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Yamareco

記録ID: 6414568
全員に公開
積雪期ピークハント/縦走
甲信越

赤沢岳(パラグライダー黒部横断敗退)

2024年01月27日(土) ~ 2024年01月30日(火)
 - 拍手
体力度
7
1~2泊以上が適当
GPS
38:50
距離
38.0km
登り
3,295m
下り
3,259m
歩くペース
標準
0.91.0
ヤマレコの計画機能「らくルート」の標準コースタイムを「1.0」としたときの倍率です。

コースタイム

1日目
山行
11:46
休憩
0:10
合計
11:56
距離 13.3km 登り 1,392m 下り 486m
1:19
108
スタート地点
3:41
3:51
564
13:15
宿泊地
2日目
山行
9:40
休憩
0:00
合計
9:40
距離 5.4km 登り 1,370m 下り 749m
7:10
580
宿泊地
16:50
宿泊地
3日目
山行
7:23
休憩
2:34
合計
9:57
距離 7.3km 登り 295m 下り 909m
7:30
219
宿泊地
11:09
13:43
224
17:27
宿泊地
4日目
山行
3:52
休憩
0:04
合計
3:56
距離 12.1km 登り 250m 下り 1,152m
10:04
131
宿泊地
12:15
12:18
18
12:36
12:37
83
14:00
ゴール地点
天候 1/27 晴れ、1/28 晴れのち雪、1/29 晴れ、1/30 晴れ
過去天気図(気象庁) 2024年01月の天気図
アクセス
利用交通機関:
電車 バス タクシー
往路:新宿 -(電車)-> 信濃大町-(タクシー)-> 日向山ゲート
復路:日向山ゲート -(徒歩)-> 大町住宅街 -(車)-> 信濃大町 -(バス)-> 新宿
コース状況/
危険箇所等
日向山ゲートから扇沢までは毎日関電関係の車が往来しており除雪されている。
赤沢岳までの後立山連峰稜線は踏み抜きが多くイライラした。
扇沢からスノーシューでラッセル。
ここから後立山連峰稜線に出るまでは常にスノーシュー
2024年01月27日 04:41撮影 by  SH-54B, SHARP
1/27 4:41
扇沢からスノーシューでラッセル。
ここから後立山連峰稜線に出るまでは常にスノーシュー
2024年01月27日 06:23撮影 by  SH-54B, SHARP
1/27 6:23
1月上旬に来たときには沢が露出していたが今回は赤沢からの雪崩と見られる膨大なデブリで完全に埋没していた
2024年01月27日 08:05撮影 by  SH-54B, SHARP
1/27 8:05
1月上旬に来たときには沢が露出していたが今回は赤沢からの雪崩と見られる膨大なデブリで完全に埋没していた
2024年01月27日 08:11撮影 by  SH-54B, SHARP
1/27 8:11
2024年01月27日 11:14撮影 by  SH-54B, SHARP
1/27 11:14
深いツリーホールにハマった。今回の山行で一番焦った場面(それくらい他がたいしたことなかった)。
2024年01月27日 12:47撮影 by  SH-54B, SHARP
2
1/27 12:47
深いツリーホールにハマった。今回の山行で一番焦った場面(それくらい他がたいしたことなかった)。
山頂の天気が良さそうなのを見て寝坊したことを後悔しながら登っている
2024年01月28日 08:51撮影 by  SH-54B, SHARP
1/28 8:51
山頂の天気が良さそうなのを見て寝坊したことを後悔しながら登っている
曇って来た。もう今日はテイクオフできなそう。
2024年01月28日 10:12撮影 by  SH-54B, SHARP
1/28 10:12
曇って来た。もう今日はテイクオフできなそう。
と思ったらまた晴れる
2024年01月28日 11:08撮影 by  SH-54B, SHARP
1/28 11:08
と思ったらまた晴れる
デカいクラックにハマりかけた
2024年01月28日 13:21撮影 by  SH-54B, SHARP
1
1/28 13:21
デカいクラックにハマりかけた
2024年01月28日 14:34撮影 by  SH-54B, SHARP
1/28 14:34
ATC雪
2024年01月29日 07:09撮影 by  SH-54B, SHARP
1/29 7:09
ATC雪
半分イグルー半分雪洞。普通に全部雪洞にしたほうが良かったかもしれない
2024年01月29日 08:22撮影 by  SH-54B, SHARP
1
1/29 8:22
半分イグルー半分雪洞。普通に全部雪洞にしたほうが良かったかもしれない
2024年01月29日 08:30撮影 by  SH-54B, SHARP
1
1/29 8:30
2024年01月29日 09:58撮影 by  SH-54B, SHARP
1
1/29 9:58
長野方面
2024年01月29日 10:30撮影 by  SH-54B, SHARP
1
1/29 10:30
長野方面
赤沢岳山頂
2024年01月29日 11:09撮影 by  SH-54B, SHARP
3
1/29 11:09
赤沢岳山頂
山頂は思ったより狭かった
2024年01月29日 12:11撮影 by  SH-54B, SHARP
1
1/29 12:11
山頂は思ったより狭かった
爺ヶ岳・鹿島槍ヶ岳方面
2024年01月29日 12:25撮影 by  SH-54B, SHARP
1
1/29 12:25
爺ヶ岳・鹿島槍ヶ岳方面
2024年01月29日 12:26撮影 by  SH-54B, SHARP
1
1/29 12:26
剱岳。内蔵助平が想像より近く感じた。
2024年01月29日 12:26撮影 by  SH-54B, SHARP
3
1/29 12:26
剱岳。内蔵助平が想像より近く感じた。
ズバリ岳方面
2024年01月29日 12:27撮影 by  SH-54B, SHARP
1
1/29 12:27
ズバリ岳方面
小動物にラッセル泥棒された
2024年01月29日 15:51撮影 by  SH-54B, SHARP
2
1/29 15:51
小動物にラッセル泥棒された
ここで合流したらしい
2024年01月29日 15:53撮影 by  SH-54B, SHARP
2
1/29 15:53
ここで合流したらしい
前々日のイグルーを補修して再利用
2024年01月30日 10:05撮影 by  SH-54B, SHARP
1
1/30 10:05
前々日のイグルーを補修して再利用
針ノ木谷に続く沢は砂防堰堤がちょっと出ている以外は埋まってる
2024年01月30日 10:52撮影 by  SH-54B, SHARP
1/30 10:52
針ノ木谷に続く沢は砂防堰堤がちょっと出ている以外は埋まってる
猿エリア。ここはいつ来ても猿がたむろしている。
2024年01月30日 12:45撮影 by  SH-54B, SHARP
1
1/30 12:45
猿エリア。ここはいつ来ても猿がたむろしている。
日向山ゲートにも猿
2024年01月30日 14:01撮影 by  SH-54B, SHARP
1/30 14:01
日向山ゲートにも猿
撮影機器:

感想

1/27からパラグライダーを利用した黒部横断をすべく扇沢から入山した。結果的には赤沢岳山頂付近で風が強すぎると判断して敗退した。

【山行背景】
2023年の5月頃から登山をしてパラグライダーで飛んで降りる、いわゆるハイクアンドフライをいくつかの山でやった。その結果パラグライダーは有用な下山手段になり得ることは確認できた。一方でその遊び自体は自分の中で予定調和というか、目新しいものではなくなってしまった。次のステップとしてパラグライダーを単一のピークを踏む山行の下山手段ではなく長期山行における前進手段として使えないかということを検討してみた。実はこれは少し厄介な議論で、例えばコンディションが良ければスキルのある人が中央アルプスをまるごとパラグライダーで飛び越えることが可能である。つまり「所定のピークの地面を足で踏まなくてはいけない」という縛りがなければ山岳地帯の長距離移動をほぼ登山要素なしでパラグライダーだけでできてしまうケースがそれなりにある。そこである程度ハードな登山を必然的に含むような課題設定を考えてみた。「これこれのピークを踏むこと」と足で踏むべきピークをたくさん指定すれば当然パラグライダーは使いづらくなるが、そのような恣意的にパラグライダーの利用を封じる設定ではなく、スタートとゴール以外の経由地をできる限り指定しない自然な課題設定が好ましい。色々検討した結果厳冬期の黒部横断に思い至った。これは長距離登山の課題としてメジャーで独自に設定すべき通過点制約が少ない。

黒部横断(長野県側から入って剱岳を経由して富山県側に降りるもの)でのパラグライダーの使い方を考えると赤沢岳周辺から内蔵助平に飛ぶか、鹿島槍ヶ岳から剱沢の剱大滝より上流の雪渓に飛ぶのが良いと思われた。上手くソアリングできればもっと長距離を飛べるかもしれないが自分の初心者レベルのスキルと厳冬期のコンディションを考慮して保守的にぶっとび(単純な滑空)を仮定した。ルートとしての見栄えは鹿島槍・剱沢ルートの方が勝っているしオレオレコースタイム算定だと鹿島槍ヶ岳・剱沢ルートの方が所要時間が短い。しかし剱沢への着陸は不確定要素も大きい(鹿島槍山頂から剱沢内部の状態が見えない、雪で沢が埋まってないと遭難、要求される滑空比がややシビア、不時着した場合剱沢下流はエグいゴルジュでかつ剱大滝で分断されているのでエスケープが難しいなど)。そこで今年は暖冬で雪が少ないことを考慮して2月に入るまでは赤沢岳・内蔵助平ルートでトライすることとし、今回は扇沢から赤沢岳を目指した。

【山行経過】
1/27 日向山ゲート 〜 扇沢 〜 屏風尾根取り付き 〜 屏風尾根1850mくらい
当初の計画では初日は朝バスで日向山高原バス停に行き、8時頃に日向山ゲートを通過して14時頃に屏風尾根取り付きで幕営し、二日目の早朝1時くらいに出発して11時くらいに赤沢岳山頂へ到達し、そこから飛んでその日中にハシゴ谷乗越に到達するという絵空事のような想定をしていた。ところが前日の夜になって「屏風尾根はヤブで進むべき方向が分かりづらいので明るいうちに距離を稼いだ方が良いのでは」などと思い27日早朝1時頃に日向山ゲートをスタートして初日に屏風尾根をある程度登ることにした。これにより26日から27日にかけて睡眠時間を取れなかったせいか、扇沢から屏風尾根取り付きへの道中で異常なバテ状態になってしまった。入山時の荷物重量は登山靴込みで38kg程度。

1月上旬に来たときには篭川(針ノ木雪渓を起点とする川)が露出しており大沢小屋付近で右岸から左岸に渡るのに苦労したがその後赤沢でかなり大規模な雪崩があったようでそのデブリが篭川を埋め尽くして地形が一変しており、どこでも渡れるというかどこに沢があったのかもよくわからない状態になっていた。扇沢からスノーシューでそれなりのラッセルを強いられたが、屏風尾根取り付き付近はデブリのお陰でラッセルがほとんどなかった。
バテバテになりながら屏風尾根を1850mくらいまでダブルボッカ(まず空荷でラッセルしてから荷物を担いで上がる)で上がり、イグルーを作って行動を終了した。あとから振り返ると取り付きでやめておいたほうがよかったかもしれない。なお以降、屏風尾根の登りは全行程スノーシューでダブルボッカした。

1/28 屏風尾根1850mくらい 〜 後立山連峰稜線直下
1:30頃に起きて「2時まで寝よう」と二度寝して起きたら4時過ぎだった。単独行の甘えが出てしまった。10時間以上寝たことになる。そのせいもあってか前日の敗退レベルのバテから体力は回復していた。
この日はひたすらダブルボッカしただけだった。初めは12時くらいまでに赤沢岳に着けるかなと考えていたが全く無理だった。寝坊してなかったとしても無理だったと思う。過去一きついラッセルだった。ただしバテはしなかった。
後立山連峰稜線直下でイグルーを作って行動を終了した。本来この日に赤沢岳から飛ぶ予定だったが翌日も風が弱い予報だったので翌日トライすることにした。

1/29 後立山連峰稜線直下 〜 赤沢岳 〜 屏風尾根1850mくらい
幕営場所から稜線に乗る5mくらいの登りが急で雪が固くアイゼンの前爪とピッケルを効かせて登る必要がありこの山行で唯一ちょっと楽しいパートだった。稜線上は踏み抜きが多くストレスが溜まった。
天気予報では爺ヶ岳の風速が4m/sだったので恐らく離陸可能だろうと期待していたが赤沢岳山頂付近についてみると思いの外風が強かった。西面に岩稜が複雑に連なっておりその影響でところにより風が強まっているようだった。ここで飛ぶか飛ばないか相当長い時間(たぶん2時間以上)迷った。風速は明らかに4m/sよりは強かったが離陸できないほど強いのか判断が付かなかった。ハードシェル、目出し帽、ゴーグルなどを着用しているのが最大の理由だがパラの練習不足で風のイメージが薄れていたのもあると思う。風速以外にも様々なこと(尾根が狭く風で引きずられると長野県側に転落する恐れがある、有給は1/30までしか取っておらず剱岳を翌日一日で踏破するのは現実的でないため仮に今日内蔵助平に行けても有給をおかわりすることになる、荷物が重くパラの規定の積載重量を15kg以上オーバーしているがその状態で安全に飛べるか未検証、グラハン練習をサボっており操作に自信がない、歯ブラシを忘れた、など)を考慮して結局飛ばずに敗退することにした。その後東京に帰るまでずっと「本当は飛ぶべきだったのではないか」という自問をし続けることになった。

1/30 屏風尾根1850mくらい 〜 日向山ゲート 〜 大町市街地
ずっと脳内反省会をしていたため帰りの車道歩きがそこまで苦ではなかった。敗退した自分への罰としてバスやタクシーを使わず信濃大町駅まで歩くことにした。日向山ゲートから1時間ほど歩き疲れてしょうもない罰ゲームを後悔し始めたところで地元の優しいおばさんが車に乗せてくれて信濃大町駅まで送ってくれた。

【反省】
色々反省点が見つかり次に繋がる良い山行だったと思う。
一つだけ挙げると風速計は持って行くべきだった。撤退してからも当時の風の感覚を思い起こして本当に飛べない風速だったのかと悩んだが結局は客観的定量的に測る道具がないとなんとも言えないというのが答えだと思う。

【その他】
パラを使って単独で厳冬期黒部横断をすることがどれくらい現実的なのか自分でも半信半疑なところがあったが、敗退しておいて言うのもあれだが今回やってみてこれはできる課題だと感じた(厳冬期として数年に1度レベルの好天だったのかもしれないが)。別に自分である必要もなく誰かしらに達成してほしい課題である。

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