【払雲作戦】稲村岩〜鷹ノ巣山〜七ツ石山〜雲取山〜三条の湯【乙76.6】
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- GPS
- 10:19
- 距離
- 37.4km
- 登り
- 3,073m
- 下り
- 3,153m
コースタイム
- 山行
- 9:26
- 休憩
- 0:51
- 合計
- 10:17
天候 | 雲がある程度あったが、基本晴れ |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2015年12月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
電車 バス
復路:峰谷橋バス停〜奥多摩駅(下山口最寄は、お祭バス停) |
コース状況/ 危険箇所等 |
稲村尾根:稲村岩から鷹ノ巣山へは段々とした一方的な上り 石尾根:道が広い。急坂が連続するが巻き道あり。 雲取山〜北天のコル:三条ダルミに降りてからは細いものの緩やかな道 北天のコル〜三条の湯:よく踏まれた小笹の道の後、急坂をジグザグに下る。 三条の湯〜国道411号線:併行する沢が何百という小滝を形成し、非常に美しい。車の通行もほとんどないので安心して歩ける。 |
写真
感想
今年も大詰め。最後にもう一つ2000m峰を歩いておこう。軽く雪が積もっていればなお良しと、最寄りの雲取山へ向かう。折りしも忘年会たけなわの時期、寒風吹き荒ぶ山を歩くことは飲み会で溜め込んだカロリーを放出する絶好の手段でもある。
日の出前、まだ漆黒の闇に包まれた奥多摩駅には早い時間にしては多くの人が降り、或いは鴨沢へ、或いは東日原へと出発する。
バスが東日原に着く頃には日も出て、空や雲や山の稜線部分が朝日色に染まる。我々が降りる一方で、折り返しのバスに乗るハイカーが1名いたが、ということは、山の上で朝日を拝むこともできたのに暗い中を下山してきたわけで、何だかもったいないなあと思う。が、こればかりは人により事情のあることだから仕方がない。
【稲村岩尾根】
日原川を渡り、山の中に入っていくと、下の方の川とは別の水音が聞こえてくる。それが巳ノ戸沢だ。昨年歩いた日原林道もそうだったが、日原には何とも趣のある沢沿いの道があるものだ。
沢から離れて尾根への急登を上りきると稲村岩の入口である。歩きにくい岩の集積を木の枝を払いながら上り詰めると下界からも見える稲村岩の頂上に着く。3つの祠と朝日、そして周囲の山々にご挨拶をする。岩上から鷹ノ巣山まで続く尾根が段々となっているのが見える。覚悟を決めて鷹ノ巣山へ。
といっても、傾斜はそれほどきつくなく、広くて開放感がある。積雪に期待していたものの、鷹ノ巣山北面にして数cm程度。登っている途中、空に残る灰色の雲からチロチロと雪の粉が舞い落ちるも大したことなく、傾斜が若干きつくなった樹林帯の道を抜けると南側の視界が開ける。鷹ノ巣山の山頂に着いたのだ。
【石尾根】
日の出から結構時間が経つのにまだ空が朝焼けで赤く染まっているなあと勘違いをしてしまった太平洋は三浦半島までくっきり見える。望遠で見たら房総半島まで見えたのではないか。そして丹沢、箱根、奥多摩の峰々。視線を右にずらすと、三ツ峠と大菩薩の山々にはさまれて富士山が凍てついた斜面を輝かせている。北側は木が生えているが、落葉しているため、これから向かう雲取方面がよく見えた。
他にカップルがいたため居心地の悪さを感じていたこともあり、そそくさと石尾根を西進する。この石尾根は尾根道と巻き道があり、尾根道は急登が相次ぐなかなかハードな道である。しかし、道は広々として開放感があり、そうでいて落ち着きがあり、常に南方の展望を眺めながら歩くことができる、楽しい道でもある。休み休み行けば辛さは軽減され、楽しみは倍増することだろう。
1700m前後のアップダウンがしばらく続き、高度が全然上がっていかないが、それも七ツ石山まで。この山頂で展望休憩をとって、いよいよ高度を上げていく。
一旦大きく高度を下げてからの急上昇。その後西側が開けた平坦な道歩き。この開けた部分は飛龍へ向かう途中、雲取山を振り返ると確認できる。奥多摩小屋を過ぎると、再度の急登。最初の頃はへたれながら歩いたジグザク道も今ではしっかりとした足取りで登ることができる。平坦な道とジグザグの急登道を繰り返して正午前に雲取山頂に着く。
【雲取山〜下山まで】
鷹ノ巣山からみた雲取山は直上に分厚い雲を戴いていたが、山頂に着く頃には快晴状態。北側は樹林帯になっているが、東から南側、西側に至るまで、ぐるっとお見通しだ。北のピークと南ピーク合わせて20〜30人くらい。それだけいても山頂は静かで、時折西側からの風の音がするくらいだ。私も腰を下ろしてモソモソと昼食をとる。やはりこの季節、冷や飯食いより、暖かいものがほしいところだ。私はバーナーでコポコポやらないので、携帯できる魔法瓶でも買うか。
下山に移ると途端に冷たい風が吹き付け、稜線の東と西で空気の体感が全く異なる。七ツ石〜雲取間では気温の上昇に伴い地面がぬかるんでグッチョングッチョンのズンダラベッチャラになっているのに対し、西側の斜面は凍てついたままだ。なので、泥濘を厭う人は西側に下るという手もあるだろう。
下山については当初から三条の湯に降りる予定ではあったが、思いのほか三条ダルミに降りてしまった。あまりにも呆気なく降りたので、このまま降りたものか暫し考える。鴨沢西より西側のバスの本数が少ないことは承知済みで、このまま降りれば早いバスにも乗れ、早く帰れることは確実だ。しかし、私にはもう少し山を歩いていたいという気持ちがあった。とりあえず、残距離を概算し、バスのことは置いておいて日没までに下山できるかということを考えた結果、北天のコルまで進み、そこから三条の湯に下りることとした(その勢いで飛龍までという考えも一瞬頭を過ぎったが、さすがに無理だろうと却下)。
ということで、さらに山行を延長したわけだが、実はこの先の道は基本巻きなので、あまり苦ではないのである。道は細く、歩く人も少ないが、そのために、あちこちから鹿が飛び出す。若干展望は遮られるものの、たまに開けた箇所があるので十分だろう。或いは稜線の笹薮を漕いで行けば新たな展望を得られるかもしれない。
三ッ山の辺りから若干道が険しくなり、改めて積雪してくるが、酷くなる前に北天のコルから下山に移る。
【三条の湯〜終わりまで】
最初はなだらかな下りも後半は傾斜を増したジグザグ道になる。直前になるまで三条の湯は見えないが、薪が燃える良い匂いがしてくる。雪は無いと言っても冬の様相を呈した谷間に三条の湯はある。後で結局バスを1時間近く待つことになったので、ここで入浴して入っても良かったのかもしれないが、そもそもタオルを持ってきていなかったのでいかんともしがたし。下のキャンプ場を抜けて林道へ。
三条の湯に到達したからと言って全てが完了したわけではない。ここからバスの通っている国道411号線までは約10km、先はまだ長いのだ。このとにかく長い林道は消化試合くらいに考えていたのだが、三条の湯から併走する沢がなかなかに趣がある。まさに流れる百滝だ。小さな段差、大きな段差のそれぞれがそのまま滝群を形成して流れている。さらにメインストリームに流れ込む沢水も物凄い落差の滝や、物凄い奔流の滝となって御岳沢に流れ込んでいる。これは是非とも新緑や紅葉の時期に来たいものだ。しかし、葉が付いていると沢がよく見えないだろうから来るなら紅葉末期だろうか。結局、長い林道ではあったが飽きることなく歩くことができた。
日没時刻前に国道に出るが、案の定バスの時間は外してしまった。しかし、それを感受し得るだけの成果は得られたものと思う。自分にとって未知の道を新たに歩き、いろいろな発見や出会いを得ることは無上の喜びである。この山の恵み、恩寵に深く感謝して山を辞す。
これをもって今年の山行の締めとしても良いくらいだが、今年はまだ1週間以上残っている。さてさて。
〜おしまい〜
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