幌尻岳 幾多の渡渉を経てたどり着く日高山脈の主峰
- GPS
- 18:28
- 距離
- 29.1km
- 登り
- 1,828m
- 下り
- 1,839m
コースタイム
- 山行
- 5:14
- 休憩
- 0:00
- 合計
- 5:14
- 山行
- 7:13
- 休憩
- 0:34
- 合計
- 7:47
天候 | 曇り基調。 1日目は、陽が射す時間もある。 2日目の行動中には2度の通り雨。 幌尻岳山頂では、風が穏やかで遠くまで展望がある。ガイドの森下さんの的確な判断により予定よりも30分早立ちしたことによって、山頂では雨やガスに遮られることなく、好天望が得られました。私達が下り始めて直ぐに山頂付近はガスと雨に覆われてしまいました。 3日目の下山中に陽が射す。 |
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過去天気図(気象庁) | 2024年07月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
千歳市内のホテルから早朝にピックアップしてもらい、とよぬか山荘駐車場に車を停めて、シャトルバスに乗り換え。完全予約制のシャトルバスは50分弱で第2ゲートまで移動する。 そこが幌尻岳登山口になっており、8キロの林道歩きに続き20回弱の渡渉の連続の後に幌尻山荘に到着。 |
コース状況/ 危険箇所等 |
第2ゲートからは8キロの林道歩きで北電取水施設へ。 北電取水施設から幌尻山荘までは20回弱の渡渉の連続で、増水すると大変危険なため山行の中止を呼びかける看板がかかっている。 渡渉には、底がフェルトの沢靴が適している。膝上まで水がくるが、すり足で足場を確認しながらストックは川上側にさして上流側に足先を向けて進む。段差のある場所などで左右のどちらの足で踏むかは、その次のステップも考えておく必要がある。 渡渉中の事故が多く、死亡事故も発生している。重い荷物を持ったまま、転倒すると頭を打って重大事故につながります。ヘルメット、ダブルストックが必須だと思う。 幌尻山荘から幌尻岳山頂までは急な箇所はあるが、危険箇所はない。 稜線に上がると、風をもろに受けるので、強風の時は注意。 |
その他周辺情報 | 幌尻山荘 1泊3000円。ホームページからの予約が必要。前年の12月15日0時頃に予約が開始されるが、ツアーや団体の予約が多く直ぐに予約枠が埋まる。その後、キャンセルが多く出るので、こまめにホームページをチェックすると割と空きが出てくる。7月の予約も、1~2週間ぐらい前の直前でもだいぶ空きが出ていた。もっとも、1週間以内になって雨予報があると大事をとってキャンセルする人は少なからずいると思う。 沢が増水して通行困難になると、シャトルバスが運休することもある。 寝具、食事ともに持ち込みが必要。薄めではあるがマットが備え付けてある。 水場は、水量豊富だが、飲用は自己判断。浄水器を通したり、煮沸するのが推奨されている。 バイオトイレは水量により24時間使用可能な日と、簡易トイレブースしか使用できない時がある。バイオトイレ代として、1泊1000円がかかる。簡易トイレブース使用時は、処理料500円。 簡易トイレブースは、北電取水施設前と幌尻山荘の2箇所。 https://www.town.biratori.hokkaido.jp/soshikikarasagasu/kankoshokoka/kankoshokokakari/1/3/2/414.html ハローポーター 山岳ガイド会社。北海道の全ての山域で、四季に渡りガイドを務める。 今回は、千歳市内のホテルから登山口までの車移動、シャトルバスの予約、沢靴沢靴下のレンタル、渡渉のアシスト、幌尻山荘の宿泊、山行中の食事5回、浄水の供給、幌尻岳への登り降りのガイド、下山後の日帰り温泉と昼食への車移動、新千歳空港までの送迎、写真の提供など至れり尽くせりの内容で、大変お世話になった。単独の方の申し込みが多かったがパーティとして楽しく登山ができ、幌尻岳登山特有の予約が難しいなどのアクセスの困難さをフルカバーしていただき、大変満足度の高い登山となりました。 http://www17.plala.or.jp/h-porter/ びらとり温泉 ゆから 日帰り温泉。大人500円。露天風呂有り。ナトリウム・カルシウム・塩化物強塩性冷鉱泉。 併設するレストランでびらとり牛のステーキなど、美味しい食事もできる。 http://www.biratori-onsen.com/ |
写真
感想
幌尻岳は、一般的なルートで百名山で唯一渡渉を繰り返して登る山です。チロロ林道経由で日帰りで登る方もいますが、一般的には幌尻山荘に泊まり2日間か3日間の行程になります。2日間の場合は、1日目の4時の始発のバスに乗り山頂まで登るか2日目に幌尻岳まで登る必要があり、3日間の場合は2日目に幌尻岳登山が入るのが一般的で、天候不順の場合は、2日目で幌尻岳登山・下山したり、2日目は停滞して3日目に幌尻岳登山・下山する場合もあります。
最初は個人で登るために幌尻山荘の予約から検討しましたが、春頃から検討すると予約が取れる見込みは無かったため、ガイド付きツアーを申し込みました。ツアーであれば、幌尻山荘の宿泊が可能になり、アプローチとなるシャトルバスにも乗れます。初めてのガイド付きツアーでしたが、大正解でした。ヒグマ対策としても、大人数での行動が安心ですしね。
渡渉は、想像していた以上でした。ヒザ上は当たり前で、増水すると腰近くまでくるのではないかと思います。水量が危険と判断されると、シャトルバスが止まったり小屋で止められたりして渡渉禁止になるようで、2~3日止まることもあるそうです。
7月1日は、通行止めだったようです。また、ほかの方の記録を見ると、私達が下山した翌日の7月6日は通行止め、その翌日7日も一部では腰まで水が来る中で、地元の山岳会の援助でわずかに水量が下がった時間帯にかろうじて渡渉下山したようです。結果的に7月1日~7日の間で2日間は通行止め、1日は腰近くまでの水量だったようですね。渡渉に適した水量だったのは4日間で、約4割の日が通行に支障があったことになり、確率的には厳しい時期だったと思います。また、2度ほど他のツアーでキャンセルになった方は、1年目は事前に中止の連絡が有り、2年目は最初の渡渉でガイドさんが引き返す判断をしたそうで、今回のツアーでようやく登頂されました。無理は禁物で、増水時には事故も起き易いようです。普段の渡渉でも死亡事故が起きています。
渡渉では、ストックを上流にさしつつ足場を確実にとらえながらすり足で進みますが、左右の足のかけ方を間違えると転倒しそうな場所もあるので、二歩先のステップを考えることも大切です。
日高山脈の主峰である幌尻岳からは、南は襟裳岬方向から北は大雪山方向まで、大展望が広がりました。南北140キロに及び、三角形のように尖った格好いい山が多いです。カールの元になる氷河が発達していたことで、削られたのでしょうね。このような鋭い山容は、カールが存在した日高山脈と日本アルプスにしか見られない特徴的なものだそうです。日高山脈は登山道もはっきりしない場所が多く、縦走するには冬でないとできないそうです。気高い山々です。
北海道放送の番組で、オーバーユースと遭難の多発が懸念されるため、将来的には入山規制が議論される段階にあると報じていました。YouTubeをご覧ください。
なお、ガイドの森下さんが書かれたヒグマに関する記事が大変参考になりましたので、そのページをご案内します。
ちなみに、下山途中の樹林帯で休憩を取らないでかなり下った箇所がありましたが、森下さんいわく獣臭がしたので休憩をしばらく取らなかったと話されていました。
幌尻岳への登山道は、すぐそばにヒグマがいると想定する必要があるほど生息しているそうです。
http://www17.plala.or.jp/h-porter/bear.html
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