道志第二主脈+石老山


- GPS
- 19:18
- 距離
- 46.5km
- 登り
- 3,631m
- 下り
- 3,915m
コースタイム
- 山行
- 9:24
- 休憩
- 1:31
- 合計
- 10:55
- 山行
- 6:46
- 休憩
- 1:30
- 合計
- 8:16
天候 | 晴 |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2024年01月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
電車 バス 自家用車
|
コース状況/ 危険箇所等 |
二十六夜山の西、645m標高点から先の標高780m、830m、860m付近の大岩 石砂山の直登 それ以外は危険箇所なし |
写真
感想
関東山地のうち、桂川/相模川と酒匂川で切り取られた部分を広義に丹沢と言うが、道志川以北は仲間に入れてもらえず、道志山塊と呼ばれることが多い。さらに細かい区分けとして、中央線からのアクセスが良い、高塚山から九鬼山にかけての秋山川-朝日川以北を、秋山山塊/前道志と呼ぶらしい。その南、菅野川-道志川以北の山塊も、秋山山塊に並んで東西に長く横たわっている。前者を道志第一主脈、後者を道志第二主脈と呼んでいる人がいたため、今回はその名称を採用した。
ところで、道志第二主脈の西端は、二十六夜山から西に伸びる尾根が終わるところで異論はなかろうが、東端はどこになるか。鳥井立までは何の疑いもないが、それ以降は阿夫利山の尾根、県境尾根、峰山の尾根、鉢岡山の尾根、石砂山南東の青野原に下りる尾根等、各方面へ尾根が下りている。特に網子川以東は、石老山を除いて600mにも満たない、平たいうねうねが平面的に広がっている。石老山は道志山塊と言うよりは、仏果山の並びに見える(地質的にもそう)。逆に言えば、どこまでかは分からないが、石老山まで歩きとおせばオーバーキルできるということである。標高が低いからと油断していたら真冬になってしまったが、ザックにテントと暖かいシュラフを詰め込んで西の端に向かった。
都留市に勤める知り合いから良い駐車場を教えてもらい駐車。まだ暗い街の中を巨大なザックを担いで颯爽と歩く。トンネルで都留アルプスを越え、登山口となる神社へ。日の出約20分前、なんとか人の時間が始まる前に人の世界を抜けることができた。
階段を上がってお参りをし、本殿裏から取り付こうとするが、獣害防止のためか、並んだ柵に行く手を阻まれる。僅かに柵が外れたところがあったため、そこからお邪魔することとした。
神社から少し上がったところで、ぬくぬくの人間の姿から寒そうな登山者の姿になり、歩き始める。尾根上は最近スズタケを刈り払ったようで歩きやすい。
ゴルフ場をぐるっと歩いた後のコル、645m標高点からは本山行の核心たる長い登りが始まる。特に740mから880mまでの急登、標高780m、830m、860m付近は大岩がいくつかあり、超えるのに難儀した。1つ目は直登、2つ目は右から巻いた直後に尾根に上がり、3つ目は左から巻いた。全部左から巻けば良いだろう。それ以降はただの急斜面で、特段危険はなかった。
1076m標高点の「登山道」の看板のところで、ゴルフ場の間を通る登山道と合流。その先も登りは続き、最後の急登を終えてふと顔を上げると廿六夜の石碑があった。
二十六夜山山頂は南西方面が開けており、御正体山と杓子山の間に大きく富士山が見えた。北西の僅かな隙間からは大菩薩方面を垣間見ることができた。
林道を超えてまた登り、今倉山までもう少しと思っていると、上から人の声がした。2人組かと思っていたら片方が下りてきて、こんな中途半端なところで溜まっていることを不思議に思っていると、視界が一気に開け、その理由を理解した。
完全にノーマークだったが、赤岩と標識が立っていたその山頂からは、ほぼ360°の展望が得られた。富士山、丹沢、道志山塊はもちろん、丹沢の奥には箱根、伊豆、相模湾の向こうに伊豆大島。北から西には奥多摩、大菩薩、奥秩父主脈、遠くは八ヶ岳と南アルプスの間に、北アルプスの姿が小さく、しかし確かに認められた。間違いなく今回の山行随一の展望だった。
景色は最高だが、狭いので休憩には向かず、名残惜しく思いながら赤岩を後にする。少々のアップダウンを超えて今倉山に着いた。
樹林に囲まれていて展望は無く、最高標高も西隣の御座入山に譲るが、三角点のある広い山頂には確かに山梨百名山の標柱が刺さっていた。
ここが最高地点なので、あと1日半は大ざっぱには下りだが、小さなアップダウンはごまんとある。ぺろぺろと歩いていて、またその一つをかと思っていたら菜畑山だった。
昔は東屋があったらしく、今もその支柱の跡の周りには4つ、切り株の形の椅子がある。座って南東を眺めると、丹沢方面の展望が良い。木々の間に富士山も見えた。
ここから先、このまま東に尾根を進むと、すぐに道志川に落ちていってしまう。この稜線はここで下り、1つ北の稜線へ乗り換える。そのためこの先、網場峠を超えてブドウ岩ノ頭、岩戸ノ峰と、約200mのアップダウンが待っている。
長い北側斜面のため、雪の心配をしていたが、結局本山行を通して雪は二十六夜山から今倉山付近までの北側斜面に薄く残っていたのみで、一歩も踏むことは無かった。霜柱も終日凍っていて、足周りは快適な山行だった。
赤鞍ヶ岳は、各種ガイドブック等に、地形と名称の対応関係がはっきりしないことが必ず書かれている。西側の方の山頂にも両方の看板があったが、数は赤鞍ヶ岳がだいぶ優勢だ。ここは展望がないが、少し先の秋山峠からは、噴煙を上げる大涌谷が見えた。東側の方の山頂にも両方の看板があり、赤鞍ヶ岳の方が多かったが、差は僅かだった。
日の入りまで2時間を切った。幸い広い尾根が多く、寝床探しに気を張る必要はない。だんだんと膝に違和感を覚えてきたため、ペースを落としてゆっくり歩く。
長尾手前の林道富士東部(南)線は、航空写真では尾根で工事が止まっているようだったが、実際行ってみると尾根を超えて北側まで工事が進んでいた。土捨て場に張れば快適そうだ。
長尾、鳥居立と緩やかなピークを超え、また稜線を乗り換える。鉄塔の立つカヤトの急坂を下りると、稜線の間、巌道峠に着く。日の入り5分前、標高も低く、風の通り道から外れる平坦地もある。今日はここをキャンプ地とする。
開通碑前の広いスペースの端っこにテントを張らせてもらったが、土が凍っていてペグが刺さらなかった。なんとかテントを建て、体が冷える前にすぐシュラフにくるまり、温かいラーメンを食べて寝た。
朝3時半起床。外気温は-5℃。夏山の感覚で5時頃出ようと思っていたが、寒さに負けてもう少しを繰り返し、ほぼ6時になった頃にやっと出発した。空はすぐに明るくなり、ヘッドランプはほとんど要らなかった。
平野峠直前の小ピークに、山梨県と神奈川県の看板とポールが立っているところがある。ここからは神奈川県だ。平野峠で一旦休憩し、清々しい朝の尾根を大川原天神峠へ下る。ここまではなんとか稜線っぽい雰囲気だったが、ここから先は、ルートを決めるときにも悩んだ、平たいうねうねの中の分水嶺を進む。
同時に東海自然歩道に合流する。石老山までだいたい同じルートを辿るが、歩きやすさを優先して細かいピークを巻いてしまっているところも多い。このすぐ先の舟山もそうだが、比高100mの大きな山を無視する訳にもいかず、道無き道のアルバイトを強いられた。
網子天神峠で峰山への尾根を分け、菅井集落へ下る。ここが今倉山付近と石老山とのキーコルで、ちょうど人間界にも下りてきた区切りの良い場所だが、あまりにも山上集落の趣で、尾根の終わりという雰囲気ではない。先に進む。
伏馬田城跡のベンチで休憩。この後の石砂山、石老山が頭をもたげているのが見えてうんざりする。
石砂山(いしざれやま)の登山道は、途中で分水嶺を離れてトラバースし、双耳峰のコルに出るが、分水嶺を辿ろうと直登した。これが間違いで、獣道すらない名前の通りザレた急斜面を、潅木を頼りに這い上がらねばならなかった。その後もいくつか登山道を外れてピークを直登したが、普通の斜面だった。トラバースアンチはここだけ気を付けるように。
それよりも登山道として使われる牧馬峠からの石老山への登り口の方が怖かった。最初登り口に気が付かず、チャリダーに不審な目を向けられながら右往左往してしまったが、崖に刻まれた薄い踏み跡をの脇をよく見ると石老山↑と書いてあった。はじめ数十mは急だったが、それ以降は特に危険なところはなく、稜線までたどり着いた。
その瞬間5人のハイキング客と目が合った。ここまでにすれ違ったのは赤岩で2人、東海自然歩道になってから1人、石砂山で1人。それを一瞬で越える数字だ。山頂にはさらにたくさんの軽装のハイキング客とベンチが置いてあった。誰もパンパンの55Lザックなど背負っていない。東京近郊のゆるふわアウトドア圏に来てしまったことを実感した。
顕鏡寺は奇岩で有名らしく、登山道脇には十個以上の岩の説明板が立っていた。この下りの途中に急な腹痛に襲われ、ヤマレコの地図を見ると、石老山登山口バス停には公衆トイレがあるとのことだった。しかし一刻も早く楽になりたい。一か八か顕鏡寺に寄ってみると、なんと地図には載っていない公衆トイレがあった。助かった。奇岩だけでなく、公衆トイレでも有名になって良い。用を足し、賽銭を弾み、また奇岩を楽しみながら下った。
病院の脇を通って内郷の町に出る。平たくてのどかな良いところだ。もう終わりでいいだろう。バス停までゆっくり歩いた。
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読んでくれてありがとうございます。ヒトに限らず大抵のものにはそれぞれの適温がありますが、-5℃は私には寒すぎたみたいです。強くなりたい。
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