【阿弥陀岳】厳しくも美しき★今冬最後の雪の八ヶ岳
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- GPS
- 14:04
- 距離
- 21.9km
- 登り
- 1,766m
- 下り
- 1,765m
コースタイム
- 山行
- 2:42
- 休憩
- 0:14
- 合計
- 2:56
- 山行
- 8:15
- 休憩
- 1:41
- 合計
- 9:56
天候 | ■3/20 曇りのち晴れ ■3/21 曇のち晴れ ・赤岳鉱泉 6:00 5℃ ・阿弥陀岳山頂 10:00 -7℃ ほぼ無風 |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2016年03月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
電車 バス
|
コース状況/ 危険箇所等 |
★★阿弥陀岳直下で滑落アリ!要注意! ■美濃戸口~赤岳鉱泉 ・赤岳山荘までは積雪はところどころある程度。 ・赤岳山荘より上は全体的に積雪しており凍結箇所が多い。 ノーアイゼンでもいけるが、不安な人はアイゼンを使ったほうが良い。 ■赤岳鉱泉~文三郎尾根頂上(赤岳と中岳の分岐) ・赤岳鉱泉は積雪量は多く、雪も締まっている。 テント泊をしたが、スノーペグは必要。 ・行者小屋までは2月よりも積雪が多いと感じた。 ・文三郎尾根の階段も鎖も完全に雪に埋もれている。 ところどころ鎖の支柱の先端が見える程度。 ■文三郎尾根頂上~中岳のコル ・文三郎尾根頂上からの下りは雪はほとんど溶けているが、 中岳への登りからは先はしっかり積もっている。 中岳山頂からはコルまでは雪稜を歩くため、注意が必要。 ■中岳のコル~阿弥陀岳 ・雪はしっかり付いているが、ところどころ岩や氷が露出している。 はじめの階段は半分埋まっているくらい。 ・夏道は完全に埋まり、60-70度程度の雪壁を登下降するところもあり、 後ろ向きでないと降りれない。 状況は悪い。岩や氷が隠れているところもあるので足場は要確認! 目の前で人が20mほど墜落するような勢いで滑落した・・・ |
その他周辺情報 | 改めて知ったが、茅野は、そばの名所なのですね。駅前の蕎麦屋はどこも手打ちで旨い!! ■蓼科 バス停から新宿寄りに歩いた所。踏切の近く。あるいて5分くらい。手打ちそばの店。そばは絶品! 三重もりは三段重で、3種類のつけダレでいただける。 ■そば茶屋 バス停の前だし、、、と思っていたらかなりうまい。 葉わさび付きのそばは大人の味。 ふきのとうの天ぷらは絶品! |
写真
装備
個人装備 |
ベースレイヤー
フリース
ソフトシェル
ハードシェル
タイツ
ズボン
靴下
グローブ
アウター手袋
予備手袋
インサレーション
ダウンインサレーション
ゲイター
ネックゲイター
ニット帽
靴
ザック
アイゼン
昼ご飯
行動食
非常食
飲料
テルモス
プラティパス
地図
コンパス
計画書
ヘッドランプ
スマートフォンGPS
予備バッテリー
筆記用具
保険証
時計(高度計)
サングラス
ゴーグル
ストック
カメラ
ピッケル
マット
シュラフ
象足
ダウンパンツ
ビーコン
|
---|---|
共同装備 |
テント
ポール
竹ペグ
テントシート
ファーストエイドキット
常備薬
日焼け止め
ツェルト
スコップ
ガス
バーナー
コッフェル
カップ
|
感想
■ガスガスでスタート!
今回は文三郎尾根から中岳経由で遠回りにピストンするルートを計画した。中岳沢を上がった方が早いのだが、雪崩の巣と聞いていたし、先日南陵で雪崩による死傷者も出ていたので避けたのである。
朝の天気は悪い。今までにないようなガスっぷりである。『ウェザーニュース』と『てんきとくらす』は午前中は曇りで12時から晴れ。ただ、ヤマテンは、下界は曇りだが稜線は晴れていると予報する。とりあえずヤマテンを信じて登ってみることにする。
しかし、いざ登り始めると降りてくる人の表情がなんだか暗~い。
『こりゃ絶対稜線ガスってるな』と思い予定を変更する。休憩を時間を潰しながらゆっくり登り、天候の回復を狙う作戦だ。
文三郎尾根の頂上の分岐まで来ると、案の定稜線はガスガス。ヤマテンの嘘つき・・・
『12時からの晴れが早く訪れないかな~♪』
と期待しながら阿弥陀に向けて稜線を歩いて行った。
さて、今回の核心部は阿弥陀岳直下の登降である。50-70度くらいの雪壁がずっと続き、モチロン一歩でも足を滑らせれば即滑落である。これまでのノンビリ気分が一気に吹っ飛んだ。
講習会で習い、ジョウゴ沢の氷瀑やアイスキャンディで何度も復習したフロントポインティングの重心移動の練習は本当にやっといてよかったと思った。安定して登降できた。
実は12月の講習会でも阿弥陀に登ったのだが、その時は、岩と氷がもっと露出しており、それはそれで爪をかけづらかったが、今回は雪壁の直登(直下降)なので、別の難しさを感じた。
山頂には特に問題なくたどり着いたがガッスガス・・・しばらく粘ったものの、晴れる見込みもないので退散することにした。
■人が目の前で滑落するのを見て・・・
さて阿弥陀直下の下りだが、恐ろしいことに、滑落に出くわしてしまった。
現場は60-70度くらいの傾斜でバック(後ろ向き)で降りねならないところであったのだが、3メートルほど横を人が墜落するような勢いで落ちて行った。
下に窪地があったので助かったのだが、(怪我もなく元気であった)原因は氷に爪をかけ損ねたことだったようだ。身体が回転してピッケルストップどころではなかったらしい。まあ実際それで止まるような傾斜でもなかったが・・・
バックだと足場が見づらいのに加え、すでに階段状になっているステップで足場が隠れて、覗き込むようにしないと蹴り込むポイントを確認しづらい。しかも、ところどころ雪の中に岩や氷が隠れており、よほどよく確認しないとうまく爪がかけられないのだ。
滑落したのはかなりクライミングをやられていたベテランの方で、技量不足には到底思えなかった。
『なんで落ちてしまったのだろう?』
と考えた時に思い当たったのは講習会でガイドさんから教わった、『無意識の意識』の話であった。
体操などのプロスポーツ選手は、無意識ではありながらも身体を動かし方に意識を払うという「無意識の意識」を働かせるのだという。
アイゼンワークでは、危険なところほど一歩一歩、最適な足場を探して選び、足の置き方や重心移動に高い精度が要求されるが、そのためには『常に足はこびに意識を向ける必要がある』という。
それは、"慣れ"や"体が覚える"といった概念とまったく異なるといわれた。
”意識"が緩んだり、足場の選び方や置き方に妥協があるなど、歩きに漫然さが混じってくると、運が悪ければ滑落を招いてしまうのだそうだ。これは技術が高くても起こりえることである。
事故の当事者の多くは『こんなはずではなかった』と思うのだそうだ。おそらくは『運の要因』が知らないうちに行動や判断の中に入り込んできてしまっているのだろう。
今回は自分なんかより技量や経験のある人の滑落であった。その理由を思い巡らすと他人事ではない。非常にシビアな世界なのだということを改めて思い知らされた。
■そして晴れ上がる八ヶ岳の空
そんなこんなで、トンデモ事件に出くわしてしまったが、無事で何よりだったと皆でほっとしつつ、我々は中岳から文三郎に戻ることにした。
みんな中岳沢から上り下りしてるので
『実は雪崩の危険はないんのではなかろうか?』
と思いつつも、ヨソはヨソ、ウチはウチと、無駄かもしれないが自分たちの判断を貫くことにした。
でもそのおかげで非常に良かったことがあった。中岳の山頂あたりで、ちょうど、12時になったのである。天気予報だと晴れる時間だ。
すると・・・・
ガスがときどき切れ始め、赤岳が少しだけ見えるようになる。
そして・・・・
ガスは見る見るうちに霧散してゆき、真っ青な青空にそびえる大迫力の赤岳がついに姿を表したのである!!振り返れば阿弥陀岳も姿を表しつつ合った。
文三郎尾根の分岐まで戻ると、八ヶ岳を覆っていたガスはすべて消えさり、南八ヶ岳の山々はその美しい姿を見せたのであった。
おそらく今シーズンで最後の雪の南八ヶ岳であろう。最後の最後で、雪の女神は振り向いてくれたのであった。
■ありがとう八ヶ岳
雪の南八ヶ岳には2シーズンで10回ほど来ているが、常に学びの場であった。
あるときは風に悩まされ、あるときは講習にきた。滑落現場も2回も出くわしてしまい、又、時には人の死を身近に感じた。そしてその雪山の厳しさだけでなく美しさを教えてくれた。本当にさまざまなことを教わり、様々なことを考えさせられた山だ。
思えば2年前に涸沢にスノーハイクに行った時に、いつかあの穂高の白い頂に立ちたいというところから私の雪山は始まった。
その目標に向け、2年間という長き準備期間を経て、これならようやく雪の穂高に登れるという確信を得ることができた。
ありがとう。八ヶ岳の山々よ!!
また来年もきます!!
コメント
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cajaroaさん, maamさん、おはよーございます!
冬季の阿弥陀踏破おめでとーございます!
しかも見事な逆転勝ちで絶景にも恵まれて本当によかった
中岳からのリッジもいいですね〜
実はボクもずっとここを狙っていたんですが、
雪崩情報にビビってしまいました。
それなのに、なぜ三ノ沢だったのか ...
バカすぎる自分に呆れ果てています。
shin1116さん こんにちわ!
コメントありがとうございます!
先日の雪崩事故はバリエーションルートの南陵で起こっており、中岳沢は避ければ良いので
(他の人のレコを見ると、当日はピットチェック等で大丈夫だという話も聞きます)
山というより、どのルートを使うかなのでしょうね。
中岳のリッジは短いので特に問題は無いですが、三ノ沢くらいの長距離になると、ルート取りの判断力を求められたり、トラバース等で神経を使うであろうことが予想されるので、自分たちの経験では、体力や精神力をすり減らし、足を引っ掛けるなどの事故のリスクがでてくるのでゆとりがなく、まだまだ無理そうな気がしています。
阿弥陀もそうですが、雪山はルート取りのスキルがまだまだ甘いので、実は基本的には一度行ったところにしか行かないようにしているんです。
垂直方向のスキルだいぶ高まってきているのですが、水平方向はまだまだなので、ステップアップしていきたいです!!
次は焼岳で、少しルートファインディングの練習をしてこようと思っています。
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