鹿島槍ヶ岳(黒部横断断念)
- GPS
- 34:35
- 距離
- 29.2km
- 登り
- 2,403m
- 下り
- 2,285m
コースタイム
- 山行
- 10:14
- 休憩
- 0:32
- 合計
- 10:46
- 山行
- 5:53
- 休憩
- 0:29
- 合計
- 6:22
天候 | 2/23 小雪 2/24 快晴 2/25 小雪 |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2024年02月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
電車 バス タクシー
|
写真
感想
パラグライダーを利用して黒部横断する計画だった。結果的に鹿島槍ヶ岳山頂から見て着陸予定地の剱沢にガスがかかっていたため視界不良と判断し離陸を断念して敗退した。
2/23 大谷原〜高千穂平
出発時の荷物:約35kg(靴を含まない)
時間切れ言い訳をしたくなかったので余裕を持ってまる二日かけて鹿島槍ヶ岳に登る計画で一日目は高千穂平までと決めていた。
数日前の雨と高温で雪は表面がクラストしておりつぼ足だと踏み抜くがスノーシューならほとんど沈まず快適に歩ける状態だった。赤岩尾根取り付きの沢が雪である程度埋まっていたので夏道通り行かずに赤岩尾根最下部を直登するルートにトライしたところスノーシューでは傾斜がキツすぎアイゼンでは腰まで踏み抜くため断念して夏道通り行くことにした。この右往左往でかなり時間を浪費した。2度ほどアイゼンに履き替えてみたがやはり踏み抜くので結局高千穂平までの殆どの行程をスノーシューで進んだ。
高千穂平を少し過ぎた辺りにイグルーを作って野営した。
2/24 高千穂平〜鹿島槍ヶ岳
4時起き6時出発。予定ではこの日に鹿島槍ヶ岳の山頂からパラグライダーで飛行して剱大滝を越えて剱沢に着陸することになっていた。天気予報では昼までは風が強く午後から徐々に落ち着くらしかったのであまり早く山頂に着く必要がないということでのんびり出発した。
前日より雪がしまっているようだったのでアイゼンで歩くことにした。たまに踏み抜きポイントがあったがほとんどは先行者が踏み抜いてくれており回避することができた。ひたすら先行者のトレースを盗むことで予想よりだいぶ早く11:30頃に鹿島槍ヶ岳山頂に到着した。途中鎌尾根の合流地点で鎌尾根から男性がひょっこり現れてロープで一生懸命荷揚げしていたのが印象に残っている。
山頂到着時点では予報通り風が強く7.5m/s 〜 8m/sくらいだった。イグルーを作りながら風が弱まるのを待つことにした。山頂からは着陸予定の剱沢の雪渓がよく見えた(視力大事)。剱沢は谷が深くて中の様子を見ることはできないと思い込んでいたので嬉しい驚きだった。
午後になり徐々に風は弱まったが14:00頃にはまだ6m/sを超える風が吹いていた。また悪いことに剱岳方面で徐々に低層雲が発達して剱沢が覆われ始めていた。15:00頃には風速が5〜6m/s程度になったので離陸しようと思えばできたがその頃には剱沢や黒部別山、ガンドウ尾根辺りが完全に雲に覆われてしまっていた。かなり悩んだがガスが掛かった状態で剱沢に降りるのはリスクが大きいと判断し敗退することにした。
ここで敗退手段としてパラグライダーで長野県側に飛んで大谷原付近に着陸するという案を急遽検討した(具体的にはGoogle Map等で地形を調べ尾根の標高や距離を測って目的地まで確実に届くか計算する作業。事前にパラグライダーによる長野県側へのエスケープを想定していなかったのは失敗だった。本来事前にPCでやっておくべき作業だった)。が、これも結局辞めて徒歩で降りることにした。主な理由はそもそも長野県側は午前からずっと標高1800mくらいより下が雲海になっており下が見えなかったこと、大谷原に飛ぶ場合風向的にまず富山県側に向かって離陸して大キレット付近で後立山連峰主稜線を横切って長野県側に移動しさらに鹿島槍ヶ岳東尾根など稜線をいくつか横切って大谷原に降りるという若干複雑なルート取りが必要で雲中でホワイトアウトした状態でやるのは危険だと思われたこと、鹿島槍ヶ岳スキー場のライブカメラを確認したところ下界から見てかなり低い位置(標高1300mくらい)まで雲がかかっており大谷原の標高が1100mくらいであることを考えると雲から抜けて大谷原が目視できるようになった段階で対地高度の余裕があまりない可能性があったこと。
徒歩敗退が決まったのでイグルーを完成させて鹿島槍ヶ岳山頂で夜営した。山頂は気温が相応に低く夜間に風も強くなることが予想されたのでイグルーの隙間を丁寧めに塞いだつもりだったが夜中起きてみるとイグルー内気温が-9度くらいになっていて手をかざしてみるとところどころ壁の穴からスースーと冷たい風が吹き込んでいたので急遽雪のかけらで穴を塞ぐ作業をした(シュラフに入っていれば別にそれほど寒くはなかったがそもそもイグルーは本来暖かいものだろうというモノづくり観点で完成度を上げたいというモチベーションから)。山頂は積雪深が浅く一層しか床を掘り下げられなかったことも隙間風を感じやすかった理由かもしれない。
2/25 鹿島槍ヶ岳〜大谷原
なんとなく普段のノリで「下りは楽だろう」と考えていたが裏切られた。まず基本的にトレースの雪が硬く普通の雪山の下りのキックステップの勢いで足を下ろすと衝撃が脳天までくるので夏道みたいにゆっくり降りるかトレースのないところを降りる必要があった。
また高千穂平への下りで標高差50mほど滑落した。発端は踏み抜きで転んで倒れ、35kgのガッシャー(石井スポーツのデカザック)に引きづられて頭が下になったこと。この状態で不用意に足を穴から抜いたところ、それがアンカーになっていたようで稜線の右側(爺ヶ岳側)に滑落を開始した。とっさにピッケルで滑落停止をしようとしたが上手く止まらなかった。ここで35kgガッシャーが追い打ちをかけた。圧倒的な重力による加速。重すぎて正規の滑落停止の姿勢(うつ伏せ)が取れない。一度止まりかけたが自分が起こした小規模雪崩に押されてまた加速してしまった。思考は意外と冷静で「ああ、意外と止まらないもんだな」「岩にぶつかったらやばいな」「止まったとしても相当な時間ロスだな」などと考えていた。最終的にアイゼンを効かせて少しずつ減速してなんとか止まることができた。止まってからは登り返すのが面倒だったのでトラバースして稜線に合流した。
今回がカレンダーベースの定義での厳冬期(12月下旬から2月)のパラグライダー黒部横断の最後のチャンスだった(今年の冬の気象が例年の厳冬期よりもかなり甘い気がするので「カレンダーベースの定義」と表現)。厳冬期の黒部横断は通常10日〜14日程度かかるがパラグライダーを使えば大幅に時間短縮できるという理屈を実証するため、また単純に黒部川上空を飛んでどんな景色が見えるのか体験したいというモチベで取り組んだが残念ながらやはり甘くないなあという感想。天候、体調、仕事などの条件を同時に揃えるのが難しい。3月にまたトライすればよいという話もあるが3月はカレンダーベースの定義で厳冬期ではないし3月であれば山スキーで3日で黒部横断を完遂した事例もあるので意義が薄まってしまう気がしてしまうのが難しいところ(このように名実の「名」を追求するような発想はあまり良くないが)。実際のところせっかく体を作ったので多分3月に機会があれば再トライすることになるとは思う。本格的な再トライは来年になると思うが体を作って維持するのがそれなりに大変なのでどうなるかはわからない。
コメント
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3月なら好天期間が長くなるので期待できそうですね。
ありがとうございます。とはいえ今年は冬もかなり好天が多かったんですよね・・・ 仕事と体調のコントロールがイマイチでした
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