霞沢岳、南尾根から西尾根 ~イグルー泊~


- GPS
- 12:42
- 距離
- 13.7km
- 登り
- 1,907m
- 下り
- 1,604m
コースタイム
天候 | 両日とも快晴!(ただし強風) |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2024年02月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
https://maps.app.goo.gl/XHNegCWyH9rLpgrU6 近くに24時間使える公衆トイレあり 【下山後】 釜トンネルから先はバスで帰る予定であったが、時間合わず沢渡まで徒歩 約7,7k ほぼ下り トンネル多数、歩道がない部分や凍結してる場所もあるので注意必要 バスは年末年始以外は冬季4本のみ 濃飛バス 中の湯発 9:05、13:05、15:05、18:05 沢渡バスターミナル着 9:17、13:17、15:17、18:17 https://www.nouhibus.co.jp/highwaybus/matsumoto/ |
コース状況/ 危険箇所等 |
■沢渡駐車場~霞沢岳(南尾根) ・ナショナルゲートパーク側へ回り込んだ方が登りやすいとの情報でそちらから取りつく。最初は雪が無かったが踏跡は明瞭、夏道があるようだ。 ・基本樹林帯で二重稜線や広い尾根歩きもあるので下りなら注意必要だが登りだとさほど迷わなかった。ピンテ等も結構ある。 ・踏み抜く箇所は多く、一度腰まで埋まったがザックを降ろして何とか脱出できた。 ・P2304峰から先2450mあたりまでがかなり厄介。東側は雪庇、西側は木々があり歩ける場所はごくわずか、鞍部からの登りルートも雪の状況次第で大きく変わりそう。 ・P2553峰近くになると広い尾根となり霞沢岳が確認できる。東側に巨大雪庇あるので注意必要。 ■霞沢岳~太兵衛平(西尾根) ・沢山の方が歩かれているので割愛 ◆装備 南尾根は雪繋がりだしてからスノーシュー、そのまま山頂まで外す事は無かった。 しかし雪の状況次第で危険箇所ではアイゼン必要 西尾根は最初から最後まで12本爪アイゼン、手元はダブルウィペット |
その他周辺情報 | 平湯の森 700円 https://maps.app.goo.gl/KXimwoBdxv34c9qG7 |
写真
感想
霞沢岳西尾根は5〜6年前から歩きたかったコース。夏時期なら徳本峠側へ回り込まないと登れない山だが、こちらのコースなら上高地側から直で登れるし展望も良さげ。
しかしいつものごとく先送りを繰り返していたら近年大人気コースになっていた。こうなると基本天邪鬼な自分は行く気失せるのだが、とある方が南尾根を歩かれていた。地図で見ると長く伸びる尾根で自分好み。私は登れるのであれば目指すピークから一番長く伸びる尾根から登りたい派、いわゆるバカ尾根好きだ(バカみたいに長い尾根の事)。だいたい樹林帯が多くつまんないパターン多いがなぜだろう?
下山後にバスも使えるので南尾根と西尾根縦走でコースは決まったと思ったら、またとある方が八右衛門沢なるところを歩いておられた。凄く魅力的に感じてしまい当初の計画ではこちらを下山しようと思っていた。
当日深夜沢渡駐車場で3時間ほど仮眠して夜明け前からスタート。最初は地面が出ていたのでツボ足、霞沢発電所の施設手前辺りでやっとスノーシューが履けた。
迷いやすいコースのようだが前日?と思われるトレースがあり大助かり、信頼出来るトレースでGPS確認する必要はほとんど無かった。標高2302m峰〜2450mあたりは事前調査で分かっていた通り危険個所の連続、慎重に通過。ここら辺の急登で足元の雪が何度も崩れ落ちた、締まった雪の上に前日降った雪が乗っかりかなり雪崩のリスクがありそう。よって明日の八右衛門沢は無理かな?と感じてはいた。
南尾根は長いので初日は霞沢岳山頂手前のP2553峰あたりで宿泊の予定だったが、天気も足の調子も絶好調!、初日に霞沢岳まで登頂することが出来た。
山頂は西尾根から登ってこられた方の足跡だらけだったが時刻は14時を過ぎていたので貸切、すぐ下の吹き溜まりのような場所で早速イグルー造りに取り掛かる。作成場所を帰って確認したら昨年逆回りで山頂イグルー泊されていたomatsuさんとほぼ同じ場所だった。同じイグリスト、やっぱりここに造るよね〜と思い笑えた。
作成場所にシュカブラがあったがこの時は何も思わなかった、逆にシュカブラって「かるかた雪」そのものなので天井塞ぐのに使えるじゃん!と思っためでたい奴。
雪質は良かったがそこそこ強風なのもあって(言い訳)、しっかり2時間掛かって作成完了。でも明日はこの場所でご来光鑑賞して下山すれば良いだけなので気分的には楽ちん、夕日もしっかり見ることができた。
中で水造りや夕食していると上から粉雪が降ってくる、外が強風なので雪煙がイグルーのわずかな隙間から入ってくるのだが以前に霊仙山(イグルー泊)で経験済。穴をすべて塞ぐのは不可能なのでしょうがない。食事済ませて20時には就寝したと思う。
そしてこのあと事件発生!、深夜になにか身体が重いというか、明らかに何かが上に乗った感じがして起きると自分の身体が完全に雪に覆われていてビックリ‼、海水浴などで見る顔以外を砂に埋められたあの状態。
粉雪がこんなに積もった?、そんなはずはなく慌ててヘッデンつけてあたりを見回したら風上側のブロックが1個無かった。上部ではなく2段目あたり。
とにかく塞がなくては命すら危ない!、慌てて外へ出て応急処置して何とか塞いだ。中へもどるとシュラフも着ているダウンもすべてベトベトだったが、もうそんなことはどうでも良くとにかく穴を塞ぎながら崩落しないことを祈るしかなった。
もうこの時点で徹夜も覚悟した、というかいつ崩れるかもわからない状況で寝れるわけがないし周りは雪だらけ。埋もれた荷物を雪からだしたり、偶に火を焚いて温まったりして何とか凌いだが明るくなるのがこれほど待ち遠しかったのは初めて。
その後も出入り口側から一度雪が入ってきたが崩落することはなく朝方を迎えた、本当に濃密な夜だった。
深夜はもうとにかく早く下山したい、帰りたいしか考えられず明るくなったら一目散に下山するつもりだったが人間とは現金なものでもう大丈夫と分かるとじゃあ楽しんで帰るか!、となる。朝食すませしっかりご来光鑑賞(笑)。
私の命まで奪おうとした雪煙が良い演出をしてくれて見事な御来光だった。自然とは時に美しく時に恐ろしい。
チョッピリ八右衛門沢に後髪惹かれたが、ほとんど寝てないし水分含みまくった水鳥関係がずっしりと重く選択の余地なしで西尾根下山。
平日だったがこの日も天気良く5組ほどとスライド、一応バリエーションルートとなっているが西尾根高速といって良いくらいトレースも出来ていた。地元福井で言うと荒島岳や取立山レベル。
無事上高地側に下山して釜トンネル出たのが10時過ぎ、次のバスまで3時間は待てないのでタクシー会社に電話したが断られ沢渡まで8kほど残業、でも暖かかったし下りなのでさほど苦にはならなかった。もちろん途中の道路脇でザックはデポしたけどね(笑
西尾根は良かったし南尾根も歩け大満足、八右衛門沢はまたチャンスあれば歩きたい。
そして問題のイグルーブロック崩壊の原因であるが、要するに強風で発生する雪煙がイグルーの風上側のブロックを徐々に削りその後抜けたのだ。今更だけどシュカブラは風の強い場所などで雪が削られて出来る物。稜線などで前日のトレースがそのままシュカブラになっているのをよく見かける。
場所が悪かったとは思わないが天候のとの兼ね合いでこんな事になってしまった。崩壊も過去に1度経験あるが(天井の一部)、標高も低かったし風も無かったのでそのまま寝てたくらい。しかし今回は冗談抜きで死ぬかと思った。あの状況で荷物纏めて下山も無理だったし、仮に出来ても西尾根は危険過ぎる。
朝方イグルーを見ると風上側のブロックは酷く削られ薄っぺらかったので崩落は時間の問題だった、今回はただ運が良かっただけ。
私はあくまでも山行の過程でイグルー泊しているので稜線上やピークで造る事が多い。よって風強い場所になりやすいがこんなことは初めて。イグルー泊は辞めないが今後は気象条件によって場所はしっかり考えよう、あと今回を機にイグルー泊前提の山行も少し見直そうと思う。そもそも冬季に重いザック担いで1泊2日の工程で歩けるコースなら、軽いザックで少し頑張れば大体日帰り出来るはず。
結果が全てなので今回は良い勉強になった。
コメント
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今回のイグルー危機一髪!(笑)。なかなか濃密なご経験をされましたね。ヤバいけど楽しそうです。お疲れさまでした。
今回の件は、知見も見当たらないですし、かなり貴重な情報ですね。
よく考えたらわかる!っていうことほど、実際は分からないものですから。
イグルー破損の原因まできちんと考察されていて、大変勉強になりました。
風上側にはレスキューシートやビニール袋などで対策をすることも有効かもしれませんね。
情報ありがとうございましたm(__)m。
お仲間さん達とBC楽しまれてるようですね〜。
これでも控えて書いた方でホントにヤバかったです、外に出て穴塞いでるときは生きた心地がしませんでした。強風でしたが標高の割に気温高かったので助かった感じです。
まあイグルー泊自体されてる方少ないですから情報も限られてしまいます。でもおっしゃる通りでよく考えれば分かる!、今回は良い経験でした。
天井が落ちるのはよく聞く話だし経験もあるのでここまで慌てなかったと思いますが、下段がすっぽり抜けるのは想像出来ませんでした。その上のブロックは綺麗に残ってるのになんで??
どんどん入り込む雪煙見ながら少し固まりました、最初は岩でも飛んできたのかと思ったくらいです。
さすがグリーンさん、その方法は有効です。感想にはそこまで詳細書きませんでしたが
今回も外出て穴塞いだあと出入口に使っていたビニールシートを風上側に被せました。状況が状況だったのであんまりうまく被せることは出来ませんでしたが効果はあったと思います。もしくは風上側に最初からある程度雪を積んでおくかですね。
壊すとき風上側のブロックよく見たら、ほぼシュカブラになっていました(笑)
自分の仕事の野外現場や登山での経験、会社の先輩などのお話を総括すると、現場での判断力はいつもの半分程度になると思ってます。なので事前にトラブル含めたシミュレーションを念入りにして、想定外を潰していくのですが、それをすり抜けた想定外事案に遭遇した時は、半分以下の判断力になるのは当然のことだと思います。そう考えると、きやさんは適切な対応ができて素晴らしいのではないでしょうか。
あと読んでて思ったのは、密度の薄いシュカブラや表層の雪は、イグルーには使わない方が安全ですね。イグルー作りのセオリーでしょうが、やはり根拠があるのだと再確認しました。他、イグルーの内部の床からブロック掘り起こして壁穴を埋めるというのはどうだったのでしょうか。壁全体が薄くなっているとなると、それではまずいかもしれませんが。
それと安全度は、今回に関してはその形状から雪洞>イグルーであることも再確認しました。雪洞は色んなシチュエーションで優秀ですが、イグルーの方が雪少なくても作れるので、シュカブラの有無や風速など考慮して使い分けが必要ですね。
シュカブラ対策の風防も工夫の余地あって楽しそうですね。
もうぐうの音も出ないというかなんというか…。
当日の深夜イグルー内で朝を迎えるまで色々なことが頭をよぎりました。
当然こうなった原因、じゃあどうすれば良かったのか?も考えました。そこで私が思ったことそのまんまです!。
イグルー造るときはどうしても上面の雪が一段目になると思いますが、シュカブラを使ったのは失敗でした。それにおっしゃる通り今回に関しては雪洞>イグルーでした。しかし私は雪洞を造ったことがありませんので、仮に今回の事態が予想出来てもその選択はありませんでした。
緊急事態の判断も的確過ぎ!、もう目から鱗です。
こうなる事を想定していたか?、それが全てだったと思います。仮に今の自分が今回と全く同じ状況で山頂イグルー泊をしたら絶対今回のようなことにはなりません。雪洞は造れないのでやっぱりイグルー泊になるとは思いますが、もっと掘って居住スペースを雪面より下にしたと思います、風上側のブロックは厚めにするでしょう、それでも不安なら最初から風上側のシートは張っておいたでしょう。
風上側にシート張ると有効なのは、ネットでチラッとみた程度ですが知っていはいました。あのチラみで今回助かったのかもしれません。
お仕事でもそういったシミュレーションをされてるとの事、どんな職業でも安全第一だとは思いますが改めて関心をもちました。
あとリベンジじゃないですが早く次のイグルー泊をしたい今日この頃です(笑)
オマツさんの逆ルートでのイグルー泊!
流石ですね〜
しかし、雪煙でイグルーが削られるとは予想外❗
風の影響受けないイグルーでもこんなことあるんですね。。。昨年、武尊山でロケーション重視でテント貼ったとき、シュカブラある風の通り道で生きた心地しなかったのを思い出しました。
設営場所は大事ですね〜
なんにせよ、無事で良かったです!
今週末は好天予報なので、北の方に遠征予定です👍
あ、ナッキさんはお元気ですか?笑
昨年のオマツさんのレコ拝見したときはビックリでした、コースだけでなくイグルー泊する場所まで全く同じでしたから。たぶんオマツさんのレコ見てなかったら西尾根→南尾根だったかもしれません。
シュカブラの出る場所でイグること自体は問題ないと思いますが強風の日は注意ですね、あとはやっぱり標高でしょうか。今回は自分がイグったところでは最高点、しかしいつもと一緒だろうと少し舐めてました。
眺望&映え重視も程々にしないと今度こそ危ないので気を付けますわ(汗
まだ厳冬期とは思えない好天と高気温、遠征楽しんできてください♪
ナッキさん?誰でしたっけ??(笑)、もちろん元気ですよ。レコは上げてないですが
山は偶に行ってるみたいです。
拝見しましたぁ。
お疲れ様です。
イグルーの壁が風に削られるということがあるのですか!驚きです。そういうこと想像すらできていませんでした。
絶景の山頂イグルー泊、羨ましいかぎりです。山頂独占という満足感は最高ですねっ!
まだ今季、イグルー泊ができていないので、チャンスを伺っております。次々とイグルー建設されているきやさんのレコをみると私も!!!と思います。
それよりも南尾根を登られたのはすごいです。長い長い登り。登る勇気ないなぁ。
いつも、レコはしっかりと拝見させて頂いております。
どうぞ、これからもよろしくお願いします。
やっと冬季の霞沢岳に行くことができました、omatsuさんの昨年レコにもコメントで書きましたが全く同じコース、同じ場所でイグルー泊予定だったので「やられた〜!」って感じでした(笑)
別に同じことやっても良いのですが、わたくしが少々天邪鬼なので「じゃあ逆でやってみよう!」となりました。
これは私が感じているだけかもしれませんが、下って長く感じた尾根って案外登りで使うと思ったほどでは無い気がします。もちろん根拠はありませんが私のホームマウンテンである白山北部なんかがそれに当たります。
いやいや、その言葉そっくりそのままお返ししますm(__)m、確かに今季はまだのようですが
昨季は凄かったですよね!、かなり厳しい場所でのイグルー泊連発され驚きをもって拝見しておりました。
私も今回のようなことがありイグルー泊ばかりにこだわるのは少し辞めようとは思っておりますが今後もomatsuさんとは切磋琢磨?しながらイグルー泊出来たらと思います。
もちろんomatsuさん側に強制することは出来ませんけどね!(笑)
結局のところ今回のイグルーは手抜きだったと思います。私はほぼ地元の1500m程度の山でしか造っていないのでまだまだ経験が足りてないように思います。
こちらこそ、これからもよろしくです。いつかご一緒にイグルー泊してみたいとも思っております(^.^)
お疲れさまです😄。「とある方」というところに笑ってしまいました(笑)。すいません、気を使って頂いてありがとうございます💦。しかし、イグルーのお話はゾッとしました。そして「命を奪おうとした雪煙が美しい」というのが印象的で不思議で考えさせられます😔✨
南尾根、数年後はどうでしょう、大人気のコースになりますかね😁?
前回注意勧告受けましたので。これならセーフでしょ⁉︎。そう言えば前回も霞沢岳、このお山は四季を通じて色んなコースがあり面白いですね。
イグルーの件は今となっては笑い話ですが、結構厳しかったです。朝を迎えるまで散々苦しめられた雪煙がいつも以上に綺麗でした。
naotooさんも天候等、私以上に苦しめられた経験あるはずですが、そこを乗り越えた後の美しさはまた格別ですよね。かと言ってワザと苦しめられようとは思いませんが。
流行る訳ないでしょうw
長い、つまんない、危険箇所だらけ!
p2553から先はボーナスステージ感ありますが見返り少な過ぎです。赤線引けて喜んでるのは私達くらいかと・・。
八右衛門沢のレコは魅力的過ぎました、今回行けず残念。
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