(記録完成)北岳 〜絶景・花・星を求め 南アルプス盟主の元へ〜


- GPS
- 25:28
- 距離
- 12.1km
- 登り
- 1,772m
- 下り
- 1,773m
コースタイム
- 山行
- 8:41
- 休憩
- 1:27
- 合計
- 10:08
天候 | 1日目:スタート時快晴、稜線に上がる頃には曇り 2日目:晴れ |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2015年08月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
タクシー 自家用車
芦安駐車場〜広河原までは乗り合いタクシー利用 料金1200円で定額 バスよりも15分〜20分ほど早く着くとのこと |
コース状況/ 危険箇所等 |
≪登山道の状況≫ ・広河原〜大樺沢二俣:大樺沢に沿って登って行く道 傾斜は緩く、危険個所無し ・右俣コース:勾配がきつくなってくる 樹林帯と草地を交互に登る ・小太郎尾根分岐〜北岳肩の小屋:稜線の道になる 肩の小屋手前に鎖場あり ・北岳肩の小屋〜北岳:稜線の岩稜帯歩き 西側は急傾斜なので転倒すると危険 ・草すべり:下部は草地、上部は樹林帯の急勾配区間 木製のハシゴなど大段差箇所多数 ・白根御池小屋〜広河原:樹林帯の尾根の急勾配 木製ハシゴ・大段差の連続 滑落すると危険 ≪トイレ≫ ・広河原インフォメーションセンター、大樺沢二俣(チップ制)、北岳肩の小屋(チップ制?)、白根御池小屋(宿泊者以外は有料)に有り ≪水場≫ ・広河原インフォメーションセンター、白根御池小屋(無料)、北岳肩の小屋(1ℓ100円)に有り。 ≪危険動物情報≫ ・ヤマビル:遭遇せず ・ヘビ:遭遇せず ・クマ:遭遇せず。単独行は熊鈴があった方が安心かと思う。 |
その他周辺情報 | ≪自販機・商店≫ ・広河原インフォメーションセンター、広河原山荘、白根御池小屋、北岳肩の小屋の売店で購入できる |
写真
感想
お盆休みに計画していた笠ヶ岳・双六岳登山は雨のため中止を余儀なくされ、代替案を考えていたところ…
北岳で美しい青い花であるミヤマハナシノブが咲いているという。
日本第2位の高峰、北岳。
自分の登山技術ではまだ手が出ない難度の山と思っていましたが、体力的にキツイけれど慎重に行動すれば何とかなりそう。
日曜日は午後から所要があるけど、土曜日に登頂して白根御池小屋に宿泊、日曜日は早朝に下山し、岐阜まで帰れば、日程的にも不可能ではない。
体力が尽きたら、大樺沢二俣まで行って花が見れれば良し、できれば山頂まで。
こんな急転直下の計画で、北岳に向かったのでした。
金曜日の所要を済ませて、中央道をひた走り、南アルプス市の市営芦安駐車場に着いたのが15日の午前3時…。
車中泊し、午前4時半に起きて、乗り合いタクシーで広河原へ。
睡眠時間1時間半で標高差1700m弱が登り切れるのか、自信は全くないけど、無理せず行けるところまで行く、ということでスタート。
野呂川にかかるつり橋の手前で、谷の彼方に青空を衝いてそびえる北岳が迎えてくれました。
つり橋を渡って、南アルプス盟主の元へ分け入って行きます。
大樺沢二俣までは、大樺沢に沿ってじっくりと高度を上げて行く区間。
急勾配箇所や危険個所は無いので、最もビギナー向けのコースと感じました。
今日は限られた時間と体力で行動しないといけないので、花の撮影はほどほどにして進むよう心がけました。しかし…
大樺沢沿いでは、キツリフネ、コウシンヤマハッカ、センジュガンピが咲き誇っているので、写真を撮っているといつもの悪い癖で、ペースは悪くなる一方でした。
今日会いたい花は…
1、青く美しい絶滅危惧種の花、ミヤマハナシノブ
2、絶滅危惧種でとても珍しい花 タカネマンテマ
3、仙丈ケ岳以来、また会いたい日本のエーデルワイス ミネウスユキソウ
さぁて、いくつ会えるだろうか…
まずは大樺沢二俣付近で咲くというミヤマハナシノブを探して進みます。
なかなか見つけることができなかったものの、二俣手前の草むらの中できれいに咲いてくれているものに会うことができました。
思っていたよりずっと小さな花。
しかし、きれいな薄水色の花に、黄色い雄しべ(雌しべ?)がアクセントを添える、見れば見るほど心惹かれる美しい花でした。
大樺沢二俣までに3株ほどしか見つけられなかったのも少々意外。
もっと咲いているかと思ったのですが…。
図鑑によると花期が6〜7月なのでピークを過ぎているのか、シカがよく食べるようなのでそのせいなのか。
二俣から八本歯のコルへ向かう道中にはたくさん咲いているのでしょうか??
コースタイム2時間半ほどの道のりに3時間半かけて大樺沢二俣に到着。
睡眠時間1時間半なので、ここらで限界が来るかと思うも、いまだ元気はつらつ。
眼前には天を衝いてそびえる北岳の大岩峰。
これからゆく右俣コースの先には稜線と青空が見えている。
こんなきれいな景色の中では疲れたなんて言っていられない。
小休止の後、右俣コースの急登に挑みました。
稜線手前まで樹林帯と高茎植物のお花畑を交互に行く道。
急ではあるものの歩きやすい道で、ぐんぐん標高を稼ぐことができました。
草すべりコースが合流して来ると、稜線はもうすぐそこ。
ぐっと近くなった青空と咲き乱れる高山植物に力をもらって進みます。
コースタイム2時間半のところ1時間半ほどで稜線に到達。
女王:仙丈ケ岳、貴公子:甲斐駒ケ岳、鳳凰三山など南アルプス北部の名峰たちの大パノラマが広がっていました。
2年前は仙丈ケ岳の稜線から、北岳〜間ノ岳までの稜線を見ていたよな、と懐かしく思い出しました。
ここから北岳山頂までは、稜線漫歩の道。
足元を彩る花はトウヤクリンドウやウサギギクなど秋の花が主体。
吹き渡る涼しい風。
下界は灼熱の暑さですが、アルプスには秋が訪れていました。
タカネマンテマは無いかなと探すも、結局発見できず。
花期が少し遅いのと、目立つところにあると盗掘されてしまうからだろうか。
北岳の固有種キタダケソウも含め、稜線に咲く花には未だ見ぬものも多いので、またいつか再訪したいとの思いが膨らみます。
大展望の稜線を歩き、北岳肩の小屋を通過し、13時半、ついに日本第2位の高峰、北岳山頂に足跡を刻むことができました。
ゆっくり登ってきてしまったので、ガスが上がってきてしまい、東側は展望できなかったのがちょっと残念。
本当なら、東には日本で一番高い山の富士山が広がっているはず。
幸い西側は雲が少なく、仙丈ケ岳から中央アルプスの峰々、南には恵那山まで展望できました。
南に連なるは間ノ岳、農鳥岳の白峰三山の稜線。今度来るときは白峰三山を縦走したいなと夢が膨らむ眺めでした。
大展望を楽しみ、山頂に咲く花を写真に収めて、14時18分に宿泊地の白根御池小屋に向けて下山開始。
雲が晴れて再び姿を現してくれた甲斐駒ケ岳を眺め、
日本のエーデルワイス、ミネウスユキソウを見ながら、北岳山頂をあとにしました。
小太郎尾根分岐を過ぎると、大展望との稜線ともお別れ。
稜線を離れる時はいつもなんだか寂しくなりますね。
17時から山小屋での晩御飯だし、15時には山小屋入りするのが常識なので、今回も余裕がなさすぎる行程になってしまったなぁ(*_*)
慌てて転倒しないよう慎重に、花の写真はほどほどにして先を急ぎました。
白根御池までは草すべりを下りましたが…
急な斜面に付けられた道は、勾配はきついし、木のハシゴが連続するハードなコース。
転倒して斜面側に落ちると滑落事故になるので、慎重な足運びが求められる区間でした。
コースタイム1時間半のところ、1時間15分で下り、無事に白根御池小屋に到着。
なんとか夕食前にたどり着けました。
白根御池小屋は内装も綺麗で、水に恵まれているので天然水も飲み放題。
朝晩のご飯も美味しいし、スタッフも爽やかな対応で迎えて下さり、とても過ごしやすい山小屋でした。
たどり着くにはハードなコースを経る必要があるものの、はじめての方や女性におすすめの山小屋です。
夕食後は名物ソフトクリームを頂き、1日の疲れもあって一眠り。
21時頃に目が覚めて、外にでると、見上げた空には満点の星。
星が多すぎてイマイチ判然としない夏の大三角。
その中をとうとうと流れて行く天の川。
星ってこんなにあるんだ、と口をポカーンとあけてしばし見とれていました。
山の花、絶景、空の青さ、山頂で見る日の出、そしてこの満点の星。
いつか大切な人に見せてあげたい宝物がまた増えました。
翌朝、朝ごはんを頂いてから下山開始。
広河原まで道は序盤こそ樹林帯の中の緩やかな下りでのんびりムードでしたが…
しばらく歩くと、急な尾根に付けられた大段差やハシゴの連続する試練の道になりました。
広河原〜白根御池〜草すべりのルートは登りも下りもハードなコース。
北アルプス三大急登の燕岳合戦尾根がかわいく思える、健脚・経験者向きの道でした。
大樺沢コースに合流し、気持ち良い森を歩くと広河原山荘。
野呂川にかかるつり橋を渡ると、楽しかった南アルプス山行もフィナーレ。
振り返ると、昨日と同じく青空を衝いてそびえる北岳。
自分の登山技術ではまだ無理かと思っていましたが、何とか無事に往復できました。
体力的には大変でしたが、思ったほど危険個所は無い山(慎重に行動する必要がある箇所は多いですが…)。
また訪れたくなる、素晴らしい山でした。
いつかまた白峰三山縦走、そしてタカネマンテマやキタダケソウに会いに、盟主の元に帰って来たいと思います。
長文、お付き合いありがとうございましたm(__)m
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