかしこの尾根,変な形のブナが多いな…。幹の途中でめっちゃ枝分かれしてる。
これも。雪庇が発達するのと,風当たりが強いのが原因だろうか?
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これも。雪庇が発達するのと,風当たりが強いのが原因だろうか?
この木なんて,竜のごとくグニャグニャですよ。辰年だけに?
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この木なんて,竜のごとくグニャグニャですよ。辰年だけに?
そのうち,シャクナゲが多くなる。もう少し雪が降れば完全に埋まるだろうが,無雪期はシャクナゲ地獄であろうことが容易に想像できる。
そのうち,シャクナゲが多くなる。もう少し雪が降れば完全に埋まるだろうが,無雪期はシャクナゲ地獄であろうことが容易に想像できる。
尾根の先端のP1128mに近づくにつれて,立派なヒノキが急に多くなる。シャクナゲもヒノキも,岩がちな痩せた尾根でよく見られる植生。やはり,P1128mは冠山や若丸山と同じく岩盤質な山のようだ。きっと岩質も冠山や若丸山と同じチャートではないだろうか。
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尾根の先端のP1128mに近づくにつれて,立派なヒノキが急に多くなる。シャクナゲもヒノキも,岩がちな痩せた尾根でよく見られる植生。やはり,P1128mは冠山や若丸山と同じく岩盤質な山のようだ。きっと岩質も冠山や若丸山と同じチャートではないだろうか。
と,P1128の手前でちょっと驚く発見。なんと,明らかに人為的な切り株がある! こんな尾根,入る人など誰もいないだろうと思っていたのに,まさか伐採が入っていたとは…。旧徳山村の住人の方々の行動力,おそるべし。(磯倉のクラでも険しい尾根にヒノキの切り株があったし,天然ヒノキは結構重宝された木材だったのかもしれない。)
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と,P1128の手前でちょっと驚く発見。なんと,明らかに人為的な切り株がある! こんな尾根,入る人など誰もいないだろうと思っていたのに,まさか伐採が入っていたとは…。旧徳山村の住人の方々の行動力,おそるべし。(磯倉のクラでも険しい尾根にヒノキの切り株があったし,天然ヒノキは結構重宝された木材だったのかもしれない。)
尾根の南側は岩が露出した断崖で,ヒノキがへばりつくように生えている。(冠山の南壁から続いている断崖と思われる)
尾根の南側は岩が露出した断崖で,ヒノキがへばりつくように生えている。(冠山の南壁から続いている断崖と思われる)
この旗のような奇妙な形の枯木を越えると…
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この旗のような奇妙な形の枯木を越えると…
なんか急にすっきりした,見晴らしの良い尾根に。しかも,また晴れてきた! 今日はタイミングよく晴れるな。ツイてる。
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なんか急にすっきりした,見晴らしの良い尾根に。しかも,また晴れてきた! 今日はタイミングよく晴れるな。ツイてる。
そして,P1128mに到着。小さなヒメコマツがぽつぽつと生えた,予想以上に見晴らしの良い山頂だ。これは良いピーク!
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そして,P1128mに到着。小さなヒメコマツがぽつぽつと生えた,予想以上に見晴らしの良い山頂だ。これは良いピーク!
ほぼ360°の展望。おおー,若丸山も良く見える。
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ほぼ360°の展望。おおー,若丸山も良く見える。
若丸山をバックに記念撮影
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若丸山をバックに記念撮影
残念ながら能郷白山は雲の中。
残念ながら能郷白山は雲の中。
ヒン谷に落ち込む尾根の先には,奥美濃の山々。
ヒン谷に落ち込む尾根の先には,奥美濃の山々。
あの形の良いピーク,なんだろう? と思っていたら,よく考えたら梨ヶ平だった。
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あの形の良いピーク,なんだろう? と思っていたら,よく考えたら梨ヶ平だった。
お,冠山も。ちらっと。
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お,冠山も。ちらっと。
雪が少ない今でさえ結構すっきりしているのだから,今後積雪が増えたら,もっと美しい山頂になるのではないだろうか。P1128m,なかなか心惹かれるお山でした。
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雪が少ない今でさえ結構すっきりしているのだから,今後積雪が増えたら,もっと美しい山頂になるのではないだろうか。P1128m,なかなか心惹かれるお山でした。
しかし,晴れ間は長続きせず,一気に吹雪の底に逆戻り…。長居は無用だな。戻りましょう。
しかし,晴れ間は長続きせず,一気に吹雪の底に逆戻り…。長居は無用だな。戻りましょう。
しかし意外にも割と視界はあるし,時間もあるので若丸山にもご挨拶しておきましょう。
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しかし意外にも割と視界はあるし,時間もあるので若丸山にもご挨拶しておきましょう。
P1206m手前の痩せた箇所の藪が出てたら嫌だなと思っていたが,既に十分雪があって問題なく通過。
P1206m手前の痩せた箇所の藪が出てたら嫌だなと思っていたが,既に十分雪があって問題なく通過。
若丸山の山頂手前より。
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若丸山の山頂手前より。
若丸山山頂に到着。といっても何も見えない。
これまでは厳冬期は遠い山だったこの山も,冠山や千回沢山などと同様,冠山峠道路の開通で,近い山になっていくんだろうなぁ。
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若丸山山頂に到着。といっても何も見えない。
これまでは厳冬期は遠い山だったこの山も,冠山や千回沢山などと同様,冠山峠道路の開通で,近い山になっていくんだろうなぁ。
しばらく待ってみたが,今度は幸運の女神は微笑まず,晴れ間は現れない。風雪が強まるばかりだ。おそらく,本格的に寒気が入り始めたのだろう。そそくさと下山を開始する。
しばらく待ってみたが,今度は幸運の女神は微笑まず,晴れ間は現れない。風雪が強まるばかりだ。おそらく,本格的に寒気が入り始めたのだろう。そそくさと下山を開始する。
しかし,国境稜線を引き返す途中で,奇跡的に晴れ間が。しかし,これが最後の晴れ間で,これ以降は完全に吹雪に閉ざされた世界に。
しかし,国境稜線を引き返す途中で,奇跡的に晴れ間が。しかし,これが最後の晴れ間で,これ以降は完全に吹雪に閉ざされた世界に。
吹雪にうなる坊主尾根のブナの森を下降していく。降雪が強すぎて行きのトレースは既に跡形もなく消えており,ちょっとびっくり。
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吹雪にうなる坊主尾根のブナの森を下降していく。降雪が強すぎて行きのトレースは既に跡形もなく消えており,ちょっとびっくり。
なんと,坊主尾根の途中にテントが。中からは賑やかな談笑の声が聞こえてくる。いいなぁ,泊まりの雪山か。ちょっと嬉しくなり声を掛けようかと思ったが,テントに雪が吹き込むと迷惑をかけるので,やめておいた。
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なんと,坊主尾根の途中にテントが。中からは賑やかな談笑の声が聞こえてくる。いいなぁ,泊まりの雪山か。ちょっと嬉しくなり声を掛けようかと思ったが,テントに雪が吹き込むと迷惑をかけるので,やめておいた。
往路ではほとんど積雪がなかった尾根の下部も,激しい降雪で真っ白になりつつあった。
往路ではほとんど積雪がなかった尾根の下部も,激しい降雪で真っ白になりつつあった。
国道に帰着。ひえー,まずは車を除雪しないと。
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国道に帰着。ひえー,まずは車を除雪しないと。

装備

備考 ・スノーシュー使用。
・アイゼン・ピッケルは現時点では不要(残雪期には持っていたほうがいい)。

感想

 今回の山行の主役は,あくまでP1128m。冠山と若丸山の間の,越美国境稜線からちょっと南に外れたところにあるピークである。若丸山は時間があったのでちょっと立ち寄っただけです。
 どうしてこのピークに登ったのかって? だってこのピーク,なんか気になりませんか? …え? 全然気にならない? 山名もなければ三角点も設置されてないようなピークに関心なんか持てない? そうですか,すみません。
 でもこのピーク,地形図で見ると,なかなか存在感がある。この界隈の越美国境稜線には北西ー南東方向に走るチャートの断崖が露出しており,冠山の南壁(冠壁)や若丸山に顕著であるが,このP1128mもそれに連なるピークであることは等高線の走り方から明らかで,まるで地質的な気まぐれにより「もう少しのところで冠山や若丸山になりそこなった山」という感がある。
 また,このピーク,越美国境稜線を縦走中に眺めると,けっこう目立つのである。特に若丸山のあたりから見ると,P1204mから南へすらりと伸びた尾根が,まるで岬のように見える。P1128mはその岬の突端の高台のようだ。旅先で岬を見かけると,何となくその先端まで行ってみたくなりませんか?
 ということで,P1128m。実際に訪れてみると,想像以上に良いピークでした。高い木立が少ないすっきりとした山頂で,小さなヒメコマツが庭木のようにちょこんと生えている。まさに岬の先に立った時のようなほぼ360°の展望。山々に取り囲まれた秘密の場所,という感じ。雪の少ない今でさえこんなにすっきりしているのだから,今後積雪が増えれば,もっと素敵な山頂になるだろう。ヒメコマツのほかにも,大きなヒノキも見られ,それまでのブナの森から一転,ここだけ植生が異なるのも面白い。
 この日は冬型気圧配置が強まり,上空に強烈な寒気が入りつつあるという悪天が約束された日で,稜線に立った時点で視界がなければさっさと逃げ帰る心づもりだったのだが,一日中吹雪かれつつも,ここぞというときに晴れ間が出るという幸運もあり,楽しく山行を終えることができた。
 いつもなら,もっと雪が積もればいいな,なんてことを最後に書き添えるのだが,被災地のことを考えるとそんなことはとても言えない。積もるとしても山だけにしてほしい。

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