奈良井川本流【茶臼山・将棊頭山】小黒川〜奈良井川
- GPS
- 13:35
- 距離
- 24.4km
- 登り
- 2,032m
- 下り
- 2,026m
コースタイム
- 山行
- 1:00
- 休憩
- 0:00
- 合計
- 1:00
- 山行
- 11:27
- 休憩
- 1:35
- 合計
- 13:02
松:2002年みぞれで敗退した小黒川中流部
https://www.yamareco.com/modules/yamareco/detail-21295.html
の延長を22年ぶりに探索したい
という思惑を両方実現する夢の計画を遂行した。満足。
天候 | 両日晴天 |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2024年05月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
電車
https://www.yamareco.com/modules/yamareco/detail-6780759.html から続く |
写真
装備
個人装備 |
フェルト地下足袋
シュリンゲ+ビナ+ 確保器
防寒具
カッパ
シュラフカバー
マット
水筒
その他沢個人基本装備(ナイフや灯り地図磁石)
スパイク地下足袋
4本爪土踏まずカンジキ
|
---|---|
共同装備 |
ツエルトかタープ
ストーブ(非常用)
ハーケン
焚き付け+ライター
|
感想
初日は仕事半日で奈良井源流まで来た松と、トリプル峠越えで木曽路山間集落を巡って36000歩あるいた末に合流、更に1時間歩いて(44000歩)河原で焚き火して寝る。あったまる。
身軽に支度して奈良井川源流部に突入。堰堤をいくつか越えてスパイク地下足袋をフェルト地下足袋に履き替え今年初の渓流遡行。まだちょっと寒い。いくつも小滝を越えて標高2080mで雪渓ベッタリになったので底の厚いスパジカに履き替える。標高2300mで最近手に入れた骨董品の忍者道具みたいな土踏まず四本爪アイゼンをつけて登ってみる。雪渓はアイゼンいるほど固くないし、ズルズル滑る柔らかさなのでなくても同じだったが、時折崩壊雪渓を巻く泥壁とか草付きでの威力が強く、結構重宝した。岩の上でも、登りならそれほどじゃまにならない。松は、いつもの嘉門次ピッケルを丹念に作りステップを丁寧に切って登行する。下りに取ったら結構怖い傾斜だ。一歩では滑る。2、3回キックして足場を進める。常識的にはアイゼンピッケル硬い靴でくれば、かなり早い登行路だ。ただし、少し長い林道歩きと、下部の沢登りの心得が要るので誰も来ないルート。
あっという間に稜線に着き、ザックを置いて茶臼山を往復。見かけは地味な山だが、世に数多ある茶臼山の最高峰はここだ。展望も文句なし。360ドだよ。最近こんな展望の高山久しぶりだな。何より故郷奈良井川の源流最高峰だ。松本は、経ヶ岳のカゲで見えない。
楽しい話をしながら下ってうっかり道を間違える。山ではこれがすごくある。下降時に確認しなければ40年登っていても関係ない。100m登り返し茶臼に二度登る。
将棋頭までは夏道。この山もロープウエイ山域と距離を置いて独特の魅力を放つ。天候は穏やかに澄んでいる。富士山も、池口岳も白山も頸木も志賀高原も良く見える。1913年の箕輪の小学校の遭難現場の西駒山荘も初でまみえた。
ここからが松の主戦場で、2002年小黒川中途敗退の先を今回は下ってつなげようというもの。
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いざ雪渓べったりの真っ白な源頭に地下足袋で躍り込む。先の沢より傾斜は優しく、地下足袋の踵のキックも決まる柔らかさなので安心して地下足袋グリセードも決めてあっという間に雪渓の末端まで。
沢でもスパジカのまま下り降りる。黄色く藻の生えたすべすべ花崗岩では滑るが草付き泥壁ではフェルトより効く。道具は何でも一長一短なのだ。今回、冷たい雪渓ではフェルト地下足袋では厳しいが少し底の厚いスパイク地下足袋ではネオプレン靴下なら凌げた。フェルトの出番は多くなかった。松はスパジカ+装着型フェルトわらじという組み合わせ。これもこの時期はフェルトの出番が少ないので良い。地下足袋本来のスパイクピンはふたりともほぼ消失していた。鋼鉄カンジキは、あれが必要な場面なら12本爪が必要だ、と思った。
やがて10m前後の大きな滝が連発して現れる。側面の草付きや岩岩を立ち木を掴んでクライムダウンなどしていくつか越えていくが、地形図上はこの先もこれが連発しそうだとの判断で、無理に22年前のポイントまで降りるのはあっさり諦める。左岸の急斜面を夏道目指してエスケープする。帰りの行程が長いので時間切れだ。22年前と線は繋がらなかったけれどまあまあ満足した。藪漕ぎもC級で助かった。よく整備された道を分岐まで下り、再び奈良井川源流への地味な夏道をたどる。この道も人気なさそうで整備はあてにしていなかったが、あるだけありがたい。案の定末端部分は地形図の位置と違い、林業作業道に導かれて大幅に上流側に出た。下りならわかるけど、登りでは登山口がわかりにくいと思う。
長い林道を歩いて、黒川二俣で泊まり装備を回収し、車止めまで歩く。よく歩く。周囲の林地の仕事ぶりなどを林業家の松に聞きながら。13時間行動、いやあよく歩いた。
帰りに贄川のSS食堂といきたかったが、あいにく4/29以降料理人の高齢化引退で休業になっているのはマチのウワサになっている。宗賀の気になる「お風呂入れます」看板のある食堂に飛び込むと、ウチの親といい勝負(90歳前後)のじじばばがやっている店で、とんかつ定食と肉入り野菜炒め定食。お風呂はもうやってないとのこと。木曽路は高速道路が無いため、70年代ドライブイン文化がほそぼそと生き残っているのだが、高齢化でもうあと何年も無いだろうと思う。壁には何十枚もの国粋系団体のステッカーと名刺があり、寄る辺としていた頃があった模様。
松本の自宅近所の日帰り温泉で禊をして松と帰宅、ビール一本飲んでクラクラと落眠。翌昼は餌差町の山山食堂で角煮やサバ定食で見送る。
長いこと課題だった山行線を伸ばした。
日本分水嶺マップには、本州の中間部で"グィ"と随分と極端に南に喰い込んだ部分が以前から気に掛かってあり、それが今回の奈良井川源流部である。かつては飛騨方面に流下していた梓川源頭部のような、規模の大きな略奪地形だろうか? そこいら辺の地質学的考察はHな大学理学部地質学鉱物学科卒の先輩に譲るとして、大してアカデミックでもない私はただその地に身を置いてみたかったんだ。加えて、2002年に霙敗退を喫した隣の小黒川源頭部に下降路を取ることで22年前の遣り残しの宿題を片付ける山行でもあった。同行はその2002年に夫婦でご一緒した、ごくごく最近定年退職して「サンデー毎日」になりカレンダーが赤一色に転じたMr.Redman 〜イグルスキーyoneyamaセンパイ。今回の私との山行に際して、前日から三峠越えで集合場所に向かうという故郷奈良井川への念の入れようだ。
5/10(金) 奈良井川のゲートで奈良井峠からのyoneyamaさんと無事合流し、国有林の大規模皆伐地を眺めつつ小一時間程林道を歩き、テキトーな河原で火焚いて泊。
5/11(土) 要らぬ荷を置き、林道を終点まで歩いていよいよ奈良井川源流溯行を開始した。小滝が幾つかあったが総じて何もない沢で、北面であることをこれ幸いに早々とベッタリ現れた雪渓に乗じて快適な傾斜の登行で稜線へ。共にスパイク地下足袋で難は無かった。空身で行者岩、茶臼山へ。茶臼山へは北西面の濃ヶ池川を登路にした山頂として取り置いたものだったが、いつかいつかと20年で我々も早やいいオッサンで髪も散り、yoneyamaさんに至っては還暦リタイヤレッドマ〜ン、である。荷を背負いなおして将棋頭山へ立ち、南アの連嶺向こうに芙蓉峰を眺めた。木曽駒や御嶽はもとより白山、槍穂から白馬、頸城の山に浅間に八ッにと澄んだ空気にすべてが見渡せた。「聖職の碑(いしぶみ)」には寄れなかったが鶴田浩二校長たちに手を合わせた。西穂山荘からは小黒川源頭部の雪面を足袋で駆け下って、22年前の記憶に繋ごう。雪切れしてからは程々の斜滝が現われて、灌木をひっ掴んで高度を落としていく。ここで滑ると目も当てられない厄介な事態に陥るので、慎重に。ただ、2002年の引き返し地点に繋ぐには信大コースの登り返しも含めて時間が押していたことや"手ぶら"で突っ込むには両岸が些か荒っぽくなってきたことも手伝い、宿題はコレで良し、と夏道尾根へ笹漕いであっさりと逃げた。私のは、及第ギリギリ人生で「そんでよし!(石塚真一)」。安全地帯に至って、紙巻煙草で一息つく。尾根を下り、荷物を回収してゲートまで。塩尻で油炒め定食を腹一杯に収め、美ヶ原温泉で体を温めてyoneyama邸へ。私の大學探検部先輩でもある奥様に今回の報告ができた。シーズン初めの山行としては標高差2000mの大きな遡行下降で、大変よいリハビリになった。
コメント
この記録に関連する登山ルート
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レアな中アルの沢登レコ、大変興味深く、また好奇心をそそられながら拝見させていただきました。
レコ公開、ありがとうございました。
もう少し暖かくなってから、自分もこのコースをトレースしたくなりました。
そこでご教授いただきたいのですが、ザイルは30m持参でしょうか。懸垂下降などされましたでしょうか。
もちろん持参するつもりではいますが、レコからは確認し難い情報としてご教授いただけると幸いです。
今回は"手ぶら"でロープやハーケン類は携行しませんでしたが持っていったほうが何かと心丈夫だと思います。奈良井川には、雪渓下に滑滝が隠れていた感じだったのできっと楽しめることと思います。小黒川もロープがあれば問題なく通過できるはずです。報告楽しみにしております。
ご返答、ありがとうございます。とてもうれしく、大変助かりました。
大変厚かましく申し訳ございませんが、小黒川のロープはどの程度の長さがあれば良さそうでしょうか。ご返答内容からは、8mmより少し細い補助的なものを長めに持参でも良さそうな感じがしましたがいかがでしょうか。
我々も見ていない部分が有りますので20mで足りる、とは言えません。懸垂下降用にやはり細めの40mを用意すべきに思います。ただ、中アは北アに比して薮は近くストレス度は低い、とは言えます。Enjo〜y!
ご返答ありがとうございます。大変助かりました。
装備を熟考して臨みます。
重ねてお礼もうしあげますm(_ _)m。
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