剱岳北方稜線 -1泊で室堂-池の平小屋-剱岳-室堂-


- GPS
- 50:24
- 距離
- 27.6km
- 登り
- 3,146m
- 下り
- 3,141m
コースタイム
- 山行
- 5:47
- 休憩
- 0:41
- 合計
- 6:28
- 山行
- 9:34
- 休憩
- 3:19
- 合計
- 12:53
天候 | 25日: 曇り時々晴れ、26日: 晴れ |
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過去天気図(気象庁) | 2015年07月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
バス 自家用車
ケーブルカー(ロープウェイ/リフト)
|
コース状況/ 危険箇所等 |
雷鳥沢:下部沢筋の部分に雪が残るがアイゼン不要。 剱御前小屋から剱岳山荘:キャンプ場の上に雪上あるがアイゼン不要。 剱沢を二股まで: 標高2350mから真砂沢ロッジまで雪上。僕らはアイゼン無しでピッケルだけで下りたが、一般にはアイゼン使用。真砂沢ロッジから二股までの上部に数回雪田横断あり、横断後ルート見失わないように。 鉱山道から小窓雪渓: 鉱山道展望台までに雪渓渡り2ヵ所。1番目沢の雪渓はアイゼンが欲しくなる。小窓雪渓へは、目印より200m手前から下りた。 小窓から小窓の王: 小窓から小窓の頭方向に出て直ぐに崩壊のガレ場があり、その向かって右端の踏み跡を辿ったらロストし、東側へとハイマツを薮漕ぎしてはっきりした踏み跡に出た。ガレ場のさらに奥にルートを求めるべきと思われる。途中の2ヵ所の雪渓は多く書かれている通り、アイゼン・ピッケルで確実に渡るのが良い。小窓の王の基部にも雪渓が残り、右側を若干高巻く様に抜けたが、アイゼンで登っても良さそう。 小窓の王から池ノ谷尾根の頭: 様々な要素があるが、多く書かれている通り。迷い易くはない。 長次郎のコルまで: 稜線又は長次郎谷側のバンド歩きかトラバース。 |
予約できる山小屋 |
|
写真
装備
個人装備 |
長袖シャツ
ソフトシェル
ズボン
靴下
グローブ
防寒着
雨具
日よけ帽子
靴
ザック
ザックカバー
行動食
非常食
地図(地形図)
コンパス
笛
計画書
ヘッドランプ
予備電池
筆記用具
ファーストエイドキット
常備薬
日焼け止め
携帯
時計
サングラス
タオル
ツェルト
ナイフ
ヘルメット
ピッケル
アイゼン
ハーネス
シュリンゲ
カラビナ
下降器具
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共同装備 |
ガスカートリッジ
コンロ
コッヘル
GPS
補助ロープ
|
感想
昨年同時期に計画して成し遂げられなかった剱岳北方稜線、単独だと登山指導員からや小屋で制止されるのでパートナーを探したらayuhoさんが乗って来た。
25日、東京から夜行バスで来るayuhoさんの富山駅到着は午前6時。ピックアップして立山駅へドライブ、ケーブルカー、高原バスで室堂に上がった。室堂ではターミナルビルの屋上に登山届提出所を設け、係員(山岳警備隊か遭対協の人)がチェックしている。あらかじめ用意しておいた計画書を出すと、「北方稜線ですか」としばらく眺め、「登りですから下りよりは心配が少ない」とコメント。アイゼン、ピッケル、ヘルメット、ロープの携行を確認された。
室堂出発は8時半。今時期の始発のバスより1時間遅れ、池の平小屋までのコースタイムは10時間だが、この二人ならそんなにはかからない筈。室堂から雷鳥平、雷鳥沢の登り、剱沢小屋までは大勢の登山者が行きかうメインコース。剱沢小屋の裏手から、最初は夏道の急坂を下りて行くが、標高2350mで雪渓に乗る。ピッケルは出すがアイゼンは使わない。この方が半分滑りながら大きなストライドで下りて行ける。途中平蔵の出合と長次郎の出合で一息つきながらでも真砂沢ロッジまでの標高差500mを30分程で下りられた。
真砂沢ロッジでは小屋主の佐伯成司さん登場。池の平小屋へは北股の雪渓がつながっていて仙人新道より速い、との情報を得た。北方稜線に行く話をしたら、僕らが雪渓を下りて来るのを見ていた様で、あそこであんだけ速く歩けるあんたらなら大丈夫だろう、と言われた。
ロッジの前から坂を下りて剱沢の河原を伝う道となるが、途中4ヵ所ほど雪田渡りがある。去年同時期は2ヵ所だったので今年は残雪が多い。近藤岩が見え、吊り橋を渡って二股。仙人新道の入口表示の直ぐ先に北股の雪渓の末端がある。末端で休んで雪渓下から流れ出す水を汲む。冷たくて大変に美味い。
ここからアイゼン・ピッケルで雪渓登行開始。300m程で三ノ窓雪渓との分岐になり、右に折れる。さらに進んで小窓雪渓を左に分け、標高1900mで二又になるがここで右に行ったのが間違いだった。その上の三角形の平地の西端の頂点近くに平の池があり、平の池から流れてくる左の沢に行くべきだったのだ。右の沢は三角形の東西底辺の中心から来ている最短ルートと見え、左の沢は平の池よりも西側に突き上げると見えたのが間違った理由だった。途中雪切れを一ヵ所乗り越え、遂に雪が無くなり、藪が少なくて登り易そうな沢を選んで登り続け、最上部で薮漕ぎを少しやって平坦地の東の端に出た。池の平小屋も見えて一安心。一登りで小屋に到達。ミスがあっても室堂から6時間半で着いた。
交代で風呂に入り、Nishdenは風呂上りのビールで一息。他の泊り客は三人組が二組。僕らも含めて全て男女混成。一組は黒部の超達人である志水哲也ガイドの率いるパーティーで、明日は北方稜線と言う。お客は二人とも女性、一人は白髪でかなりのご年配と見えた。室堂から一日でここまで来たと言って他の客が感心すると、志水氏曰く「室堂から一日でこれないようだと北方稜線には連れて行かない」と。もう一組は名古屋からのおじさん(実はNishidenと同年齢)と相対的に若い女性二人。不思議な組み合わせだが物凄く楽しい人達だった。多くの語らいと、名古屋の人達の持参した花火で小花火大会も楽しみ、名古屋のおじさんには紙パックの清酒、小屋のおじさんにはいいちこをふるまわれ、上機嫌で寝床に着くNishidenだった。翌朝出発時にはayuhoさんに、「Nishidenさん大丈夫ですか、お酒臭いですよ」と言われてしまった。
26日、3時半起床、行動食の摂り始めという感じで朝食しながら身支度、出発は4時10分過ぎだった。最初はごく普通の平坦な登山道、傾斜のある沢の雪渓横断があり、Nishidenはピッケル持つだけでそのまま通過したが、ayuhoさんはアイゼン使用。次の雪渓渡りは長いが緩く、マークのテープを確かめながら進む。小尾根を乗っ越すと小窓雪渓の横壁の領域に入り、絶対落ちてはいけない。若干傾斜のある平らな岩棚歩きもスリップが恐い。チンネの下、モンローの唇とよだれを薄暗がりに見ながら高度を下げて雪渓が近づくと下り口のマークが見えた。マークの所はロープ伝いに上り下りするとのことだが、そこまで行かずに雪渓の端が上がってきている所で下りてしまった。ここからアイゼン歩行。
稜線に朝日が当り始め、快調に歩いて40分ほどで小窓のコルに到着。草地の花々が朝日で輝く別天地だ。一休みして小窓の王へ向けて出発。少し進むと崩壊のガレ場があり、その右端に踏み跡を見つけて登って行く。ところが悪い岩場になったり踏み跡が見つけられなくなってどうやらミスルートだ。上に向って右側は険しい崖、正しいルートは左側にある筈。トラバースしてルートを探すがハイマツ帯に突き当たり、そこを強引に漕いで突破。抜けてはっきりした踏み跡に出た時は嬉しかった。恐らくガレの押し出しが正規ルートを隠してしまっていたのだろう。
後は大きなミスルートはなく(小さいのは何度もあった)、稜線伝いから小窓の頭の下をトラバース、二つの雪渓をアイゼン着けて通過する。今時分はどちらの雪渓も大きく、最上部は見えないので高巻ける状況ではない。小窓ノ王の壁下までトラバースし、壁沿いに登るが、そこが雪渓として残り、雪上を登るならアイゼンだが、僕らは右側に巻きルートを求めた。少し悪い所もあったが、切り抜けて小窓ノ王から離れて斜上する道になり、再び稜線伝いになって小窓ノ王の肩に達する。
これまでは小窓ノ王の様な大きな岩を眺めながらも、歩く場所自体は草地だったが、ここからは岩ばかりの世界に突入する。肩に到達する時に先ず見えてくるのがチンネ、その右に池ノ谷の頭、間のコルから落ちるのが池ノ谷ガリー、写真では見ているが、じかに見るとやっぱり、凄い。発射台のガレを下って、三ノ窓で休憩。テントが一張、主はどこを登っているのだろう。窓から北には富山平野と富山湾。南には雪渓の上に鹿島槍と五竜岳。雪渓の下が見える所にはアイゼン着けないと行かれない。
さて池ノ谷ガリーの登り。ここがどんな所かは、いろんな記録などで読んできているので、なるほどこんなところか、といった感じ。踏んでも崩れないところを求めて歩くが、どうしてもどこかで崩してしまう。小さな崩れはまだ良いが、一度だけ抱えられない位の大岩を落としてしまい、ガランガランと轟音が響き渡った。これは下に人がいたら危ないし、上から人が来ないように願うしかなかった。幸い上からは誰も来ず、登り切って池ノ谷乗越で一息。赤いヘリコプターが一基、チンネの向こうを回って行った。
乗越から池ノ谷の頭まで岩壁登り。溝でもフェイスでも登れそうだが、フェイスの一角に固定ロープが見え、そこを目指して登る。ロープの場所も頼らずに登れる、易しい類の岩登りだった。頭からはいよいよ剱岳本峰を臨む。易しい稜線上の歩きから黒部側を巻くことが多くなり、岩場のトラバースが混じる。長次郎の頭の少し手前、踏み跡に従って下降すると長次郎雪渓の延長になる雪渓に突き当たる。雪渓を高巻きするように登り返して長次郎の頭を巻くバンドになる。行く先崖で進めない地点で戻ったりしながら固定ロープが現れると長次郎のコルへの下りとなり、コルに到達。ここから先は勝手知ったる道、遂にここまで来たんだとの感慨が湧く。
コルからはルート明瞭な岩場を登り、次第に緩くなって概ね普通に歩く道になり、割と突然に、人のいっぱいいる山頂直前に飛び出す。そして剱岳山頂、三角点にタッチ、ayuhoさんと握手、万歳です。やりました。
シャッターを頼んで祠で記念写真、しばし休憩です。天気は抜群、メールも飛ばせる。山頂の登山者の話では、転落事故があって救助の間タテバイの登山を止められていたのだと言う。あのヘリはその救助のものだったのだ。時刻は11時過ぎ、室堂からバスで帰ることを考えると案外余裕がないなと思い、落ち着いたら下山開始。ヨコバイで並んだが小渋滞程度。平蔵のコル、前剱と進み、武蔵のコルで休憩。僕が「疲れて来たね〜」にayuhoさんも「疲れましたね」。夏山でまだまだ行動中には彼女からは聞いたことのない言葉だった。
剣山荘でまともな休憩。僕はここまでに1.5リットルの水を飲み干し、ここで補給。ここからはクロユリのコルに登り、剱御前のトラバース道に入る。登りになるといつもの様には快調に飛ばせない。ayuhoさんでもそうだとは言っている。彼女としては確かにゆっくりだが、彼女が先行すると確実に僕は引き離される。トラバース道自体は剱沢小屋を通るルートと景色が違って楽しい。雪渓横断が長いがアイゼンは要らない。雷鳥沢の長い下りは大丈夫かなと心配したが、下りの足は結構残っている様で概ね快調だった。雷鳥平のキャンプ場で最後の小休止、そして一踏ん張りで室堂に戻って来た。午後5時のバスには間に合わず、最終の5時40分のバスになった。
なんとか1泊だけで室堂からの一周をこなしたが、体調か天気かどちらかでも少し悪ければ2日目室堂辺りでもう一泊になっただろう。1日目池の平小屋まではCTの65%の時間で行けたのに、池の平小屋から剱山頂までは最新の昭文社地図でCT7:25に対し僕らは6:50と92%であまり変わらない。剱岳から室堂に戻るまではCT6:05に対し実際5:40とこれも93%で凡人のペースだった。いかに北方稜線の区間で消耗したかということだ。下りて来た時はもうしばらく良いや、と思ったが、次の日にはもう一度行けばもっと楽に通れるだろうかと思い始めている。とにかく北方稜線万歳!
まあお二人なら余裕なんでしょうけど、体力、技術だけじゃなく、ルーファイやとっさの判断力など、全て兼ね備えていないと行けなさそうですね。
来年辺り連れて行ってください(笑)
さんちゃん、山中からコメントですか。
本峰からの下山中、疲れたと感じてからはもうしばらく来なくて良いやと思ってましたが、今は今度一泊増やしてならまた行きたいと思っています。
剣山荘まで下りて来たとき、テラスでビール飲んでる人達を見て、ここでそうできたら最高に幸せと思いましたので。池の平小屋ででも良いですね。
「最近の登山で会ったかも?」にNishidenさんが登場したので嬉しかった〜(^_^)
souさんもいるし、10toiroさんもいて今週はついています!
しかもみたらなんと北方稜線!
一般登山道とは全くの別世界の凄いコース!じゃないですか?
本当凄いですね〜。いつか行ってみたいです。
windnaoさんは白山を極めてると思いますが、僕はこれで漸く昭文社地図に線がある剱岳の登路を全て歩きました。
憧れの北方稜線、この響きだけで痺れてしまいそうです。
この岩場を前にするとアドレナリンが出まくりでしょうね。
2年前、長次郎谷からわずかに北方稜線を登ったときの感動が蘇りました。
それにしてもayuhoさんはやはり凄い!!
ayuhoさんとでなければ池の平小屋から北方稜線、室堂に下りてバスに間に合うのは難しかったと思いますね。岩登りも本格クライミングの経験もあって僕より上手です。
僕が彼女より強いのは雪の上だけです。
あれ、捕まりますよね(笑
え、単独は制止されちゃうんですか?
室堂通らなくてよかった(汗
確かに小屋の方は敢えて案内はしないらしいですね。
下山の時はもういいかな、と思うんですけど下りて2,3日もすると懐かしくなっちゃいますよね。
剣の麓にお住まいなんて、羨ましいです。
単独かつルート未経験だと確実に行くなと言われる様ですね。
真砂沢ロッジの佐伯成司さんは、それでも行くと言うやつは行けば良いんだ、と言います。
長次郎の雪渓もクラック越えが悪いので、単独では行かないように指導してたそうです。
Nishidenさん♪ayuhoさん♪
お疲れさまでしたーー。
いやー、素晴らしいーー、いいなー。
志水さん、私もお会いしたことありますよ。
志水さんの劔岳の写真展にフラリと寄ったらいらして
声かけていただきました。
池の平小屋も北方稜線も憧れます
来年あたり行きたいなぁ〜。
Sanchan♪計画ヨロシク
北方稜線の盛りは7月よりも、残雪が減って踏跡もしっかり付く8月9月ですから、来年と言わず今年中にもどうぞ。
体力に見合った行程にはすべきでしょう。志水PTは池の平小屋、剣山荘の2泊3日でした。
kazumiさん焼酎お好きでしたよね。池の平小屋はお勧めです(笑)
写真と感想、見てるだけでワクワクです。
今の自分にはこのルート多分無理なのでレコで楽しませてもらいます(^_^;)
それにしても、同じようなルート・山行記でも見知った方のものだと臨場感が違いますね!
そう言えば、明日飲む機会があってレノンに予約の電話したのですが、奥さんが出て今日明日はマスター奥穂でお店は休業でした。
また行きましょう♪
れのんまた行きましょう。金沢に知ってる店が、それも山の話ができる店があるのは嬉しいよね。
ルートや地形を熟知してないと歩けなさそうなコースですね。
あこがれはありますが、単独だと止められるんですね。
Sanchan同様、ほんとに今度連れてって欲しいです(笑
Sanchanには次は2泊でと行ったけど、souさんと行くとしたら1泊で、馬場島-池の平小屋-欅平なんてのも良いかなぁ。
ありがとうございました
無事 登頂おめでとうございます
名古屋の3人組みは私の知人で おじさんはガイドさんです
女性二人は 御付のお馴染みさん。3人とも酒飲みですよ
またのお越しを。。。
お世話になりました。また次の機会を作って行きたいと思います。
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