【魚沼三山】水無川御月山沢遡行〜真沢祓川下降〜北沢右俣中沢遡行〜左沢下降(ヘリ救助)
- GPS
- 20:41
- 距離
- 15.2km
- 登り
- 3,313m
- 下り
- 2,310m
コースタイム
- 山行
- 9:50
- 休憩
- 0:57
- 合計
- 10:47
天候 | 1日目 曇り及び霧 2日目 概ね晴れ 3日目(救助のみ) 高曇り |
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過去天気図(気象庁) | 2024年10月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
|
コース状況/ 危険箇所等 |
・「袂分ちのゴルジュ」は最初の滝さえ登れてしまえばそれほど苦労しない。順調に突破すれば、順調に高巻くよりも早いと思われる。 ・御月山沢は下部はスラブが発達しており快適だが、ややぬめる。上部はぬめった小悪い滝が多く、快適ではないし、意外に時間がかかる。 ・真沢祓川は、50mロープ2本あれば、北沢出合までは特に難所なく下降できる。祓川大滝と幣ノ滝の上には残置スリング設置済。 ・北沢右俣大滝は水線をシャワーで快適に直登できる。 ・北沢右俣中沢は、ゴルジュ内に小悪い滝が連続するが、1つ1つの滝は小さいので高度感はない。 ・北沢右俣左沢はゴルジュ状ではあるが、難しい滝はなく、懸垂下降なしで下降できる。登る場合は容易と思われ、中沢遡行時のエスケープルートとなり得る。 |
その他周辺情報 | 【他の記録】 「袂分ちのゴルジュ」途中まで突破:https://www.yamareco.com/modules/yamareco/detail-5923960.html 御月山沢:ウェブ上にはない 北沢右俣中沢:https://www.yamareco.com/modules/yamareco/detail-7248865.html 北沢右俣左沢:ウェブ上にはない |
写真
装備
備考 | ・大滝の懸垂下降のため、50mロープ2本必要。 ・御月山沢はぬめりが強めだが全体的にはラバーソールの方が適。 ・クライミングシューズ不要 ・ウェットスーツ着用でちょうど良かった。 |
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感想
【計画の経緯】
水無川上流部でたもしまとたなが行きたい所は、袂分ちのゴルジュ、御月山沢、北沢右俣、西沢。別々に行くとアプローチが長いので、2泊3日で全部同時に行ってしまおうということで、袂分ちのゴルジュの雪渓もやっと消えたであろうこの時期に、計画した。
【記録】
○御月山沢まで
土曜の天気予報は低曇りで、駐車場から見てもすぐ上はガスっている。あまりモチベーションは上がらないが、転進するほどでもないのでひたすら袂分ちのゴルジュの入り口まで歩く。相変わらずクソ長い。前日までの雨で水量は多め。
袂分ちの滝に着くと、水量は多いが水流が邪魔をする感じではなく、取りつきはしやすい。たなリードで空荷でトライ。前週にyamakurumiが敗退しているとのことで、たなはどうだろうと思って見ていると、結構スムーズに登っていった。流石すぎる。フォローしてみれば昨年の所感よりは易しく感じ、V-程度か。荷上げしてから落ち口へのクライムダウンをA0でこなし、この滝は終了。
次の小滝は軽く泳いで越え、いよいよ昨年雪渓の下だったセクションへ。すると、いきなり厄介そうな3mCS滝。たなリードでトライするが、激しい水流でうまく取りつけずに撤退。たもしまに交代し、激流に入って左の岩から登攀。ここは平水なら容易だろう。
荒々しい側壁の御月山沢出合を過ぎ、少し進むと、昨年に右岸高巻を終了した11m滝が現れ、未解明区間の終了は近い。この11m滝は空荷になってから右壁を登攀し、次の2段3m滝を小さく巻いて、未解明区間は終了。満足したので引き返して御月山沢へ。
○御月山沢
出合の滝は直登困難に見えたので左岸から小さく巻き、途中から水線を登って、通常袂分ちのゴルジュを巻く時に通る平流部へ。この上流の滝も遠目には難しそうに見えたが、近づいて見れば難しくなく、普通に登攀。ここからは怒涛の滝滝滝。ともかく途切れることなくスラブ滝がこれでもかと続き、全く飽きないが、微妙にぬめるのと、ガスがかかっているのが残念。晴れていて紅葉でもあれば、きっと素晴らしい景観だろう。
御月山に直接詰め上がれる本流筋は途中でゴルジュ状にもなるが、ともかく滝が続く。だんだんとぬめりが強くなって登りにくくなり、うんざりしてくる。時間も予定よりかかっている。最後はぬめぬめすぎて登れない滝をいくつか巻いて、水涸れ。藪漕ぎは殆どなしで登山道へ。
○祓川下降
祓川最上部は、昨年来た時は大滝の少し上流で遡行終了して下降したため、未踏であった。今回登山道から下降してみたら、草原の中にナメが続く超癒し系で、なかなか良い。昨年のルートは効率的ではあったが、効率を求め過ぎていた面もあったかもしれない。
昨年に大滝上流に残置した捨て縄はそのままあり、それを利用して懸垂下降。しかしロープが超絡まって、ほどいていたら暗くなってしまった。結局大滝下部はヘッデンクライムダウンして、昨年と同じ幕営地へ。ヘッデンでも下れる滝で良かった。既に暗く、焚火が危ぶまれたが、幕営地にはそれなりに薪があって、焚火に成功。良かった良かった。
○真沢下降
白竜の滝は少し迷いつつも問題なく巻いて、ゴーロ帯に整地された幕営地を見つけたので、当日中にここに戻ってくる予定だったことから、幕営用具をデポ。後で、1人でここに戻ってくることになるなんて、夢にも思わず。
幣の滝の残置スリングも昨年のままあり、スムーズに懸垂下降&クライムダウン。二俣の景観は、増水しているのもあって昨年よりもいっそう素晴らしい。
○北沢〜右俣中沢遡行
北沢の二俣までの連瀑帯は、美しい景観の中、快適な滝登りの連続で本当に素晴らしい。右俣に入っていくつかの滝を越えていくと大滝。ここは前週の中澤Pは右から高巻いているが、水線が登れそうではないか。岩も堅いのでフリーソロで快適登攀。でかいし綺麗だし快適だし、良い滝だ。
大滝の先のゴルジュの2段13m滝は、左壁から登攀。落ち口が嫌らしいのが厄介。右沢出合を見送って左沢・中沢出合に到着。ここから6時間で幕営用具デポ地には戻れるだろうと判断し、中沢遡行へ。
中沢は、確かに立派なゴルジュであり、水量は少ないが面白い。前週の中澤Pが結構苦労して登ったようだったが、日帰り装備しか持たない我々の身は軽い。全滝フリーソロで荷物も背負ったまま登攀し、藪にも悩まされずに至極順調に尾根越え。
○左沢下降
中沢に、下るとしたら厄介そうな滝が多くあったので、左沢の下降は苦労するかと思っていたが、そうでもない。クライムダウンを繰り返して順調に下っていき、事故現場の2段4m滝の上に至る。ここから先の出来事は、事故報告書に詳述したため、そちらを読んで頂きたい。
【謝辞】
ヘリで救助されるに当たりお世話になった、新潟県警(航空隊、南魚沼警察署)、中澤慧さん、南魚沼消防大和分署、魚沼基幹病院の方々に厚く御礼申し上げます。
また、ヘリでの救助が出来なかった場合に備えて動いて頂いた、ぶなの会及びSAWA MAFIAの方々、yamakurumiさん、中澤慧さんにも深謝いたします。
[11/7追記]
事故報告書を公開しました。下記リンクから読めます。
https://drive.google.com/file/d/10ni2wQJn4XBp47r4ZYphC70WwZwXXlG-/view?usp=sharing
【感想】
越後は良い。とりわけ魚沼三山の沢は1本登って眼下を見渡すと視界に入る流域のあちこちに面白そうな谷筋が見え、「次はあれとあれを繋げて…」と妄想が捗るわけだ。今回もそんな感じで、気になる谷筋をウロウロ歩き繋げる計画が立った。
”袂分ちゴルジュ”の元ネタはtamoshimaの過去の記録に登場する。取り付いてみると思ったより容易で袂を分かたれずに済んで一安心。3mCSシャワー滝は増水で轟々と落ちる水に突っ込む気になれず滝の右側しか探らなかったが、フォローで左側に突っ込むと水中にすんなり立てるスタンスが隠れていた。試してみるもんだな。
御月山沢は6月頃にも狙ったが雪渓が溶けてからの方が楽しめるだろうと今回に至る。爽快なスラブ沢を期待していたが、実際は開けたスラブと言うより連瀑メイン。生憎のガスで勿体無い、晴れていたらどんな景色だっただろう。そして何故か超絶ぬめる沢だった。
払川〜真沢下降に入ると源頭の草紅葉が美しい。ぬめりから解放され不快成分は消し飛び金色の野と癒しのナメを歩き降りる。真沢を遡行した時のことを思い出しながら進み、翌朝、以前も使った斜めった大岩が転がるテン場にたどり着き懐かしみながら荷物をデポ。二俣の両門は相変わらず壮観だった。
北沢に入ると美しい連瀑。北沢右俣中沢に入ると水量は減るが立派なゴルジュ。日帰り装備なので全滝楽しくフリーソロで進む。荷物の軽さは楽しさとスピードに繋がりそれは安全にも繋がるが安心とはトレードになるのだろう。
右俣左沢は意外な程に下降向きだった。tamoshimaは昨年、真沢秡川と真沢北沢を合理的に繋げて遡行おり、なんでそんな話になったのかは忘れたが「沢はコスパじゃないでしょ、1本1本味わわなきゃ」なんて話をふっかけた。そんな談笑をしながら降っていき、今思えば完全にフラグを立てていたように感じる。
事故後、「動けるようになるまで休んで気合で自力下山」の択も考える中、安静にしているほうが万が一にも後からぽっくり死ぬ可能性は低いだろうと救助要請を希望した。なぜ手足に痛みは無いのに動けないのか分からなかった。結果として脳にダメージは無かったようだが、救助いただいたお蔭で最短で治療を受けることができた。眼窩底骨折は、眼窩内に血が溜まり眼球や視神経を圧迫し殆どの場合で視力障害が発生するとのことだ。11/7時点でかなり改善傾向にあるが、処置が数日遅れていたらどうなっていただろうか。改めて、多くの方のご尽力のお蔭で日常に戻れたことを実感している。
【謝辞】
新潟県警航空隊、南魚沼警察署、南魚沼消防大和分署、魚沼基幹病院の皆様には、現地で大変お世話になりました。心から御礼申し上げます。
LINEしか繋がらない電波状況で通報を受け、各所へ連絡を繋ぎ、救助チームの拠点となって動いていただいた中澤さん、本当にありがとうございました。
ご多忙の中現地入りや連絡係として動いていただいたぶなの会、SAWA MAFIAの皆様、yamakurumiさんにも深く感謝いたします。直接お会いした際に、また御礼をお伝えできたらと考えております。
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