【沢から百名山】鳶谷から薬師岳そして美渓・赤木沢へ
- GPS
- 32:08
- 距離
- 35.9km
- 登り
- 2,670m
- 下り
- 2,637m
コースタイム
- 山行
- 4:46
- 休憩
- 0:02
- 合計
- 4:48
- 山行
- 10:15
- 休憩
- 1:04
- 合計
- 11:19
天候 | 8/12曇り時々晴れ 8/13曇り時々雨 8/14雨のち曇り 8/15晴れ時々曇り |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2015年08月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
有峰林道亀谷ゲート手前で車中泊。6:00の開門と同時に折立登山口へ |
コース状況/ 危険箇所等 |
《常願寺川水系・鳶谷》 グレード:3級 薬師岳北西面を流れる沢。核心部は大きく2箇所あり、それぞれ連瀑帯が続く。上部はお花畑の中を緩やかに流れて薬師岳山荘直下に詰め上がる。 【折立〜岩井橋(入渓点)】 折立登山口から管理人の詰所脇のゲートをくぐり、林道を緩やかに1時間ほど下る。ダンプカーがひっきりなしに走っている。 岩井橋は橋が2本かかっている。左岸から作業道が伸びており、そこからゴーロの河原に降りられる。 【岩井橋〜鳶谷出合】 最初の3つの堰堤は右から超え、4つ目は左から越える。堰堤脇に梯子がついている。右岸に入る2つの枝沢を超えると鳶谷出合。基本右岸を行く。その手前で岩井谷に入るパーティーを追い越す。 【鳶谷出合〜奥の二俣(BP地点)】 しばらくは平凡な河原が続く。30分ほど歩いたところで1時間弱、竿を垂らした。 1時間ほどで6m魚止滝。右岸に高巻きの踏み跡あり。 その先川幅が一気に狭まり、谷が大きく右に曲がり、右岸が岩や土が露出したガレガレの5m滝。平水なら水流中を登れる。 その先の3段10mは右岸から楽に超えられる。 最初の二俣は右へ。その手前辺りから両岸に崩れた雪渓ブロックが現れる。 右に入ると第1核心部。ゴーロから一転滝が連続する。ラバーソールだったので、快適な登攀でここはロープなしで通過した。 ここをすぎると沢幅は広くゴーロになる。その先から雪渓で完全に埋まっていた。 左岸にかろうじて1張はれるスペースを確保してここをBPにした。 雪渓の風が冷たく、なぜか焚き火の着きが非常に悪かった。流木はたくさんある。 【奥の二俣〜薬師岳山荘】 奥の二俣は雪渓で埋まっていたので、ピンソールを装着して通過。二俣を右に入ると雪渓が切れる。沢床までは5mほど。ここは右岸から慎重に斜面におり、そのまま右岸のルンゼから8m滝を超えた。 ここからが20m、12m、5m、6m、5m、4m、2m、5m、3m、2mと10段65mの大滝。 最初の20mは右壁から登るが1歩が悪くハーケンを1枚打ち込み、その上12mを超えた終了点でさらにハーケンを2枚打ち込んで支点とした。ちょと悪かったのでトップは空身で登ってあとからザックを回収した。 2ピッチ目は水流を横切って右岸に移り、5mを登って潅木から支点をとる。3ピッチ目はそのまま右岸をトラバース気味に高度を上げる。 最後の5m滝上が非常に悪く、一旦左の草付に逃げて上部のダケカンバで支点をとる。ここから沢筋に戻ってもよかったのだが、さらに上部は沢が雪渓で埋まっている上に、ところどころクラックも入っており、状態が極めて悪い。高巻き気味にトラバースしたものの一部雪渓が崩れたので、ここで右岸から大高巻きした。 第2核心部最上部とその上のゴーロ、さらに最上部のところどころ雪渓で埋まったゴルジュの連瀑帯まで一気にまとめて高巻き、10m滝の上部に出た。 そこから上は小滝を快適に登れる。この上にBPあり。 ここをすぎると一転して草原地帯のお花畑の中をすすむ穏やかな源頭部。 最初の二俣(4:1)を左に、すぐに真ん中が涸れている三俣を右にすすむ。赤茶けたナメ地帯をすぎると稜線が見えてくる。最上部の雪渓の左脇を登り、膝程度のハイマツ漕ぎで薬師岳山荘直下の登山道に出られる。 《黒部源流・赤木沢》 【薬師沢〜赤木沢出合】 基本左岸を進み、途中のインゼルは左を進んだ。 左岸が切り立ってきたら一旦右岸に渡渉、5m滝が見えてきたら再び左岸に渡渉し、そのまま左岸から5m滝を高巻く。沢床に降りるとまもなく赤木沢出合が見えてくる 【赤木沢出合〜中俣乗越】 出合の釜を持つ3m滝を左岸からへつりながら赤木沢に入る。2段15mは右から。その上の15mナメ滝はどこでも登れる。 ウマ沢出合を超えたところの8m滝は左から次の8mは右から越える。次の2段20mは右から簡単に高巻く。 2段35m大滝は右から明瞭な踏み跡あり。高度感はあるが潅木もたくさんあり難しくはない。 上部は本流より1本右の支流を詰めて、赤木岳側の枝沢を詰めた。大滝上、3:2の二俣は左、次の1:1の二俣も左、その次の二俣を右に進み、4つ目の二俣は右に進んだ。 |
その他周辺情報 | 登山届はメールで富山県警に提出。 下山後は亀谷温泉の国民宿舎白樺荘の日帰り温泉。 610円/人 20時まで入浴可。 |
写真
装備
個人装備 |
Tシャツ
長袖インナー
ソフトシェル
タイツ
ズボン
靴下
グローブ
雨具
日よけ帽子
着替え
靴
ザック
サブザック
昼ご飯
行動食
非常食
調理用食材
飲料
ハイドレーション
地図(地形図)
トポ
コンパス
笛
計画書
ヘッドランプ
予備電池
GPS
筆記用具
ファーストエイドキット
常備薬
保険証
携帯
時計
タオル
ツェルト
ナイフ
カメラ
ハーネス
ヘルメット
確保機
ロックカラビナ
カラビナ
クイックドロー
スリング
ロープスリング
セルフビレイランヤード
渓流シューズ
フローティングロープ
ルート図
|
---|---|
共同装備 |
バーナー→りょうと
ガス(3泊分)→りょうと
ツェルト→うるし
テント(2人用)→りょうと
ロープ(30m)→うるし
ハンマー&ハーケン→りょうと
フライパン→うるし
調味料→うるし
調理器具→うるし
スコップ→うるし
のこぎり→うるし
|
備考 | ロープは8mm30mを1本 ハーケンは3枚 2人用テント1張 ハーケン1本が回収できず残置 |
感想
鳶谷は、雪渓が多く残っており予定のルートとは違うルートを歩くことを強いられた。
沢登で雪渓歩きを始めて行ったが、予定しているルートを外れるため予想以上に時間がかかり、遡行難易度も上がることは勉強になった。
自分のレベルではとても遡行できる難易度ではなかったが、リーダーの情報収集、技術のおかげでなんとかついていけることできた。
また、赤木沢は天候も安定し人気の沢を存分に楽しむことができ、難しい巻きルートなども特になかった。
1年前の同じ頃も赤木沢を遡行しましたが、悪天候による急な増水でさんざんな目に遭い(http://www.yamareco.com/modules/yamareco/detail-495268.html)、今年こそはリベンジをと誓っておりました。
当初は関西からの1泊組と合わせて5人での赤木沢遡行、関東組は1日前倒しで入山して2名が鳶谷遡行、1名が薬師岳ピークハントで、13日に太郎平集合の予定でしたが、直前になって今年もお盆の天気は怪しくなり、日程がタイトな関西組は山行取りやめ、日程に余裕のある関東組3名での遡行となりました。
8/12
前日は仕事終わりに20時頃に都内を出発、関越・上信越・北陸道経由で立山IC到着が1時半すぎ。コンビニで最終買い出しをして亀谷ゲートでしばし仮眠するも、3人全員で見事に寝坊しゲート開門で周りのクルマのエンジンで目を覚ます始末。
折立に着いてなんとか駐車場を確保してから、朝ごはんと出発準備だったのでスタートは8時前になってしまった。
登山口で2手に別れ、こちらは鳶谷から薬師岳を目指す。
折立の一般車立ち入り禁止ゲートをくぐってまずは1時間の林道歩き。時々ダンプカーが爆音を鳴らして過ぎていく。
入渓点の岩井橋は広い河原に橋が2本もかかっている。ここから堰堤3つは右から、最後は左から超えた。
水量はさほど多くなく、エメラルドグリーンのきれいな流れに深い谷。ゴーロ帯を順調に快調に飛ばしていく
岩井谷出合手前で釣り師を追い越す。彼らは岩井谷に入るそう。邪魔にならないようになるべく右岸の河原をすすむ。
鳶谷に入って30分ほどのところで休憩がてら沢を垂らしたが当たりはなし。相方は1匹釣り上げていた。
納竿してここからは沢モード。魚留滝、10m滝は快調に右岸から超えていく。
さらにその先は左右は雪渓に埋まりはじめ、徐々に緊張感がましてくる。
最初の二俣を右に進むと第1核心部。幸いここは雪渓がなく、ホールドもばっちりで快適に15分足らずで通過してしまった。
その先はしばらくゴーロで奥の二俣になるが、二俣付近から上は明らかに雪渓で埋まっている。しかもここから第2核心部の連瀑帯が始まるはず、既に時間も4時前。ちょうど左岸に1張かろうじて張れるスペースがあったので、ここをBPとした。
この日は食事も簡素。釣ったイワナは素揚げにしてささやかな沢の恵みを堪能し、5時過ぎには眠りについた。ただ深夜になって、雨音に何度も起こされる。明日の雪渓や核心部を思うと若干の不安を抱きながらの眠りに。
8/13
ちょっと寝坊で4時半起床。インスタントラーメンと焼豚メンマの朝食を強引に胃に流し込むが、調子はイマイチ良くない。
朝一は雪渓歩きから。ピンソールをつけて、沢筋の真ん中右の厚い部分をうまく選びながら慎重に進んでいく。
第2核心部の入口は雪渓で埋まり、8m滝は左からショルダーと残置スリングからビレイを取りながら通過する。
この先の20m滝は右からだが、ハングしておりかなり悪い。
空身で登るも1歩が出ず、ハーケンを1枚打ち込んで支点を確保して一気に登る。その先も2人なのでそのままロープを出したまま登攀。2ピッチ目は水流を横切り左壁を登っていく。登ったところで1ピッチ切り、3ピッチ目はトラバース気味に斜めに左壁を登っていく。
そして4ピッチ目。本来は左壁を登っていくが最上部がどうしても登れず、やむなく左の草付に逃げて上部の潅木で支点を取った。結局そのまま上部の雪渓で埋まったゴルジュごと大高巻きとなった。
沢床に降りる頃には渓相は一転して草原地帯を緩やかに流れる源頭の様相。晴れていればさぞ景色がよかろうが、あいにくガスガスで雨も強くなってくる。
この時点で今日は薬師岳山荘泊まりとし、合流は8/14にすることにした。
薬師岳山荘は食事も豪華な上、濡れた物も全部乾かせて、いたれりつくせりの小屋だった。
8/14
予報通りあいにくの天気。6時過ぎ雨が弱まったのを見計らって山頂に。あいにくガスガスだったが、とりあえず沢から百名山6座目達成。
薬師峠まで下って2日ぶりに再開し、不要な荷物をデポして薬師沢小屋まで移動。昨日からの雨で黒部本流は増水して水も濁っている。この日は停滞パーティーも多かったようだ。
お昼寝して釣りして、豪華なヤマメシを堪能して早めに就寝。夜は星空だった。
8/15
祈りは通じたのか、朝からピーカンの快晴。黒部本流の水量も収まり、エメラルドグリーンの水面が出迎えてくれる。
赤木沢出合の美しさは鳶谷の苦労を忘れさせてくれた。昨年とはうってかわり穏やか。
時間をかけてのんびり遡行したかったが、それは贅沢というもの。
次々現れる滝の美しさはきっとこの渓を訪れた者しか分かるまい。言葉にできない美しさはこういうものを言うのかも。
今回は中俣乗越より赤木岳よりの鞍部を詰め上げ、太郎平で荷物を回収して折立へ下山。
厳しい鳶谷の修行の先に、ご褒美のような赤木沢の美渓。
下山したら、あの鳶谷の厳しい滝の登攀や延々続いた藪こぎの辛さを忘れているから、こうして次も新しい渓を目指すんだろうなぁ。
コメント
この記録に関連する登山ルート
この場所を通る登山ルートは、まだ登録されていません。
ルートを登録する
鳶谷の雪、私の遡行時と比べると、かなり減ってます。
9月には ほぼなくなってるかもしれませんね。
赤木沢の お写真、すごく鮮やか。
鳶谷と赤木沢というのが いい組み合わせですね。素晴らしい!
奥の二俣手前の雪渓もだいぶ後退していました。
きっと9月になれば、普通の3級の沢になるのかもしれませんね。
赤木沢がきれいすぎて、蔦谷の大変さなんて忘れてしまいました 笑
いいねした人
コメントを書く
ヤマレコにユーザー登録いただき、ログインしていただくことによって、コメントが書けるようになります。ヤマレコにユーザ登録する